学資保険にかかる税金は?課税ケースや計算方法、控除についても解説

学資保険にかかる税金は?課税ケースや計算方法、控除についても解説

学資保険で満期保険金などを受け取る際には税金がかかる場合があり、受け取り方や契約者と受取人の関係などによって、いくつかのパターンがあります。

この記事では学資保険にかかる税金の種類や税金がかかるケース、生命保険料控除などについて解説します。
学資保険の税金についての不安を解消したい人は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 学資保険にかかる税金とは?
    1. 所得税
    2. 住民税
    3. 贈与税
    4. 相続税
  2. 学資保険で税金が発生するケース
    1. 保険料を払う人と受取人が同じ
    2. 保険料を払う人と受取人が違う
  3. 学資保険では、生命保険料控除が受けられる
    1. 生命保険料控除の控除額
    2. 生命保険料控除の手続き方法
  4. 学資保険にかかる税金もしっかりと理解しよう

学資保険にかかる税金とは?

学資保険にかかる税金は?

学資保険の満期保険金祝い金の受け取りには税金がかかる場合があります。

満期保険金や祝い金にかかる税金の種類は、契約者と受取人の関係によって所得税住民税贈与税相続税に分かれます。

所得税

学資保険の保険料を払う人(契約者)とお金を受け取る人(受取人)が同じ場合、所得税の課税対象となります。

学資保険では子どもの親が契約者であり受取人となる契約形態が一般的であり、多くのケースがこのパターンに該当します。

ただし、所得控除(特別控除)があるため、必ず税金がかかるとは限りません。
所得税は保険金の受け取り方によって、所得の種類が変わります。

満期保険金などを一括で受け取る場合は「一時所得」、年金のように分割して受け取る場合は「雑所得」として扱われます。
それぞれで適用される特別控除が異なりますので、確認しておきましょう。
所得の種類によって異なる特別控除
〇一時所得…50万円の特別控除があるため、一定額までは非課税です。

〇雑所得…特別控除がないため、受け取った金額に応じて所得税が課税されます。
最後に税率についてです。

所得税の税率は年間の「総所得金額」によって決まる仕組み(総合課税)のため、学資保険の保険金額だけでは所得税額はわかりません。

「総所得金額」は、その年の給与所得や事業所得として受け取った金額と、一時所得や雑所得として受け取った保険金の金額を合計して算出されます。

→具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動します)

住民税

学資保険の契約者と受取人が同一の場合、所得税に加えて住民税も課税対象です。

住民税は、前年に一定の所得があった場合に一律で発生する「均等割」と、さらに一定の所得基準を超えた場合に発生する「所得割」の2層構造となっています。
住民税の税率
〇均等割…一定の所得がある人全員に一律にかかります。通常、年額5,000円程度ですが、自治体によって金額が異なる場合があります。

〇所得割…所得金額に応じて計算され、税率は一律10%です。

贈与税

学資保険において、契約者と受取人が異なる場合、贈与税の課税対象となる場合があります。

例えば、父親が保険料を支払い、子どもが満期保険金を受け取るようなケースです。

ただし、このような契約形態はあまり一般的ではありません。
贈与税には110万円の基礎控除があり、年間の受取額がこれを超えないかぎり課税されません。

→具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動します)

相続税

学資保険の大きな特徴として、契約者が万一の際に保険料の払い込みが免除される仕組みがあります。

もしも契約者が死亡した場合、新たな契約者が保険契約を引き継ぐことになり、学資保険にかかる権利が相続財産として扱われます。

学資保険の権利の評価額は、契約者が亡くなった日時点の解約返戻金相当額です。

ただし、相続税の基礎控除額や他の相続財産の状況によっては、実際には相続税が発生しない場合もあります。
→具体的な計算方法はこちら(ページ下部に移動します)

学資保険で税金が発生するケース

学資保険で税金が発生するケース

学資保険の満期保険金や祝い金を受け取っても、必ず税金がかかるわけではありません。

ここからは、受け取った満期保険金などに税金がかかる具体的なケースを、保険料を払う人とお金を受け取る人が同じ場合、違う場合に分けて解説します。

保険料を払う人と受取人が同じ

保険料を払う人と受取人が同じ場合、学資保険の満期保険金や祝い金は所得税と住民税の課税対象となります。

ただし、受け取り方によって税金の計算方法が異なる点に注意しましょう。
一括で受け取る場合は「一時所得」として扱われ、年金形式で受け取る場合は「雑所得」として扱われます。

