マンションと一軒家で迷ったら?検討すべき7つの項目を比較
どちらにも長所と短所があり、育ってきた住環境や今後のライフプランによっても心地良い住まいの在り方は異なるため、検討する際には、さまざまな要素を踏まえることが大切です。
ここでは、一軒家とマンションで迷ったときに検討すべき、7つの項目について比較していきます。
目次
1 物件価格でマンションと一軒家を比較
支払い能力を超えた金額の物件を購入すると、ローンの支払いなどで行き詰まり、せっかく手に入れた物件を手放すことになりかねません。
ここでは、一般的なマンションと一軒家の物件価格について、住宅金融支援機構がまとめた「2023年度 フラット35利用者調査」で公表されている数字をもとに比較していきましょう。
マンションの物件価格
マンション購入にかかった資金の平均額は、それぞれ下記のとおりです。
・新築マンション:5,245万円
・中古マンション:3,037万円
※2023年度フラット35利用者調査
一軒家の物件価格
種類ごとに見る、一軒家の購入にかかった資金の平均額は下記のとおりです。
・土地付き注文住宅:4,903万円
・建売住宅:3,603万円
・中古戸建て:2,536万円
※2023年度フラット35利用者調査
2 購入時にかかる諸費用でマンションと一軒家を比較
諸費用とは、物件の購入にあたって発生する税金や手数料のことです。
ここでは、マンションと一軒家の購入時にかかる諸費用について見ていきましょう。
また、住宅の購入時にかかる諸費用には、どのようなものが含まれるかについても解説します。
マンションの購入時の諸費用
新築マンションに比べ中古マンションのほうが、諸費用がかかる傾向があります。
これは、中古マンションには仲介手数料がかかるケースが多いためです。
一軒家の購入時の諸費用
マンションよりも一軒家のほうが、諸費用がかかる理由として、登録免許税や火災保険料がマンションよりも高くなることが挙げられます。
購入時にかかる主な諸費用
購入時にかかる主な諸費用は、下記のようなものが挙げられます。
・印紙税
住宅の購入に際しては、土地の売買契約書や領収書が課税文書にあたり、当該書類に印紙を貼り付けて提出することで納税されます。不動産売買契約書にかかる印紙税は、不動産の価格によって異なります。
・不動産取得税
土地および住宅の固定資産評価額に、3%(特例による2027年3月31日までの税率)を掛けた金額が税額となります。
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
このときにかかるのが登録免許税です。
登録免許税の税額は、土地や建物の固定資産税評価額に税率を掛けて計算しますが、建物の税率は新築住宅であるか中古住宅であるかによって変わるので、確認しておきましょう。
また、こうした手続きを司法書士に依頼した場合には、司法書士に支払う報酬も発生します。
・仲介手数料
下記のように法律で物件価格ごとの上限が決められており、多くの不動産会社では、仲介手数料を法定上限額に設定しています。
■仲介手数料の法定上限額
物件価格が200万円以下の場合 | 物件価格の5%+消費税 |
物件価格が200万円超400万円以下の場合 | 物件価格の4%+2万円+消費税 |
物件価格が400万円超の場合 | 物件価格の3%+6万円+消費税 |
・融資手数料
「事務手数料」「ローン手数料」などと呼ばれることもあります。
借入金額に対して2.2%程度の融資手数料が設定されている定率型と、3万〜5万円程度の融資手数料を融資時に一括で支払う定額型があり、借入金額と金融機関によって金額が異なります。
・住宅ローン保証料
具体的な金額は、借入金額に保証料率を掛けて求められます。
保証料率の相場は、借入額に対して2%程度です。
・火災保険料・地震保険料
住宅ローンを契約する場合には、原則として火災保険への加入が必須です。
10年一括の支払いで、15万〜40万円程かかります。
地震保険への加入は任意ですが、火災保険でカバーできない部分を守るためにも加入しておくと安心です。
3 資産価値でマンションと一軒家を比較
端的にいうと、「今、いくらで売れるか」が資産価値です。
土地は経年による価値の変化はありませんが、新駅ができるなどして周辺の利便性が高まると価値が上がることがあります。
一方、建物は経年劣化するため、資産価値は年々目減りしていきます。
ここでは、マンションと一軒家を資産価値という視点で比較してみましょう。
マンションの資産価値
したがって、資産価値は長いあいだ維持されます。
管理が適切になされていれば、築40年以上のマンションでも高値がつくことがあるでしょう。
一軒家の資産価値
そのため、マンションに比べると資産価値が目減りするスピードは早まります。
