床下の断熱材はいらない?床下断熱リフォームの必要性や効果を解説
確かに、住宅の構造や地域の気候によっては、必ずしも必要ない場合もあります。
しかし、床下断熱には、冬の寒さを和らげて暖房効率を高める効果があります。
そのため、寒冷地の住宅や築年数が経過した建物では、日々の暮らしやすさに大きな影響を与える設備といえるでしょう。
本記事では、床下断熱材が不要とされる理由や、導入することで得られる効果、適切な断熱材の選び方などを詳しく解説します。
また、断熱材以外の室温対策もあわせて紹介しますので、快適で省エネな住まいづくりの参考にしてください。
目次
床下の断熱材がいらないと言われる理由
1つ目の理由は、シロアリやカビの被害リスクです。
とりわけ建物の基礎部分を断熱材で覆う「基礎断熱工法」を採用した場合、シロアリが断熱材の内部を通って移動するため存在に気付きにくく、被害の発見が遅れる可能性があります。
さらに、床下の水はけや通気性が悪く、湿気が溜まりやすい環境になっていると、カビも発生しやすくなります。
2つ目の理由は、地域性による床下断熱材の必要性の違いです。
比較的温暖な地域の住居では、床下から冷気の影響を受けにくいため、床下断熱材を設置する優先度は低くなります。
3つ目は、既存の断熱性能との関係です。
すでに壁や屋根、窓などに十分な断熱対策が施されている住宅の場合、床下からの冷気の影響は限定的となります。
そのため、初期費用やメンテナンスの手間を考慮すると、既存設備の断熱性能向上を優先したほうが効率的な場合もあるでしょう。
しかしながら、寒冷地や暑熱地の住宅、古い建物、高床式住居などでは、床下断熱材による大きな効果が期待できます。
特に築年数が経過した住宅では、断熱性能が不足していることが多く、床下断熱材の導入で快適性の大幅な向上が期待できます。
また、シロアリやカビの問題についても、適切な対策を講じることで回避が可能です。
例えば、防蟻処理された断熱材の使用や、基礎周りへの防蟻薬剤注入パイプの設置により、シロアリ被害を防げます。
カビ対策には、湿気を排出する断熱換気口の設置が有効です。
このように床下断熱材の必要性は、住宅の立地や構造、既存の断熱状況などから総合的に判断する必要があります。
最適な断熱対策を検討するためには、専門家による現地調査をおすすめします。
床下断熱で期待できる効果
ここでは、床下断熱を施工することで得られる効果について詳しく説明します。
床下断熱で得られる3つの効果
暖房効率向上による暖房費の削減
断熱性の低い住宅では、暖房を使用しても室温の上昇に時間がかかりますが、床下断熱により暖房効率が改善されます。
暖房の効きが良くなることで、暖房器具の稼働時間を抑えられ、結果として光熱費の節約にもつながります。
室内温度の安定による快適さの実現
冬場でも室温の上下差が小さくなり、より快適な住環境を実現できます。
室内の温度変化が緩やかになることで、急激な血圧上昇を防ぎ、循環器疾患の発症リスク低減が期待できます。
特に、温度変化の影響を受けやすい高齢者や小さなお子さまがいる家庭では、安定した室温を保つことで家族全員が快適に過ごせる環境をつくれるでしょう。
結露によるカビの発生を防止
床下の湿気が軽減されると、カビの発生も防止できます。
その結果、住宅性能や耐久性が維持され、快適な住環境を長く保てるでしょう。
ただし、基礎断熱工法を採用した住宅では、完成後1〜2年はカビが発生しやすい傾向にあります。
この課題に対しては、断熱換気口を設置して湿気を効率的に排出することで解決できます。
床下断熱がおすすめのケースとは?
