住宅ローンの変動金利とは?メリット・デメリットと固定金利との違いを解説

住宅ローンの変動金利とは?メリット・デメリットと固定金利との違い

短期金利の動きに合わせ、半年ごとに利率が見直される「変動金利」。借り入れ時の金利で固定される「固定金利」と比較して金利が低いこともあり、近年住宅ローンを利用する際は、変動金利を選ぶ人が増えています。ただし、どちらが「お得」なのかは、景気の動向とそれぞれの将来設計次第だといえます。

この記事では、変動金利をの特徴やメリット・デメリットに加えて、固定金利との違いについて解説します。住宅ローンを検討する際の参考にお役立てください。

住宅ローンの金利とは

住宅ローンの金利とは

住宅ローンを利用すると、月々の返済をしていくことになります。返済金額は、「元金(借りたお金)」と「利息」で構成されます。この時、元金に対して利息がどれくらいの割合でかかるかを示すのが「金利」です。
なお、金利は年間にかかる利息の割合ですので、12ヵ月で割ると月々の利息を算出できます。

変動金利とは

変動金利とは、経済情勢に応じて定期的に金利の見直しが行われる仕組みの金利です。まずは、変動金利の基本的な仕組みと特徴を理解しましょう。

変動金利の仕組み

変動金利では、金利は1年未満の短い資金貸借に適用される「短期金利」に連動しており、一般的に固定金利より金利が低いのが特徴です。そのため短期的に見れば「変動金利で借りたほうが、月々の返済額が低く抑えられる」ので、そこに魅力を感じる人が多いでしょう。
変動金利の決まり方については、こちらの記事にまとめています。
変動金利はどうやって決まるの?

変動金利の返済方式は2種類

変動金利型の住宅ローンには、「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の2つの返済方式があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

元利均等返済方式

元利均等返済方式とは、毎月の返済額が一定になる支払方式です。返済額の内訳をみると、返済開始当初は利息の割合が多く、返済が進んだ後半になるにつれて、利息が減るため元金の返済割合が増えます。

元利均等返済方式は、元金均等返済方式と比べて初期の返済負担が軽くなる一方で、総返済額が多くなる傾向があります。

■元利均等返済方式のイメージ

元利均等返済方式のイメージ

元金均等返済方式

元金均等返済方式とは、毎月の返済額のうち元金を均等に分割して支払う返済方式です。返済開始当初から確実に元金を返済できるため、元金をより早く減らすことができます。そのため、元利均等返済方式と比べて、返済総額が少なくなる傾向にありますが、初期の返済負担が重くなる可能性があります。

なお、元金均等返済方式は5年ルールや1.25倍ルールの適用対象外です。

■元金均等返済方式のイメージ

元金均等返済方式のイメージ

変動金利のメリットとデメリット

変動金利の住宅ローンでは、金利の動向によって返済総額が変動します。低金利が続けば支払総額も抑えられる一方で、金利が上昇した際にはリスクもあります。検討する際には、メリットとデメリットを知っておくことが大切です。

変動金利のメリット

変動金利の主なメリットとしては、次の2つが挙げられます。

金利の設定が低い

変動金利の大きなメリットは、固定金利に比べて基本的には金利が低く設定されていることです。これは、変動金利が「短期プライムレート」といわれる、優良企業への短期貸付金利を基準に見直しされているからです。
このため、低金利の状態が返済期間中ずっと続けば、返済総額が抑えられます。

毎月の返済額が急激に増えないよう対処されている

変動金利では、金利が急に上昇しても家計に大きな影響を与えないよう、毎月の返済額について2つのルールが設けられています。

通常、変動金利では半年ごとに金利が見直されます。ただし、毎月の返済額は、5年ごとの見直しが一般的です(5年ルール)。また、5年経過後に金利が変更されても、返済額はこれまでの返済額の1.25倍までに制限されます(1.25倍ルール)。この仕組みによって、返済額の急激な増額を防いで、金利変動のリスクを軽減しています。
■5年ルールと1.25倍ルールのイメージ

