住宅ローンの種類と特徴は?金利タイプやペアローンなど選び方を解説
ここでは、住宅ローンの種類とそれぞれの特徴やメリット・リスクを解説します。さらに記事の後半では、住宅ローンを選ぶ際のポイントも紹介。住宅ローンを検討する際にぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンとは
住宅ローン借入先の種類と特徴
■民間の金融機関(銀行など)
■フラット35
■公的金融機関
それぞれの借入先にはメリット・デメリットがありますので特徴を比較した上で、自分に合った住宅ローンを選びましょう。
民間の金融機関(銀行など)
これらの民間金融機関で住宅ローンを組むことのメリットは、以下の通りです。
・金利タイプの選択肢が多い
・団信の保障内容が充実している金融機関もある
・既に口座が開設されている場合、金利が優遇されることもある
一方で、民間金融機関で住宅ローンを利用する場合には、次のようなデメリットもあります。
・団信への加入が必須(健康状態に不安がある場合は難しい)
・フラット35と比べ、審査が厳しい傾向にある
フラット35(民間金融機関との提携)
フラット35を利用する場合、提携する金融機関が窓口となり、申し込み手続きや審査はその金融機関経由で行うことになります。金融機関によって手数料や金利設定が異なるため、検討時に複数社を比較するようにしましょう。
フラット35のメリットは、以下の通りです。
・返済期間中、ずっと金利が固定のため金利上昇リスクの不安がない
・保証料、保証人が不要
・繰上返済手数料が無料
・団信の加入が必須ではない(健康状態に不安があっても入れる)
・審査基準が比較的緩やかとされる
・つなぎ融資を利用できる(金融機関によっては不可)
一方、フラット35のデメリットは以下の通りです。
・購入する住宅が、所定の基準を満たさないと利用できない
・現状の金利設定のままだと、変動金利よりも高い傾向にある
公的融資
財形住宅融資
財形住宅投資のメリットは以下の通りです。
・金利が低い傾向にある
・審査基準が民間ローンに比べて厳しくない
ただし、利用するには以下の条件を満たす必要があります。
・勤務先で財形貯蓄を1年以上続けている
・申込2年以内に財形貯蓄の預入を行っている
・申し込み段階で50万円以上の貯蓄残高がある
自治体融資
自治体融資のメリットは以下の通りです。
・金利が低い傾向にある
一方、自治体融資のデメリットは以下の通りです。
・予算がなくなると受付終了するなど、必ずしも利用できるわけではない
・住宅にかかわる融資はあっても、新築は対象外の場合がある
金利タイプと特徴
ただし、どちらが良い、悪いという話ではありません。それぞれにメリット・デメリットがありますので自分に合った金利タイプを選ぶことが大切です。
そもそも金利とは?
住宅ローンの毎月の返済額は、「元金」と「利息」で構成されています。金利とは、元金に対する利息の割合を指します。
金利は通常、年間利率として表示されるので、元金に金利をかけ、その数値を12で割ることで月々の利息を算出できます。
金利設定が低いほど、利息の支払いが少なくなるというわけです。
変動金利
原則として、半年ごとに適用される金利が見直されます。ただし、返済額が急激に増額して家計を圧迫することがないように、多くの金融機関では、「5年ルール」と「125%ルール」の2つの制限を設けています。
金利が上昇しても5年間は毎年の返済額が変わらないというルール
125%ルール
6年目からの毎月の返済額が、今までの返済額に対し125%の金額までしか上がらないというルール
・低金利が続けば返済総額が少なくなる(現状、固定金利よりも金利が低い)
一方、デメリットは以下の通りです。
・金利動向によって返済額が変動するため、返済プランの見通しが立てづらい
・金利上昇時に、未払い利息が生じるリスクがある
未払い利息とは、本来支払うはずの利息が実際の返済額を上回ってしまうことです。「5年ルール」「125%ルール」は金利上昇時に返済負担の増加を防ぐ一方で、未払い利息のリスクを生じさせることに注意が必要です。
変動金利タイプの住宅ローンには、こうした金利上昇のリスクがあるため、金利が上がっても比較的影響が少ないことや、金利上昇時に対処できる人が向いているといえるでしょう。具体的な例として、以下に該当する人が挙げられます。
