学資保険に入りそびれたらまずい?必要性や加入しない場合の対処法を紹介
学資保険はメリットが多い一方で、すべての家庭にとって必須というわけではありません。加入しそびれた場合でも、ほかの方法で教育資金を準備する選択肢は多くあります。
本記事では、学資保険の必要性やメリット・デメリットを解説するとともに、加入しなかった場合の教育資金準備の方法をご紹介します。
学資保険を検討する際のポイントや活用のコツも詳しくお伝えしますので、教育資金の準備に不安を感じている方や学資保険について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【基礎知識】そもそも学資保険とは?
多くの場合、契約者である保護者が死亡または高度障害状態になった際に、以後の保険料払込が免除され満期保険金を受け取れる「保険料払込免除」が付与されています。
ここからは、学資保険について以下の内容を詳しく解説します。
学資保険の加入条件
一般的な加入条件として多いのは以下のとおりです。
契約者の年齢 | 上限が50〜60歳くらい |
契約者の健康状態 | 告知書による健康状態の確認が必要 |
子どもの年齢 | 出生前140日〜7歳程度まで |
保険料払込免除特則を付加しない場合は、契約者の健康状態や年齢に関わらず加入できる商品もあります。
加入条件以外にも、学資保険を利用する上で知っておきたいポイントをまとめていますので、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
学資保険の満期
一般的な満期設定は、以下のパターンから選択される場合が多いです。
学資保険の満期設定の一般的なパターン
- 高校進学時:15歳
- 大学進学時:17〜18歳
- 独立時:20〜22歳
20歳〜22歳満期は、大学在学中の学費や生活費など、卒業までにかかる費用全般に対応できるよう設計されています。
学資保険の満期は子どもの教育段階や将来の経済的ニーズに合わせて柔軟に設定できるため、家庭の事情や教育プランに応じて選択しましょう。
学資保険に加入するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
●払い込んだ総額よりも多くの満期金を受け取れる可能性がある | ●中途解約すると元本割れのリスクがある |
こうしたメリットとデメリットを理解したうえで、それぞれの状況に合わせて加入を検討しましょう。
学資保険の必要性を確認
しかし、家庭の状況や資産状況によって、必要性は変わってきます。
それぞれの特徴を確認し、ご自身の状況に合った方法を見つけていきましょう。
学資保険への加入がおすすめの人
学資保険への加入がおすすめな人
- 計画的な貯蓄が苦手な方
- 手元にお金があるとつい使ってしまう方
- 万が一に備えつつ教育資金を準備したい方
またすでにお伝えしたとおり、保険料払込免除特約により、契約者である保護者に万が一のことがあっても、子どもの教育資金をしっかり確保できる安心感があります。
学資保険への加入が不要な人
学資保険への加入が不要な人
- 将来の教育資金をすでに確保している方
- 資産運用に詳しく、自分で運用できる方
- 毎月の保険料の支払いが難しい方
また、家計に余裕がない場合は、無理に加入せずほかの方法を検討しましょう。
【参考】子どもの教育費の目安
学校種別学習費総額
幼稚園 |
小学校 |
中学校 |
高校(全日制) |
|
公立 |
165,126円 |
352,566円 |
538,799円 |
512,971円 |
私立 |
308,909円 |
1,666,949円 |
1,436,353円 |
1,054,444円 |
すべて公立校に通った場合、幼稚園から高校卒業までの教育費総額は約578万円となります。
一方、すべて私立校を選択した場合は約1,640万円と、公立の約2.8倍の費用が必要になります。
さらに大学進学時には、以下の費用が必要です。
国立大学 |
公立大学 |
私立大学 |
|
入学料 |
282,000円 |
374,371円 |
245,951円 |
授業料 |
535,800円 |
536,191円 |
959,205円 |
・国立大学は、e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」より国公立大学学部(昼間)の標準額より抜粋。
・公立大学は、文部科学省公立大学基礎データ「2023年度 学生納付金調査結果」より大学昼間部の地域外の平均値より抜粋。
・私立大学は、文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より抜粋。
※授業料は、文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移 令和5年」より抜粋。
大学4年間の授業料を含めると、公立・私立どちらに進学するかによって総額に大きな差が生じます。
実際の教育費には、学費以外にも教材費や課外活動費、さらに大学進学時には住居費や生活費なども必要となりますので、余裕をもった資金の準備が望ましいでしょう。
学資保険に入りそびれた場合に教育資金を準備する方法
学資保険以外の教育資金準備方法
NISA
通常、投資による利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座での取引であれば非課税となります。
2024年から新しくなったNISA制度では、年間の投資上限額が「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円となり、合計で年間最大360万円まで投資できます。
非課税で保有できる期間に制限がなく、生涯にわたって1,800万円まで非課税で保有し続けることが可能です。
教育資金の準備にNISAを活用するメリットは、預金よりも高いリターンが期待できる点です。
