フラット35とはどんな住宅ローン?利用条件や向いている人・いない人の特徴を解説

フラット35とはどんな住宅ローン?利用条件や向いている人・いない人の特徴を解説

住宅ローンの金利タイプは、変動金利型、固定金利期間選択型、全期間固定金利型があります。その中で、全期間固定金利型の代表格とされるのが「フラット35です。

本記事では、フラット35はどのような住宅ローンなのか、その特徴と利用条件、メリット・デメリットを説明します。さらに記事の後半では、フラット35に向いている人・向かない人の特徴や、上手に利用するためのポイントについても解説していますので、住宅ローンを検討中の方はぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. フラット35とは?
    1. 全期間固定金利型の住宅ローン
    2. 返済期間は最長35年
    3. 借入限度額は8,000万円
  2. フラット35の利用要件
    1. 借入者について
    2. 建物について
  3. フラット35のメリット
    1. 固定金利で計画を立てやすい
    2. 契約時に保証人が不要
    3. 繰上返済に手数料がかからない
    4. 比較的審査に通りやすい
    5. オーバーローンにできる
  4. フラット35のデメリット
    1. 変動金利型より金利が高めに設定される
    2. 自己資金が1割未満だと金利が高くなる
  5. フラット35の利用が向いている人
    1. 金利の上昇を避けたい人
    2. 返済額の上昇が家計に影響のある人
    3. 病歴があり健康状態に不安のある人
  6. フラット35の利用をやめたほうがいい人は?
    1. 金利変動リスクがあっても低い金利を選びたい人
    2. 夫婦で収入があり安定的に返済できる見通しの人
    3. 貯蓄が十分あり金利上昇局面で操上返済できる人
  7. フラット35をうまく利用するためのポイント
    1. 住宅や家族のライフスタイルに合わせて商品を選ぶ
    2. 家計の収支を踏まえたシミュレーションで返済額を調整する
  8. フラット35の利用を検討するなら、複数の金融機関で比較することも大切

フラット35とは?

フラット35とは

まずはフラット35がどういった住宅ローンなのか、主な特徴を説明します。

全期間固定金利型の住宅ローン

フラット35は、住宅金融支援機構と全国の民間金融期間が提携して取り扱う、全期間固定金利型の住宅ローンです。借り入れた時点で金利が固定されるため、返済額も一定で最終返済まで変わらないことが大きな特徴です。

住宅金融支援機構は、国土交通省と財務省が所管する独立行政法人です。主な業務として、民間金融機関が融資した住宅ローン(債権)を、住宅金融支援機構が買い取ることで証券化し、投資家に販売しています。

長期固定金利型の住宅ローンは、金利が上昇しても、その分を借入者に転嫁することができないため、民間の金融機関では取り扱うことが難しいと言われています。そのため、住宅金融支援機構が債権の買取りというサポートをすることで提供する商品とも言えるでしょう。

返済期間は最長35年

フラット35の返済期間は、15年以上35年以内で1年刻みで設定できます(ローンの申込者または連帯債務者が、満60歳以上の場合の返済期間は10年以上)。

ただし、ローン完済時の年齢が80歳になるまでというルールがあり、借入申込時の年齢から80歳になるまでの年数が、35年よりも短い場合は、その年数が最長返済期間となります。

例えば、申込時の年齢が61歳3ヵ月の人の場合は「80歳−62歳(1歳未満を切り上げ)」となりますので、18年が最長返済期間となります。

また、申込時の年齢については、収入合算者がいる場合親子リレー返済を利用する場合については下記のような決まりもあります。
● 主債務者の年収の50%超の収入を合算する収入合算者がいる場合、申込者と収入合算者のうち高い方の年齢を基準にする
● 親子リレー返済を利用する場合、収入合算者になるかどうかに関わらず、後継者の年齢が基準となる

借入限度額は8,000万円

フラット35の借入額(融資額)は、100万円以上8,000万円以下(1万円単位)です。

融資対象になる費用として、マンションや戸建住宅の購入費、注文住宅を建てる場合の土地の取得費や建設費、およびそれらに伴う諸費用(登記費用や融資手数料など)が該当します。

フラット35の利用要件

フラット35の利用要件

フラット35の「借入者」と「建物」についての利用要件を確認しておきましょう。

借入者について

日本国籍を持っている人」「永住者または特別永住者の資格を持つ外国籍の人」という基本的な要件のほかに、次のような要件があります。

借入者の年齢

申込時の年齢が満70歳未満であることが必要です。ただし、申込者の子や孫などをローン返済の後継者とする、「親子リレー返済」を利用する場合は、満70歳以上でも申し込むことができます。

