オール電化のメリット・デメリットを徹底解説!上手な活用方法とは?
一方で、初期費用の高さや停電時の備えが必要といった課題もあり、導入を検討する際には慎重な判断が求められます。
本記事では、オール電化の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、適している家庭の特徴や、効率的な活用方法までご紹介します。
オール電化の導入を検討している方や、光熱費や住宅設備を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
オール電化の特徴をおさらい
光熱費の負担軽減や安全性の向上などのメリットがある一方で、導入時の初期費用や停電時の備えなどが課題です。
ここでは、オール電化の特徴や必要な設備を詳しく解説します。
オール電化住宅とは
一般的な住宅では調理や給湯にガス(都市ガス・プロパンガス)を使用するのに対し、オール電化住宅ではガスを使用せず、すべてのエネルギーを電気で供給します。
とくに給湯や暖房においては、深夜電力を活用することで光熱費を抑えられます。
ガス併用住宅では電気とガスそれぞれに基本料金が発生しますが、オール電化住宅では電気料金のみとなるため、基本料金を一本化できる点も特徴です。
オール電化の設備
設備 | 特徴 |
高効率給湯器 | ・室外機で取り込んだ外気の熱を利用してお湯を沸かす |
IHクッキングヒーター | ・火を使わないので安全性が高い |
床暖房 | ・エコキュートと連携して効率的に部屋全体をあたためられる |
蓄熱暖房機 | ・深夜電力で蓄熱レンガをあたため、日中に熱を放出して暖房する |
オール電化のメリット
ここでは、オール電化ならではの4つの大きな利点をご紹介します。
光熱費を抑えられる
また、深夜電力を利用することで、さらなる節約が可能です。
エコキュートをはじめとするオール電化にかかわる設備は、電気料金が安い夜間に熱を蓄え日中に活用することで、効率的にエネルギーを使用できます。
実際の光熱費を比較すると、オール電化住宅の方が一般住宅より光熱費をおさえられる傾向です。
例えば、2人家族の場合、オール電化住宅の平均光熱費は約13,400円です。
一方、電気・ガス併用住宅の場合、2人家族で約15,900円と、オール電化住宅のほうが約2,500円安くなっています。
火災のリスクを減らせる
ガスコンロでは、消し忘れや燃え移りなど不注意による火災の可能性がありますが、IHクッキングヒーターならその心配はありません。
また、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクもなく、安全性が高いと評価されています。
一部の損害保険会社では、オール電化住宅向けの火災保険料の割引プランを提供しています。
キッチンのお手入れがラクになる
油汚れや焦げつきなども拭き取りやすく、家事の負担を軽減できます。
火を使わないため、調理時の水蒸気や上昇気流が少なく、換気扇やキッチンまわりも汚れにくい点が特徴です。
災害対策になる
主流の機種で370L〜460Lほどの水が貯められており、洗濯やトイレなどにも使用可能です。
また、災害時のライフライン復旧においては、ガスよりも電気の方が早い傾向にあります。
東日本大震災では、発災後3日で約80%、8日で約94%の家庭で電気が復旧しました。※
一方、ガス管は地中に埋設されているため、破損箇所の特定に時間がかかり、復旧までに時間を要することがあります。
※内閣府防災情報「3.11の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」
オール電化のデメリット
導入を決める前に、以下の4つのデメリットについてしっかりと理解しましょう。
初期費用が高額
とくにエコキュートは、本体価格に加えて基礎工事費用、水道関連工事費用、電気工事費用などが発生します。
床暖房を導入する場合は、工事費用がさらに高額になる可能性があります。
設備 | 設置費用(円) |
給湯器(エコキュート) | 20万〜150万 |
IHクッキングヒーター | 10万〜50万 |
床暖房(12畳の場合) | 70万〜120万 |
蓄熱暖房機 | 20万〜40万 |
とくに、夜間の割安な電気料金を活用が、ランニングコストをおさえることにつながるでしょう。
停電時の対策が必要
調理や冷暖房など、日常生活に大きな支障が出る可能性があります。
停電への備えとして、以下の対策を検討しましょう。
・太陽光発電システムを導入している場合、停電時での自立運転機能を活用して最低限の電力を確保する
・冬場は石油ストーブをはじめとした非常用暖房器具を準備する
昼間の電気代は高くなりやすい
以下の場合に多くの電力を消費するため、電気代が予想以上に高額になることがあります。
・テレビや冷暖房など利用が日中に多い場合(とくにテレワーク世帯)
エコキュートの設置場所を考えなくてはならない
機種によって異なりますが、タンク容量が370L〜460Lクラスの場合、設置には相応の広さが求められます。
さらに、エコキュートは作動時に騒音が発生するため、近隣住宅との距離が近い場合は騒音トラブルの原因となる可能性があります。必要に応じて防音グッズの使用を検討しましょう。
設置場所の選定時には、メンテナンスのための作業スペースの確保も必要であるため、安全性や利便性を確保した設置計画を立てることをおすすめします。
オール電化住宅が向いているのはどんな家庭?
