2016年01月30日 09時50分
事故で頼れる「自動車保険」をFPが指南 自分を守る保険は何?
事故時に“本当に役立つ補償”とは? FPがわかりやすく紹介する
誰しも事故には遭いたくないが、それでも時に起こってしまうのが自動車事故。だからこそ自動車保険は、いざというときに役立つ内容にしておく必要がある。そこで、保険の実務に詳しいファイナンシャルプランナー(以下、FP)が、実際の事故事例をもとに“本当に役立つ補償”について考察し、毎回わかりやすく紹介していく。今回は、「人身傷害補償保険」について取り上げる。
▼「人身傷害補償保険」とは?
人身傷害補償保険とは、運転者および同乗者のケガに備える補償。似たものとして「搭乗者傷害保険」もあるが、人身傷害補償保険の方が広い範囲で大きな補償を得ることができる。
一般的に、人身傷害補償保険では、事故相手の有無や過失割合に関係なく、ケガの治療にかかった費用や休業損害、精神的損害(慰謝料)について保険金が支払われる。先述の搭乗者傷害保険が定額支払いであるのに対し、人身傷害補償保険は実費および算定基準を基に支払われる保険であることが特徴だ。そのため、事故でケガを負った場合には、とても心強い存在となる。
実際に、こんな事故事例がある。ドライバーが交差点で右折をしようと停車中、後ろからきた車に追突された。だが、相手は無保険だったので、はじめから自身の人身傷害補償保険を利用し、通院治療を受けることになったのだ。
残念ながら、無保険で車両を走らせている人は一定数いる。それに備えるためにも、人身傷害補償保険はぜひ準備しておきたい保険だ。
▼人身傷害補償保険の選び方
人身傷害補償保険の契約にあたっては、2つポイントがあるのでおさえておこう。
(1)保険金額
人身傷害補償保険では、3000万円から無制限まで保険金を設定できる。ただし、無制限だからといって無尽蔵に支払いが受けられるわけではないので注意したい。また、死亡・後遺障害については既加入の生命保険と補償が重なることも考えられるので、あらかじめ確認しておこう。
(2)補償範囲
人身傷害補償保険は、対象車両に搭乗中に起きた事故に対して補償されるが、「車外事故特約」を付帯すると、ほかの車に搭乗中の事故や歩行中・自転車運転中に発生した事故も補償される。例えば、自転車を運転していて転倒し、ケガを負った場合なども補償を受けられるのだ。
もちろん、保険料はその分割高になるが、本人だけでなく配偶者や同居の親族、別居の未婚の子まで対象となるため、自転車通学をする子どものいる世帯などでは、重宝するかもしれない。費用対効果を考えて、補償の範囲を設定することをおすすめする。
事故により運転者がケガを負い、病院で治療を受ける場合、保険金請求の関係で健康保険を使わず診察を受けるケースが多い。相手がある事故であれば、相手方の自賠責保険から120万円までは支払いを受けられるが、相手がいない事故や自分の過失が大きい事故になると、治療費をどう賄うかが問題となる。
人身傷害補償保険に加入していれば、相手の有無や自分の過失に関係なく治療費などを受け取ることができる。いざというときにとても頼りになるので、ぜひ準備してほしい。
※記事内の健康保険に関する部分は、一部修正しています。
<記事/奥田知典(マイアドバイザー登録FP)>
第一勧業銀行(現みずほ銀行)、東京海上日動火災保険、2006年から現在は(有)ekコンサルタント取締役として住宅セミナー講演、工務店経営支援、TV・ラジオ出演やコラム執筆等、幅広いジャンルで活躍中。
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