学資保険の利率とは?返戻率・予定利率の仕組みからシミュレーションまでご紹介

学資保険の利率とは?返戻率・予定利率の仕組みからシミュレーション

学資保険は、将来必要な教育費用を計画的に準備するための保険商品ですが、選ぶ際にはその仕組みや保障、特約の内容、返戻率などについて理解を深めておくことが大切です。

また、将来のマネープランに必要な費用などもまとめます。

mokuji目次

  1. 学資保険の仕組み
    1. 返戻率とは
    2. 予定利率とは
  2. 学資保険に加入するメリットは?
    1. 支払った費用よりも高い金額を受け取れる
    2. 契約者(親)に万が一のことがあった時も満額受け取れる
    3. 所得税や住民税が控除される
  3. 受取総額は学資保険利率によって異なる
  4. 返戻率を高くする方法3選
    1. 子どもが小さいうちに加入する
    2. 保険料をまとめて支払う
  5. 支払期間を短くする
  6. 子どもが大学を卒業するまでにどのくらいの費用がかる?
    1. 養育費の支払総額をシミュレーションしてみよう
    2. 教育費の支払総額をシミュレーションしてみよう
  7. 学資保険利率をチェックして学資保険に加入しよう

学資保険の仕組み

学資保険の仕組み

学資保険は、お子様の進学の節目に満期保険金(お祝い金)が受け取れ、契約者の万が一に備えることもできる保険商品です。

一般的には、お子様が大学進学を迎える頃に合わせて保険金が支払われるように設計されています。

返戻率とは

学資保険のパンフレットなどでよく見かける「返戻率」とはどのような数値なのでしょうか?

返戻率とは、支払った保険料の総額に対して、受け取れる満期保険金(お祝い金)の総額の割合をパーセンテージで表したものです。

保険会社によっては受取率、戻り率と呼ばれることもあります。

この数値が高いほど、割りよく教育資金を貯めやすい保険商品ということも可能です。

予定利率とは

学資保険における「予定利率」とは、保険会社が保険料を運用する際に見込む運用利回りのこと。

政府の定める「標準利率(10年国債の応募者利回りから計算される)」を元に、保険会社が各々設定します。

予定利率は、契約者が支払った保険料のうち、保険会社が運用に回す部分に対して適用される利率で、これによって最終的な保険料や保険金が決定されます。
予定利率が高い場合
同じ保障内容でも支払う保険料はより安くなる傾向があります。

予定利率が低い場合
同じ保障内容でも支払う保険料が高くなります。
保険は加入時点の予定利率に従って以降の保険料などが決まります。

予定利率が高い時期に契約した学資保険は、保険料負担が軽くなりやすく、相対的に返戻率も高くなりやすいです。

一方で、予定利率が低いときに加入すると、資金の積み立て効果はやや劣るということになります。

学資保険に加入するメリットは?

学資保険に加入するメリットは?

返戻率など細かな点をみていく前にまず学資保険に加入するメリットをまとめておきましょう。

支払った費用よりも高い金額を受け取れる

何らかの保障を得るというよりは、教育費積み立ての一手段として加入する方が多いイメージの学資保険。

多くの学資保険では、支払った保険料の総額よりも満期時に受け取れる保険金額のほうが高くなるように設定されています。

これはつまり「返戻率」が100%を超えることを指し、契約者の万が一への備えと資産運用を兼ね備えた商品として、銀行預金と比べてより多くの資金が得られる点が一番のメリットとなります。

学資保険は会社によって商品性に大きな違いはありませんが、大きく分けると2つのタイプがあります。
■学資保険のタイプ
ひとつは、進学の都度「祝い金」が小分けに複数回受け取れる商品です。

もう一つは、17歳満期または18歳満期などお子様が一定年齢を迎えたら「満期保険金」として一括で大きな資金が受け取れるタイプです。
学資保険の返戻率で考えると、一括で受け取るプランのほうが運用期間を長く取れる関係でより高い傾向があります。

契約者(親)に万が一のことがあった時も満額受け取れる

積み立て感覚で加入する方が多いとはいっても学資保険は生命保険の一種です。

契約者(親=被保険者)の保障もしっかり得られます。

学資保険の多くは「保険料払込免除特約」を付加することができ、契約者に万が一の事態(※)が起きても、その後の保険料を負担することなく所定の満期保険金(お祝い金)が滞りなく受け取れます。
※保険料払込免除特約は、正確には契約者が死亡または高度障害状態になった場合に適用されます

