「自動ブレーキ」搭載車は保険料が安くなる?

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 自動ブレーキに関するニュースや話題を、新聞やテレビなど複数のメディアで目にする機会も多くなりました。自動ブレーキの技術は、車の事故を減らすために大いに役立つと期待されているため、自動車保険の分野でも事故を減らす自動ブレーキを搭載した車への関心が高まっています。

 そのような背景を受けて、2018年1月1日以降に自動ブレーキを搭載している車に対して、保険料を割引きするという制度が導入されることになりました。そこで、割引きの概要や、対象となる車についてご説明します。

自動ブレーキとは?

 自動ブレーキとは「衝突被害軽減ブレーキ」のことで、「緊急時に被害を最小限にとどめるために、自動でブレーキを制御する機能」のことです。「Autonomous Emergency Braking」の頭文字を取って、「AEB」と呼ばれることもあります。

 自動ブレーキは、あくまでも緊急時に利用されるためのもので、ブレーキを一切踏まなくても勝手に止まってくれる機能というわけではありません。実際に、自動ブレーキの機能を過信したことによる事故も起こっています。しかし、自動ブレーキを搭載することで「速度を緩める」「警告をする」など、一定の被害軽減効果があると考えられています。

 また、勘違いされやすいのですが、前の車と適切な車間距離を保って追従してくれる「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(ACC)と自動ブレーキは異なるシステムです。運転を補助してくれるさまざまな機能のついた車が発表されていますが、アダプティブ・クルーズ・コントロールと自動ブレーキを、誤って理解してしまわないように注意しましょう。

自動ブレーキと保険料の関係

 国土交通省が発表した「ASV技術普及状況調査」によれば、2015年の車の生産台数に対する自動ブレーキの装着率は40%となります。わずか数%に過ぎなかった2011年調査に比べて、急激に普及が進んでいるといえるでしょう。

 また、2012年から2014年の保険実績を見てみると、自動ブレーキ非搭載車のリスクを1.0とした場合の搭載車のリスクは約0.9となっており、実際に事故リスクの軽減効果が認められています(損害保険料率算出機構調べ)。

 2016年12月、損害保険料算出機構は、この2点を根拠とした「参考純率」(保険料率を算定する際に利用する、保険会社の経費や利益を含まない「純保険料率」の参考値)の改定を発表しました。これにより、2018年1月1日から、自家用普通・小型乗用車について、「AEB装着あり係数0.91=9%割引、AEB装着なし係数1.00=割増引なし」という新たな係数が導入されます。

 また、軽自動車についても、2020年1月1日までの型式別料率クラス導入を前提に、同様の料率を導入すると発表されました。これによって、2020年1月1日までに、現在設定されていない軽自動車の型式別料率クラスが定められますが、具体的に何段階に分けられるのかなどの詳細は、2017年4月現在未発表となっています。

 なお、参考純率を利用するかどうかは、各保険会社に委ねられています。そのため、割引きを導入するかどうかや実際の割引率については、各保険会社によって異なる可能性があります。

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自動ブレーキ搭載車として認定される条件は?

 「AEB装着あり」と認められるのは、発売後約3年以内の自動ブレーキシステム搭載車と決められています。この期間を経過したあとは、AEB装着あり係数ではなく、従来の型式別料率クラスによる係数が保険料に反映されることになります。

 これまでは、自動ブレーキのような車の固有性能による保険料率の調整は、型式別料率クラスの設定によって行われてきました。しかし、車の発売直後は実績が少ないため、正しい評価をすることができません。そこで、暫定的に「自動ブレーキを搭載している」ことを条件に9%の割引きを実施し、3年経過後は各車固有の評価を行うことになったのです。

 なお、正確な該当期間は、発売年から3年後の12月末日までとなっています。つまり、例えば2018年5月31日に発売された車であれば、2021年12月31日までの3年7ヵ月が該当期間となります。

 具体的にどの車が対象になるかという情報については、損害保険料算出機構のホームページで情報公開される予定となっています。

自動ブレーキ車で保険料を節約できる?

 2018年1月1日以降は、自動ブレーキを搭載した車に保険料割引が受けられる可能性が高いといえるでしょう。また、自動ブレーキによって実際に事故が未然に防げれば、それだけ等級が下がるリスクも回避できます。今後、車を購入する際に自動ブレーキ機能を搭載した車を選ぶことは、安心を得られるだけでなく、自動車保険の節約にも役立つといえるでしょう。

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