住宅ローン審査の基準とは?通らない理由と対策を解説!審査の流れや必要書類も
この記事では、住宅ローンの審査の流れ、審査基準、準備が必要な書類、通過するためのポイントなど、住宅ローン借入の申し込み・審査をスムーズに行うための情報を説明しています。さらに記事の後半では、審査に落ちた場合に考えられる理由や、落ちた場合の対処法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローン審査とは?
返済能力や物件の担保価値を鑑みずに融資をしてしまうと、返済期間中に返済が滞る利用者が多く出る可能性が否定できません。そうなると、最終的には金融機関が損害を被るおそれが出てくるため、審査を行い、返済能力や物件の担保価値が一定水準に達しているかを確認します。
なお、審査では主に次のような内容について確認し、借入の可否を判断します。
・本人確認
・経済状況
・物件の担保価値
住宅ローン審査の流れと注意点
ここでは、住宅ローン審査の一般的な流れや審査にかかる期間・注意点について解説しますが、銀行などの金融機関や個々の事例によって細かい部分は異なるので、あくまで参考程度に考えてください。
1. 申し込み条件を確認し、審査申し込み
例えば、みずほ銀行の「みずほネット住宅ローン」の場合、利用条件は以下のようになっています(2024年8月20時点)。
□満18歳以上71歳未満で、最終返済時の年齢が満81歳未満
□同行が契約する団体信用生命保険に加入できる
□安定した収入がある
□保証会社の保証が受けられる
□日本国籍である(外国籍の場合は永住許可を受けている)
※みずほ銀行「みずほネット住宅ローン商品概要」
主な申し込み方法は以下のとおりです。
□店頭
□郵送
□オンライン申し込み
2. 事前審査(仮審査)
□本人確認書類:運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など
□収入を確認できる書類:源泉徴収票・確定申告書(過去3年分)・納税証明書
□物件に関する書類:物件概要書やパンフレット、間取り図など
3. 本審査(正式審査)
なお、健康状態は団体信用生命保険(団信)加入のために精査されます。
また、保証会社による保証を受ける場合、保証会社の審査にも通過しないといけません。結果がわかるまでの期間はだいたい1〜2週間程度ですが、審査の状況次第では1ヵ月以上かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
なお、以下の書類が必要になるため、抜け・もれがないように用意しましょう。
□本人確認書類:マイナンバーカードなど
□収入証明書:源泉徴収票など
□印鑑証明書
□世帯全員分の住民票の写し
□不動産に関する書類:売買契約書・重要事項説明書・工事請負契約書・パンフレット・確認済証の写し・登記簿謄本など
□他のローンの状況がわかる書類(ある場合、最新の返済予定表を用意)
4. 借入の契約
□住宅ローン契約書等
□抵当権設定契約証書
□委任状
□契約者及び連帯保証人の印鑑登録証明書
審査にかかる期間
全体としては2〜4週間程度ですが、書類の不備があったり、審査が混みあっていたりした場合は長期化するので注意してください。引っ越しをしたい時期が決まっているなら、いつごろまでに申し込み、審査に進めれば問題ないかを不動産会社やハウスメーカーの担当者に確認しておきましょう。
審査の流れにおける注意点
具体的には、以下の点に注意してみましょう。
・書類の不備をなくす
・担当者と適宜コミュニケーションを取る
・郵送なしの申し込み、審査、契約が可能な金融機関を選ぶ
仮に、書類の不備があったら確認の時間がかかる分、審査が完了し、契約に至るまで時間がかかります。書類の抜け・もれがないよう、担当者と適宜コミュニケーションを取り、問題がない状態で申し込みをしましょう。
また、書類を郵送すると到着まで先に進まないので、郵送無しで申し込み、審査、契約が可能な金融機関を選ぶのも一つの手です。
住宅ローン審査の基準
年齢
勤務状況、勤務先の情報
健康状態
返済負担率
個人信用情報
購入を予定している物件の担保評価
申告内容に不一致がないか
住宅ローン審査に必要な書類一覧
事前審査に必要な書類
本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証、住民票などを指します。 |
所得証明書 | 年収を証明する書類のことです。 |
物件関連書類 | 物件関連書類とは購入しようとする物件の情報がわかる書類のことで、販売用パンフレットや間取り図などが該当します。 |
その他の書類 | マイカーローンや教育ローンなど、他に組んでいるローンがあるなら、そのローンの残高証明書や返済予定表を用意しましょう。 |
本審査に必要な書類
申し込みに関する書類 | 金融機関から指示があるので、必要事項を記入して提出しましょう。 |
勤務先を示す書類 | 勤務先を法的に証明するものとして、健康保険証を提出します。 |
家族に関する書類 | 同居する家族に関する書類として住民票の写しが必要になります。 |
購入物件に関する書類 | どのような物件を購入するのか証明するための書類です。 |
印鑑証明書 | 印鑑(実印)が本人のものであると証明する公的な書類です。 |
住宅ローンの審査に落ちる理由
そこで、ここでは国土交通省の「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を元に、9割以上の金融機関が審査項目として見ている点を審査で重視されるポイントとして、落ちる理由について考えてみましょう。