しかし、土地の価格は大きく変動せず、場合によっては高騰することもあるため、一定期間が経過した後は土地が資産価値を支えてくれる可能性があるでしょう。
4 維持費でマンションと一軒家を比較
維持費には、経年劣化や不具合に対処するためのメンテナンス費用や税金などがあります。
マンションの維持費と一軒家の維持費について解説していきましょう。
マンションの維持費
日常的な保守点検や共用部の清掃にかかる費用はもちろん、定期的に行われる大規模修繕工事にも使われるため、月々の負担は比較的重めです。
マンションに付随する駐車場や駐輪場を借りる場合、その費用も月々のローン返済とあわせて出費を見込んでおかなければなりません。
また、購入後には、固定資産税と都市計画税がかかります。
一軒家の維持費
しかし、リフォームや修繕は必ず発生するため、自主的に費用を用意しておく必要があります。
月々の支払いという視点ではマンションのほうが、負担が大きいように感じるでしょうが、計画的に積み立てをしていない一軒家では急にまとまった金額が出ていくこともあり、一概にどちらが得とはいえません。
固定資産税と都市計画税は、減価償却期間が短い建物に対しては低く、価値が変わりにくい土地に対しては高くなります。
5 広さと間取りでマンションと一軒家を比較
広さと間取りという観点で見ると、マンションと一軒家にはどのような違いがあるのでしょうか。
マンションの広さと間取り
マンション暮らしが長かった人にとっては、コンパクトな広さや間取りを心地良いと感じる場合もあるでしょう。
また、部屋と部屋の段差が少なく収納が充実しているため、掃除の負担が少ないのもマンションの良さといえます。
一軒家の広さと間取り
都心部では少ないものの、郊外の一軒家では庭がある場合も多く、ガーデニングや家庭菜園などで余暇を楽しむ豊かな生活が手に入るのも魅力です。
ただし、2階建て以上の一軒家の場合、移動の際に階段を上り下りする必要があるので、家の掃除などを行う際、労力がかかることは覚悟しておきましょう。
6 住環境でマンションと一軒家を比較
どんなに利便性の良い立地にあっても、日が一切あたらない暗い土地では、カビが発生したり洗濯物が乾きにくかったりします。
マンションも一軒家も一定の快適さは担保されていますが、購入前に時間帯を変えて日当たりや周辺の様子を確認することが大切です。
マンションの住環境
完成した段階で「日中まったく日があたらない」「風が通らず空気がこもる」といった物件はまれです。
ただし、角部屋や最上階以外は両隣が別住戸なので、採光できる窓の数は限られます。
近くに大きな空き地や駐車場がある場合、後から大きな建物が建って日差しが遮られる場合も。将来的な開発の可能性なども踏まえて物件を見学することをおすすめします。
また、上階や隣からの音や子供の声などが気になり、生活上のストレスが発生する場合もあることにも注意しましょう。
一軒家の住環境
しかし、特に都心部では、隣接する家との距離が近いため、せっかく窓を作っても日差しが遮断されてしまうことも少なくありません。
マンションに比べ一軒家は、空間のプライベート性が確立されているため、好きな音楽を楽しんだり、仕事から帰宅した深夜に洗濯や掃除をしたりといったことも、ある程度自由に行えます。
とはいっても、窓を開けて大声で騒いだり、深夜に車やバイクで爆音を立てたりといった行動はご近所トラブルの原因になる可能性が高いです。節度を守って暮らしましょう。
7 防災性・防犯性でマンションと一軒家を比較
最後に、防災性・防犯性という観点で、マンションと一軒家を比較していきます。
マンションの防災性・防犯性
耐震構造で設計されていることはもちろん、自家発電装置をはじめとした独自の防災設備を導入しているマンションも増えてきました。
また、オートロックや管理人の在駐など、セキュリティが充実しており、防犯性にも安心感があります。
近年のマンションは各所に防犯カメラが設置され、死角になりやすい部分に適切な対策がなされている点もポイントです。
一軒家の防災性・防犯性
購入前に、必ず自治体が公表しているハザードマップを確認しましょう。
防犯性についても、マンションに比べると低めです。
窓が多い分、犯罪者が侵入しやすくなるため、玄関や裏口などには、防犯カメラや防犯灯を設置しておくことをおすすめします。
また、普段から隣近所とのコミュニケーションを密にとり、人の目によって犯罪の抑止力を高めておくことも大切です。
マンションと一軒家は、多角的な視点で検討することが重要
今のライフスタイルや、将来的に予想されるライフイベントなどを踏まえて、多角的に検討して後悔のない住まい選びをしましょう。
エリアや周辺環境などで悩んだときは、ハウスメーカーの担当者にアドバイスをもらうのもひとつの手です。
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