学資保険は生命保険料控除の対象?控除額の上限や計算方法などを解説

学資保険は生命保険料控除の対象?控除額の上限や計算方法などを解説

子どもの誕生をきっかけに、学資保険の加入を検討している方は多いのではないでしょうか。
学資保険で払い込んだ保険料は、「生命保険料控除」という、税金を軽減できる制度が適用されます。
生命保険料控除でどれくらい税金が軽減されるのか、生命保険料控除を適用するための手続きや、注意点などについてご紹介します。

mokuji目次

  1. 学資保険は控除申請で税金負担を軽減できる
  2. 生命保険料控除とは?
    1. 生命保険料控除を受けられるケース
    2. 生命保険料控除を受けられないケース
  3. 学資保険の控除額と計算方法
    1. 所得税の控除額
    2. 住民税の控除額
    3. 控除額の計算例
  4. 生命保険料控除を受けるための手続き方法
    1. 年末調整で申請(会社員・公務員)
    2. 確定申告で申請(個人事業主・フリーランス)
  5. 学資保険で生命保険料控除を受ける際の注意点
    1. 一般生命保険料控除には限度額がある
    2. 保険金の受取人が親族以外の場合は対象外
    3. 学資保険の契約者と支払人が異なる場合は、支払人が申告する
  6. 学資保険で受けられる控除をしっかりと理解しよう

学資保険は控除申請で税金負担を軽減できる

学資保険は控除申請で税金負担が減る

学資保険で払い込んだ保険料は、「生命保険料控除」という制度の対象になります(概要は後述)。

1年間に払い込んだ保険料に応じて、契約者(保険料払込者)のその年の所得から、一定額が控除(差し引き)される制度です。
これを所得控除といい、税金計算のベースになる所得が減ることで、「所得税」や「住民税」の軽減につながります。

「所得税」や「住民税」が軽減できれば、手元に残るお金(会社員の場合なら手取り)が増え、その分を子どもの教育費はもちろん、将来的に必要になる資金として活用できます。

学資保険に加入して保険料を払い込んでいる方は、国が設けている税の優遇制度を積極的に活用してみましょう。

生命保険料控除とは?

控除の種類

対象になる保険契約

対象になる保険種類

一般生命保険料控除

生存または死亡が基因となり、一定額の保険金が支払われる保険契約

終身保険
定期保険
学資保険
など

介護医療保険料控除

疾病または身体の傷害などの医療費に基因して、保険金が支払われる保険契約

医療保険
がん保険
など

個人年金保険料控除

年金(退職年金を除く)を支払う保険で、下記の要件を満たす契約

・保険料の払込者またはその配偶者が年金を受け取ること

・年金の支払を受けるまでに10年以上定期的に保険料を支払うこと

・年金の受取開始年齢が60歳以上かつ10年以上の受取期間があること

個人年金保険

生命保険料控除の概要について、確認しておきましょう。

生命保険料控除には「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類があり、どれに該当するのかは、契約している保険の種類によって異なります。

学資保険の場合は、一般生命保険料控除の対象です。

学資保険は子どもの教育費準備として加入するため、貯蓄機能の方が注目されがちです。
しかし、契約者(一般的には両親のいずれか)に万一のことが起きると、それ以降の保険料の払込が免除される、死亡保障としての機能も持ち合わせているため、「生命保険」として控除の対象になります。

生命保険料控除を受けられるケース

生命保険料控除を受けられるのは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、保険料を払い込んだ保険契約です。

払い込んだ保険料の合計額によって控除額が決まり、その年の所得から控除されて税金が軽減されます。

保険料の払い込み方法を「月払い」や「年払い」にしている場合は毎年控除が受けられますが、契約時にすべての保険料を払い込む「一括払い」の場合は、払い込んだ年のみ控除が受けられます。

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生命保険料控除を受けられないケース

生命保険料控除は、実際に払い込んだ年の保険料が対象です。

例えば、保険料を銀行の口座振替で払い込んでいるケースで、口座残高が不足して振替できず、保険料の払い込みが翌年になってしまうなどの場合は、その年の控除の対象にはなりません。

