2016年06月29日 08時30分
住宅ローン“タイプ別”借り換えポイント! ファミリーとシングルでどう違う?
住宅ローンの借り換えポイントをタイプ別に紹介。契約前に確認しておこう
住宅ローンの借り換えを検討している場合、ファミリーとシングルでは、おさえておくべき項目が異なる。そこで、タイプ別にポイントをまとめてみた。シングルの人はもちろん、子どもがいる人や共働き夫婦は、ぜひチェックしてほしい。
▼子どもがいる場合
子どもが進学したら、想定以上に教育費がかかることも多い。当初の住宅ローンの返済そのものが、破たん目前になっているケースもあるだろう。その場合、ローンの見直しという角度から借り換えを考えよう。
教育費は、子どもの進学状況によって差があり、想定と違う進学先となった場合、住宅ローンの返済にも影響が出る。まずは、現在の家計の中で返済できる金額を算出することが重要だ。現在の返済額で家計が赤字になってしまうのであれば、赤字にならない金額まで返済額を減らせる借り換えを検討するのが得策だろう。
ただし、注意点がひとつ。通常、借り換えをすると、返済終了の時期を変更しなければ、金利が下がった分、返済額を減らすことができる。だが、期間を長くして返済額を減らした場合、返済終了が先延ばしになり、老後の生活に悪影響を及ぼすことがある。子どもが成長したら、教育費分は貯金に回し、積極的に繰り上げ返済をして早く終わらせることを検討しよう。
▼共働きで子どもがいない場合
夫婦ともに収入があり、資金的に比較的余裕があって、2人でローンを組んでいる場合、懸念すべき点は稼ぎ手がひとりになってしまうことだ。例えば、妻が妊娠して、退職あるいは一定期間、収入がなくなるケースや親の介護などでどちらかが退職するケースが考えられる。
収入が減った場合、家計の状況を大幅に見直す必要がある。その際、ローンの借り換えをして返済額を減らし、どちらか一方の名義に変更することは効果的だ。金利選択においては、ローン残高が少なめならば、変動金利を利用して早く完済するのもいいかもしれない。
もし収入が変わらなければ、借り換えで返済額が減ったとしても、これまで通り夫婦そろって返済しているつもりで貯蓄をし、繰り上げ返済の原資を増やしていけば、完済のスピードが早まるだろう。
▼シングルの場合
シングルの場合、すべてを自分ひとりのお金で賄わなくてはならないため、ファミリー以上に貯蓄をして、頭金をある程度貯めてから、負担の少ない住宅ローンを組んでいることが多い。そのため、現在のローンに問題があるケースは比較的少ない。
とはいえ、マイナス金利以前の高い金利で借り続けている人もいるだろう。現在の返済でやっていける場合でも、借り換え後の金利にした場合、返済期間あるいは返済額がどの程度変わるかシミュレーションしてみたらいかがだろうか。
住宅ローンの借り換えの目安は、完済までの期間10年以上、残債額1000万円以上、借り換えプランとの金利差1%以上といわれているが、ネット銀行のローンも参入して、状況は変化している。
また、住宅ローンを借りた時と現在では、家計の変動もあるだろう。今後どのように変化していくのかはわからないが、想定を見直して有利になるのかどうか検討する価値のあるケースは多いと思われる。
2016年3月に、主要6行に申し込みのあった借り換え件数は2万4000件弱で、前年同月比3.6倍だった。周囲と足並みをそろえるわけではないが、一度立ち止まって見直すことは、決して無駄ではないだろう。
<記事/山根裕子(マイアドバイザー登録FP)>
CFP。会計事務所系FP会社で中小企業のオーナーや個人の顧客のお金に関する問題解決の実行支援を展開中。「お金のかかりつけ医」として家族ぐるみの相談相手になることも多い。
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