※参照「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
完済時の年齢が高い
完済時の年齢が高いほど、収入が減ったり、病気や介護などの理由で出費がかさんだりして、収入を返済に回せなくなるリスクが高くなるため、審査通過可能性が下がることもあり得ます。
ただし、借り入れ時の年齢が20代など若い場合、転職・退職など将来的な見通しが不安定と判断されることもあるので、若いから有利とまではいえません。あくまで審査における1つの要素であるため、なるべく早い段階で完済することを前提に相談してみましょう。
健康状態のリスクが高い
しかし、生命保険である以上、健康リスクが高いと判断された場合は団信の加入を拒否され、結果として住宅ローンの審査にも通過できません。
なお、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利制の「フラット35」は団信の加入が必須ではないので必要に応じて検討しても良いでしょう。
過去にクレジットカード払いの支払い遅延をしている
このようなトラブルを起こすということは、期限どおりに返済してくれない可能性が高い利用者であると判断され、審査において非常に不利になります。
なお、個人としての信用取引の利用履歴=個人信用情報は、信用情報機関と呼ばれる会社・団体がデータベースとしてまとめており、住宅ローンの審査においても照会が行われる仕組みです。手数料はかかりますが、自分の信用情報を確認することもできるので、事前に済ませておくと良いでしょう。
購入物件の担保価値が低い
前述したように、万が一何らかの理由で住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関は抵当権を実行し、対象となった家を競売にかけます。競売で得られた金銭を住宅ローンの回収に充てますが、物件の担保価値が低いと、全額を回収することはできません。
そのため、担保価値が低く、競売しても得られる金銭があまり多くないと判断されると、審査落ちの原因になります。
返済負担率を高く設定している
一般的には返済負担率25%〜35%程度が望ましいとされています。例えば、年収が600万円なら、年間の返済額が150万円〜210万円程度になるのが目安です。
各金融機関のWEBサイトで提供されている住宅ローンの返済シミュレーションを活用して、希望の借入額と返済負担率のバランスをチェックしてみましょう。
ただし、この数値を計算する際は、住宅ローンだけではなく、その他のローンも含まれるため、その他のローンの残高が多いと審査においては不利になります。
勤続年数が短い・雇用状況が不安定
これらの場合、収入の見通しが不安定であるとみなされるため、可能であれば転職したばかりのタイミングでの申し込みは避けましょう。
事前審査と本審査の申告内容が一致しない
・事前審査の提出書類と収入の記載が異なる
・返済中のローンに関する申告漏れ
事前審査と本審査の内容は一致させるのが大前提ですが、何らかの事情で一致しない事態に至った場合は早めに金融機関の担当者に事情を離しましょう。
住宅ローン審査に通るための準備と対策
自己資金を増やす
他のローンの返済を済ませる
返済負担率を下げるためには、他のローンをできるだけ返済しておくのが有効ですが、金額が大きいものから返済していくとさらに効果が高まります。
書類の不一致などの不備をなくす
住宅ローン審査に通らなかった場合の対処法
他の金融機関に審査を申し込む
また、審査落ちの可能性も見越して、最初から複数の金融機関に住宅ローンの申し込みをしておくのも選択肢の1つです。
条件を見直して再審査を申し込む
ただし、この場合は申し込みする場合には、審査で通らなかった懸念点を解消することが前提です。
条件が全く同じ状態で再度審査に臨んでも難しい点に注意してください。
また、再申し込みには半年以上などある程度期間をあけて臨むと良いでしょう。
フラット35を検討する
住宅金融支援機構自体が目的の1つに「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与」することを掲げているため、民間の金融機関の住宅ローンが使いづらい場合でも申し込みがしやすくなっています。
フラット35は以下の点が大きな特徴ですので、審査落ちした場合は検討してみましょう。
・団信加入が必須ではない
・雇用形態や勤続年数の制限がない
・連帯保証料が不要
ペアローンや連帯債務・連帯保証を検討する
ペアローンとは、夫婦で別々にローンを組み、それぞれが返済していく方法です。
一方、収入合算とは2人の年収を足して借入額を決める方式で、2人が返済義務を負う「連帯債務」とどちらか一方を主債務者とし、もう一方は連帯保証人として主債務者が返済できなくなった場合に備える「連帯保証」に細分可能です。
ただし、それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、しっかり理解したうえで検討しましょう。
専門家へ相談する
審査に通るためには事前準備が必要
自分の現在・今後の収入から見て無理がない金額を借りるだけではなく、書類の抜け・もれに気を付けたり、申し込み先を厳選したりなどして対策しましょう。
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