学資保険の受取人は誰にする?契約者との関係で変わる税金の仕組み
目次
学資保険では受取人を誰にするかによってかかる税金が変わるため、子どもを受取人にするのが得策とはかぎりません。
この記事では、学資保険の契約者・被保険者・受取人それぞれの意味と、受取人によってかかる税金の違いを解説します。
学資保険では誰を受取人にするのがベストか、加入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
学資保険の契約者・被保険者・受取人とは
最初に、三者それぞれの役割について解説します。
契約者
学資保険には通常、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、以降の保険料の払い込みが免除される機能があります。そのため、世帯主が契約者となるケースが一般的です。
契約者になれる人の条件は保険会社ごとに決められており、何親等以内の親族であるかの制限や年齢制限がある場合があります。
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被保険者
被保険者である子どもが一定の年齢に達すると、祝い金や満期保険金が支払われる仕組みです。
また、学資保険では子どもの進学時のお金の準備が目的であるため、被保険者になれる子どもの年齢は6歳または7歳までといった年齢制限のある商品が一般的です。
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受取人
学資保険の受取人は、契約者自身がなる場合や、契約者の配偶者、被保険者である子どもがなる場合があります。
学資保険では受取人を誰にするかによって保険金を受け取る際にかかる税金の種類や金額が変わるため、注意が必要です。
一般的には契約者を受取人とする契約形態がほとんどです。
受取人になれる人の範囲も保険会社によって異なり、契約者だけに限定している商品などもあります。
なお、受取人の変更は所定の手続きを踏めば、いつでも可能です。
また、離婚したときや受取人が死亡したときなどは、速やかに保険会社に連絡して手続きをする必要があります。
手続きを怠るとトラブルが発生するおそれがあるため、注意してください。
契約者と受取人の関係で変わる税金の仕組み
かかる税金の種類は、受取人と契約者の関係によって決まります。
所得税・住民税がかかる場合、お金の受け取り方によって所得の種類が異なり、税金の計算方法も変わる点に注意が必要です。
ここでは、それぞれのパターンの税金の仕組みを見ていきましょう。
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契約者と受取人が同じ場合
所得税・住民税がかかるケースでは、保険金の受け取り方(一括または年金形式)によって所得の種類が異なり、税金の計算方法が変わります。
以下、「保険金の一括受け取り」「年金形式での受け取り」、それぞれの計算方法を解説します。
一括で受け取る場合
一時所得は以下の計算式で求められます。
一時所得は、給与所得や事業所得といった他の所得と合算されて、税額を計算する仕組みとなっています。
払込保険料の総額が200万円の場合、一時所得は以下のとおりです。
300万円−200万円−50万円=50万円
この場合、一時所得金額50万円の2分の1の25万円が、所得税・住民税の課税対象となります。
つまり、他に一時所得がない場合、満期保険金が払込保険料の総額より50万円超多くなければ、所得税・住民税はかからないわけです。
参照:国税庁「一時所得」、東京都中央区「一時所得」
年金形式で受け取る場合
学資保険の雑所得(1年分)は以下の計算式で求められます。
たとえば、子どもの大学入学から4年間にわたって毎年80万円ずつ保険金を受け取る場合(保険金総額320万円)、払込保険料の総額が300万円だとします。その場合の、雑所得は以下のとおりです。
雑所得の金額 = 80万円 - 80万円 × (300万円 ÷ 320万円) = 5万円
参照:国税庁「雑所得」、東京都中央区「雑所得」
契約者と受取人が違う場合
贈与税の計算式は、以下のとおりです(保険金以外の贈与がなかった場合)。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、残りの金額に税率を乗じて税額を求めます。
つまり、保険金額が基礎控除の110万円以下であれば贈与税はかかりません。
贈与税の税率と控除額は、基礎控除後の金額によって異なる仕組みです。
また、親や祖父母といった直系尊属から成人した子どもや孫へ贈与のと、それ以外の贈与では適用される税率と控除額が異なります。
たとえば、契約者が父で受取人が子どもの学資保険の保険金300万円を一括で受け取った場合、贈与税の税率は10%、控除額は0円です。
贈与税は、以下のようになります。
参照:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
学資保険の受取人と契約者は同じ人にした方がお得
「契約者と受取人が同じ」で「保険金を一括で受け取る」場合、保険金額と払込保険料総額の差額が50万円を超えなければ所得税・住民税はかかりません。
そのため、実際に税金がかかるケースは少ないと考えられます。
一方、「契約者と受取人が同じ」で「保険金を年金形式で受け取る」場合、年間の総所得金額によってかかる税率が変わるため、税額は人によって異なります。
会社員や公務員といった給与所得者の場合、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要となります(ただし、住民税の申告は必要です)。
以上の点から判断すると、契約者と受取人を同じ人に設定し、満期保険金を一括で受け取るケースが税金面では得策と考えられます。
実際にかかる税額は、支払う保険料と受け取る保険金などをもとに計算してみるとよいでしょう。
学資保険の受取人の設定についてもしっかりと理解しよう!
契約する場合、受け取り時にかかる税金も考慮して、契約内容を考えるようにしましょう。
また、すでに契約した学資保険の受取人の変更はいつでもできます。受取人を変更したほうが有利な場合、保険会社に申し出て手続きをするとよいでしょう。
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