屋上のある家のメリット・デメリットは?屋上の種類や費用相場も解説
しかし、屋上のある家には、メンテナンスなどの手間やコストがかかることに注意が必要です。今回は、屋上の種類のほか、屋上のある家のメリット・デメリットと費用相場について解説します。
目次
住宅にある屋上の種類
建築基準法では「建築物と構造上一体で、その用途・機能・構造上、屋上に設けられるもの」と定義されています。
一般的にビルやマンションなどでは、空調設備や各種機械室、貯水タンクなどを置く場所として利用されていますが、商業施設や一般住宅では人が利用できるように屋上を整備しているケースも少なくありません。
住宅の屋上には、実はいくつかの種類があるのをご存じでしょうか。
まずは、住宅にある屋上の種類について紹介します。
全面が屋上のタイプ
この種類の屋上には、室内からアクセスするタイプと、屋外階段を使って外からアクセスするタイプがあります。それぞれの特徴は下記のとおりです。
室内からアクセスする屋上
高級マンションなどにある特別仕様の最上階の部屋もペントハウスと呼びますが、屋上ヘアクセスするためのペントハウスは簡素なつくりの小さめの小屋のことです。
ペントハウスは階段室、あるいはエレベーターホールになっており、建築面積の8分の1、高さ5m以内までと決められています。
屋上は容積率に含まれないため、全面を屋上にすることは問題ありませんが、ペントハウスを設置する位置などによって高さ制限がかかる可能性があります。
屋外階段でアクセスする屋上
このタイプの屋上は、ペントハウスを建てたり、屋内に階段を作ったりしなくていい分、広々とした空間を確保できます。
屋根の一部が屋上のタイプ
高さ制限のある地域でよく見られるのが、一部は屋根として使い、残りを屋上にするパターンです。
コストを抑えて屋上をつくりたい場合のほか、屋根部分を太陽光発電や緑化に活用したい場合などにも、こうした方法を選択することがあります。
屋根の一部が屋上になっているタイプは、ペントハウス経由で屋上にアクセスするのが一般的です。
なお、居室から直接アクセスする「ルーフバルコニー」や「屋上テラス」も、このタイプに含まれることがあります。
階下の屋根の上に設置された屋根のない広めのスペースがルーフバルコニーで、本来は1階の屋外に設置されるテラスを屋上につくり、バルコニーと同じように利用するのが屋上テラスです。
屋上がある家のメリット
眺望が楽しめる
2階建てや3階建ての屋上は周囲の建物よりも高い場所に位置することが多く、眺めの良さが魅力です。
地域によっては、近隣の花火大会を特等席で楽しめる場合もあります。
ただし、眺望を楽しむためには視界をさえぎらないつくりにしなければならず、その場合はプライバシーの確保が若干難しくなる点に注意が必要です。
アウトドアリビングとして使える
都心部では土地面積やコストの問題から、一戸建てに広い庭をつくるのは難しいのが現状です。
駐車場にするか、庭にするかで悩んだ場合には、実用面で駐車場を取るというご家庭も多いでしょう。
そんなとき、庭と同じ感覚で、屋上をアウトドアリビングとして活用することができます。
屋上は庭よりも人目を気にせずプライベートな空間として利用できるため、子供をプールに入れたり、友人を呼んでBBQをしたりと活用しやすくなります。
洗濯物を干せる
ベランダやバルコニーが狭くても、屋上ならスペースが広いため、ふとんや毛布、カーペットなどの大きな洗濯物も楽に干すことができるでしょう。
屋上は日当たりが良いため、通常より早く洗濯物が乾き、家事の時短につながる点もメリットといえます。
ガーデニングや家庭菜園ができる
ただし、風通しが良く乾燥しやすい場所なので、環境に適した植物や作物を選んで育てましょう。
種や苗の購入時に、屋上で育てることを相談して選ぶことをおすすめします。
小さな子供がいる家庭では、ガーデニングや家庭菜園を行うことで、栽培・収穫・調理まで気軽に共同作業ができ、食育につながる効果も期待できます。
子供や犬の遊び場にできる