・比較的短期間で返済できるローンを借り入れている
・金利が上昇した局面では、繰り上げ返済を実施するなどのリスク管理ができる人
固定金利(固定期間選択型)
固定金利(固定期間選択型)のメリットは、以下の通りです。
・ライフプランに合わせた返済計画を立てやすい
出費がかさみそうな時期を固定金利にして、返済プランを安定化させることができます。子育てが終わるまでは固定金利期間とし、独立したタイミング以降は変動金利期間とするなど、自分たちのライフプランに合わせて金利タイプを選ぶことができます。
一方、固定金利期間選択型のデメリットは、以下の通りです。
・固定金利期間は金利タイプの変更ができない場合もある
・固定金利期間終了後の金利動向によっては、金利が上昇する場合がある
最初の固定期間終了後に再び固定金利を選択する際には、新しく選択したタイミングでの金利が適用されます。ですので、金利上昇の局面で固定期間が終了した場合に、再び固定金利を選んでも高い金利が適用されることに注意が必要です。
固定金利(全期間固定型)
固定金利(全期間固定型)のメリットは以下の通りです。
・金利上昇により返済額が変わるリスクがない
・契約時に返済額が決まるので返済計画の見通しが立てやすい
固定金利(全期間固定型)は契約時点で、ある程度将来の返済額の見通しが立ちやすい金利タイプです。そのため安定した返済計画を立てることを重視している方に向いているといえます。
子育てや介護、自分や家族の病気や勤務先などの状況により、大幅な出費増・収入減が起きる可能性はゼロではありません。固定金利なら、最初に無理のない返済プランを立てることで、返済額の負担が大きくなって家計が苦しくなるというリスクを減らすことが可能です。
一方、固定金利(全期間固定型)のデメリットは以下の通りです。
・変動金利よりも金利が高めな傾向にある
固定金利は変動金利よりも金利が高めに設定されています。金利上昇が発生しなかった場合には、支払い額が相対的に高くなることにも注意が必要です。
金利タイプを組み合わせるミックスローンも
異なる金利タイプを組み合わせることで、金利変動のリスクを抑えられるというメリットがあります。ただし、住宅ローンを2種類利用することになるため、手数料などの諸費用がかかるうえに、書類準備が面倒であることに注意が必要です。
返済方法の種類と選び方
元利均等返済
元利均等返済のメリットとして、金利が上昇しても支払い額が変動しないため返済プランが立てやすいことが挙げられます。
ただし、返済期間の最初の方は、利息の割合が大きく元金の減りが緩やかであり、最初の数年は利息の支払いが中心となるため、総返済額が大きくなりがちであることがデメリットです。
元金均等返済
返済当初から元金部分を支払うことができ、元金減少が早くなることから、同じ借入期間で考えると、総返済額が少なくなるのがメリットです。
ただし、返済初期の支払負担が大きくなることには注意しないといけません。初期の返済負担を考慮した返済計画を立てることが重要でしょう。
収入合算とペアローンの違い
収入合算(連帯保証型)
収入合算(連帯保証型)のメリットは以下の通りです。
・主たる借入者の信用力を補強できる
・主たる借入者の返済能力を基にした計画を立てるため、返済管理がしやすい
収入合算によって、主たる借入者の借入可能額が増加し、より高額な物件の購入が可能になります。また、主たる借入者の返済能力を基にした計画を立てるため、管理がしやすくなります。
一方、デメリットは以下の通りです。
・借入者が返済不能となった場合、連帯保証人が代わりに払わないといけない
・住宅ローン控除は主たる借入者しか利用できない
収入合算(連帯保証型)では、連帯保証人は借入者と同等の責任を負うため、万が一借入者が返済できなくなった場合、代わりに支払い義務が発生します。また、連帯保証人には住宅ローン控除の適用がないため、税制優遇を受けられるのは主たる借入者のみです。
収入合算(連帯債務型)
収入合算(連帯債務型)のメリットとして、以下の点が挙げられます。
・収入を合算することで、より大きな額を借りられる可能性が出てくる
・両者が共同で返済計画を立てられるため、返済負担の分散が可能
・住宅ローンが1つで済む(ペアローンだと2つの住宅ローン)
