オール電化のメリット・デメリットは?電気代の節約方法や後悔しない選び方を解説
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ガスを使わないことで火災リスクが減り、安全性やお手入れのしやすさ、光熱費の一本化など多くのメリットがあります。
一方で、停電時にすべての設備が使えなくなるリスクや初期費用の高さなど、導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。
オール電化のメリット・デメリットをわかりやすく解説するとともに、電気代を節約するコツやオール電化が向いている家庭の特徴、普及状況まで詳しく紹介します。
目次
オール電化住宅とは?
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一般的な住宅では調理や給湯にガス(都市ガス・プロパンガス)を使用するのに対し、オール電化住宅ではガスを使用せず、すべてのエネルギーを電気で供給します。
とくに給湯や暖房においては、深夜電力を活用する給湯器(エコキュート)や蓄熱暖房機により光熱費を抑えられます。
オール電化を構成する主な設備と役割
設備 | 特徴 |
高効率給湯器 | ・室外機で取り込んだ外気の熱を利用してお湯を沸かす |
IHクッキングヒーター | ・火を使わないので安全性が高い |
床暖房 | ・エコキュートと連携して効率的に部屋全体をあたためられる |
蓄熱暖房機 | ・深夜電力で蓄熱レンガをあたため、日中に熱を放出して暖房する |
オール電化のメリット
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ここでは、オール電化ならではの5つの大きな利点をご紹介します。
オール電化のメリット5つ
ガスの基本料金が不要になり光熱費を一本化できる
例えば、東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B(40A)」が1,247円、東京ガスの「一般契約(東京地区)」が1,056円の場合、併用すると基本料金だけで月2,300円かかりますが、オール電化なら電気代のみです。
ガスの場合、地域によっては都市ガスが通っておらずプロパンガスを利用しないとならないため、こうした地域ではガスの使用量自体が高くなってしまいやすいです。
また、多くのオール電化向け料金プランでは、電気料金が割安な深夜電力を設定しています。
エコキュート(高効率給湯器)などを使い、この深夜電力でお湯を沸かして日中に使用することで、給湯や暖房にかかるランニングコストを抑えることが可能です。
火を使わないことによる安全性の向上と火災保険料の割引
そのため、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクがなく、衣服への燃え移りといった火災の危険性も大幅に低減できます。
火を使わないので、小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭でも安心して調理しやすい環境が整います。
こうした安全性の高さから、オール電化住宅は火災リスクが低いと評価され、一部の損害保険会社では火災保険料の割引プラン(オール電化割引)が提供されている場合があります。
キッチンのお手入れがラクになる
油汚れや焦げつきなども拭き取りやすく、家事の負担を軽減できます。
火を使わないため、調理時の水蒸気や上昇気流が少なく、換気扇やキッチンまわりも汚れにくい点が特徴です。
断水時も水が使えライフラインの復旧が早い
このタンク内には常時水が貯蔵されており、地震や台風などで断水が発生した際、タンク内の水を非常用の生活用水として取り出して使用できます。
飲用には適しませんが、トイレや洗濯などに活用可能です。
一般的なタンク容量は370L〜460Lほどあり、いざという時の備えになります。
また、災害時のライフライン復旧は、一般的に電気の方がガスや水道よりも早い傾向があります。
例えば、東日本大震災のケースでは、電気が8日で約94%復旧したのに対し、ガスは約2か月後に復旧しました。
住宅ローンで金利が優遇される場合がある
オール電化住宅は、高効率な給湯器(エコキュート)などを使用することから、こうした優遇金利ローンの対象となることがあります。
住宅購入は長期にわたる返済計画が必要なため、わずかな金利差でも総支払額に大きく影響します。
オール電化の導入を検討する際は、利用を予定している金融機関に、オール電化住宅向けの優遇プランがあるか相談してみるのもよいでしょう。
オール電化のデメリットと問題点