それぞれの場合における、具体的な計算方法を見ていきましょう。

満期金や祝い金を一括で受け取った場合

満期金や祝い金を一括で受け取った場合、「一時所得」として所得税と住民税が課税されます。
一時所得の計算式は以下のとおりです。
一時所得の計算式
(満期保険金額 − 支払保険料総額 − 特別控除50万円) × 1/2 = 課税対象額
例えば、満期保険金額が300万円、支払保険料総額が200万円の場合、課税対象額は25万円となります。
特別控除50万円により、実際には税金がかからないケースがほとんどです。

算出した一時所得の課税対象額に対して、総合課税方式で税金が計算されます。

総合課税とは、一時所得とその他の所得(給与所得など)を合算して税額を算出する方法です。

所得税の税率は以下のとおりです。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円超〜330万円以下

10%

9.75万円

330万円超〜695万円以下

20%

42.75万円

695万円超〜900万円以下

23%

63.6万円

900万円超〜1,800万円以下

33%

153.6万円

1,800万円超〜4,000万円以下

40%

279.6万円

4,000万円超

45%

479.6万円

出典:国税庁「所得税の税率

例えば、上記の一時所得25万円とその他の所得の合計が500万円の場合、所得税は57.25万円(500万円×20%−42.75万円)です。

年金形式で1年ごとに受け取った場合

学資保険を年金形式で1年ごとに受け取る場合、「雑所得」として所得税と住民税が課税されます。

雑所得の計算式は以下のとおりです。
雑所得の計算式
雑所得 = その年の受取金額 − その年の受取金額に対応する払込保険料
その年の受取金額に対応する払込保険料は、以下の計算式で求めます。
払込保険料の計算式
その年の受取金額に対応する払込保険料 = その年の受取金額 × 払込保険料総額 ÷ 受取保険金総額
雑所得には、一時所得のような特別控除はありません。

例えば、年100万円を受け取り、その年の受取金額に対応する払込保険料が80万円の場合、雑所得は20万円となります。
この雑所得に、給与所得など他の所得を合算して、所得税と住民税が計算されます。

ただし、一定の要件を満たす給与所得者で、雑所得の金額が20万円以下の場合は確定申告が不要です
※参照:国税庁「確定申告が必要な方

保険料を払う人と受取人が違う

学資保険の保険料を払う人と受取人が違う場合、満期保険金などには贈与税がかかります。

また、保険料を払っていた契約者が亡くなり、払込免除特約が適用された場合は、相続税の課税対象となります。

保護者が保険料を払い、子どもが受け取った場合

保護者が保険料を支払い、子どもが受け取る学資保険の満期保険金などは、贈与税の課税対象となります。

贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った金額から基礎控除額110万円を差し引いた額に対して課税されます。

つまり、年間の受取額が110万円以下であれば課税されません。

贈与税の税率には、「一般税率」と「特例税率」があります。

「特例税率」は直系尊属からの贈与で受贈者(贈与を受ける人)が18歳以上の場合に適用され、それ以外は「一般税率」が適用されます。

贈与税の計算式は、以下のとおりです。
贈与税の計算式
贈与税額 = (満期保険金額 − 110万円) × 税率 − 控除額
贈与税の税率は、以下のとおりです。

【一般税率】

基礎控除後の課税価額

税率

控除額
※一般税率

200万円以下

10%

-

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)

【特例税率】

基礎控除後の課税価額

税率

控除額
※特例税率

200万円以下

10%

-

400万円以下

20%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)

