住宅ローンを借りるときの審査に「通る人」と「通らない人」
審査に通る人と通らない人では何が違うのか、審査に通るための準備も含めてご紹介します。
住宅ローンの「審査」とは?
住宅ローンの審査は、簡単に言えば「貸し出した金額をきちんと返す力がある人かどうか」を見極めるというものです。さまざまな視点から総合的に判断されるため、たとえ審査に通っても希望額より少なかったり、収入はあるものの審査に通らなかったりすることもあるでしょう。審査の基準は各銀行などによって異なりますので、「A銀行は通ったけど、B銀行では通らなかった」という状況もあり得ます。
国土交通省が実施した「平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、同年は「完済時年齢」「健康状態」「借入時年齢」「担保評価」「勤続年数」「年収」「連帯保証」が、金融機関の審査基準の上位項目となっています。購入する物件の価格や借入総額にもよりますが、「収入が多ければ通る」というものではなく、「完済までの間は安定して働き続け、継続的に返済できるか」という安定性をより重視していることがわかります。つまり、ローン審査においては、「大企業に勤めていて現時点での年収が1000万円ある」人よりも「中小企業でも勤続年数が長く、安定した収入が得られている」正社員や公務員のほうが優位であるということです。
また、金融機関はもちろん、クレジットカードでの買い物や消費者金融での借り入れ状況も重要です。こうした情報は「信用情報」と呼ばれ、金融機関同士で共有できるしくみとなっています。返済していない借り入れの有無や返済が滞った過去は、チェックされていると考えていいでしょう。
同じく、住宅ローンを申し込む時点で、車のローンやクレジットカードでの借り入れが多く残っていると、新たな借り入れを断られたり、借入可能額が減ったりしてしまいます。ショッピングローンやキャッシングが残っている場合は、なるべく完済しておきましょう。
「事前審査(仮審査)」と「本審査」
・事前審査(仮審査)
購入する物件の金額や工事の金額がある程度決まったら、金融機関による「事前審査(仮審査)」が行われます。ここでは主に、年収に対して住宅ローン返済額が占める割合を示す「返済負担率」をチェックします。ある程度の収入があって返済額に無理がなく、個人信用情報に延滞や未納、自己破産といった履歴がなければ、仮審査はほぼ通るでしょう。
・本審査
事前審査に通ると、次は保証会社による「本審査」です。本審査でも、ローンを申し込む人の返済能力と信用情報を主に調査しますが、健康状態や物件の担保価値はもちろん、勤務先の規模や経営状態も審査対象となるため、事前審査よりさらに厳しくなります。
審査にかかる期間は、仮審査で2日から1週間未満。本審査になると、1週間から10日前後かかります。
「連帯保証人」や「連帯債務者」は必要?
しかし、次のような場合には、連帯保証人または連帯債務者を求められる場合がありますので、注意が必要です。
・夫婦で収入合算をして住宅ローンを支払う場合(収入合算者が連帯保証人になる)
・土地や建物が共有名義の場合(共有者が連帯債務者になる)
・親子で二世帯住宅のローンを組むなど、債務者が複数にわたる場合(債務者同士が連帯債務者になる)
・親名義の土地に家を建てる場合など、担保名義者が異なる場合
・ローンの申し込みをする本人が自営業者の場合
・年収が少ないなど、審査の評価が良くない場合
なお、「連帯保証人」と「連帯債務者」は似た言葉ですが、意味は異なります。
・連帯保証人
連帯保証人は、借り入れをした本人と連帯して債務を保証する人を指します。「保証する」ことが責任ですから、支払者の返済が滞ったときのみ、代わって支払いをしなくてはなりません。
・連帯債務者
連帯債務者は、債務に対して借り入れをした本人と同等の責任を負います。連帯債務者の場合、支払者の返済が滞らなくても、金融機関から返済を要求される可能性があります。
また、連帯債務とは異なる「ペアローン」というしくみもあります。住宅ローンの契約が1つである連帯債務に対し、ペアローンは住宅ローン契約が2つになります。夫婦、または親子が別々に住宅ローンを組み、それぞれが各自の借入額に対して支払い義務を負います。よって、例えば夫婦でペアローンを組み、返済期間中に夫に万一のことがあった場合、夫のローンは完済されますが、妻のローンはそのまま残ることになります。
住宅ローンは複数申し込むべき
また、審査条件は金融機関によって異なるため、1社の審査に落ちてしまっても別の1社の審査は通るというケースもあります。少しでも不安があるなら、複数の銀行や金融期間に同時に申し込んでおいてもいいでしょう。また、審査に通らなくて困るという事態を避けるため、車やショッピングなどのローンは、できるだけ完済しておきましょう。