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導入を決める前に、以下の6つのデメリットについて、しっかりと理解しましょう。
オール電化のデメリット6つ
エコキュートやIHなどの導入時の初期費用が高額
設備 | 設置費用(円) |
給湯器(エコキュート) | 20万〜150万 |
IHクッキングヒーター | 10万〜50万 |
床暖房(12畳の場合) | 70万〜120万 |
蓄熱暖房機 | 20万〜40万 |
さらに、エコキュートの設置には、機器の費用だけでなく、基礎工事や水道・電気工事の費用も発生します。
例えば、省エネ性能の高い家電の導入を支援する「東京ゼロエミポイント」など、最新の補助金情報を確認してみましょう。
停電すると全ての設備が使えなくなるリスク
ガス併用住宅であれば、停電時でもガスコンロで調理したり、ガス給湯器でお湯を使えたりする場合がありますが、オール電化では調理(IH)、給湯(エコキュート)、冷暖房(エアコンなど)が一切使えなくなります。
特に冬場に停電が起きると暖房器具が停止し、深刻な問題になりかねません。
このリスクに備えるため、カセットコンロとガスボンベを常備しておく、石油ストーブなどの電気が不要な暖房器具を準備するといった対策が必要です。
また、太陽光発電を導入している場合は、停電時に自立運転機能に切り替えて最低限の電力を確保する方法もあります。
ライフスタイルによっては昼間の電気代が高くつく
そのため、日中も家族が在宅している時間が長く、冷暖房や調理などで電気を多く使用するテレワーク世帯や小さなお子様がいる家庭では、割高な日中の電気代が積み重なります。
結果として、光熱費全体が高額になる可能性があります。
また、夜間に沸かしたエコキュートのお湯が足りなくなる場合があります。
その際に日中「沸き増し」運転を行うと、割高な電気料金でお湯を作ることになり、電気代が予想以上に高くなる原因となります。
シャワーの水圧が弱くなることがある
これは、多くのオール電化住宅で採用されるエコキュートが「貯湯式」という仕組みを採用しているためです。
・水道水をいったんタンクへ貯め、そこで沸かしたお湯を使う
・タンクが水圧で破損しないよう、給水時に水圧を減圧する必要がある
・減圧されるため、シャワーの水圧が弱く感じることがある
●ガス給湯器(水道直圧式)の特徴
・水道管の圧力をそのまま利用してお湯を沸かす方式が主流
・貯湯タンクを使わないため、基本的に強めの水圧を維持できる
近年は水圧を高めた「高圧タイプ」のエコキュートも販売されていますが、ガス給湯器の勢いを求める方には物足りなく感じるかもしれません。
IH対応の調理器具しか使えない
IHクッキングヒーターは電磁誘導の原理で鍋自体を発熱させるため、IHに対応した鍋やフライパン(底が平らで、磁石がくっつく素材のもの)しか使用できません。
そのため、これまでガスコンロで使用していた土鍋やアルミ鍋、銅鍋、底が丸い中華鍋などは、基本的に使用できなくなります。
場合によっては、調理器具を一式買い替える必要があり、追加の出費が発生します。
また、IHクッキングヒーターは直火ではなく、直接食材を炙る調理ができないので、料理にこだわりたい方には不満が残るかもしれません。
エコキュートの設置場所が必要
機種によって異なりますが、タンク容量が370L〜460Lクラスの場合、設置には相応の広さが求められます。
さらに、エコキュートは作動時に騒音が発生するため、近隣住宅との距離が近い場合は騒音トラブルの原因となる可能性があります。
必要に応じて防音グッズの使用を検討しましょう。
設置場所の選定時には、メンテナンスのための作業スペースの確保も必要であるため、安全性や利便性を確保した設置計画を立てることをおすすめします。
オール電化住宅が向いている家庭・向いていない家庭
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オール電化に向いている家庭 | オール電化に向いていない家庭 |
・日中家に誰もいない家庭 | ・日中、電気を多く使用する家庭 |
オール電化住宅が向いている家庭・向いていない家庭
オール電化のメリットを活かせる家庭の特徴
共働きなどで日中は仕事や学校に出かけており、在宅時間が主に夜間に集中するライフスタイルの方は、割安な夜間電力を効率よく使えるため光熱費を抑えやすくなります。
また、火を使わない安全性(IH)や、災害時の備え(エコキュートの貯水)を重視するご家庭にも向いています。
さらに、すでに太陽光発電を導入している、または導入予定のご家庭は、オール電化と非常に相性が良いです。