一方、収入合算(連帯債務型)のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
・一方が返済不能となった場合、もう一方に大きな負担がかかる
・ローン返済を肩代わりすると、贈与税の対象となる可能性がある
収入合算(連帯債務型)では、どちらか一方が返済不能となった場合、もう一方が全額を負担する可能性があり、経済的な負担が大きくなります。また、一方がもう一方のローン返済を肩代わりした際に贈与とみなされると、贈与税が課税される可能性もあります。具体的な状況により異なりますが、借入を検討する際には注意しましょう。
ペアローン
ペアローンのメリットは以下の通りです。
・個別にローンを組むので、それぞれの信用力を活かせる。
・合算するよりも高い額を借りられる可能性がある
ペアローンでは、各自の信用力を利用して、より大きな額を借りられる可能性があります。また、各々の収入や信用を元に借入額が増える場合があることがペアローンのメリットです。
一方、ペアローンのデメリットは以下の通りです。
・各々が別々のローン契約を結ぶため、手続きが複雑になる
・それぞれに手数料や保証料が発生する可能性があり、コストがかさむ
・各ローンの金利や条件が異なる場合があるので個別に対応が必要
個別にローンを組むため、契約手続きが複雑になることはペアローンのデメリットでしょう。さらにローン契約が2つあるため、それぞれに手数料や保証料が発生する可能性もでてきます。また、異なる条件や金利で契約する場合、返済計画の管理もそれぞれで行う必要があることも注意が必要です。
住宅ローン選びのポイント
金利タイプはリスクへの許容を考えて選ぶ
例えば、安定した返済プランを優先させたい場合は固定金利が向いているでしょう。一方、金利上昇のリスクを許容できる場合は、金利設定が低めの変動金利を利用するなど、リスク許容や優先事項を考えたうえで選びましょう。
借入額の設定は「頭金の額」「毎月の返済額」の2点を考慮する
頭金の額は、できる範囲で多めに準備することで、借入額(借入元本)を減らすことができ、毎月の返済負担を軽減できます。
また、無理なく返済するという意味では、月々の返済額が収入の30〜35%を超えないように設定することが一般的です。生活費や他の支出などもあるため、家計を圧迫しすぎないよう慎重に考えましょう。事前にシミュレーションを行い、問題がないか確認することをおすすめします。
返済期間の設定を適切にする
総返済額を少なくしたいなら、返済期間を短く設定するのが効果的ですが、他にも出費がある以上、あまりに短い期間は好ましくありません。将来の収入の変動や家族構成の変化を考慮し、柔軟に対応できる返済期間を設定することが重要なので、数パターンのシミュレーションをして検討しましょう。
保障や保険の内容を比較する
一般的な団信の場合、死亡・高度障害の場合のみ補償が受けられます。しかし、疾病保障が付されている場合は、特定の病気にかかった場合も、それ以降住宅ローンを返済する必要はなくなります。なお、対象となる病気には以下のパターンが考えられますが、検討時には個々の商品の条件を確認しましょう。
・がん
・がんと脳卒中
・がん・脳卒中・糖尿病
・全ての疾病
将来的なリスクと対処法を想定する
まず、変動金利で住宅ローンを組んだ場合、金利変動のリスクについて考えなくてはいけません。金利が上昇した場合の返済計画(繰り上げ返済や借り換え等)をシミュレーションしておくと良いでしょう。
また、定期的な返済プランの見直しも重要です。ライフステージの変化や収入の変動に応じて、返済プランを見直し、必要に応じて借り換えや返済方法の変更を検討しましょう。総返済額が少なくなったり、返済期間が短縮できたりなど、負担を軽減できる余地があります。
住宅ローンの種類と特徴を知って、最適なプランを選ぼう
そのためには、自分に合った住宅ローンを選ぶことが非常に重要ですが、住宅ローンの種類とそれぞれの特徴を理解していないと、最適なプランを選ぶのは難しいでしょう。本記事の説明も参考にしながら、納得のいく選択をしましょう。
オリコンでは、住宅ローンを提供する123社を対象に利用者調査を行い「【2024年】住宅ローン 顧客満足度ランキング」を発表しています。各社の評判・口コミも掲載していますので、住宅ローン選びの参考にしてください。