基礎断熱とは?メリット・デメリットと床断熱との違いを解説

基礎断熱とは?メリット・デメリットと床断熱との違いを解説

住宅の断熱性能によって、住み心地や光熱費には大きく違いが出るため、家を建てる際に悩む人は多いでしょう。建物の断熱工法には大きく「床断熱」と「基礎断熱」の2つがありますが、近年注目されているのが基礎断熱です。

基礎断熱は、床下の気密性や断熱性を上げられるとして、寒冷地から全国に普及してきました。ただし、基礎断熱にもデメリットはありますから、理解した上で選ぶことが重要です。
今回は、基礎断熱のメリット・デメリットや、床断熱との違いなどについて解説します。

mokuji目次

  1. 基礎断熱は建物の基礎を断熱する工法
    1. 基礎外断熱と基礎内断熱
    2. 床断熱との違い
  2. 基礎断熱のメリット
    1. 気密性・断熱性が高い
    2. 光熱費が抑えられる
    3. 床下エアコンや全館空調に向いている
    4. 職人による施工の差が出にくい
    5. 配管の凍結防止効果がある
  3. 基礎断熱のデメリット
    1. シロアリの侵入リスクがある
    2. 施工から1〜2年はカビ発生リスクがある
    3. 不具合が見つけにくい
  4. 基礎断熱の特徴を理解して採用を検討しよう

基礎断熱は建物の基礎を断熱する工法

基礎断熱とは、建物の基礎部分を断熱材で覆う工法を指します。

従来の日本の住宅は、湿気やシロアリを予防する観点から、床下は外気を循環させて換気することが必要でした。

しかし、それでは床下に外気が入り込むため、夏は暑く冬は寒いというデメリットがあります。

基礎断熱は床下も室内と同じように断熱し、外気を遮断するため、床下も室内と同じ気温にすることが可能です。

また、基礎部分を覆うことで、年間を通して温度があまり変わらない地熱を利用でき、それも安定した温度を保つことに役立っています。

基礎断熱は寒冷地で始まった比較的新しい工法ですが、最近は性能が確立され、全国に普及してきました。

基礎外断熱と基礎内断熱

基礎断熱には、基礎の外側を断熱材で覆う「基礎外断熱」と、基礎の内側を断熱材で覆う「基礎内断熱」の2つがあります。

基礎外断熱は基礎の外側に断熱材を張る工法で、高い断熱性能があります。
しかし、断熱材が地面と接するため、そこからシロアリが侵入する懸念があり、あまり普及していません。

基礎内断熱は基礎の内側に断熱材を張る工法で、基礎のコンクリートが外気と接するため基礎外断熱より断熱性はやや劣りますが、現在主流となっています。

基礎内断熱のほうが断熱材の量が多くなりますが、基礎外断熱の場合は防蟻対策を施した断熱材を使う必要があり、結果的にコストが上がる傾向があります。

床断熱との違い

床断熱と基礎断熱の違い

床断熱は、建物1階の床下面を断熱材で覆う工法です。

床下は換気されていて外気と同じ空間ですが、床断熱によって遮断されるため、一年を通して安定した温度が保ちやすくなります。

長く普及している断熱工法なので、技術が確立されていて施工のコストが抑えられる点が床断熱のメリットです。
床下を外気が抜けるため湿気がこもりにくく、シロアリ発生リスクが少ないといったメリットもあります。

