家を安く建てるコツは?費用を抑える方法やハウスメーカーの選び方を解説
この記事では、家を安く建てるための具体的な方法や、ハウスメーカーの選び方、安く建てる時に注意すべきポイントを詳しく解説します。
希望に沿った家づくりを実現し、快適な暮らしを手にするため、本記事で紹介するコスト削減のコツをぜひチェックしてください。
目次
家を建てる前に知っておきたい基礎知識
家を建てるのに必要な年収の目安
国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅を建てた人の平均世帯年収は915万円でした。これに対して、建売住宅の購入者は761万円、中古戸建て住宅は678万円となっています。
注文住宅について年収別の割合を見ると、最も多いのは600万円以上800万円未満で22.2%、次いで400万円以上600万円未満が19.1%、800万円以上1,000万円未満が17.4%でした。
このデータから、家を建てるのに必要な年収としては「400万円以上」がひとつの目安になることが分かります。
注文住宅・建売住宅・中古住宅の違い
住宅タイプ別のメリット・デメリット
住宅タイプ | メリット | デメリット |
注文住宅 | ・理想の間取りやデザインを実現できる | ・コストが高くなりやすい |
建売住宅 | ・工期が短い。早期入居が可能 | ・間取りや設備の変更が限定的 |
中古住宅 | ・最も安く購入しやすい | ・建物や設備の経年劣化がある |
しかし、その分コストが高くなり、工期も長くなる傾向があります。好みを反映させたい方や予算、時間に余裕がある方に向いているでしょう。
不動産会社などが住宅を建てて土地とセット販売する建売住宅は、工期が短く、比較的安価に購入できます。住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、所要資金(全国)は3,603万円と、土地付き注文住宅の4,903万円に比べて大幅に低いです。
ただし間取りや設備の変更が限定的で、立地も決まっているため、妥協が必要な場合があります。なるべく安く新築住宅を買いたい方や早期入居を希望する方におすすめです。
中古住宅は、通常は最も安価になります。地域や条件で異なりますが、フラット35利用者調査の所要資金は2,536万円でした。立地条件の良い物件を見つけやすいのも利点です。
一方で、建物の経年劣化や設備の古さ、間取りの制約などがデメリットとなります。予算を抑えたい方や、リフォームをする前提の方に適しています。
参考:住宅金融支援機構|2023年度フラット35利用者調査
安く家を建てられる「ローコスト住宅」とは
低価格であるほか、シンプルなため比較的工期を短くできる利点もあります。建築費を抑えることで立地の良い場所に土地を確保することも可能です。
一方、間取りやデザインの自由度が低いことや、設備や材料のグレードが低くなること、断熱性や気密性などが劣る可能性があることに注意が必要です。
ローコスト住宅のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・低価格で家を建築できる | ・間取りやデザインの自由度が低い |
安く家を建てる7つの具体的な方法
2.二階建てを選んで効率的に空間を活用する
3.屋根の勾配を抑えて建材費を節約する
4.壁を減らしてオープンスペースを確保する(間取りの工夫)
5.水回りを集約して設備費用を抑制する
6.標準仕様の採用でグレードアップ費用を節約する
7.打ち合わせ回数の最適化で時間と費用を抑える
シンプルな外観デザインで建築コストを削減する
具体的なデザイン例としては、箱型や切妻屋根が挙げられます。箱型は最もシンプルな形状で、建材の無駄がなく、施工するにも効率的です。切妻屋根は、シンプルな三角形の屋根で、雨水の排水性も良好です。
これらのデザインは、現代的でスタイリッシュな外観を実現しつつ、コストを抑えることも可能にします。
二階建てを選んで効率的に空間を活用する
屋根の面積も小さくなるため、屋根材を購入するコストを抑えることも可能です。
二階建ては限られた敷地でも居住空間を確保できるため、庭やカーポートなども設置しやすくなるメリットもあります。敷地に余裕が生まれて将来的な拡張性も高くなるでしょう。
三階建てとの比較では、木造二階建てなら構造計算が不要になるのも利点です。ただし、二階建ては平屋には必要のない階段を設置することになり、バリアフリー性に欠ける面があります。体力が落ちる高齢者には不便さがあることも意識するのが大切です。
屋根の勾配を抑えて建材費を節約する
勾配の選択は地域の気候に応じて行うことが重要です。積雪の多い地域では雪を積もりにくくするため急勾配が推奨されますが、雪の少ない地域では緩い勾配でも問題ありません。
勾配を抑えることで、材料費と施工費の両面でコスト削減が可能となり、全体的な経済性が向上します。
