2016年09月21日 08時30分
【住宅ローン】1円単位の繰り上げ返済、賢く活用するポイント伝授
1円単位の繰り上げ返済を賢く活用するポイントとは?マネーに詳しいFPが解説
住宅ローンを取り扱っているネット銀行では、一部繰り上げ返済(以下、繰り上げ返済)をインターネット上で手数料無料かつ1円から可としているところが多い。このような利便性の高さは魅力だが、誰もがこまめに繰り上げ返済をすべきなのか? 1円単位の繰り上げ返済を賢く活用するポイントは何なのか、紐解いていこう。
▼繰り上げ返済とは?
住宅ローンの繰り上げ返済とは、定期的な返済とは別に、手元にある資金を使って元金の一部を早めに返済するもの。すべてローンの元金部分に充当されるため、それに対する利息を払う必要がなくなり、総支払額を減らすことができる。
▼繰り上げ返済による効果は大きい
例えば、適用金利1.5%、ローン残高2000万円、残りの返済期間25年の状態で100万円の繰り上げ返済をしたとする。期間短縮型(毎月返済額を変えずに残りの期間を短くするタイプ)では、「約1年半の期間短縮」と「約44万円の返済額減少」。返済額軽減型(残りの期間を変えずに毎月返済額を減らすタイプ)では、「約4000円の毎月返済額減少」と「約20万円の返済額減少」という効果が得られる。
▼1円単位の繰り上げ返済をすべきなのは…
住宅ローンの利息負担は、常にその時々のローン残高に対してかかってくるため、トータルの返済額を少なくするには“元金をいかに早く少なくするか”が重要だ。したがって、インターネットを通じて手数料無料で1円から繰り上げ返済ができるのは、魅力的であることには違いない。
とはいえ、もし毎月コンスタントに繰り上げ返済を行えるなら、その分、毎月の返済額を増額し、残りの返済期間を短くする方が利息の軽減効果は大きくなる。つまり、こまめな繰り上げ返済が可能な人は、毎月返済額をもっと増やすべきということ。繰り上げ返済は、まとまった収入があったときや大きな出費の予定がなくなったときなど、余裕資金が生まれたときに実行すべきものなのだ。
一方、1円単位などこまめな繰り上げ返済をすすめたいのは、収入の変動が大きい人だ。例えば、会社員で毎月の残業代が変わる人や自営業者で月の収入そのものが変わる人など。毎月の返済額を、収入が少なくなったとしても返済できる金額に設定しておき、収入が多い月に繰り上げ返済を実行していけば、総返済額を減らしていくことが可能だろう。
▼金額制限や手数料だけでなく金利も確認を
もし、繰り上げ返済の金額に制限がなく手数料もかからない銀行と、制限があって手数料もかかる銀行があったら、前者の方がいいと感じるかもしれない。だが、適用金利が0.1%でも低いのであれば、金利の低い方を選択すべきといえる。
借入金額や返済期間などによって異なるが、例えば2000万円を30年返済で借りるとしよう。この場合、適用金利が1.0%なら総返済額は約2316万円。これが1.1%になると約2349万円になり、約33万円の差が生まれる。
繰り上げ返済の金額制限がなかったり、手数料が無料であることは魅力だが、適用金利の低さを上回るものではないだろう。比較検討の際には気をつけたいポイントだ。
<記事/菱田雅生(マイアドバイザー登録FP)>
早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系FPに。資産運用や住宅ローンなどを中心テーマに、相談業務や原稿執筆、セミナー講師などに従事している(http://www.la-consul.com)。
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