ただし、床下の構造によって断熱材の厚みには制限があり、建物の強度を上げる構造部材の部分には断熱材は設置できません。

そのため、場合によっては冷気が入り込んだり、構造部材を避けて設置するため、気密性に限界があったりという点はデメリットです。

夏場は暑い床下の空気と室内の冷気によって、床が結露するリスクもあります。

基礎断熱のメリット

基礎断熱のメリット

注目されている基礎断熱ですが、採用する場合はそのメリットを理解しておくことが重要です。
ここでは、基礎断熱の主なメリットをご紹介します。

気密性・断熱性が高い

基礎断熱は、床断熱のように断熱材が床の厚みに影響されたり、構造部材を避けなければならなかったりといったことがありません。

いくらでも断熱材を厚くでき、気密性や断熱性を高められる点がメリットです。

床下の外気が侵入せず、断熱材で覆われた床下の温度が年中安定しているため、床下収納を活用しやすいというメリットもあります。

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光熱費が抑えられる

基礎断熱を採用した住宅は断熱性や気密性が高いため、一年を通して室温が安定しやすいです。

そのため、空調設備の使用頻度を下げられ、省エネや光熱費の節約につながります。

快適な室温が保ちにくいとされるロフトや吹き抜け、リビング階段などを採用した家でも、空調設備の使用が抑えられるでしょう。

床下エアコンや全館空調に向いている

床下エアコンは住宅の基礎部分にエアコンを設置し、通気口などを介して建物全体を空調するシステムです。

床下で温度を調整するしくみのため、採用するには外気を遮断する基礎断熱である必要があります。

また、部屋ごとではなく家全体を空調して一定の温度を保つ、全館空調システムを導入する場合、断熱性や気密性が高くなければ効果は得られません。

そのため、やはり基礎断熱を採用することが必須です。

職人による施工の差が出にくい

床下通気性や換気性、木材の耐久性を高めるために、最近は土台に「基礎パッキン」を設置することが一般的です。

基礎断熱で使われる基礎パッキンは「気密パッキン」といい、床断熱でよく使用される「通気パッキン」よりも施工が簡単とされています。

職人による差が出にくく、完成度にばらつきがありません。

配管の凍結防止効果がある

特に寒冷地の場合、冬季は床下の配管が凍結するリスクがあります。

凍結によって水が出なくなったり、配管が破裂したりといったおそれがあり、予防するための装置が必要です。

基礎断熱の場合は床下に外気が入り込まず、温度が一定なことから、配管の凍結リスクがほとんどないでしょう。

基礎断熱のデメリット

基礎断熱のデメリット

基礎断熱にはさまざまなメリットがありますが、デメリットがないわけではありません。
リスクも知った上で検討し、採用する場合は予防策を講じることが重要です。

シロアリの侵入リスクがある

基礎断熱で密閉された床下空間は、光や風のない空間を好むシロアリの温床となることがあります。

断熱材はシロアリの侵入経路になりやすく、特に基礎外断熱は注意が必要でしょう。

また、床下が密閉されていることから、目視できずに被害になかなか気づけない点もデメリットです。

予防のためには、防蟻処理された断熱材を使用したり、床下換気システムを導入したりといった方法があります。

シロアリの侵入を予防する薬剤もありますが、数年で効果が切れることに注意が必要です。

施工から1〜2年はカビ発生リスクがある

基礎に使われるコンクリートは、完全に乾くまで1〜2年程度かかるとされ、それまでは水分が蒸発し続けます。気密性の高い床下で水蒸気が溜まり、カビが発生するリスクがあります。

ただし、住宅の1階に通気口を設けて、床下も含めて空気を循環させたり、床下エアコンを採用したりすれば、カビの発生リスクは抑えられるでしょう。

また、万が一水害で床下浸水した場合、排水や自然乾燥ができず、カビが発生しやすいことも知っておいてください。

不具合が見つけにくい

基礎断熱の床下は密閉されているため、シロアリ被害も含め、劣化や破損など不具合に気づきにくいというデメリットがあります。

発見が早ければ被害も修復費用も低く抑えられますが、遅ければ大規模な修繕が必要になり、莫大な費用がかかる可能性も。

目視で確認するとともに、ハウスメーカーや工務店などに依頼し、定期的に点検してもらうことをおすすめします。

もし不具合があれば、早めに対処しましょう。

基礎断熱の特徴を理解して採用を検討しよう

基礎断熱は住宅の基礎を断熱材で覆う工法で、特に寒冷地では採用されることが多くなってきました。

断熱性や気密性を高められ、年間を通して快適な温度を保ちやすい反面、基礎断熱には考慮すべきデメリットもあります。

目指す暮らしや家を建てる環境などを踏まえ、基礎断熱を採用するかどうかを検討してください。

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