特に寒冷地の住宅では、床下からの冷気の影響が大きいため、床下断熱材の導入で室内の温度が安定し、暖房効率も向上するでしょう。
築年数が経過した住宅も、床下断熱材の導入検討をおすすめします。
古い住宅は、一般的に断熱性能が現代の基準と比べて不十分です。
なかでも木造住宅は、床の隙間から冷気を含んだ隙間風が室内に侵入しやすい構造になっています。
これは「根太工法」と呼ばれる、根太の上に直接フローリングの床板を貼る工法が採用されていることが多いためです。
このような住宅では、床下断熱材の導入により快適性が大きく改善されます。
さらに、高床式住居でも床下断熱材は高い効果を発揮します。
この形式の住居は床下空間が広く、外気の影響を直接受けやすい構造です。
床下断熱材を施工することにより、床下と室内の温度差を緩和する効果が期待できます。
なお、専門業者による現地調査を実施することで、より正確に床下断熱の必要性を判断できます。
断熱性能の診断結果に基づき、住宅の特性に合わせた最適な断熱対策を選択できるでしょう。
床下断熱材の種類と選び方
断熱材ごとの特徴を理解し、自宅の状況に最適な選択をすることで、期待に合う断熱対策が得られます。
断熱材の種類 | 主な特徴 | 適している条件 |
グラスウール | ・耐久性と耐火性に優れている | ・コスト重視の場合 |
セルローズファイバー | ・断熱欠損が起きにくい | ・高い断熱性能が求められる場合 |
発泡ウレタンフォーム | ・断熱欠損が起きにくい | ・複雑な形状の床下 |
ポリスチレンフォーム | ・湿気に強い | ・コスト重視の場合 |
素材によって特徴が異なるため、自宅の状況や優先したい点に応じて最適な選択が変わってきます。
価格を重視する場合は、グラスウールやポリスチレンフォームが適しています。
一方で、性能を重視する場合はセルローズファイバーの検討がおすすめです。
初期投資は多少高くなりますが、優れた断熱効果により長期的な光熱費の削減が期待できます。
なお、断熱の考え方や得意分野は施工業者によって異なります。
複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することで、自宅の状況に最適な断熱材を見つけられるでしょう。
床下断熱の施工法の種類と選び方
施工法の種類 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
床断熱工法 | 住宅の1階部分の床下に直接断熱材を敷き詰める施工方法 | ・床下からの冷気遮断効果が高い ・床下の換気が確保でき、カビやシロアリの発生を抑えやすい |
・気密性が低く、冷気が入りやすい ・室内温度が安定しにくい場合がある ・全館空調システムの導入が難しい |
基礎断熱工法 | 建物の外周に面した基礎の立ち上がりに断熱材を施工する工法 | ・気密性が高く、断熱効果が優れている ・冬場の水道管凍結を防ぎやすい ・床下エアコンや全館空調システムを導入しやすい |
・シロアリが断熱材内部を通って柱や屋根に到達しやすい ・結露によるカビ被害が発生しやすい ・被害の発見が遅れやすい |
シロアリ被害のリスクが高い地域では床断熱工法が適しており、断熱性能が求められる厳寒地域では基礎断熱工法が効果を発揮します。
また、全館空調システムの導入予定がある場合は基礎断熱工法がおすすめです。
メンテナンスのしやすさを重視する方や、シロアリやカビの被害が心配な方は、床下の状況を目視で確認できる床断熱工法を選択すると良いでしょう。
床下断熱以外の室内温度対策
床暖房や断熱マットの導入
相応の工事費用がかかるため、導入の際は予算をしっかり検討する必要があります。
手軽な対策として、断熱マットやカーペットを敷くのがおすすめです。
床下からの冷気を遮断し、室内温度を維持しやすくなります。
断熱マットは価格も手頃で入手しやすいため、すぐに実践できる対策として役立ちます。さらに、デザイン性の高いカーペットを選べば、インテリアとしても活用できるでしょう。
窓や壁・天井の断熱対策
例えば、二重窓の設置や断熱シートの活用により外気の影響を抑えられ、室内の温度を保ちやすくなります。
また、壁や天井の古くなった断熱材を新しいものに交換したり追加したりすることで、建物全体の断熱性能が向上します。
いくつかの対策を組み合わせて実行することで、床下断熱材を使用しなくても、今より快適な住環境が実現できるでしょう。
床下断熱はハウスメーカーに相談しよう
断熱材の必要性は住宅の立地や構造によって大きく異なるため、信頼できる事業者に相談することをおすすめします。
プロの目線で最適な断熱プランを提案してもらうことで、無駄のない効果的な断熱対策が可能になります。
長年の経験と実績を持つハウスメーカーなら、あなたの住宅に最適な選択肢を示してくれるでしょう。
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