日中の割高な電気を太陽光発電でまかない、余った電力を売電することで、電気代を大幅に削減できる可能性があります。
オール電化で後悔する可能性のある家庭の特徴
テレワークや子育て、介護などで日中も多くの電気を使用すると、割高な電気料金プランが適用され、かえって光熱費が高くつく恐れがあります。
また、お風呂に入る回数が多かったり、家族の人数が多かったりして、夜間に沸かしたお湯では足りずに日中に追加で沸き増しが必要な場合も、電気代が上がりやすいため不向きです。
そのほか、ガス火での調理に強いこだわりがある方や、エコキュートの設置スペースが十分に確保できない方、運転音が近隣トラブルになりそうな方も、導入は慎重に検討すべきでしょう。
オール電化の電気代を節約する上手な使い方
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電気代を賢く抑えるための4つのポイントをご紹介します。
オール電化の電気代を節約する上手な使い方4つ
住宅の断熱効率を上げる
断熱効果の高い材料の使用や断熱カーテンの設置など、住宅の断熱性を向上させる工夫で、暖房や冷房にかかる電力消費をおさえつつ、快適な室内環境を維持できます。
一般的に断熱性能を高めるための施工には追加費用がかかるため、初期投資額と施工することで節約を期待できる電気料金の額をトータルで考えることが大切です。
もちろん電気代だけでなく、「一年を通じて外気の影響を受けにくく、住みやすくなる」といったメリットがある点も押さえておきましょう。
太陽光発電の導入で日中の電気代を賄う
居住用の住宅に太陽光発電システムを設置すると、発電した電気をまずは住宅内で消費して、余った電力を売電することになります。
このため、電気料金の高い昼間に太陽光発電システムで発電した電気を使うことで、電気料金を安く抑えることにつながります。
初期費用は必要ですが、長期的に見ると光熱費の削減効果が期待できます。
深夜電力やエコキュートの使用設定の見直し
具体的には、以下のとおりです。
洗濯機や食器洗い機、炊飯器など、タイマー機能がついた家電は電気料金が安い夜間に稼働するよう設定する
●設備の設定の工夫
例:エコキュート
夏場はエコモードや省エネモードを使用し、冬場は湯切れを防ぐため余裕を持った設定にする
ライフスタイルに合わせた料金プランの定期的な見直し
電気料金プランは電力会社によって異なりますが、主に次のような種類があります。
・深夜の電気代が安く、昼間の電気代が安いプラン
・時間帯ではなく、使用電力により料金が変わるプラン
・深夜電力をより安くする代わりに昼間の電気代がより高くなるプラン
特に、以下のようなライフイベントが起こったときにはプランの変更を検討するとよいでしょう。
・家族構成が変わったとき(人数の増減)
・日中の在宅時間が増えたとき
・引越しをしたとき
・太陽光発電を導入したとき
・機器の購入、買い替えのとき
オール電化は時代遅れ?オール電化の普及率
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「時代遅れ」と言われる背景には、近年の世界情勢や円安による燃料費の高騰、再生可能エネルギー賦課金の負担増などによる電気代高騰が影響しています。
実際、総務省統計局の「家計調査 2024年(令和6年)平均」でも、物価上昇を背景に「二人以上の世帯」の消費支出が前年から実質で1.1%減少しており、光熱費を含む生活コストの上昇が家計を圧迫していることがうかがえます。
こうした状況が、「オール電化は電気代が高い=時代遅れ」という印象につながっている可能性があります。
しかし、国が推進するZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)において、オール電化は重要な役割を担っています。
ZEHとは、住宅の高断熱化と高効率な設備で消費エネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間のエネルギー収支を実質ゼロ以下にする住宅のことです。
政府は脱炭素社会の実現に向けZEHの普及を後押ししており、オール電化設備はその重要な構成要素です。
このように、オール電化にはZEH推進という未来に向けたメリットがある一方で、電気代高騰やライフスタイルを選ぶといったデメリットも存在します。
「時代遅れ」と一概に判断するのではなく、メリット・デメリットをしっかり踏まえた上で、ご自身の家庭に合っているか慎重に判断することが重要です。
オール電化導入のよくある質問
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オール電化で気を付けることは?