資金の使途

自分や家族が住む新築住宅の購入・建設資金中古住宅の購入資金が対象です。週末に利用するセカンドハウスなどの購入資金にも利用できます。ただし、住宅を賃貸に出すなど、投資目的の購入には利用できません

返済負担率

返済負担率は、「税込年収に占める、ローンの年間返済額の割合」を示すものです。フラット35の場合の返済負担率の基準は、年収400万円未満は30%以下400万円以上は35%以下となっています。

例えば、年収500万円、ローンの年間返済額の合計120万円の場合は、(120÷500)×100=24%となり、基準に収まります。なお、ローンの年間返済額には、カードローンや車のローンなど他のローン返済額も含まれます。

建物について

住宅の床面積

戸建住宅は70u以上、マンションは30u以上という基準があります。土地の面積についての要件はありません。

適合証明書が必要

購入する住宅に「適合証明書」が発行されていることが必要です。適合証明書とは、専門機関などが物件検査を行い、住宅金融支援機構が定める技術基準(省エネ性能、耐震性能など)に適合していることを証明する書類です。

*フラット35の利用要件についての詳細は、取扱金融機関に確認するようにしてください。

フラット35のメリット

フラット35のメリット

民間の住宅ローンを比較した場合のフラット35のメリットとして、主に次の5つが挙げられます。
・固定金利で計画を立てやすい
・契約時に保証人が不要
・繰上返済に手数料がかからない
・比較的審査に通りやすい
・オーバーローンにできる
以降では、それぞれについて解説します。

固定金利で計画を立てやすい

フラット35は全期間固定金利型の住宅ローンです。物価高などで、世の中の金利が上昇局面になったとしても、フラット35は金利も返済額も変わらないため、安定した返済が可能になります。そのため、将来の住宅費についての見通しが立てやすくなります。

契約時に保証人が不要

民間金融機関の住宅ローンでは借入れの条件としてほとんどの場合、保証会社からの保証を受けることが求められ、保証料の支払いが必要になります。フラット35では、保証人や保証料は不要ですので、住宅ローンに掛かる諸費用の負担を軽減できるでしょう。

繰上返済に手数料がかからない

住宅ローンを繰上返済すると、総返済額軽減や早期完済効果があります。繰上返済をする場合、民間の住宅ローンでは、金融機関によっては手数料が必要な場合もありますが、フラット35では不要です。

比較的審査に通りやすい

一般的には会社勤務の場合、安定した収入で勤続年数も長ければ、住宅ローン審査は通りやすいとされます。一方、自営業などの人は収入の不安定さなどから、民間の住宅ローンでは審査が通りにくいことがあります。フラット35では、返済負担率や住宅性能などの基準を満たしていれば、収入の安定度が低い人でも審査に通る可能性は高くなります。

オーバーローンにできる

住宅購入では、住宅本体の価格以外にも、契約書への印紙代、登記費用、融資手数料などの諸費用を支払う必要があります。諸費用は全体で数十万円掛かることが想定されるため、負担も小さくありません。フラット35では、住宅本体の価格にこれら諸費用を上乗せして借り入れる「オーバーローン」が可能です。

なお、民間の金融機関でも諸費用を住宅ローンの借入額に含める場合があります。住宅ローン組み込める諸費用の範囲は金融機関によっても異なるので、検討中の方は公式WEBサイトまたは窓口で最新の情報をご確認ください。

フラット35のデメリット

フラット35のデメリット

さまざまなメリットのあるフラット35ですが、一方で以下のようなデメリットもあります。
・変動金利型より金利が高めに設定される
・自己資金が1割未満だと金利が高くなる
こちらについても確認しておきましょう。

変動金利型より金利が高めに設定される

住宅ローンの金利水準は、一般的に変動金利型が低く、フラット35のような全期間固定金利型の金利は高くなり、毎回の返済額も高くなります。

変動型の金利は、政策金利を基準にした「短期プライムレート」に、一定幅を上乗せした「店頭金利」をもとにして決まります。各金融機関はさらに金利優遇幅を設定していて、「店頭金利」に優遇幅を適用した「適用金利」が実際に貸し出すときの金利になります。
近年は金融機関同士の競争激化などで、変動型の適用金利は1%を切る水準が続き、フラット35との金利差は大きくなっています。

