注文住宅で平屋を選ぶメリットは?人気の理由や二階建てとの比較も解説
家族間のコミュニケーションが取りやすく、シンプルな生活動線を実現できる間取りが、平屋の特徴です。
さらに、二階建てと比較して、メンテナンス費用や光熱費が抑えられる経済的なメリットも魅力です。
ただし、広い敷地面積が必要となる点や、建築コストが二階建てより割高になりやすいなどの課題もあります。
この記事では、平屋の特徴を二階建てとの比較を通じて詳しく解説するとともに、平屋のメリット・デメリット、デメリットを解消するための工夫などについても紹介します。
平屋の魅力を知り、最適な住まいを選ぶための参考にしてください。
目次
平屋とは?
ここでは、平屋の特徴や、人気が高まっている理由について解説します。
平屋の定義と特徴
リビングや寝室、キッチン、バスルーム、トイレなどがすべて同じフロアにあり、上下への移動が不要な構造となっています。
日本の住宅はかつて平屋が一般的でしたが、土地価格の高騰や人口増加にともない、限られた土地により多くの家を建てるため、二階建てが主流となっていきました。
現代の平屋は、昔ながらの平屋のイメージを一新する特徴を備えています。
勾配天井や大きな窓を取り入れた開放的な空間の演出や、最新の断熱技術や設備を取り入れた快適性の向上など、デザインと機能性の両面で進化しています。
さらに、平屋の最大の魅力は、あらゆる世代が快適に暮らせる住まい設計が可能な点です。
階段がないため、高齢者は上下移動の負担がなく、小さな子どもがいる家庭では階段からの転落事故の心配もありません。
家族の成長やライフステージの変化に合わせて長く住み続けられる住まいとして、平屋は理想的な選択肢となっています。
平屋が人気の理由
国土交通省の建築着工統計調査によると、平屋の着工棟数は2015年に約3万4,600棟だったものが、2024年には約6万1,300棟まで増加しました。
この数値からも、平屋への関心の高まりが見て取れます。
平屋の人気の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大にともなうリモートワークの普及が影響しています。
在宅勤務が一般化したことで、通勤時間を重視して職場に近い都心部のマンションを選ぶ必要性が低下し、代わりに郊外の広い土地に平屋を建てる選択肢が広がりました。
また、若い世代の価値観の変化も平屋人気を後押ししています。
おしゃれで個性的なデザインの平屋が増え、シンプルでゆとりのある暮らしを実現できる住まいとして注目されています。
さらに、バリアフリー性の高さは、将来の両親との同居や自身の老後を見据えた方々からも好評です。
このように、働き方の変化や将来を見据えた住環境への意識の高まりが、平屋建ての価値を再評価する動きにつながっているといえます。
平屋のメリット
ここでは、平屋ならではの6つのメリットを解説します。
平屋の6つのメリット
生活動線がシンプルで快適
そのため、日々の暮らしにおける移動や家事の負担を大きく軽減できます。
例えば、洗濯物を干すために階段を上り下りする必要や、掃除機を持って階段を移動する手間もありません。
水回りの設備もひとつのフロアにコンパクトにまとまっているため、家事の効率が格段に向上します。
特に、忙しい朝の時間帯や家事をこなす際に、平屋の動線の良さを実感できるでしょう。
家族間のコミュニケーションが活発に
小さな子どもがいる家庭では、親の目が届く範囲で遊ばせることができるため、安心して子育てできます。
また、子どもが成長して自分の部屋を持つようになっても、リビング中心の間取りであれば自然と顔を合わせる機会が増え、すれ違いを防げるでしょう。
地震や台風に強い安定した構造
建物は高ければ高いほど、地震の揺れの影響を受けやすくなります。
平屋は二階建てと比較して建物の重心が低く、地震による振動の影響を受けにくい構造となっています。
