2016年06月02日 08時30分
りそなが大手銀行で初! 「印鑑レス手続き」本格導入のメリットは?
住宅ローンや口座開設の手続きに“印鑑”が必要なくなる?
りそなホールディングスが、住宅ローンや口座開設の手続きにおいて、印鑑の使用を原則として取りやめる。大手銀行では初となる試みで、3年後を目処に導入を予定。利用者の手間を減らせるだけでなく、行員の業務も効率化でき、メリットが大きいようだ。
そもそも日本では、個人や会社の意志を示すための文書には、印鑑を押すことが必要とされている。筆跡に特徴が表れるサインに比べて、作ろうと思えば誰にでも作れる印鑑は、セキュリティ面で十分といえるかどうか疑問の声も少なくないが、店舗型の銀行では文化として根付いてきた。そのため、印鑑での手続きを廃止することは革新的といえるだろう。
だが、実はこの“印鑑レス手続き”、ネット銀行では普通に行われている。個人がオンライン口座を開設する場合、印鑑なしで手続きできるケースがほとんどなのだ。
店舗型の銀行とネット銀行では、口座開設ひとつとっても手続きの仕方がかなり違う。まず、店舗型では窓口で複数の書類にサインしたうえで、印鑑の届け出をする必要がある。このときに使う印鑑は、銀行印として通常の印鑑と分けて用いるのが一般的だ。さらに、本人確認の身分証明などを提示して口座を開設、という流れになる。
一方、ネット銀行の場合、実店舗が少ないため、口座開設は基本的に窓口ではなく、オンライン手続きと必要書類の送付だけで済む。個人口座であれば、ほとんどの場合、本人確認の書類と名義人のサインだけで開設が可能。身分証明として、免許証やパスポート、保険証などのコピー、あるいは住民票の写しや印鑑証明の原本などは必要になるが、銀行印の届けは不要だ。
店舗型銀行の印鑑レスに向けた動きは、りそな銀行以外にも見られる。三井住友銀行の一部店舗では、2016年度内に個人向けにサインのみによる本人確認「サイン認証」のサービスを導入予定。新たに開発された技術により、サインを書くときの筆圧や方向などで照合を行うという。口座開設や住所変更などの届けにおいて印鑑が不要となり、同社のサービス「Web通帳」を併用すれば通帳も必要なくなるため、利便性の向上が期待されている。
テクノロジーの進化に伴い、セキュリティの形も変化している昨今。銀行印という存在がなくなる日も遠くないのかもしれない。
(オオノ・ヨーコ)
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