自宅に庭がない場合、子供が家の前で遊んでしまうケースもあるかもしれませんが、車が通る場合などには事故の危険が伴います。
その点、屋上なら道路に飛び出す心配もなく、安心して遊ばせることができます。
また、屋上をドッグランとして散歩以外の時間に犬を遊ばせるなど、ペットのストレスや運動不足の解消に活用できるのもメリットです。
屋上のある家のデメリット
建ててから後悔しないためにも、デメリットもしっかり把握しておくことが大切です。屋上のある家のデメリットは、下記のとおりです。
雨漏りのリスクがある
家に屋上をつくることは、通常なら雨水を排水しやすくするための屋根の勾配がなくなるということ。
ですから、通常の屋根に比べて雨水を排水しにくく、防水設備の機能によっては雨漏りするリスクがあります。
雨漏りが起こると建物全体が劣化し、価値が下がることにもつながるため、防水工事の実績が豊富なハウスメーカーを選ぶことが重要です。
こまめな掃除が必要になる
屋上は吹きさらしで、雨や風の影響をもろに受けます。
放っておくと飛んできた枯れ葉やゴミが溜まったり、排水口が詰まったりするため、美観的な面でも機能的な面でも定期的に掃除をする必要があります。
忙しい人にとって、掃除する場所が増えることはデメリットのひとつといえるでしょう。
近所からクレームを受ける可能性がある
眺望を重視して屋上部分を囲む壁の高さを下げると、声が壁を越えて周囲に響きやすくなります。
それにより、騒音に敏感な近所の住人から苦情が来る可能性があります。
また、友人を呼んで屋上でBBQなどをする際には、声だけでなく、煙やにおいに対するクレームが来ることもあるため、近所への十分な配慮が必要です。
落下防止やプライバシー対策が必要になる
事故が起こらないようにするためにも、落下防止のフェンスや手すりなどをつける必要があります。
また、屋上の様子を周辺の住宅や通行人に見られたくない場合には、目隠しのフェンスも必要です。
メンテナンス時にもコストがかかる
といっても、雨や風、雪、使用ダメージなどが蓄積すれば、当然ながら劣化が進みます。
安全性を考えると、フェンスや手すりなどは定期的に取り換えたほうがよく、10年に1回を目安として再防水の工事も実施しなくてはなりません。
建築時のコストだけでなく、メンテナンスでかかるコストについても、事前にしっかり把握しておきましょう。
家に屋上をつくる際の費用相場はいくら?
新築住宅に10〜20坪程の屋上をつける場合、費用相場はおよそ100万〜300万円です。
屋上の仕上げ素材をウッドデッキや人工芝、タイルなどにした場合は、上記の金額に追加で費用がかかる可能性があります。
また、前述のとおり、屋上は10年に1度はメンテナンスが必要になり、防水加工には15坪程で15万〜40万円かかります。
そのため、屋上をつくる際には、建築費用とメンテナンス費用を踏まえた上で設置するかどうかを決めましょう。
なお、主な防水方法には、大きく下記の4つがあります。
屋上のタイプによって適した方法があり、それぞれの方法に適した屋上やメリット・デメリットが異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
FRP防水
耐久性、耐熱性、耐水性のバランスが良く、施行期間が短い。
ウレタン防水
液状のウレタンを塗布するため、設置物が多い屋上や狭いスペースでも工事が可能。ただし、乾燥まで時間がかかる。
シート防水
フラットな仕上げで広い屋上に向いている上、においが発生しにくい。
アスファルト防水
ほかの方法に比べて防水性能が高く、長期間再工事は不要だが、工事に際して煙やにおいが発生しやすい。
屋上のある家は、メリット・デメリットを踏まえて検討することが重要
ただし、屋上をつくる際には、メンテナンスの手間や費用、プライバシー、安全性について十分に考慮することが大切です。
後悔のない家を建てるためにも、ハウスメーカーとじっくり相談して決めましょう。
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