2016年09月22日 10時50分
100万円の医療費が9万円に!? 知って役立つ「高額療養費」制度とは?
高額療養費制度は、いざというときのために頭に入れておくのがおすすめ
病気やケガで病院へ行き、まとまったお金が必要になることもあるだろう。ちょっとした風邪の場合の医療費は想像がつくが、手術や入院となると「どれくらいかかるか心配だ…」という人がほとんどではないだろうか。
だが、実は「高額療養費」という制度がある。これは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額を超えた分が払い戻されるもので、申請すれば医療費がかさんでも少額の支払いで済むのだ。
例えば、手術や入院により、1ヶ月あたりの医療費が100万円になったとする。健康保険の適用対象であれば、支払いの際に保険証を提示すれば3割の30万円負担となる。
その上で、高額療養費制度を活用すれば、一般的な年収(約370万円〜770万円)であれば9万円程度の自己負担でOKとなる。30万円を支払っても、およそ21万円が戻ってくるのだ。
■利用前におさえておきたいポイント
ただし、上記の金額の基準は年収や年齢によって異なることは覚えておこう。そのほかにも、利用前におさえておきたいポイントが4つある。
(1)医療費は1ヶ月あたりで計算する
高額療養費制度の医療費は、1ヶ月単位で計算する。例えば、9月1日から30日の間に14万円の医療費がかかった場合は対象となる。だが、9月20日〜30日で7万円、10月1日〜3日で7万円かかった場合、合計額は変わらないが月をまたいでおり、それぞれおそらく自己負担額となる9万円を超えていないので、対象外となってしまう。
(2)手続きは自分でする
利用の際は、基本的には自分で保険者に申請する必要がある。医療費の領収書の添付が必要になる場合があるので、しっかり保管しておこう。窓口から連絡をくれたり、自動的に高額療養費を振り込んでくれることもあるが、うっかり忘れてしまうといけないので「自分から申請する」と覚えておきたい。
ちなみに、診察を受けた月の翌月の初日から2年で時効になる。過去にさかのぼって申請はできるので、期間に該当していて忘れている分があったら急いで処理しよう。
(3)食費や差額ベッド代は対象にならない
高額療養費制度は、すべての医療費が対象になるわけではない。食費や差額ベッド代、先進医療など、対象外となる項目もある。
(4)入院前に申請することも可能
入院前に保険者から「限度額適用認定証」をもらい、病院の窓口に提出すれば、差額のみの支払いでOKとなる手続きをすることもできる。つまり、前述した30万円を支払うケースでは、この認定証を出すと初めから差額の9万円程度の支払いで済む。
お金に関するオトクな制度は、基本的には自分から情報を集め、申請する必要がある。いざというときのために、頭の片隅に入れておこう。
(ライター:西山美紀)
ファイナンシャルプランナー。1万件以上のマネーデータを分析し、500人以上にマネーの取材経験あり。マネーや女性の生き方などをテーマに取材・執筆・記事監修などを行う。男の子、女の子の2児の母でもある。ブログ:http://ameblo.jp/nishiyamamiki/
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