5年ルールと1.25倍ルールのイメージ

変動金利のデメリット

変動金利のメリットでもある「5年ルール」と「1.25倍ルール」は、リスクも含んでいます。変動金利のデメリットは主に次の2つです。

返済総額が大きくなるリスクがある

「5年ルール」によって月々の返済額が5年間変わらないといっても、金利の見直しは定期的に行われるため、元本と利息の割合は常に一定ではありません。金利が上昇すれば、返済額全体に占める、利息支払い分の割合は大きくなります。
また、返済開始当初より利息分が多い状態で「1.25倍ルール」が適用されれば、返済額自体が抑えられてしまうため、元金の減り方は鈍くなってしまいます。つまり元金の返済が遅くなり、結果として返済総額が大きくなってしまう場合もあるのです。

未払い利息が生じるリスクがある

さらに変動金利では、金利が大きく上がってしまうと、利息分が毎月の返済額を超え、「未払い利息」が生じてしまう可能性もあります。この場合、毎月決められた返済金額を支払っているにもかかわらず、借り入れ残高(元金)はまったく減らないことになります。
返済しきれなかった分は、どこかで一括して精算するか、分割で支払うことになります。

例えば、下の図を見てみましょう。
月々の返済額が毎月15万円の場合、返済開始当初の内訳は「利息8万円+元金7万円」だったのに、金利が上昇することで「利息10万円+元金5万円」になり、その後さらに金利が上昇し「利息だけで15万円以上」になると、その超過分が未払い利息になります。
■変動金利で未払い利息が発生する仕組み

変動金利で未払い利息が発生する仕組み

固定金利との違い

固定金利との違い

住宅ローンには、変動金利タイプのほかに固定金利タイプがあります。それぞれの特徴を知って、自分に合った金利タイプを選べるようにしましょう。

固定金利とは

固定金利とは、返済期間中の金利が一定である金利タイプのことをいいます。金利の変動に影響を受けないため、返済計画が立てやすい反面、変動金利よりも金利の設定が高いことが多いので返済総額が高くなる可能性があります。

固定金利型の住宅ローンには、完済までずっと金利が一定の「全期間固定金利」と「固定金利期間選択」の2つのタイプがあります。「固定金利期間選択」では、最初に選択した期間を固定金利とし、その後は変動金利に移行するか、その時点での金利で改めて固定金利にするかを選べるようになっています。

変動金利と固定金利の比較

変動金利と固定金利の特徴について、主な違いは次の表の通りです。

変動金利

固定金利

金利水準

低め

高め

金利変動

ある

ない

毎月の返済額の変動

5年に1度の見直し。上昇幅は変更前の1.25倍までに制限。

変動なし

未払い利息

発生するリスクがある

ない

収支計画の立てやすさ

返済額に変動があるため立てにくい

返済額が一定のため、立てやすい

変動金利と固定金利の大きな違いは「金利水準」と「金利変動があるかです。
変動金利は金利変動がありますが、金利が低めに設定されています。そのため、低金利の状態が続けば固定金利よりも返済総額が抑えられます。ただし、金利が大幅に上昇すると、未払い利息が生じるリスクがあることに注意が必要です。

一方で、固定金利では金利が変動しないため、より安定的な返済計画を立てられるといえます。ただし変動金利と比較して金利が高めに設定されており、低金利が続くと返済総額が高くなるでしょう。

変動金利に向いている人

変動金利がお得かどうかは、金利動向に左右される部分が大きいです。では、変動金利タイプはどんな人に向いているのでしょうか。

「変動金利」に向いているタイプ

  • 長期間ではなく、10年ほどの短期間で返済できる額でのローンを考えている
  • 先々を見越した「リスク管理」が得意な人
  • 経済・金融に興味があり、金利変動をチェックするのが負担にならない人
返済期間が短期間であれば、金利上昇による返済額増加のリスクも小さく、変動金利タイプのメリットが大きいでしょう。
また「日頃から家計をしっかり管理できているか」や、「経済や金融のニュースに興味があるか」も大切なポイントです。金融市場の変動は金利に大きな影響を与えます。世界経済の動向、中央銀行の政策、インフレ率などの要因が金利の変動に繋がるからです。
「金利の変化」についていくためのリスク管理力と経済感覚があれば、変動金利タイプの住宅ローンは心強い味方になってくれるでしょう。

金利タイプを選ぶ際のポイント

ここまで変動金利と固定金利の2つの金利タイプの特徴について説明してきました。では、実際に金利タイプを選ぶ際にはどのようなポイントに注目すればいいのでしょうか。

ライフプランを考える

ローンの返済は短くても10年以上、多くの場合30年以上かかります。自分の収入や返済能力、将来的なライフプランを見越したうえで、適切な住宅ローンを選択することが、長期間に渡るローン返済を支える上で重要です。

