学資保険にかかる税金は?課税ケースや計算方法、控除についても解説

学資保険にかかる税金は?課税ケースや計算方法、控除についても解説

学資保険は、将来の教育費用を計画的に準備するための重要な手段です。しかし、学資金受け取り時に発生する税金についてはよく理解されていないことが多く、疑問に思われる方も少なくありません。

この記事では、学資保険における税金の課税ケース、計算方法、そして適用される税控除について詳しく解説します。

学資保険で発生する税金の種類

学資保険で発生する税金の種類

学資保険では、「満期金」や「進学祝い金」としてお金を受け取った際に所得税贈与税といった税金がかかる可能性があります。

発生する税金の種類は、「誰が保険料を支払い」「誰がお金を受け取るのか」によって違い、保険の契約者と受取人の関係がポイントです。

具体的には、「契約者(保険料を払う人)と受取人が同じ場合」「契約者(保険料を払う人)と受取人が違う場合」の2つのケースで、それぞれ発生する税金の種類が異なります。
「満期金」と「進学祝い金」についての詳細はこちら
→学資保険の「祝い金」とは?「満期学資金」との違いを解説

契約者と受取人が同じ場合は所得税

学資保険の契約者とお金を受け取る人が同じ場合は、所得税として税金が発生します。
親が学資保険の保険料を支払い、同じく親が「満期金」や「祝い金」を受け取るといったケースが一般的です。

契約者と受取人が違う場合は贈与税

学資保険の契約者とお金を受け取る人が違う場合は、贈与税として税金が発生します。
これは例えば、親が学資保険の保険料を支払い、子供が「満期金」や「祝い金」を受け取るといったケースです。

「所得税」として税金が発生する3つのケース

「所得税」として税金が発生する3つのケース

学資保険は、「満期金」や「進学祝い金」としてお金を受け取った際に税金が発生するのは、先にも述べた通りです。

契約者(保険料を払う人)とお金を受け取る人が同じ場合に発生する可能性がある所得税ですが、お金の受け取り方によって税金のかかり方が異なります。

ここからは、受け取りパターンごとの違いをチェックしていきましょう。

満期金を一括で受け取る場合

学資保険では一般的に、子供が18歳や22歳など加入時に設定した年齢に達して「満期日」を迎えた際に、お金を受け取れる仕組みとなっています。
この際に受け取れるお金は、「満期金」「満期学資金」「満期保険金」などと呼ばれ、基本的に一括でまとまった金額を受け取ることになります。

その際に発生するのが、「一時所得にかかる所得税」です。
「一時所得にかかる所得税」は、これまで支払った保険料の総額に50万円を足し、それを超えている受取金額分に対してのみ発生します。
受け取った満期学資金に所得税が発生するケース
保険料の支払金額…250万円
満期学資金として受け取った金額…310万円
差額…60万円(特別控除額…50万円、一時所得金…10万円)
課税対象…5万円(一時所得金の半分)
なお、その場合に対象となるのは、「50万円を超えた金額の半分」です。
つまり、一時所得金が10万円だった場合、その半分の5万円に対して所得税がかかるということになります。

→所得税額の具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動)

祝い金を一括で受け取る場合

「祝い金」とは、中学や高校、大学や専門学校等への進学時に受け取れる一時金のことです。
祝い金にかかる税金についても、満期学資金の時と同じく「一時所得に対する所得税」が発生します。

つまり、これまで支払った保険料+50万円を超えた分の祝い金が「一時所得」扱いとなり、「所得税」が発生するといった仕組みです。

また、その際に課税対象となるのは、「50万円を超えた金額の半分」という点も同様です。
受け取った祝い金に所得税が発生するケース
保険料の支払金額:50万円
祝い金として受け取った金額:110万円
差額…60万円(特別控除額…50万円、一時所得金…10万円)
課税対象…5万円(一時所得金の半分)
→所得税額の具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動)

祝い金を進級等に合わせて毎年受け取る場合

大学に進学し、進級に合わせて4年間毎年「祝い金」を受け取るなど、年金形式でお金を受け取った場合は、「雑所得として所得税」がかかります。

雑所得に対しては控除がありませんので、雑所得で得た金額がそのまま課税対象です。

なお、雑所得を算出するには、下記のような計算が必要になります。
雑所得の計算方法

1年で受け取った金額1年で受け取った金額×(支払う保険料の総額÷受け取り総額の見込み

例)
・1年で受け取った金額…50万
・保険料の支払予定総額…270万円
・学資保険から受け取る予定の総額…300万円

50万50万×(270万÷300万)=雑所得

雑所得…5万円
→所得税額の具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動)

