4号特例縮小をわかりやすく解説!2025年法改正の背景・見直しによる影響とは

4号特例縮小をわかりやすく解説!2025年法改正の背景・見直しによる影響とは

「4号特例」とは、木造住宅などの小規模な建築物に適用される特例制度で、建築士が設計した際の建築確認申請の簡略化を可能にしていました。

しかし、2025年に予定されている法改正では、この4号特例が大幅に縮小されることとなり、建築業界や施主にさまざまな影響が及見込みです。

この記事では、4号特例の基本的な仕組みや適用される建築物についてわかりやすく解説するとともに、2025年の法改正による変更点や背景について解説します。

また、特例縮小が与える影響や、改正に備えた対策にもご紹介します。

これから住宅建築やリフォームを計画している方にとって、知っておくべき重要な情報を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 4号特例とは?わかりやすく解説
    1. 建築確認申請の意味
    2. 4号特例の内容|審査対象外になる項目
    3. 4号特例が適用される建築物の定義
  2. 2025年法改正で4号特例はどう変わるか
    1. 4号特例縮小の背景と目的
    2. 4号特例縮小による変更点
  3. 4号特例縮小の影響と対策
    1. ハウスメーカー・リフォーム会社への影響
    2. 施主への影響
  4. 4号特例縮小に関するよくある質問
    1. 4号特例はいつから縮小される?
    2. 4号特例は完全に廃止される?
  5. 2025年の法改正に備えて住宅建築の計画を立てよう

4号特例とは?わかりやすく解説

4号特例とは?わかりやすく解説

4号特例は、2階建て以下の木造住宅などの小規模建築物について、建築士が設計した場合に建築確認の審査の一部を省略できる制度です。

1983年に導入され、当時の高度経済成長期における住宅供給促進と、建築確認審査を担当する行政の負担軽減を目的としていました。

建築確認申請の意味

建築確認申請とは、建物を新築・増改築する際に、その計画が建築基準法に適合しているかを事前に確認する手続きです。

建築主は工事に着手する前に、自治体または指定確認検査機関に申請書類を提出し、確認を受ける必要があります。

この確認を受けなければ、建築工事を始めることができません。

4号特例の内容|審査対象外になる項目

4号特例により、以下の項目が審査の対象外となります。

審査対象外になる項目

  • 建築設備の構造強度
  • 居室の採光
  • 換気設備の技術基準
  • 地階における住宅等の居室
  • 電気設備
  • 廊下
  • 天井、床高、除湿、遮音
構造計算書の提出は不要となります。構造計算書とは、建築物の機能や安全性を示す書類で、地盤や基礎、建築物の構造、荷重、外力などに対して建物が安全であるか、使用上支障がないかを確認するためのものです。

4号特例が適用される建築物の定義

4号特例が適用される建築物は、建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物(4号建築物)を指します。

一般建築物の場合(戸建住宅、事務所等)

構造種別

条件

木造

以下すべてに当てはまる建物
・2階建て以下であること
・延べ面積が500u以下であること
・高さ13m以下もしくは軒高9m以下であること

非木造

・平屋建てであること
・延べ面積200u以下であること

参照:国土交通省|建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し

これらの条件を満たす建築物であれば、建築確認申請時に審査の一部を省略することができます。

2025年法改正で4号特例はどう変わるか

2025年法改正で4号特例はどう変わるか

2025年4月に施行される建築基準法の改正により、4号特例は大きく見直されることになります。

この改正は住宅の省エネ化と安全性の向上を目指すもので、建築確認申請の手続きにも重要な変更が加えられます。

4号特例縮小の背景と目的

4号特例を見直す主な理由は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みと住宅の安全性確保にあります。

新築住宅の省エネ基準への適合が義務付けられることに伴い、断熱材の使用や設備の搭載により住宅の重量が増加します。

これまでは4号特例により、該当する建築物は構造審査が省略可能でしたが、重量増加に見合う強度が必要となるため、後述する「新2号建築物」は適切な構造計算や審査が求められるようになりました。

4号特例縮小による変更点

改正により、建築物の分類方法が変更され、審査項目が増え、提出が必要な図書も変わります。

これらの変更は住宅の安全性と省エネ性能の向上を確実に担保するために行われます。

建築物分類の変更

2025年4月の法改正により、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区等内では、これまでの4号建築物は新2号建築物新3号建築物に再分類されます。

新2号建築物は木造2階建てまたは延べ面積200平方メートルを超える木造平屋建てが該当し、新3号建築物は延べ面積200平方メートル以下の木造平屋建てが該当します。

新2号建築物はすべての地域で建築確認と検査が必要となり、新3号建築物は都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区等内の場合に必要となります。

建築物の新しい分類

分類

条件

新2号建築物

・木造2階建て
・木造平屋建て(延べ面積200u超)

新3号建築物

新3号建築物 木造平屋建て(延べ面積200u以下)