壁を減らしてオープンスペースを確保する(間取りの工夫)
オープンスペースには、コスト削減以外にもメリットがあります。自然光が家全体に行き渡りやすくなり、明るく開放的な空間が生まれます。通風も良い上、家族間のコミュニケーションも促進されやすく、一体感のある暮らしが実現できるでしょう。
水回りを集約して設備費用を抑制する
2階以上に水回りを設置する場合は、1階の水回りの真上に配置すれば縦方向の配管が短くなってコスト節減効果は大きくなるでしょう。
ただし、水回りの集約にはデメリットもあります。家族が多い場合、朝に身支度する際や夜の入浴時などに水回り付近が混雑する可能性があります。
間取りによっては生活動線が不便になることもあるため、家族構成や生活スタイルを考慮し、利便性とコストのバランスを取ることが重要です。
標準仕様を選んでグレードアップ費用を節約する
多くの場合、十分な品質が得られますが、キッチンや断熱性能など、日常生活に大きく影響する部分では、必要に応じてグレードアップを考えるのも良いでしょう。
例えば、システムキッチンを設置する場合、素材やデザイン、機能などで価格が大きく変わり、50万円ほどの製品から100万円台後半のものまで幅があります。
フローリングの場合も、複合フローリングなら1平方メートル当たり5,000円程度からですが、無垢材は1万円程度からです。
複合フローリングは集成材や合板の上に天然木や化粧シートなどを薄く張ってコストを抑えたもので、費用と快適さの両立を可能にします。
打ち合わせ回数の最適化で時間と費用を抑える
効率的な打ち合わせを行うためには、事前準備が重要です。家族内で間取りや設備の希望を話し合って優先順位を決めておくことや、毎回打ち合わせ内容を記録して問題点を明確にしておくことなどで、スムーズに進められるでしょう。
近年は、オンラインを活用した打ち合わせも広がっています。移動時間の削減や資料の共有のしやすさなどメリットも多く、対面と適切に組み合わせることで、さらなる効率化が期待できます。
安く家を建てるハウスメーカーの選び方
・アフターサービスの充実度を確認
・セミオーダープランや規格住宅の有無を比較
・複数のハウスメーカーから見積もりを取得
標準仕様のクオリティをチェック
チェックすべき主なポイントは以下のとおりです。
・断熱性能
・使用建材の質
・地盤工事の内容
・浴室、キッチン、トイレなど設備のグレード
・外観・内装の選択肢
・外構工事の範囲
・間取りの自由度
カタログや仕様書の内容を他社と比較することも有効です。見積もり依頼時には、標準仕様をベースに作成してもらい、必要に応じてオプションを検討するのがおすすめです。
アフターサービスの充実度を確認
具体的なサービス内容を比較するため、ハウスメーカーの提供する保証書やサービス案内を詳細に検討しましょう。例えば、構造躯体の保証期間が10年なのか20年なのか、設備の保証はどこまで及ぶのかなどを比較します。
定期点検が無料で行われる回数や、その後の有料点検の費用なども重要です。住宅は適切にメンテナンスすることで劣化を抑え、修繕費用を減らせます。結果として将来的な資産価値の維持にもつながるでしょう。
セミオーダープランや規格住宅の有無を比較
セミオーダープランや規格住宅は、完全オーダーメイドの家とは異なり、あらかじめ用意されたデザインや間取りの中から好みのものを選択し、部分的にカスタマイズできるシステムです。
設計期間が短縮され、材料も大量に発注できるので、全体的なコストを抑えられます。
完全オーダーメイドほどの自由度はありませんが、ある程度自分好みの家を実現できます。個性的な家を求めつつも予算を抑えたい方におすすめです。
複数のハウスメーカーから見積もりを取得
見積もりを取る方法は主に2つあります。ひとつは住宅展示場に行くことです。一度に複数のモデルハウスを見学でき、各社の特徴を直接比べられます。
このほかオンライン見積もりサービスを利用することで、時間や場所を問わず、手軽に情報を集められます。
見積もりを比べる際に注意する主なポイントは次のとおりです。
・標準仕様の内容
・オプションの価格
・保証内容
・アフターサービス
・工法や工期
家を安く建てる際の注意点とリスク管理
・収納スペースの確保と工夫
・将来のライフスタイル変化を見据えた設計
・品質と安全性のバランスを保つ重要性
ランニングコストを考慮した設計選択
例えば、高性能な断熱材を使うと初期費用は高くなりますが、長い目で見ると光熱費が少なく済むため、結果的に元が取れる可能性があります。
このほかランニングコストを抑える方法には、省エネ性能の高い設備を選ぶことや、太陽光発電システムの設置、効率の良い換気システムの導入などがあります。
初期投資は増えますが、長期的な節約となる可能性が高まります。家づくりでは、目先の費用だけでなく、将来の支出も考慮して計画を立てることが重要です。
収納スペースの確保と工夫