自己資金が1割未満だと金利が高くなる

フラット35は自己資金(頭金)なしで、住宅価格(建設費または購入価額)の全額を借り入れることも可能です。しかし、融資率が9割以下か9割超かで金利設定が異なり、融資率が9割超、つまり自己資金が住宅価額の1割未満の場合には、金利が高くなるので注意が必要です。

融資率とは住宅価格に対する借入額の割合のことで、【融資率=フラット35の借入額/住宅の建設費または購入価額】で算出できます。なお、実際の金利設定は各金融機関で異なります。

フラット35の利用が向いている人

フラット35の利用が向いている人

フラット35を利用するのに向いている人の特徴としては、次のような例が挙げられます。

金利の上昇を避けたい人

フラット35は、借入時に金利が確定します。貯蓄があまりできていないなど、家計の将来に不安がある人は、フラット35で金利や返済額を固定し、金利上昇に伴う返済額上昇リスクを避ける対策が必要でしょう

返済額の上昇が家計に影響のある人

子どもの教育費は、一般的に高校から大学在学中にピークが来ます。変動金利型の場合、そういった時期に金利が上がって返済額が増えると、子どもの教育プランに影響があるかもしれません。フラット35で毎回の返済額を一定にしておけば、教育費などの出費がピークを迎える時期の家計の安心感につながります

病歴があり健康状態に不安のある人

民間の住宅ローンは、一般的に団体信用生命保険(団信)の加入が借入れの条件になります。団信は基本的には生命保険ですから、病歴や健康状態によっては加入できず、借入れできない可能性があります。フラット35では、団体信用生命保険への加入は任意ですので、健康面で不安のある人でも申し込みが可能です。

フラット35の利用をやめたほうがいい人は?

フラット35の利用をやめたほうがいい人は?

反対に、次の3点に当てはまる方はフラット35が向いていないといえるでしょう。

金利変動リスクがあっても低い金利を選びたい人

フラット35は全期間固定金利型ですから、一般的に変動金利型に比べると金利は高くなります。金利上昇リスクがあっても、なるべく低い金利で借り入れて返済額を抑えたい人には向いていません。

夫婦で収入があり安定的に返済できる見通しの人

夫婦共働きで安定した収入が見込めるなら、金利が上昇して返済額が上がっても持続的に返済できる可能性は高いでしょう。あえて金利の高いフラット35を選ばなくても、金利の低い変動型で借り入れれば返済額が抑えられますので、メリットは多いと考えられます。

貯蓄が十分あり金利上昇局面で操上返済できる人

金利が上がった場合、住宅ローンでは繰上返済で元金を減らすことが対策の一つになります。すでに貯蓄が十分にあれば繰り上げ返済も可能でしょうし、今後も貯蓄増が見込めれば、変動金利型で借り入れて金利が上がったとしても、返済不能リスクは低いのではないでしょうか。

フラット35をうまく利用するためのポイント

フラット35をうまく利用するためのポイント

フラット35を利用する際のポイントとして、以下があります。
・住宅や家族構成などライフスタイルに合わせて商品を選ぶ
・家計の収支を踏まえたシミュレーションで借入額を決める
以降では、それぞれについて解説します。

住宅や家族のライフスタイルに合わせて商品を選ぶ

フラット35は1種類だけではなく、購入する住宅や家族構成などライフスタイルに合わせて選べるよう、さまざまな種類の商品メニューが用意されています。

これらの項目に該当すれば、金利引き下げ制度が適用されます。また、複数のメニューを併用できる場合もあり、該当する項目合計数に応じた金利設定が適用されます。

主なメニューは次のとおりです。

フラット35S

省エネルギー性・耐震性などに優れた住宅を取得する場合、金利が一定期間引き下げられる制度です。住宅の技術基準のレベルに応じて3つのプランがあります。金利Aプランの場合、当初5年間は金利が0.5%引き下げられます。

フラット20

借入期間15年以上20年以下の場合に利用でき、フラット35より低い金利で借り入れることができます。借入額が少ない人や、仕事をリタイアする前に返済を終わらせたい人などに向いています。

フラット35リノベ

中古住宅の購入とリフォームを予定している場合、一定期間金利の引下げが受けられます。中古住宅購入後に自らリフォームを行う「リフォーム一体タイプ」と、住宅事業者がリフォームした中古住宅を購入する「買取再販タイプ」があります。