参照:国土交通省|2025年4月(予定)から4号特例が変わります

審査項目の変更

新2号建築物については、すべての審査項目が対象となります。

具体的には、屋根や外壁の防火性、居室の採光や換気、建築材料の品質などが新たに審査されることになります。

さらに、省エネ基準への適合性も確認されます。一方、新3号建築物については、従来の4号建築物と同様に一部の審査項目が省略可能です。

追加される審査項目

  • 構造関係規定(新2号建築物のみ)
  • 防火避難規程(新2号建築物のみ)
  • 設備その他単体規程(新3号建築物は一部)
  • 省エネ基準(新2号建築物のみ)
参照:国土交通省|改正建築基準法 2階建ての木造一戸建て住宅等の確認申請・審査マニュアル

提出図書の変更

新2号建築物の確認申請では、これまでの確認申請書類に加えて、構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書の提出が必要となります。

具体的には、仕様表、求積図、平面図、立面図などの基本的な図面に加え、構造詳細図や壁量判定図、省エネ計算書などの技術的な資料も求められます。

新3号建築物については、現行の4号建築物と同様の提出図書で対応できます。

新2号建築物の建築確認申請における提出図書
・仕様表(計画概要・付近見取図・内部/外部仕上表)
・求積図、地盤算定表、配置図
・平面図
・立面図・断面図
・構造詳細図
・床面積・見付面積計算表
・壁量判定 兼 耐力壁図
・四分割法判定
・柱頭柱脚金物算定(N値計算法)
・給排水衛生・電気設備図
・計算書(採光、換気、省エネ)
・設計内容説明書(省エネ)
・機器表(省エネ)
参照:国土交通省|改正建築基準法 2階建ての木造一戸建て住宅等の確認申請・審査マニュアル

4号特例縮小の影響と対策

4号特例縮小の影響と対策

4号特例の縮小は、建築業界全体に大きな変化をもたらします。この変更は住宅の供給者側と購入者側の双方に影響を及ぼし、それぞれが適切な対応を迫られることになります。

ハウスメーカー・リフォーム会社への影響

住宅建築に携わる企業は、審査項目の追加により業務量が大幅に増加します。

建築確認申請に必要な図書の作成には、これまで以上の時間と労力が必要となります。

また、構造計算や省エネ性能の詳細な検討が必要となることから、より高度な専門知識を持つ人材の育成や確保が求められます。

設計者の負担も大きくなります。構造計算などの業務が増えることに加え、省エネ関連の計算も新たに必要となります。

そのため、設計者の教育・研修費用の増加や、作業効率を向上させるためのシステム投資なども考慮しなければなりません。

提出図書の作成時間が増えることで、確認申請から着工までの期間も長くなることが予想されます。

工期の長期化は年間の施工件数にも影響を与える可能性があり、企業は業務プロセスの見直しや効率化を進める必要があります。

施主への影響

4号特例縮小は、住宅購入者にとってコスト増加というデメリットをもたらします。

審査項目の増加に伴う人件費の上昇や、規定に適合するための追加工事、必要な資材の増加などにより、住宅価格は上昇する見通しです。

その一方で、施主にとって大きなメリットも存在します。

構造や耐震性能の向上により、住宅の安全性が高まることが期待できます。

省エネ基準への適合により、光熱費の削減や環境負荷の軽減にもつながります。

また、確認申請時の厳格な審査により、住宅の品質が確実に担保されることになります。

長期的な視点では、安心して住める家づくりにつながると言えるでしょう。

4号特例縮小に関するよくある質問

4号特例縮小に関するよくある質問

建築基準法の4号特例縮小について、施主の方々やハウスメーカーから多くの質問が寄せられています。

ここでは、よくある質問について解説します。

4号特例はいつから縮小される?

4号特例の縮小は2025年4月1日から開始されます。

この改正は、2022年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」に基づくものです。

同じタイミングで、すべての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準への適合が義務付けられることになります。

4号特例は完全に廃止される?

4号特例は完全な廃止ではなく、一部の建築物については審査省略制度が継続されます。

具体的には、延べ面積200平方メートル以下の木造平屋建て(新3号建築物)については、現行の4号特例と同様に、一部の審査項目を省略することができます。

一方で、木造2階建てや延べ面積200平方メートルを超える木造平屋建て(新2号建築物)については、これまでの審査省略制度が適用されなくなります。

これらの建築物は、構造関係規定や省エネ基準を含む、全ての審査項目について確認を受ける必要があります。この変更は住宅の安全性と省エネ性能の確保を目的としています。

2025年の法改正に備えて住宅建築の計画を立てよう

2025年4月の建築基準法改正により、4号特例の縮小が実施されます。

この改正は住宅の省エネ化と安全性の向上という重要な目的を持っていますが、同時に審査項目の増加や工期の延長、コストの上昇といった影響をもたらすことも予想されます。

住宅建築を検討している方は、改正による変更点を理解した上で、計画的に準備を進めることが大切です。

特に、木造2階建ての住宅や延べ面積200平方メートルを超える木造平屋建ての場合は、確認申請の手続きが大きく変わるため、早めの対応が求められます。

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