住宅ローン控除の初年度には確定申告が必須!やり方や必要書類を解説
本記事では、住宅ローン控除の基本から、初年度の確定申告のやり方や必要書類、2年目以降の手続きまでを詳しく解説します。
また、確定申告に関するよくあるトラブルへの対処法も紹介。住宅ローン控除を活用して賢く節税するための参考にしてください。
目次
住宅ローン控除の基本をおさらい
住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」という名称で、国が設けた税の優遇制度の1つです。一般的に「住宅ローン減税」と呼ばれることもあります。
この制度を利用すると、住宅ローンを10年以上の期間で借り入れて、住宅の新築や購入・増改築などを行った場合に一定の要件を満たすと、年末の住宅ローン残高に応じて所得税が控除され(所得税から控除しきれない場合には、住民税からも控除)、税金が軽減されます。
控除額と借入限度額
控除額が所得税よりも多い場合には、残った控除額は控除限度額の範囲内で、住民税額から差し引かれます。
住宅ローン控除を適用できる借入額については、住宅の種類や性能、入居年、家族構成などによって上限額が定められています。詳しくは下表で確認してください。
なお、買取再販住宅とは、宅地建物取引業者(不動産業者)が中古住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを実施したうえで販売する住宅のことです。
また、子育て世帯・若者夫婦世帯とは、「19歳未満の子どもがいる世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」のことをいいます。
【新築・買取再販住宅】
住宅の環境性能等 | 借入限度額 | 控除期間 | 控除率 | ||
---|---|---|---|---|---|
2024年入居 | 2025年入居 | ||||
長期優良住宅 低炭素住宅 |
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 5,000万円 | 4,500万円 | 13年間 | 0.7% |
その他の世帯 | 4,500万円 | ||||
ZEH水準省エネ住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 4,500万円 | 3,500万円 | ||
その他の世帯 | 3,500万円 | ||||
省エネ基準適合住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 4,000万円 | 3,000万円 | ||
その他の世帯 | 3,000万円 | ||||
その他の住宅 | 適用なし(※) |
【中古住宅】
住宅の環境性能 | 借入限度額 | 適用期間 | 控除率 |
---|---|---|---|
2024・2025年入居 | |||
長期優良住宅 低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 | 10年間 | 0.7% |
その他の住宅 | 2,000万円 |
適用の条件
・住宅の引渡しまたは工事完了から6か月以内に入居している
・控除を受ける年末まで引き続き住んでいる
・住宅ローンは返済期間10年以上で借り入れている
・住宅の床面積は50u以上で1/2以上が居住用になっている
・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である など
また、先の表で示した通り、基本的に認定住宅以外は住宅ローン控除を受けられなくなりました。
認定住宅以外で住宅ローン控除を受けられるのは、「2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅」か「2024年6月30日までに建築完了した住宅」のみです。その場合の借入限度額は2,000万円、控除期間は10年になります。
住宅ローン控除の初年度は「確定申告」が必要
ただし、会社員や公務員などの給与所得者の場合、確定申告が必要なのは初年度のみで、2年目以降は勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けられます。自営業者の場合は、毎年確定申告で控除を受けることになります。
初年度における確定申告のやり方
1.確定申告に必要な書類を準備する
2.確定申告書を作成する
3.管轄の税務署に提出する
確定申告に必要な書類
これらの書類を見ながら、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「確定申告書の第一表、第二表」に必要事項を記載していきます。
書類 | 種類・内容 | 入手先 |
確定申告書 | 確定申告の基本となる第一表、第二表 | 税務署または国税庁のウェブサイト |
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 控除を受ける年の住宅ローン控除の金額を計算するための書類。計算した額を確定申告書に転記 | 税務署または国税庁のウェブサイト |
本人確認書類 | a.マイナンバーカードのコピー | マイナカードや免許証は手元にあるものをコピー。ない場合は市区町村役所・役場に申請 |
借入金の年末残高等証明書 | 住宅ローンの年末時点の借入残高を証明する書類。10〜11月頃に借り入れた金融機関から送付 | 金融機関 |
建物・土地の登記事項証明書 | 住宅の床面積などを証明する資料 | 法務局 |
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)のコピー | 住宅の取得日や取得対価(購入金額)などを証明する書類 | 不動産会社 |
源泉徴収票(会社員の場合) | 年間の給与所得など収入を確認する書類。提出の必要はなし | 勤務先 |
確定申告書類の提出方法
提出方法は、「郵送」「税務署に持参」「e-TAX」があります。それぞれ特徴もありますので、自分に合ったやり方で提出しましょう。
提出方法 | 特徴 |
郵送 | ・住所地を管轄する税務署に郵送で提出する |
税務署に持参 | ・住所地を管轄する税務署の窓口に直接持参する |
e-TAX(電子申告) | ・国税庁のウェブサイトで確定申告書を作成しインターネットで申告できる |
還付金の振込時期
2年目以降の手続き
会社員 | 自営業者 | |
---|---|---|
1 | 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 |
2 | 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 |
必要事項を記入し、会社員は勤務先に、自営業者は管轄の税務署に提出することで、住宅ローン控除が受けられます。
住宅ローン控除の確定申告に関するトラブル解決法
住宅ローン控除の確定申告を忘れてしまった!
例えば、2024年に住宅を購入して確定申告を忘れてしまった場合は、2025年1月1日から2029年12月31日までに確定申告すれば、住宅ローン控除で税金の還付が受けられます。
ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えないって本当?
ただし、ワンストップ特例は「確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内」である場合のみ利用できる制度です。
そのため、初年度に住宅ローン控除の確定申告をする会社員(給与所得者)は要件に当てはまらず、ワンストップ特例は利用できません。
確定申告先の管轄税務署が分からない
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類を紛失した
とはいえ、年に一度の申告ですから、中には紛失してしまうことがあるかもしれません。そのようなときでも、証明書や申告書は、金融機関や税務署に遠絡すれば再発行してもらえます。
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、借入先の金融機関の窓口やウェブサイトなどで手続きします。基本的には無料で発行してもらえるものですが、場合によっては再発行手数料がかかることもあるようです。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」については、2年目以降については税務署にから申告に必要な分がまとめて送付されますので(新築なら12年分)、控除期間の途中で紛失の可能性もあります。紛失に気がついたら、すぐに税務署に出向き、再発行の手続きをしておきましょう。
確定申告自体はしたが住宅ローン控除の適用を忘れた
こういったケースでは、確定申告期間内に気がつけば、あらためて住宅ローン控除を含めて申告し直すことは可能です。
一方で、申告期間が過ぎてしまった場合は、控除の適用を受けることは難しいといわれています。申告期間後に、住宅ローン控除の適用を忘れたことに気がついた場合は、早めに税務署に相談するようにしましょう。
住宅ローン控除の1年目は確定申告を忘れずに
住宅ローン控除の適用を受けるためには、1年目は必ず確定申告が必要になります。2年目以降は、会社員や公務員などの給与所得者は年末調整で、自営業者は引き続き確定申告で控除の手続きをします。
申告に必要な書類はさまざまありますので早めに手元に準備し、期限内に確定申告を済ませるようにしましょう。
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