例えば、子どもが300万円の満期保険金を受け取った場合、一般税率が適用されると贈与税は19万円((300万円−110万円) × 10%)となります。

払込免除特約が適応され、お金を受け取った場合

学資保険の契約者が亡くなり、払込免除特約が適用された場合、その保険契約の権利は相続財産として扱われ、相続税の対象となります。

保険契約の権利の評価額は契約者が亡くなった日時点の解約返戻金相当額となります。

相続税は、この学資保険の評価額を含めた相続財産全体に対して税額が計算される仕組みです。

まず、すべての相続財産の価額を合計し、基礎控除額を差し引きます。
基礎控除額の計算式は次の通りです。
相続税の基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産総額が基礎控除額よりも低い場合には、相続税はかかりません。

求められた課税遺産総額を法定相続分で按分(あんぶん:割合や基準に基づいて分配)し、相続人ごとの相続税を仮に計算します。

相続税の税率は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価額

税率

控除額
※特例税率

1,000万円以下

10%

-

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

出典:国税庁「相続税の税率

相続人ごとの仮の相続税額の合計が、全体の相続税額となります。
全体の相続税額から、実際に相続した財産の価額を按分して個々の相続税額が決まります。

学資保険を引き継ぐ人が契約者の配偶者の場合、遺産額が1億6,000万円以内であれば、相続税はかかりません。
また、18歳未満の子どもが引き継ぐ場合、18歳に達するまでの年数1年につき10万円が相続税額から控除されます

参照:国税庁「財産を相続したとき

学資保険では、生命保険料控除が受けられる

学資保険では、生命保険料控除が受けられる

学資保険の保険料は、生命保険料控除の対象です。

生命保険料控除には一般生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除の3種類があり、学資保険の保険料は一般生命保険料控除の対象となります。

生命保険料控除の控除額

学資保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります。

生命保険料控除は、支払った保険料に応じて一定額を所得から控除できる制度です。
2012年1月1日を境に新旧の制度が存在し、契約時期によって適用される控除が異なります。
〇新制度…一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つの区分があり、それぞれ最大4万円まで控除可能です。

〇旧制度…生命保険料と個人年金保険料の2区分で、それぞれ最大5万円まで控除できます。
学資保険は新制度では一般生命保険料控除の対象、旧制度では生命保険料控除の対象です。
それぞれの控除額は、以下のとおりです。

【新制度】

年間払込保険料額

控除される金額

2万円以下

払込保険料全額

2万円超〜4万円以下

(払込保険料×1/2)+1万円

4万円円超〜8万円以下

(払込保険料×1/4)+2万円

8万円超

一律4万円

【旧制度】

年間払込保険料額

控除される金額

2.5万円以下

払込保険料全額

2.5万円超〜5万円以下

(払込保険料×1/2)+1.25万円

5万円超〜10万円以下

(払込保険料×1/4)+2.5万円

10万円超

一律5万円

※出典:国税庁「保険と税

例えば、契約日が2024年1月1日で毎月の保険料が1万円(年間12万円)の場合、控除額は4万円となります。

生命保険料控除の手続き方法

生命保険料控除の適用を受けるには、保険会社が発行する控除証明書を添えて手続きをする必要があります。

手続きの方法は、会社員などの給与所得者と個人事業主・フリーランスで異なります。

年末調整で申請(会社員・公務員)

学資保険の生命保険料控除は、会社員や公務員は年末調整で適用を受けられます。

毎年10月頃に保険会社から送られてくる控除証明書を用意し、勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入します。

申告書と控除証明書を勤務先に提出すると、控除が適用される仕組みです。

もし年末調整で控除を受けなかった場合は、確定申告での手続きが可能です。

確定申告で申請(個人事業主・フリーランス)

個人事業主やフリーランスの人は、確定申告で生命保険料控除を受けます。

確定申告の期間は翌年2月16日から3月15日までです。

申告の際には、保険会社から送付される控除証明書が必要となりますが、e-Taxを利用して確定申告をする場合は証明書の添付を省略できます(5年間保管すること)。

学資保険にかかる税金もしっかりと理解しよう

学資保険にかかる税金は、契約形態や受取方法によって異なります。

最も一般的な契約者と受取人が同じ契約では、所得税・住民税が課税対象となりますが、特別控除により実質的に非課税となるケースも多くあります。

学資保険を検討する際は、このような税金の仕組みを理解し、契約者と受取人を決めるようにしましょう。

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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。
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