オール電化に向いている家庭 | オール電化に向いていない家庭 |
・日中家に誰もいない家庭 | ・日中、電気を多く使用する家庭 |
・高断熱な設備や高性能な省エネ機器を使用して消費エネルギーを極力おさえる
・太陽光発電などで創出したエネルギーにより、年間の一次エネルギー(自然界から得られるそのままのエネルギー)消費量の収支をゼロにすることを目指す
オール電化は、高効率なエコキュートやIHクッキングヒーターなどの設備により、使用するエネルギー量を減らせるため、ZEHの実現に重要な役割を果たします。
また、太陽光発電と組み合わせることで昼間の割高な電気料金を相殺し、より効率的なエネルギー利用が可能になります。
2021年度には、新築の注文戸建住宅の約26.8%※ がZEHとなっており、環境に配慮した新しい住まいの形として広がりを見せています。
とはいえ、政府の掲げる目標の達成には、さらなる取り組みが必要と言われています。
※内閣府「省エネ住宅(ZEH)の選択に係る要因とその普及促進による経済的影響」
オール電化で電気代は節約できる?上手な活用法とは
電気代を賢く抑えるための4つのポイントをご紹介します。
使い方や設定を工夫する
具体的には、以下のとおりです。
節電方法 | 具体例 |
深夜電力の活用 | 洗濯機や食器洗い機、炊飯器など、タイマー機能がついた家電は電気料金が安い夜間に稼働するよう設定 |
設備の設定の工夫 | 例:エコキュート |
住宅の断熱効率を上げる
断熱効果の高い材料の使用や断熱カーテンの設置など、住宅の断熱性を向上させる工夫で、暖房や冷房にかかる電力消費をおさえつつ、快適な室内環境を維持できます。
太陽光発電を導入する
自宅で発電した電力を使用することで、電力会社から購入する電力量(電気料金)を抑制できるためです。
太陽光発電による電力は、昼間の家電使用や追加の湯沸かしなどに活用でき、電気代の大幅な削減につながります。
さらに余った電力は売電することも可能です。
初期費用は必要ですが、長期的に見ると光熱費の削減効果が期待できます。
定期的に料金プランの見直しをする
- 家族構成が変わったとき(人数の増減)
- 日中の在宅時間が増えたとき
- 引越しをしたとき
- 太陽光発電を導入したとき
- 機器の購入、買い替えのとき
生活スタイルの変化に応じて適切なプランを選択することで、より効率的な電気の使用が可能になるでしょう。
オール電化の導入はライフスタイルに合わせて検討を
最大の特徴である電気代の節約効果は、深夜電力の活用や設備の使い方によって大きく変わります。
家族構成や生活スタイル、住宅条件を考慮し、オール電化のメリットを十分に活かせるかどうかの判断が重要です。
また、太陽光発電との組み合わせや住宅の断熱性向上など、さらなる省エネ効果を得られる工夫も検討してみましょう。
ZEHの普及とともに注目が高まるオール電化ですが、導入を決める際は、自身のライフスタイルに合わせた慎重な判断が求められます。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。
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