また、上からの重みが少ないため、構造の安定性が高まり、耐震性も向上します。
台風の影響を受けやすい沖縄地方では、伝統的に寄棟作りの平屋が多く見られます。
平屋は二階建てに比較して建物の高さが低く、床面積が広いことで、風の影響を受けにくいという特徴があります。
メンテナンス費用を抑えやすい
例えば、修繕費用のなかでも外壁の修繕は高額になりやすいですが、平屋は二階建てよりも施工面積が小さいため、工事費用を低く抑えることが可能です。
また、給排水管もワンフロアにまとまっていることから、点検や作業も限定的な範囲で済みます。
長期的な住宅の維持管理においても、平屋は経済的なメリットを持つ住まいとなっています。
光熱費やランニングコストの削減
二階建ての場合、暖房時は暖かい空気が二階に上がってしまい一階部分が寒くなりやすい傾向がありますが、平屋ではそのような温度差の問題はありません。
また、広い屋根を活かして太陽光発電設備を設置すれば、電気代の削減や売電収入も期待できます。
平屋は住まいの快適性を保ちながらも、日常的にかかる光熱費を抑えられる住宅構造だといえるでしょう。
バリアフリーの対応がしやすい
床の段差をなくし、通路幅を広めに確保しておけば、将来足腰が弱くなったり、車椅子が必要になったりした場合でも、大規模な改修をすることなく快適に生活を続けられます。
一方で、二階建ての場合は、バリアフリー対応のために大掛かりな改修工事が必要となり、高額な改修費用が発生する可能性があります。
平屋のデメリット
ここでは、主な5つのデメリットとその解決策について解説します。
平屋のデメリット
広い敷地が必要で土地コストが高い
また、建築基準法による建ぺい率の規制も考慮が必要です。
建ぺい率とは、敷地面積に対して建物の1階部分がどれだけの面積まで建てられるのかを定めたもので、地域ごとに上限が異なります。
例えば、建ぺい率が50%の地域では、敷地面積の半分までしか建物を建てられません。
そのため、同じ床面積の二階建てと比較すると、平屋では約2倍の土地が必要となります。
さらに、土地が広いほど固定資産税も高額になるため、将来の維持費用も含めて検討する必要があります。
建築費用が割高になる場合がある
これは、建築費用のなかでも屋根と基礎部分の施工工事が、二階建ての約2倍必要となるためです。
屋根や基礎面積が大きくなることで防水工事や断熱工事の費用も増加するため、全体的な工事費用が上昇しやすくなります。
採光や通風に課題が生じる可能性
これは、建物自体の高さが低いことで、周辺住宅の影に入りやすいためです。
季節や時間帯によっては、十分な自然光を取り入れることが難しい可能性があります。
また、高い建物に囲まれることで、空気の流れが妨げられやすいという問題も発生します。
防犯面での配慮が必要
特に夏場は暑さのために窓を開ける機会が多くなりますが、長時間の開放は防犯上避けたほうが良いでしょう。
また、庭が外に面している場合、プライバシーの確保も難しくなります。
洗濯物を干したり庭でくつろいだりなどの日常的な行動でも、外部からの視線が気になる可能性があります。
水害などのリスクが高まる可能性
二階建てに比べて床下浸水や床上浸水のリスクが高く、水害時の影響が大きくなる傾向があります。
また、浸水が発生した際の避難方法も課題です。
二階建ての場合は上の階に逃げられますが、平屋の場合はそうした選択肢がありません。
床上浸水が発生すると家全体が水浸しになってしまい、建物のなかで安全な避難場所を確保できなくなります。
平屋のデメリットを解消する工夫4選
間取りの工夫で採光と通風を改善
L字型の間取りでは、くぼんだ部分に中庭を設けることで、開放感のある空間を作り出せます。
コの字型の間取りなら、中庭を建物で囲むことでプライバシーを確保しながら、十分な自然光を取り入れることが可能です。
また、北側の部屋には複数の窓を設けたり、天窓を設置したりすることで、住宅のなかに自然光を取り入れられます。