また、保険金の受取人が要件に当てはまらないと、生命保険料控除を受けられない点にも注意が必要です。
詳細は、後述する注意点の中で解説します。

学資保険の控除額と計算方法

学資保険の控除額と計算方法

学資保険で生命保険料控除を受けるときの、具体的な控除額と計算方法を見ていきましょう。

控除額については、1年間に払い込んだ保険料によって控除額が変わり、所得税と住民税それぞれに適用されます。

なお、生命保険料控除は「新制度」と「旧制度」があり、2012年1月1日以降の契約した保険は新制度2011年12月31日以前に契約した契約は旧制度での適用になります。

所得税の控除額

3種類の生命保険料控除について、「新制度」「旧制度」それぞれの所得税の控除額は、下表のとおりです。

<新制度の控除額>

所得税
区分 年間払込保険料 控除額
一般生命保険料控除
介護医療保険料控除
個人年金保険料控除
20,000 円以下 払込保険料全額
20,000 円超
40,000 円以下
(払込保険料 × 1/2) + 10,000 円
40,000 円超
80,000 円以下
(払込保険料 × 1/4) + 20,000 円
80,000 円超 一律 40,000 円

<旧制度の控除額>

所得税
区分 年間払込保険料 控除額
一般生命保険料控除
個人年金保険料控除
25,000 円以下 払込保険料全額
25,000 円超
50,000 円以下
(払込保険料 × 1/2) + 12,500 円
50,000 円超
100,000 円以下
(払込保険料 × 1/4) + 25,000 円
100,000 円超 一律 50,000 円
参照元:
国税庁「生命保険料控除
公益財団法人生命保険文化センター「生命保険と税金

住民税の控除額

3種類の生命保険料控除について、「新制度」「旧制度」それぞれの住民税の控除額は、下表のとおりです。

<新制度の控除額>

住民税
区分 年間払込保険料 控除額
一般生命保険料控除
介護医療保険料控除
個人年金保険料控除
12,000 円以下 払込保険料全額
12,000 円超
32,000 円以下
(払込保険料 × 1/2) + 6,000 円
32,000 円超
56,000 円以下
(払込保険料 × 1/4) + 14,000 円
56,000 円超 一律 28,000 円

<旧制度の控除額>

住民税
区分 年間払込保険料 控除額
一般生命保険料控除
個人年金保険料控除
15,000 円以下 払込保険料全額
15,000 円超
40,000 円以下
(払込保険料 × 1/2) + 7,500 円
40,000 円超
70,000 円以下
(払込保険料 × 1/4) + 17,500 円
70,000 円超 一律 35,000 円
参照元:
公益財団法人生命保険文化センター「生命保険と税金

控除額の計算例

それでは一例を挙げながら、具体的にどれくらい税金の軽減効果があるのかを見ていきましょう。
試算にあたっての前提は、下表のとおりです。

契約日

2024年8月1日(新制度)

学資保険の年間払込保険料

120,000円

控除額
(一般生命保険料控除)

所得税40,000円
住民税28,000円

契約者(保険料払込者)の年収
※1

500万円

所得税の税率
※2

20%

住民税(所得割)の税率
※3

10%

※1 給与所得控除、各種所得控除後の課税所得金額
出典元:国税庁「給与所得控除」国税庁「所得控除
※2 国税庁「所得税の税率
※3 総務省「個人住民税

上記のケースでは、新制度が適用される契約で、年間の払込保険料合計額は120,000円です。
前掲の表(所得税の控除額住民税の控除額)から、控除額は所得税で40,000円、住民税は28,000円になります。

契約者の年収(この場合の年収とは、給与所得控除・各種控除後の課税所得金額)が500万円だとすると、所得税の税率は20%、住民税(所得割)の税率は10%です。

税金の軽減額は、下記のように「控除額×税率」で計算できます。
所得税
40,000円(控除額)×20%(税率)=8,000円

住民税(所得割)
28,000円(控除額)×10%(税率)=2,800円

「所得税」+「住民税」の軽減額=10,800円
このケースでは、所得税と住民税の合計で10,800円の税金が、保険料を払い込んでいる間は毎年軽減されます。

学資保険は一般的には10年以上の長期で保険料を払い込みますから、長い目で見れば決して少なくない税の軽減効果と言えるでしょう。

生命保険料控除を受けるための手続き方法

生命保険料控除を受けるための手続き方法

生命保険料控除を受けるためには、自分自身での手続きが必要です。

会社員や公務員の方と、個人事業主・フリーランスなどの方では手続き方法が異なりますので、それぞれ確認しておきましょう。

なお、ここで紹介するのは所得税のケースですが、いずれの場合も所得税の控除手続きをすれば、住民税の控除も受けられます。

年末調整で申請(会社員・公務員)