これは、将来設計に応じて経済的な負担も変化してくるためです。例えば、貯蓄に余裕がある独身の方の場合、金利上昇のリスクにも対応しやすく、変動金利を選ぶことで、低金利の恩恵を受けることができます。
しかし、家族が増えて収入や支出が大きく変化した場合、より安定した返済計画を立てられる固定金利にメリットを感じるかもしれません。

返済の途中で変動金利から固定金利に借換えもできますが、その際には費用も掛かります。初めから将来的な人生設計も加味して無理のない返済計画が立てられる金利タイプを選びましょう。

ローンシミュレーションを活用する

各金融機関のサイトで提供される住宅ローンのシミュレーターを活用して、各金利タイプの返済金額のイメージを付けるのもおすすめです。借入金額や借入期間などいくつかの項目を選択すると、毎月の返済額や返済総額などをすぐに出してくれ、個人情報の記入も不要なケースも多くあります。

気になる金融機関や住宅ローン商品がある場合は、ぜひ活用してみてください。
まだ気になる金融機関が分からない」、「まずは各金融機関の評判を知りたい」という場合には、「【最新年】住宅ローン オリコン顧客満足度ランキング」もぜひ参考にしてください。

変動金利のメリットと注意点を知って、自分にあった住宅ローンを選ぼう

変動金利のメリットと注意点を知って、自分にあった住宅ローンを選ぼう

住宅ローンの変動金利とは、返済期間中の適用金利が変動する仕組みの金利のことです。金利水準が低めに設定されており、低金利が続くと返済総額は低く抑えられますが、金利が上昇すると返済総額も高くなり、未払い利息が生じるリスクもあります。各金利タイプにはメリットとデメリットがありますので、特徴を理解し、将来的なライフプランを考慮した上で、無理なく返済できるかを大事にしましょう。

住宅購入は人生の中でも大きな買い物です。住宅ローンは慎重に検討して選ぶようにしましょう。オリコンでは、毎年住宅ローン利用者に調査を行い「住宅ローン オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。金利など項目別の評判を見れるほか、「変動金利型の住宅ローンランキング」も発表しています。利用者の口コミも充実していますので、住宅ローン検討時の参考にお役立てください。

住宅ローンオリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    72.3

    ソニー銀行

  • 2位

    72.0

    auじぶん銀行

  • 3位

    71.8

    イオン銀行

  • 4位

    71.3

    住信SBIネット銀行

  • 4位

    71.3

    SBI新生銀行(旧:新生銀行)

  • 6位

    71.0

    楽天銀行

  • 7位

    70.7

    三菱UFJ銀行

  • 7位

    70.7

    三井住友銀行

  • 9位

    70.2

    西日本シティ銀行

  • 10位

    70.1

    関西みらい銀行

  • 11位

    69.9

    愛知銀行

  • 11位

    69.9

    山陰合同銀行

  • 13位

    69.4

    りそな銀行

  • 14位

    69.2

    三井住友信託銀行

  • 14位

    69.2

    十六銀行

  • 16位

    69.1

    埼玉りそな銀行

  • 16位

    69.1

    福岡銀行

  • 16位

    69.1

    みずほ銀行

  • 19位

    69.0

    大垣共立銀行

  • 20位

    68.9

    横浜銀行

  • 20位

    68.9

    池田泉州銀行

  • 22位

    68.8

    静岡銀行

  • 23位

    68.7

    京都銀行

  • 24位

    68.6

    群馬銀行

  • 24位

    68.6

    常陽銀行

  • 26位

    68.5

    百五銀行

  • 26位

    68.5

    中国銀行

  • 28位

    68.4

    千葉銀行

  • 29位

    68.3

    八十二銀行

  • 29位

    68.3

    肥後銀行

  • 31位

    68.2

    広島銀行

  • 31位

    68.2

    北海道銀行

  • 33位

    68.1

    滋賀銀行

  • 34位

    67.9

    七十七銀行

  • 34位

    67.9

    日本住宅ローン

  • 36位

    67.5

    北洋銀行

  • 37位

    67.4

    北陸銀行

  • 38位

    67.0

    第四北越銀行(旧:第四銀行、旧:北越銀行)

  • 39位

    66.9

    ARUHI

  • 40位

    66.8

    足利銀行

  • 41位

    66.4

    京葉銀行

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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