中庭や窓の適切な位置への設置は、風の通り道を作ることになるため、通風の改善にもつながります。
セキュリティ強化で防犯対策を徹底
不審者は近隣住民や通行人の目が気になるため、敷地内の様子が分かりやすいオープンな外構にすることも防犯対策のひとつとなります。
窓や玄関扉には二重ロックを設置すると、侵入までの時間を長引かせることができ、防犯性を高められます。
特に就寝中の安全性を確保するため、これらの対策は不可欠といえるでしょう。
狭小地でも建築可能な設計アイデア
まず、屋根の下にある小屋裏を収納スペースとして有効活用することで、居住空間を確保しながら収納の問題を解決できます。
さらに、勾配天井を採用することで、天井高を確保しながら開放感のある空間を演出することも可能です。
部屋が暗いと感じる場合は、天井の高い位置に小窓を設けて採光を確保すると良いでしょう。
コストを抑える平屋の建築方法
直線的で凹凸の少ないデザインは、洗練された印象を与えながらコストダウンにもつながります。
また、導入する設備の優先順位を明確にし、必要に応じてグレードを調整することで、予算内に収められるでしょう。
無駄な動線や部屋を削り、延べ床面積を最小限に抑えることも、建築費用の削減につながります。
土地選びにおいては、郊外の比較的地価の低い地域を選択することで、土地取得費用の大幅な削減も期待できます。
平屋に適した人とは?二階建てとの比較
平屋が向いているライフスタイル
階段からの転落事故の心配がなく、親の目が届く範囲で子どもを遊ばせられます。
リビングを中心とした間取りにすることで、自然と家族の様子がわかり、コミュニケーションも活発になるでしょう。
高齢者のいる世帯では、バリアフリー対応のしやすさが平屋の強みです。
段差のない設計で、将来的に介護が必要になった場合でも、リフォームの手間や費用を最小限に抑えられます。
また、夫婦二人や単身者の場合、コンパクトな平屋で効率的な暮らしを実現できます。
屋外とのつながりを感じやすいため、庭やテラスでの時間を楽しみたい方にもおすすめです。
二階建てが適している場合
また、土地価格の高い都市部では、限られた敷地を有効活用できるという点で、平屋より二階建てのほうが効率的です。
上下に空間を広げることで、狭い敷地でも十分な居住面積を確保できます。
さらに、二階建ては、同じ延床面積の平屋と比較して基礎面積が小さく済むため、建築費用を抑えられる可能性があります。
初期費用を抑えたい場合は、平屋ではなく二階建てが適しています。
二階建てと平屋のコスト比較
しかし、メンテナンス面では平屋のほうが有利です。
二階建ての場合、外壁の塗り替えや点検などで高所作業が必要となり、その分の費用がかさみます。
税金面では、平屋は屋根や基礎部分が広いため、固定資産税評価額が高くなる傾向があります。
ただし、必要以上に豪華な設備や資材を使用せず、シンプルな造りの住宅にすることで、税負担を抑えることも可能です。
ランニングコストでは、平屋は一階のみの冷暖房で済むため、二階建てより光熱費を抑えやすい特徴があります。
また、広い屋根面積を活かして太陽光パネルを設置すれば、さらなるコスト削減も期待できます。
平屋と二階建てのコストを比較する際は、初期費用だけでなく、継続的にかかる税金やランニングコストなども考慮して検討しましょう。
自身のライフスタイルに照らし合わせて理想の住まいづくりを
階段がない分、家事動線が効率的で、家族とのコミュニケーションも活発になります。
また、構造的に安定性が高く、維持費が抑えられやすい点も特徴です。
広い敷地が必要となることや、建築コストが上がりやすいなどの課題に対しては、適切な工夫と対策によって解決可能です。
自身のライフスタイルと照らし合わせ、二階建てとの比較検討を行うことで、理想の住まいづくりを実現できるでしょう。
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