「贈与税」として税金が発生するケース

「贈与税」として税金が発生するケース

学資保険の契約者(保険料を払う人)と受取人が違う場合は、「贈与」扱いとなり贈与税の対象となります。
ただし、贈与税が発生するのは、贈与額が基礎控除額である110万円を超えた場合です。

贈与額とは、1月1日〜12月31日までの1年間で受け渡したすべての財産の合計を指します。

例えば、親から子供に1年間で学資保険の受取金50万円を渡していた場合、基礎控除額の110万円を超えていないため課税の対象にはなりません。

しかし、それ以外の贈与として70万円を渡していた場合は、贈与額の合計が120万円となり、基礎控除額である110万円を超えるため贈与税が発生します。
贈与税がかかる場合
・学資保険から受け取った50万円を子供に贈与
・それ以外に70万円を子供に贈与
=合計120万円

・1年間で受け取った贈与額の合計:120万円
・贈与税の基礎控除額:110万円
=差額10万円

→基礎控除額110万円を超えている10万円分に贈与税がかかる
→具体的な贈与税の計算方法はこちら(ページ下部に移動します)

学資保険にかかる税金の計算方法

学資保険にかかる税金の計算方法

続いては、所得税と贈与税の具体的な計算方法をチェックしてみましょう。

所得税額の計算方法

具体的な所得税額の計算方法は次の通りです。
所得の合計金額×所得税率ー控除額
所得金額の合計とは、「一時所得」や「雑所得」、「その他の所得」を合わせた金額になります。
その所得に対し、金額に応じた所得税率をかけた後、金額に応じた控除額を引く仕組みです。

ここでは、学資保険からの受取金として「5万円の一時所得」があり、「500万円のその他所得」があった場合にかかる所得税を計算してみます。
※「一時所得」ではなく、「雑所得」であった場合も同様の計算方法です。
5万円の一時所得があった場合
■所得税の計算方法
所得の合計金額×所得税率ー控除額

所得の合計…505万円(一時所得5万円+その他の所得500万円)
=505万円×所得税率ー控除額

■所得505万円にかかる税率と控除額(下記図参照)
・所得税の税率…20%
・所得税の控除額…427,500円

■所得税の計算
・505万円×20%ー427,500円
・所得税=582,500円
ちなみに、学資保険の一時所得がなかった場合と比較すると、課税額の差は1万円になります。
5万円の一時所得がなかった場合
■所得税の計算方法
所得の合計金額×所得税率ー控除額

所得の合計…500万円(一時所得0円+その他の所得500万円)
=500万円×所得税率ー控除額

■所得500万円にかかる税率と控除額(下記図参照)
・所得税の税率…20%
・所得税の控除額…427,500円

■所得税額の算出
・500万円×20%ー427,500円
・所得税=572,500円

課税される所得金額

税率

控除額

1000円 〜
194万9000円

5%

0円

195万円 〜
329万9000円

10%

9万7500円

330万円 〜
694万9000円

20%

42万7500円

695万円 〜
899万9000円

23%

63万6000円

900万円 〜
1799万9000円

33%

153万6000円

1800万円 〜
3999万9000円

40%

279万6000円

4000万円〜

45%

479万6000円

※参照:国税庁「所得税の税率」
※課税される所得金額は、1,000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です。

贈与税額の計算方法

贈与税額を算出する計算式は次の通りです。
(1年間に贈与した金額‐基礎控除額110万円)×贈与税率ー控除額
なお、贈与税率と控除額は「一般贈与」と「特別贈与」によって異なります。
一般贈与…贈与した年の1月1日時点で、お金を贈与した者が18歳未満
特別贈与…贈与した年の1月1日時点で、お金を贈与した者が18歳以上
※成人年齢の引き下げにより、令和4年3月31日以前の贈与については「18歳」ではなく「20歳」となります。