お金をかけずに収納を増やすには、造り付けの収納を作ったり、階段下のスペースを活用したりする方法があります。ロフトの利用や、壁収納もおすすめです。家を建てるときに一緒に作れば、後から付け足すより安く済みます。
収納を計画する時は、家族構成や子どもの年齢、生活スタイルなどを考慮することが大切です。子育て世帯では、子どもの成長に合わせて収納の使い方が変わります。将来の変化も想像しながら柔軟に使える収納を作りましょう。
将来のライフスタイル変化を見据えた設計
子どもの誕生、成長、独立、そして老後の生活など、家族構成やニーズの変化に応じて、理想の住空間も変わります。
フレキシブルな間取りを実現する方法としては、可動式間仕切りの採用が効果的です。必要に応じて部屋を分割したり、広い空間を作ったりすることが可能になります。
将来的なリフォームを見越し、配管や電気配線の位置を考慮したり、十分な天井高を確保したりすることが重要です。建築当初からリフォームを想定すれば、将来のリフォームにかかるコストと手間を大幅に軽減できます。
品質と安全性のバランスを保つ重要性
建築費を節約したいからといって、構造や防水など家の重要な部分で手を抜くのは危険です。費用を抑えながらも、家の基本的な品質を確保する方法を知っておく必要があります。役立つのが、第三者機関による品質チェックです。
例えば、「住宅性能表示制度」があります。これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度です。構造耐力、省エネ性能、遮音性能など家の品質を共通基準で公平に評価します。
このような制度も生かせば、安さだけでなく品質も確かな家を選べます。
費用を抑えつつ快適な住まいを実現するテクニック
・DIYで可能な内装仕上げの選択
・エネルギー効率を考慮した設備選び
・地域の特性を活かした家づくり
デッドスペースを活用した収納アイデア
工事をプロに依頼する場合、階段下収納なら下地や扉などで10万円前後、屋根裏は広さによって異なりますが数十万円かかることもあります。DIYなら材料費だけで済みますが、技術と時間が必要です。
デッドスペースを有効活用すれば、家全体の収納力と快適性が大きく向上します。プロに依頼するかDIYに取り組むかは予算や使える時間を考慮して決めましょう。
DIYで可能な内装仕上げの選択
ただし、DIYには注意点もあります。例えば壁紙張替えの場合、空気を抜きながら丁寧に貼る技術が必要です。塗装をするにしても、下地処理や適切な塗料の選択が重要になります。
細かい作業が苦手な方や、電気や配管に関わる作業が必要なケースではプロに依頼するのが無難でしょう。
DIYは費用削減だけでなく、自分だけの空間を生み出す楽しみもあります。ご自身の技術と時間を考慮し、難易度の高い作業や安全性に関わる部分はプロに任せるなど適切に判断し、安全かつ満足度の高い内装仕上げを実現してください。
エネルギー効率を考慮した設備選び
具体例として、エネルギー消費を大幅に削減する高効率給湯器(エコキュート、エコジョーズなど)があります。例えばエコキュートは空気中の熱を利用して効率的にお湯を沸かします。
また、LED照明も消費電力が少なく、寿命が長いため、電気代と交換コストを削減できるでしょう。
エネルギー効率の高い設備を導入すると、優遇措置を利用できるのも利点です。例えば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)認定を受けると、最大140万円の補助金を受け取れます。
ZEH住宅は、省エネとエネルギー生成を組み合わせてエネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指します。再生可能エネルギーの導入など一定基準を満たすことで補助を受けられる制度です。住宅ローン減税などの負担軽減措置もあります。
地域の特性を活かした家づくり
こうした地域特性に合わせた設計は、エネルギー効率を高め、維持費の削減にもつながります。
地域の建材や職人を活用することで、輸送コストや人件費も抑えやすくなるでしょう。地元の素材は気候への適応性が高く、地元の職人はその地域特有の技術に長けているため、質の高い施工が期待できます。
家を安く建てる方法を理解して、理想の住まいを手に入れよう
コスト削減と品質のバランスを保ち、将来のライフスタイルの変化も考慮することで、さらに理想の住まいに近づけられるでしょう。施工を担うハウスメーカー選びも大切です。標準仕様やアフターサービスなどの入念な確認が欠かせません。
オリコンのハウスメーカー 注文住宅ランキングは、55社のハウスメーカーを評価するサービスです。実際の利用者へのアンケートで得た満足度に関する回答を基にしています。総合満足度だけでなく、地域や年代、アフターサービスなど多様な視点で評価しているのが特徴です。理想の住まいを実現させるため、ハウスメーカー選びの際には利用者の口コミも確認できるオリコンのランキングをぜひご活用ください。