ひとり親の家計で進学費用を捻出するのは大変ですので、そうした意味で単なる預貯金より安心感のある商品と言えそうです。
■ポイント
普通の死亡保険金とは異なり、学資保険の保険金は契約者に万が一が起こった時点では受け取れません。
頭の片隅に置いておいてください。

所得税や住民税が控除される

もう一点、預貯金の積み立てなどにはないメリットがあります。

学資保険に支払う保険料は「一般生命保険料控除」の対象となり、年末調整や確定申告することで所得税(住民税)が軽減されます。

契約者(親)の収入によってその効果は変わりますので返戻率とは違って一律の数字はでませんが「ちりも積もれば……」ですよね。
学資保険の保険料支払いは一般的に10年15年と長く続きますので馬鹿にできません。
■ポイント
生命保険料控除が適用されると、課税所得が控除の分だけ下がります。

つまり「控除額×税率」だけ所得税(住民税)が軽減されます。

仮に、所得税率5%、住民税率10%の会社員が上記控除の適用を受けるとすれば、計算された生命保険料控除金額の15%近くの税負担減(※)が期待できるというわけです。

※正確には、「所得税控除額×所得税率」と「住民税控除額×住民税率」と別々に計算します。
参考:国税庁|No.1140 生命保険料控除

受取総額は学資保険利率によって異なる

受取総額は学資保険利率によって異なる

学資保険の3つメリットについて学んだあとは、学資保険のキモである返戻率を高める方法について考えていきましょう。
まず計算式をご紹介します。
【返戻率の計算式】
返戻率(%)=(受け取れる満期保険金やお祝い金の総額)÷(支払った保険料の総額)×100
つまり返戻率が100%を超えるということは、支払った保険金の総額より多く満期保険金が受け取れることを意味します。

教育資金準備が主目的であるからこそ、返戻率もしっかりチェックしましょう。

返戻率を高くする方法3選

返戻率を高くする方法3選

執筆時点(2024年11月)での学資保険の返戻率の相場をみていくと、契約者年齢やお祝い金プランなどによって差がありますが、一つの目安として返戻率を104%から108%あたりを考えておかれると良いと思います。

そのうえで、返戻率をより高めるためのもう一工夫を以下にまとめます。

加入に際し、あなたができることを加味してプランニングしてみてはいかがでしょうか。

子どもが小さいうちに加入する

学資保険は掛け捨てタイプの商品ではないため、保険料は割高です。

保険金総額300万円程度の契約を考えるとゆうに1万円を超える毎月支払額となります。

ですが、お子様が小さなうちに契約を済ませることで返戻率はより高まる傾向にあります。

毎月の家計負担を下げ、資金運用期間を長くとるために、以下の契約を済ませるとよいでしょう。
■ポイント
・契約者となる親の年齢は1歳でも若く
・お子様の年齢もできるだけ小さい内に
契約者年齢に関して付け加えると、裏技的なのですが男性より女性のほうが同じ保障に対する支払保険料が総じて下がる傾向にあるため、同程度の年収の共働き世帯であれば、契約者を夫ではなく妻にするというのも一案です。

ご相談でよく「学資保険に入ろうか迷っているうちに子どもが大きくなってしまい(入り時を逃した)」という話をききます。

慎重に検討を進めることは良いことですが、資金の必要な時期は決まっています。

検討にあまり時間を取られると結果的に損につながる可能性もあります。

兼ね合いを大事になさってください。

保険料をまとめて支払う

生命保険の保険料の支払い方法は「月払」だけではありません。

同じ保障内容の契約でも、「月払」>「半年払」>「年払」の順に支払い保険料は低くなります。
※保険会社によって下限の保険料が設定されているなど取り扱いは異なります。

学資保険の保険料支払い方法を変えることで、(年間数百円から千円程度かもしれませんが)保険料が節約できる可能性があります。

プランを検討すると同時にボーナス時期にまとめて支払えないかといった点についても検討してみましょう。

支払期間を短くする

保険料の支払期間を短く(短期払に変える)ことで返戻率をより高めることができます。

学資保険の短期払プランは、具体的には「10歳払済」や「15歳払済」といったように短い期間に保険料を納め切ってしまうように設計することです。

一例ですが、ある保険会社の保険料シミュレーション機能を使った結果、次の通り返戻率が104.5%(18歳払済)から105.9%(10歳払済)に変わりました。
(計算例)
契約者年齢:35歳(男性)
子年齢:0歳
保険金総額:240万円

毎月支払い保険料(18歳払済時):10,632円
毎月支払い保険料(18歳払済時):18,872円
難点は、支払期間の短縮により毎月の支払保険料額が総じて高くなりやすいこと。

そのため、どなたにも向いた手法ではありませんが、確実に返戻率は高まります。

お子さまが小学校に通っている間に一気に大学進学費用を貯めてしまう、といった考え方を持つ人には合っています。

共働き世帯で比較的高収入を得られているご家庭では一考の余地があります。

子どもが大学を卒業するまでにどのくらいの費用がかる?

