2015年11月19日 09時50分
【FP考察】事故事例から学ぶ! “本当に役立つ補償”とは?
保険に詳しいFPが解説! いざというときに役立つ「弁護士費用特約」とは?
誰しも事故には遭いたくないが、それでも時に起こりうるのが自動車事故。だからこそ自動車保険は、いざというときに役立つ内容にしておく必要がある。そこで、保険の実務に詳しいファイナンシャルプランナー(以下、FP)が、“本当に役立つ補償”について考察し、毎回わかりやすく紹介していく。初回の今回は、「弁護士費用特約」を取り上げる。
▼「弁護士費用特約」とは?
信号待ちで停車中に追突されるなど、自分側に責任が全くない事故(もらい事故)については、一般的に保険会社が示談交渉することはできない。この場合、被害者自身が直接相手と交渉することになるが、精神的負担はかなり大きくなる。そこで役立つのが「弁護士費用特約」である。
弁護士費用特約では、もらい事故の被害者となった場合、1事故1名あたり300万円までの範囲で、弁護士費用、および法律相談費用について保険金が支払われる。だが、実務上どのように利用されるのか知る機会は少ない。そこで、実際にFPに相談があった例を紹介する。
▼弁護士費用特約を利用して解決した事故事例
とある交差点内で、右折しようと停車中のAさんの車両に、後ろからBさんの車両が追突。Aさんは「むちうち」となり、通院治療が必要となった。当初はBさんの加入する保険会社C社とAさんが直接やり取りをしていたが、C社担当者の対応が横柄であり、少しでも早く示談解決させ、保険金支払額を抑えるような動きを露骨に見せてきた。
Aさんは首の痛みがひかず、通院治療を継続しており、C社からの再三の交渉に次第に精神的苦痛を感じるようになった。そこで、Aさんが加入していた任意保険に付保してあった弁護士特約を使用することにし、以後の交渉を弁護士とC社担当者とで行うことになった。
弁護士が交渉に入ったことで、Aさんは精神的負担から解放され、8ヶ月間の通院治療をきちんと受けることができた。また、症状固定と診断されたのちの慰謝料についても、納得のいく支払いをうけることができた。
▼解決のポイント
一般的に、追突による「むちうち」は他覚症状が見えにくく、いつまで相手方の保険(対人賠償責任保険)を使った通院治療が受けられるかもめることが多い。また、交渉の際には専門用語が多く使われる上、慰謝料算定基準についても未経験の素人が自身で理解し判断するのは難しい。
今回紹介した事例では、Aさんは弁護士対応としたことで、相手保険会社と対等に交渉ができ、より納得のいく治療や慰謝料を受けられた。なにより交渉をすべて任せることで、精神的負担から解放されたのが大きなポイントである。弁護士費用特約は、いざというときにとても役立つ特約であることを、ぜひ抑えておこう。
<記事/奥田知典(マイアドバイザー登録FP)>
第一勧業銀行(現みずほ銀行)、東京海上日動火災保険、2006年から現在は(有)ekコンサルタント取締役として住宅セミナー講演、工務店経営支援、TV・ラジオ出演やコラム執筆等、幅広いジャンルで活躍中。
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