学資保険の受取人は誰にする?契約者との関係で変わる税金の仕組み

学資保険の受取人は 誰にするべき?

mokuji目次

  1. 学資保険の契約者・被保険者・受取人とは
    1. 契約者
    2. 被保険者
    3. 受取人
  2. 契約者と受取人の関係で変わる税金の仕組み
    1. 契約者と受取人が同じ場合
    2. 契約者と受取人が違う場合
  3. 学資保険の受取人と契約者は同じ人にした方がお得
  4. 学資保険の受取人の設定についてもしっかりと理解しよう!
「学資保険は子どものための保険なので、受取人には子どもを設定すべき」と思う人もいるかもしれません。
学資保険では受取人を誰にするかによってかかる税金が変わるため、子どもを受取人にするのが得策とはかぎりません。

この記事では、学資保険の契約者・被保険者・受取人それぞれの意味と、受取人によってかかる税金の違いを解説します。
学資保険では誰を受取人にするのがベストか、加入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

学資保険の契約者・被保険者・受取人とは

「契約者」「被保険者」「受取人」とは?

学資保険にかぎらず、生命保険の契約では契約者被保険者受取人を決めなければなりません。
最初に、三者それぞれの役割について解説します。

契約者

生命保険の「契約者」とは保険会社と契約を結び、保険料を支払う人です。

学資保険には通常、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、以降の保険料の払い込みが免除される機能があります。そのため、世帯主が契約者となるケースが一般的です。

契約者になれる人の条件は保険会社ごとに決められており、何親等以内の親族であるかの制限や年齢制限がある場合があります。

祖父母が孫のために学資保険を契約できる?加入時の注意点を解説

被保険者

「被保険者」は保険契約の保障対象となる人のことで、学資保険では子どもが被保険者になります。

被保険者である子どもが一定の年齢に達すると、祝い金や満期保険金が支払われる仕組みです。

また、学資保険では子どもの進学時のお金の準備が目的であるため、被保険者になれる子どもの年齢は6歳または7歳までといった年齢制限のある商品が一般的です。

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受取人

「受取人」は保険金を受け取る人のことで、学資保険では祝い金や満期保険金を受け取ります。

学資保険の受取人は、契約者自身がなる場合や、契約者の配偶者、被保険者である子どもがなる場合があります。

学資保険では受取人を誰にするかによって保険金を受け取る際にかかる税金の種類や金額が変わるため、注意が必要です。
一般的には契約者を受取人とする契約形態がほとんどです。

受取人になれる人の範囲も保険会社によって異なり、契約者だけに限定している商品などもあります。

なお、受取人の変更は所定の手続きを踏めば、いつでも可能です。
また、離婚したときや受取人が死亡したときなどは、速やかに保険会社に連絡して手続きをする必要があります。

手続きを怠るとトラブルが発生するおそれがあるため、注意してください。

契約者と受取人の関係で変わる税金の仕組み

「契約者」と「受取人」の関係で変わる税金

学資保険で受け取る満期保険金祝い金には、所得税・住民税、贈与税のいずれかがかかります。

かかる税金の種類は、受取人と契約者の関係によって決まります。
所得税・住民税がかかる場合、お金の受け取り方によって所得の種類が異なり、税金の計算方法も変わる点に注意が必要です。

ここでは、それぞれのパターンの税金の仕組みを見ていきましょう。

学資保険にかかる税金は?課税ケースや計算方法、控除についても解説

契約者と受取人が同じ場合

学資保険の契約者と受取人が同じ人(例:契約者も受取人も子どもの父親)の場合、受け取った保険金は所得税と住民税の対象になります。

所得税・住民税がかかるケースでは、保険金の受け取り方(一括または年金形式)によって所得の種類が異なり、税金の計算方法が変わります。

以下、「保険金の一括受け取り」「年金形式での受け取り」、それぞれの計算方法を解説します。

一括で受け取る場合

学資保険の「契約者と受取人が同じ」で、「保険金を一括で受け取る場合」、受け取った保険金は所得税・住民税の対象となり、一時所得として扱われます。

一時所得は以下の計算式で求められます。
一時所得の金額=受け取った保険金額 −払込保険料総額−特別控除額(最高50万円)
一時所得の課税の対象になるのは、この所得金額に2分の1を乗じた金額(半分の金額)です。

一時所得は、給与所得や事業所得といった他の所得と合算されて、税額を計算する仕組みとなっています。
満期保険金が300万円のケースを考えてみましょう。
払込保険料の総額が200万円の場合、一時所得は以下のとおりです。