・設置スペース(エコキュートは大きい/騒音注意)
・停電時の備え(非常用取水栓・カセットコンロ)
・電気料金プランを生活スタイルに合わせて選ぶ重要性
また、ヒートポンプの運転音が静かな夜間に響くことがあるため、隣家の寝室などから離れた場所に設置する配慮も求められます。
また、オール電化は全ての熱源が電気のため、停電すると何もできなくなります。
エコキュートの非常用取水栓の使い方を確認しておくとともに、カセットコンロや非常用暖房器具を準備しておきましょう。
さらに、オール電化のメリットを活かすには、割安な夜間電力を利用する必要がある点にも注意しましょう。
ご自身の生活スタイルと料金プランが合っていないと、電気代が高額になるため、慎重に選ぶ必要があります。
オール電化で電気代は高くなる?
オール電化向けの料金プランは、夜間が割安な代わりに日中の電気代が割高に設定されていることが多いためです。
そのため、テレワークや子育てなどで日中の在宅時間が長く、電気を多く使用するご家庭では、かえって電気代が高額になる可能性があります。
対策として、太陽光発電システムを導入すれば、日中の割高な電気を自家発電でまかなうことができ、電気代高騰のリスクを軽減できます。
ガス暖房のようなパワフルな暖房は使えない?
オール電化住宅の主な暖房器具には、エアコン、床暖房、蓄熱暖房機などがあります。
特にエコキュートの熱を利用する温水式床暖房や、割安な深夜電力で熱を蓄える蓄熱暖房機は、部屋全体をじんわりと暖めるため、ガスファンヒーターとは異なる快適さが得られます。
ただし、ガスファンヒーターのような、スイッチを入れてすぐに温風が出る「即効性」や「強い温風感」は、電気の暖房器具では感じにくい場合があります。
とはいえ、現在の住宅は高断熱・高気密化が進んでいます。
住宅の断熱性能を高め、適切な暖房機器を選定すれば、オール電化でも冬場を十分に暖かく快適に過ごすことは可能です。
オール電化のメリット・デメリットを理解して慎重に判断しよう
最大の特徴である電気代の節約効果は、深夜電力の活用や設備の使い方によって大きく変わります。
家族構成や生活スタイル、住宅条件を考慮し、オール電化のメリットを十分に活かせるかどうかの判断が重要です。
また、太陽光発電との組み合わせや住宅の断熱性向上など、さらなる省エネ効果を得られる工夫も検討してみましょう。
ZEHの普及とともに注目が高まるオール電化ですが、導入を決める際は、自身のライフスタイルに合わせた慎重な判断が求められます。
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ハウスメーカーの利用を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
また、情報は2025年11月現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
監修者逆瀬川 勇造
合同会社7pockets 代表社員
地方銀行・不動産会社を経て宅建士・FPとして独立。
現場での経験を活かして読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説します。
■保有資格
・宅地建物取引士
・2級ファイナンシャル
・プランニング技能士
ホームページ:https://7pockets.jp.net/