子どもが大学を卒業するまでにどのくらいの費用がかる?

子を育てるためには、さまざまな費用が発生します。
代表的な費用として、「養育費」と「教育費」が挙げられます。

養育費は、衣食住や日常生活の中で子どもが成長するためにかかる費用であり、教育費は学校や通塾など学びに関連する支出です。

中でも教育費はお子様の進学先や習い事の変化に応じて大きく異なるため、計画的に準備することが重要です。

養育費の支払総額をシミュレーションしてみよう

まず、養育費について、子どもが大学を卒業するまでにかかる総額を年齢別にシミュレーションしてみましょう。

以下に、年齢ごとの主な支出項目とその特徴についてまとめました。
目安程度のざっくりとした内容ですが、みていくことでさまざまな支出があることはわかっていただけるのではないかと思います。

【年齢 主な支出項目・年間支出例(備考)】

年齢

主な支出項目

年間支出例
(備考)

0〜2歳

むつ代、ミルク代、育児用品

約20万円
(授乳や離乳食が中心)

3〜6歳

保育料、衣服・おもちゃ

約30万円
(保育園・幼稚園の費用が中心)

7〜12歳

学用品、生活用品、衣服

約35万円
(成長期で衣服代が増加)

13〜15歳

学用品、生活用品、食費

約40万円
(身体の成長に伴い食費増加)

16〜18歳

学用品、生活用品、交際費

約50万円
(高校進学に伴い支出増)

参照:平成21年度内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「インターネットによる子育て費用に関する調査全体版」

一般的に、お子様の成長に従い、家計から出ていくお金も増えていく傾向にあります。

赤ちゃん時代から活発に動く児童期に入ると、衣服や食費の増加が顕著です。

例えば、小学校中学年から高学年にかけては背丈が急激に伸びる時期があり、制服や体操服、その他衣服、靴などを買い替える頻度が高まります。

学校行事や習い事代、ママ友やお友達同士の交流にからむイベント支出も年齢とともに増える傾向があります。

教育費の支払総額をシミュレーションしてみよう

次に、教育費についても年齢別にその支出をシミュレーションしてみます。

居住地や進学先、お子様の学習スタイルによって支出金額にはかなり幅がありますが、以下は一般的な公立進学時を目安としてみてください。

【年齢 主な支出項目・年間支出例(備考)】

年齢

主な支出項目

年間支出例
(備考)

0〜6歳

保育・幼稚園代

約15〜30万円
(幼稚園や保育園の費用ほか)

7〜12歳

学校費用、学用品費

約10万円
(公立小学校は費用が少なめで貯め時と言える)

13〜15歳

学校費用、部活動費、学習塾費用

約15万円
(部活や塾によって幅がある)

16〜18歳

公立高校費用、学習塾費用、教材費

約30万円
(どの程度受験準備するかで変わる)

19〜22歳

公立大学費用(授業料、教材費)

約100万円
(私立なら倍額を想定しておく)

参照:平成21年度内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「インターネットによる子育て費用に関する調査全体版」

教育費は、進学や受験準備が進むにつれて大幅に増加していきます。

特に中学・高校の受験期(3年次)には学習塾に通いはじめることが多く、教育支出は急増します。

また、大学進学をする場合、公立・私立の選択によって費用差はより大きくなります。

大学進学への手当として奨学金や教育ローンを活用することもできますが、必要な時期に受け取ることができないものもあります。

特に私立大学や自宅外通学を念頭に置く場合は、授業料以外にも住居費や生活費の手当てが必要にあります。

お子さまが小さなうちに、少しでも早い段階から資金準備する必要があります。

学資保険利率をチェックして学資保険に加入しよう

学資保険に加入する際には、各保険会社の保障内容や返戻率をよく確認し、最適なプランを選びましょう。

保険の内容や返戻率は各社によって異なるため比較・検討は大変ではありますが、必要な時期に間に合わないことがあっては大問題です。

返戻率にこだわりすぎず、プランや毎月支払額など考慮したうえで、ニーズに合った学資保険を早めに見つけ出すことが重要です。教育費の準備は、早ければ早いほど家計やりくりがしやすくなります。

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学資保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。

※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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