フラット35子育てプラス

子育て世帯や若年夫婦世帯の住宅購入を支援するための制度です。子育て世帯の場合は、子どもの人数に応じて、金利が引き下げられます。例えば、子ども2人の場合、当初5年間の金利が0.5%引き下げられます(2025年3月31日までの申込受付分)。

なお、種類によっては受付の締切が設定されており、予算金額に達する見込みになると受付終了になるものもあります

家計の収支を踏まえたシミュレーションで返済額を調整する

住宅ローンはいわば借金とも言えます。長期間にわたって高額な資金を返済していくわけですから、最も大切なことは「最後まで確実に返済できる借入額にする」ことです。

つまり、住宅ローンの借入額は「借りられる額」ではなく、「確実に返済できる額」で設定することが最も重要です。将来的な世帯収入やライフイベントへの支出を考え、今後数十年間の家計をシミュレーションしてみましょう。

このような「ライフプランニング」を行ったうえで、それを裏付けとして返済できる借入額を決めていけば、買いたいもの、やってみたいことを我慢することなく、無理のない返済が実現できるのではないでしょうか。

家計のシミュレーションには、下記のサイトが役に立ちます。

金融庁 ライフプランシミュレーター(外部サイト)
金融広報中央委員会 知るぽると(外部サイト)

フラット35の利用を検討するなら、複数の金融機関で比較することも大切

フラット35は、一度借り入れれば返済期間中は金利が変わらず、毎回の返済額も変わらないため返済計画が立てやすい特徴があります。また、「保証人や保証料が不要」「比較的審査に通りやすい」「住宅本体以外の費用も含めて借りられる」など、多くの人たちにとっても申込みのハードルが低いことも特長です。

ただし、変動金利型に比べると金利水準は高くなりますので、借り入れにあたっては将来的な世帯の収入やライフイベントへの支出をシミュレーションし、最後まで確実に返済できる額で申し込むことが大切です。

なお、フラット35の適用金利は金融機関ごとに異なります。検討中の方は複数の金融機関を比較することも大切です。

オリコンでは、フラット35利用者へのアンケート調査に基づいて毎年、「住宅ローン【フラット35】顧客満足度ランキング」を発表しています。住宅ローンへの加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
フラット35利用者に限らない、【住宅ローン 総合ランキング】はこちら
※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。

住宅ローンオリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    72.3

    ソニー銀行

  • 2位

    72.0

    auじぶん銀行

  • 3位

    71.8

    イオン銀行

  • 4位

    71.3

    住信SBIネット銀行

  • 4位

    71.3

    SBI新生銀行(旧:新生銀行)

  • 6位

    71.0

    楽天銀行

  • 7位

    70.7

    三菱UFJ銀行

  • 7位

    70.7

    三井住友銀行

  • 9位

    70.2

    西日本シティ銀行

  • 10位

    70.1

    関西みらい銀行

  • 11位

    69.9

    愛知銀行

  • 11位

    69.9

    山陰合同銀行

  • 13位

    69.4

    りそな銀行

  • 14位

    69.2

    三井住友信託銀行

  • 14位

    69.2

    十六銀行

  • 16位

    69.1

    埼玉りそな銀行

  • 16位

    69.1

    福岡銀行

  • 16位

    69.1

    みずほ銀行

  • 19位

    69.0

    大垣共立銀行

  • 20位

    68.9

    横浜銀行

  • 20位

    68.9

    池田泉州銀行

  • 22位

    68.8

    静岡銀行

  • 23位

    68.7

    京都銀行

  • 24位

    68.6

    群馬銀行

  • 24位

    68.6

    常陽銀行

  • 26位

    68.5

    百五銀行

  • 26位

    68.5

    中国銀行

  • 28位

    68.4

    千葉銀行

  • 29位

    68.3

    八十二銀行

  • 29位

    68.3

    肥後銀行

  • 31位

    68.2

    広島銀行

  • 31位

    68.2

    北海道銀行

  • 33位

    68.1

    滋賀銀行

  • 34位

    67.9

    七十七銀行

  • 34位

    67.9

    日本住宅ローン

  • 36位

    67.5

    北洋銀行

  • 37位

    67.4

    北陸銀行

  • 38位

    67.0

    第四北越銀行(旧:第四銀行、旧:北越銀行)

  • 39位

    66.9

    ARUHI

  • 40位

    66.8

    足利銀行

  • 41位

    66.4

    京葉銀行

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

\ 13,303人が選んだ /
住宅ローンランキングを見る