少額から始められ、毎月の積立投資も可能なため、無理のない範囲で資産形成を進められます。
投資した資産を売却して教育資金として使用した場合でも、売却した分の非課税投資枠を再利用できるため、柔軟な資金管理が可能です。
ただし、NISAでの投資は元本保証がないため、市場環境によっては投資元本を下回るリスクがあります。
教育資金として必要になるタイミングに合わせて、計画的な資産配分と運用期間の設定が重要となります。
終身保険
早期解約時は元本割れのリスクがありますが、保険料払込終了後は時間の経過とともに解約返戻金が増加し、払込保険料総額を上回る可能性があります。
教育資金を準備する方法は、子どもの進学時期に合わせて解約し、解約返戻金を活用する方法です。
契約者を親、受取人を子どもにすれば、保険期間中に親に万が一のことがあった場合でも、死亡保険金を教育資金として残せます。
保険料負担を抑えたい場合は、低解約返戻金型終身保険という選択肢もあります。
低解約払戻金型終身保険は、払込期間中の解約返戻金が低く設定されているかわりに、通常の終身保険より保険料を安く設定した商品です。
教育資金の準備に向けて、毎月の負担を軽減しながら着実に積み立てられるでしょう。
ただし、加入から間もない時期の解約は、返戻金が払込保険料を大きく下回る可能性が高くなるため、教育資金が必要となる時期を見据えて、慎重に加入を検討する必要があります。
定期預金
元本が保証されているため、リスクを抑えて確実に教育資金を準備したい方に適しています。
教育資金準備の手段として定期預金を活用する場合、毎月一定額を積立てていく「積立定期預金」が便利です。
給与から自動的に引き落とされる仕組みを利用すれば、継続的な積立が可能になります。
昇給やボーナスなど、臨時収入があった際の追加預入れも柔軟に対応できるでしょう。
定期預金のメリットは、預金保険制度の対象となっており、安全性が高い点です。
また、必要に応じて比較的容易に引き出せるため、予定外の出費が必要になった場合でも対応しやすいという特徴があります。
一方で、現在の低金利環境では大きな利息は期待できません。
定期預金の利息には約20%の税金がかかるため、運用益の面ではほかの金融商品に比べて見劣りする可能性があります。
長期的な資産形成を考える場合は、ほかの方法との組み合わせをおすすめします。
個人年金保険
教育資金の準備として活用する場合、子どもの進学時期に合わせて満期を設定すれば、必要な時期に資金を確保できます。
個人年金保険の大きな特徴は、預金よりも高い利回りが期待できる点です。
保険料の払込期間を短くしたり、一括で支払ったりすれば、解約返戻率を高められます。
税制面では個人年金保険料控除の対象となり、一定の条件下で所得控除を受けられます。
中途解約時には元本割れのリスクがあるため、加入時には慎重な判断が必要です。
年金保険料控除を受けるためには、10年以上の払込期間や60歳以降の年金受取開始など、一定の条件を満たす必要があります。
【番外編】対象年齢の範囲が広い学資保険
たとえば、かんぽ生命の「大学入学時の学資金準備コース」やJA共済の「こども共済」は12歳まで加入が可能です。
従来の年齢制限では加入できなかった方にも教育資金準備の機会を提供しています。
ただし、対象年齢の範囲が広い学資保険で教育資金を準備する場合、通常の学資保険と比べて払込期間が短くなるため、毎月の保険料負担は大きくなります。
商品によって保障内容や返戻率が異なるため、複数の商品を比較検討しましょう。
学資保険を検討する際のポイント
学資保険を比較・検討する際のポイント
ライフプランを見通す
とくに、学資保険は、支払う保険料や受け取る満期保険金、祝金の金額をあらかじめ決めておきましょう。
子どもが私立の高校に進学する可能性がある場合は、中学生の時期から教育費の負担が大きくなります。
大学進学時には入学金や初年度の授業料など、まとまった資金が必要となります。
このように、将来のライフステージに応じた教育費を試算し、計画的な準備を心がけましょう。
返戻率を確認する
同じ商品でも、条件によって受け取れる金額が変わってくるため、慎重な検討が必要です。
保険料の払込期間が短いほど、返戻率は高くなる傾向にありますが、保険料の負担は大きくなります。
家計の状況を考慮しながら、返戻率と保険料のバランスが取れた商品を選びましょう。
学資保険以外の方法も検討する
先に解説したように、NISAなどの投資制度を活用したり、定期預金で着実に積み立てたり、終身保険や個人年金保険を活用したりと、さまざまな方法があります。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、家計の状況や資金運用の知識、リスクへの考え方によって最適な選択は異なります。
学資保険への加入を検討する際は、ほかの準備方法も視野に入れて検討しましょう。
プロのアドバイスを仰ぐ
専門家は、家計の状況やライフプランを踏まえて、最適な準備方法を提案してくれます。
取り扱っている保険商品の中から、返戻率や保障内容など、さまざまな観点から最適なプランを紹介してくれるでしょう。
商品選びの労力を減らせるだけでなく、無理な選択も防げる可能性があるため、より確実な教育資金の準備が可能となります。
学資保険に入りそびれた場合も焦らず対処しよう
NISAや終身保険、定期預金、個人年金保険など、それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合った選択が大切です。
子どもが7歳を超えていても加入できる学資保険も存在するため、必ずしも選択肢として閉ざされているわけではありません。
まずは将来必要となる教育費を試算し、どのような方法で準備するのが最適か、じっくりと検討しましょう。
家計の状況や資金運用に対する考え方なども踏まえ、必要に応じて保険の専門家に相談することをおすすめします。
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