2016年07月10日 09時00分
イギリスがEU離脱! 「外貨預金」にはどんな影響がある?
世界中で注目を集めたイギリスの“EU離脱”。外貨預金にはどう影響するのか?
先月23日にイギリス国民投票が実施され、事前の予想に反してEU離脱派が勝利し、報道が世界中を駆け巡った。同時に、株価や為替が大きく変動し、衝撃を受けた人も多いだろう。投資として外貨預金を行っていた場合、どのような影響が考えられるのか? 説明していこう。
■イギリスEU離脱の経緯
今回の投票は、2013年にキャメロン首相が「2015年の総選挙で政権を維持できれば、EU残留の是非を問う国民投票を実施する」と約束していたもの。なぜこのような公約を掲げたかというと、イギリスはEU加盟により、多くの移民を受け入れざるを得なくなっていたからだ。イギリス国民の多くが、「移民が我々から職を奪い、社会保障など、国ひいては国民の負担を増やしている」と感じており、その原因はEUに所属しているからだとして、「離脱すればそのようなことはなくなる」という意見が大きくなっていたのだ。
2015年の総選挙で、単独過半数を確保したキャメロン首相は、公約を守り、今回の国民投票が実施された。EUを離脱することで移民の流入を阻止することはできるが、その反面、単一市場内の関税などの優遇措置を放棄せざるを得ない。このため、経済の縮小やEUとの障壁による成長鈍化などが予想されている。
■外貨預金への影響は?
離脱派の勝利が報道された直後、世界中の株式および為替市場で大きな動きがあった。日本でも、24日に日経平均株価が前日比1286円安となり、円相場も2年7ヶ月ぶりに1ドル99円台をつけ、米ドル以外の通貨も円高となった。
そもそも外貨預金は、日本よりも金利が高い外国の通貨に換えて預け入れ、利子と為替差益を狙うもの。ひとたび円高となれば利益が相殺されるうえ、円換算後に原本割れするリスクもあり、多くの投資家が打撃を受ける。
今回の件では、対米ドルで一時102円台まで回復し、安定基調になった印象もあるので、今のところ報道直後以上のショックは避けられそうではある。だが、今後、イギリスの政情不安や離脱交渉の流れによっては、さらなる円相場の混乱も考えられる。本当に落ち着くまでは、もうしばらく時間が必要だろう。
外貨預金のように、中長期的な視点でも運用できる場合は、今回のような短期的な動きだけで右往左往する必要はないといえる。とはいえ、一時的でも損失が出ると心配だ。今後は、分散させるなどの対策を考えてみてもいいかもしれない。
文/ロックスター 佐藤
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