300万円−200万円−50万円=50万円

この場合、一時所得金額50万円の2分の1の25万円が、所得税・住民税の課税対象となります。
同じケースで払込保険料の総額が250万円の場合、一時所得金額は0円(300万円−250万円−50万円)となり、所得税・住民税はかかりません。

つまり、他に一時所得がない場合、満期保険金が払込保険料の総額より50万円超多くなければ、所得税・住民税はかからないわけです。

参照:国税庁「一時所得」、東京都中央区「一時所得

年金形式で受け取る場合

学資保険の「契約者と受取人が同じ」で、「保険金を年金形式(分割)で受け取る」場合、受け取った保険金は所得税・住民税の対象となり、雑所得(その他の雑所得)として扱われます。

学資保険の雑所得(1年分)は以下の計算式で求められます。
雑所得=その年に受け取った保険金の額−受け取った保険金分の払込保険料額
受け取った保険金分の払込保険料額は、以下の計算式で求めます。
受け取った保険金分の払込保険料額=その年に受け取った保険金の額×(払込保険料総額÷保険金総額)
雑所得も一時所得と同様に他の所得と合算して、税額を計算します。

たとえば、子どもの大学入学から4年間にわたって毎年80万円ずつ保険金を受け取る場合(保険金総額320万円)、払込保険料の総額が300万円だとします。その場合の、雑所得は以下のとおりです。

雑所得の金額 = 80万円 - 80万円 × (300万円 ÷ 320万円) = 5万円

参照:国税庁「雑所得」、東京都中央区「雑所得

契約者と受取人が違う場合

学資保険の「契約者と受取人が違う」場合(例:契約者が父で受取人が子ども)、受け取った保険金は贈与税の対象となります。

贈与税の計算式は、以下のとおりです(保険金以外の贈与がなかった場合)。
贈与税の額=(受け取った保険金−基礎控除110万円)×税率−控除額
贈与税の計算は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の価額を合計します。

続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、残りの金額に税率を乗じて税額を求めます。

つまり、保険金額が基礎控除の110万円以下であれば贈与税はかかりません。

贈与税の税率と控除額は、基礎控除後の金額によって異なる仕組みです。
また、親や祖父母といった直系尊属から成人した子どもや孫へ贈与のと、それ以外の贈与では適用される税率と控除額が異なります。

たとえば、契約者が父で受取人が子どもの学資保険の保険金300万円を一括で受け取った場合、贈与税の税率は10%、控除額は0円です。
贈与税は、以下のようになります。
贈与税の額=(300万円−110万円)×10%=19万円
納める贈与税は19万円で、手元に残るお金は281万円(300万円−19万円)となります。

参照:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)

学資保険の受取人と契約者は同じ人にした方がお得

前の章での試算結果などを踏まえ、学資保険の受取人を誰にするのが有利かを考えてみましょう。

「契約者と受取人が同じ」で「保険金を一括で受け取る」場合、保険金額と払込保険料総額の差額が50万円を超えなければ所得税・住民税はかかりません。
そのため、実際に税金がかかるケースは少ないと考えられます。

一方、「契約者と受取人が同じ」で「保険金を年金形式で受け取る」場合、年間の総所得金額によってかかる税率が変わるため、税額は人によって異なります。
例えば、所得税の税率が5%で雑所得が5万円であれば保険金にかかる所得税は2,500円で、住民税(税率10%)は5,000円です。

会社員や公務員といった給与所得者の場合、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要となります(ただし、住民税の申告は必要です)。
また、「契約者と受取人が異なる」ケースでは、保険金額が110万円を超えると贈与税がかかります。

以上の点から判断すると、契約者と受取人を同じ人に設定し、満期保険金を一括で受け取るケースが税金面では得策と考えられます。

実際にかかる税額は、支払う保険料と受け取る保険金などをもとに計算してみるとよいでしょう。

学資保険の受取人の設定についてもしっかりと理解しよう!

学資保険の契約者と受取人が同じ人で保険金を一括で受け取る場合、一時所得として扱われ、税金がかからないケースが多くなります。

契約する場合、受け取り時にかかる税金も考慮して、契約内容を考えるようにしましょう。

また、すでに契約した学資保険の受取人の変更はいつでもできます。受取人を変更したほうが有利な場合、保険会社に申し出て手続きをするとよいでしょう。

オリコン顧客満足度ランキングでは、学資保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「学資保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。

学資保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。

※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、サービス提供会社の公式サイトや公的機関等で最新情報をご確認ください。

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