実際に贈与額として合計120万円を受け渡していた場合にかかる贈与税を計算してみましょう。
1年間で合計120万円贈与した場合
■贈与税の計算方法
(1年間に贈与した金額‐基礎控除額110万円)×贈与税率ー控除額
=(120万‐110万)×贈与税率ー控除額
=10万円×贈与税率ー控除額

■10万円にかかる贈与税の税率と控除額(下記図参照)
・税率…10%
・控除額…0円

■所得税の計算
10万円×10%-0円
贈与税額=1万円

「一般贈与」
基礎控除後の課税価格


税率


控除額

200万円以下

10%

0円

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1000万円以下

40%

125万円

1500万円以下

45%

175万円

3000万円以下

50%

250万円

3000万円超

55%

400万円

「特別贈与」
基礎控除後の課税価格


税率


控除額

200万円以下

10%

0円

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1000万円以下

30%

90万円

1500万円以下

40%

190万円

3000万円以下

45%

265万円

4500万円以下

50%

415万円

4500万円超

55%

640万円

参照:国税庁「贈与税の計算と税率」

学資保険で税金が発生しないケース

学資保険で税金が発生しないケース

学資保険で受け取った金額が特別控除内であれば、税金は発生しません。
税金が発生しないケースについて詳しく見てみましょう。

学資保険に所得税が発生しない場合

学資金を一括で受け取る場合は「一時所得」となりますが、一時所得の課税には50万円の特別控除が適用されます。
「満期学資金」または「進学祝い金」を一括で受け取ったとしても、受け取った金額が支払った保険料の総額と比べ50万円以下だった場合は、所得税の課税対象にはなりません。

なお、進学に合わせて学資金を毎年受け取る場合は「雑所得」扱いとなります。
雑所得には特別控除の仕組みがありませんが、一定要件を満たす給与所得者で、雑所得の金額が20万円以下の場合、確定申告は不要です。
参照:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
参照:公益財団法人生命保険文化センター「保険金や年金を受け取っても所得税の申告が不要な場合とは?」

贈与税が発生しない場合

学資保険の契約者(保険料負担者)と受取人が違う場合は「贈与」扱いとなりますが、贈与税には110万円の基礎控除が適用されます

学資保険の受取金やその他の金額も含め、1年間の贈与額が110万円以下の場合は贈与税は発生しません。

学資保険で適用される生命保険料控除

学資保険で適用される生命保険料控除

学資保険の保険料は、払い込んだ保険料の金額に応じて所得控除が受けられる「生命保険料控除」の対象です。
※生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類があり、学資保険は「一般生命保険料控除」の対象となります。

控除額は払い込んだ保険料の総額によって異なりますが、税制優遇措置を活用することで所得税と住民税が控除され、教育費用の準備において経済的な負担を軽減することが可能です。

なお、生命保険料控除は、保険料を支払った年が対象となります。未払いの場合は対象外となりますのでご注意ください。

控除額について

生命保険料控除の金額は次の通りです。

年間の支払保険料等

控除額

2万円以下

支払保険料等の全額

2万円〜4万円以下

支払保険料等×1/2+1万円

4万円〜8万円以下

支払保険料等×1/4+2万円

8万円超

一律4万円

出典:国税庁「生命保険料控除」

生命保険料控除を受ける方法

生命保険料控除は、年末調整、もしくは確定申告を行うことで、所得税・住民税が控除されます。
年末調整(主に会社員の場合)
給与所得者にあたる会社員の方は、年末調整で申請します。
一般的に9月〜10月頃に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を元に、会社から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入します。年末調整が受けられなかった場合は、確定申告が必要です。
確定申告(主に自営業者の場合)
自営業者などの場合は、確定申告で申請を行います。
保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を元に、申告書の生命保険料控除の欄に金額を記入し、証明書を添付し提出しましょう。

学資保険にかかる税金もしっかりと理解しよう

学資保険にかかる税金もしっかりと理解しよう

今回は、学資保険にかかる税金について解説してきました。

教育費用を安全かつ確実に準備するための重要な手段である学資保険ですが、学資金を受け取る際には、翌年の所得税等が増加する可能性があるため、学資保険に加入する際は税金の仕組みについてもしっかりと理解しておくことが大切です。

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※本記事内容は掲載日(2024年1月11日)時点の一般的な情報に基づいて編集作成しております。当社がその内容を保証するものではありません。なお、サービスをご検討される際には各社の公式サイト上で最新情報をご確認ください。
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