会社員や公務員の場合は、勤務先の年末調整で控除の手続きをします。

年末に配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に、保険会社名や払い込んだ保険料などの必要項目を記入し、保険会社から送られる「生命保険料控除証明書」を添えて勤務先に提出します。

生命保険料控除証明書は、毎年10〜11月頃、自宅に郵送されます。
証明書の内容を見ながら、保険料控除申告書に転記する箇所もありますので、届いたら大切に保管しましょう。

もしも紛失してしまった場合には、保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。

ただし、会社員などでも年収が2,000万円を超える方や、年末調整に間に合わなかった場合は、確定申告での控除手続きが必要です。

<手続きに必要な書類>
・給与所得者の保険料控除申告書(勤務先から配布)
・生命保険料控除証明書(保険会社から送付)

確定申告で申請(個人事業主・フリーランス)

個人事業主やフリーランスなどの場合は、確定申告で控除手続きをします。

所得税の確定申告書を入手し、申告書の生命保険料控除の欄に払い込んだ保険料などの必要項目記入し、生命保険料控除証明書を添付して税務署に提出します。

国税庁のホームページから、e-Taxで確定申告する場合は、生命保険料控除証明書の添付は不要です。
ただし、証明書は5年間保存しておく必要があります。

なお、確定申告期間は、原則として2月16日から3月15日までの1か月間です。

<手続きに必要な書類>
・所得税の確定申告書(税務署などで入手)
・生命保険料控除証明書(保険会社から送付)

学資保険で生命保険料控除を受ける際の注意点

生命保険料控除を受ける際の注意点

生命保険料控除を受けるための注意点も確認しておきましょう。
学費保険を契約する前に、必ず押さえておきたい内容です。

一般生命保険料控除には限度額がある

一般生命保険料控除の控除額には、上限が設けられています。

所得税の場合、年間払込保険料が80,000円を超えると、控除額は一律40,000円です。
住民税の場合も、年間払込保険料が56,000円を超えると、一律28,000円となります(新制度の場合)

つまり、多くの保険料を払い込んだとしても、無制限に控除額が増えるわけではありません。
これは、「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」についても同様です。

ちなみに、学資保険など一般生命保険料控除の対象になる保険以外に、医療保険や個人年金保険など、「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の対象になる保険に加入している場合の控除額は、3種類の控除額の合計が上限になります。

この場合、所得税の控除額の上限は「40,000円×3種類=120,000円」ですが、住民税については「28,000円×3種類=84,000円」にはならず、3種類の合計で70,000円が上限ですので押さえておいてください。

保険金の受取人が親族以外の場合は対象外

生命保険料控除を受けるためには、保険金の受取人についても要件が設けられています。

保険金の受取人については、「契約者(保険料を払い込む人)あるいは配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)」という要件があり、学資保険の場合もこれに該当します。

そのため、学資保険を契約した後に離婚し、保険金の受取人を離婚した元の妻(夫)にしている場合は、控除の対象にはなりませんので念頭に置いておきましょう。

学資保険の契約者と支払人が異なる場合は、支払人が申告する

学資保険の場合、契約者が保険料を払い込むのが一般的ですが、中には夫(妻)が契約して、保険料は妻(夫)の銀行口座から引き落として払い込むケースもあるでしょう。

このように、契約者と保険料払込人が異なる場合、生命保険料控除を申告できるのは、「保険料を払い込んでいる人」です。

つまり、このようなケースでは、生命保険料控除を受けられるのは妻(夫)の方になります。

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学資保険で受けられる控除をしっかりと理解しよう

学資保険は、一般生命保険料控除の対象となり、控除を受けることで所得税や住民税の軽減効果があります。控除額は、1年間に実際に払い込んだ保険料の合計額によって変わります。

控除を受けるには、会社員や公務員の方は年末調整で、自営業やフリーランスの方は確定申告で、それぞれ手続きする必要があります。その際には、保険会社が発行する生命保険料控除証明書も必要です。届いたら大切に保管しておきましょう。

また、生命保険料控除の上限額や、控除を受けるための要件(保険金の受取人や保険料を払い込む人)など、注意点もありますので押さえておいてください。

学資保険に加入したら、生命保険料控除を受けて税金を軽減できるよう、年末調整や確定申告で忘れずに手続きするようにしましょう。

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