2016年12月27日 10時20分

預貯金だけではNG!? 資産運用の必要性と具体的な方法を解説

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資産運用について考えるべき理由とは? マネーに詳しいFPが解説する

 ここ十数年の間に、金融の自由化が進み、各金融機関における商品の品揃えやサービスは多様化した。資産運用について考えて実践する人も少なからず増えたのではないだろうか。一方、預貯金しか利用しない人もまだまだ多い。実は保有資産量に関係なく、誰もが資産運用について考えるべき理由があるので、今回解説していきたい。

▼預貯金だけでは資産の価値を守れない

 支出額を上回る収入をコンスタントに得られるなら預貯金は不要だが、子育てや老後など、収入だけでは支出をまかないきれない時期がやってくる可能性は大いにある。また、日本が高い経済成長率を維持し、勤め先の業績も順調に伸びていくなら、一所懸命働くだけで経済的な幸せ(=ゆとりのある生活)を獲得できるが、そうならないこともあり得る。このため預貯金は欠かせない。たとえ銀行が破綻しても、一定額までは守られるので、安心感もある。

 だが、お金の価値の変化を考えると、預貯金が安全とは一概にいえなくなる。
 
 例えば、物価上昇(インフレ)が起きると、お金の価値は減少する。今から40年前の1976年、大卒の初任給は約9万円だったが、現在では約21万円だ(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)。つまり40年前は、ひと月を30日で計算すると1日あたり3000円、1万円で約3.3日過ごせたが、現在は7000円、1万円で約1.4日しか生活できない。それだけ1万円の価値が下がってしまったのだ。

 それでも、金利が物価上昇率よりも高いなら預金は目減りしないが、2015年の消費者物価指数(総合指数)の年間上昇率+0.8%に対し、1年満期の定期預金金利は0.01〜0.02%だった。実質的に目減りしていることを示している。

 また、為替レートの変動によっても相対的な価値は変わる。円の価値が下落する円安が進むと、ある意味、預貯金が相対的に目減りしているとも考えられる。

 つまり、預貯金は見た目には安全でも、物価や為替の変動によって目に見えない値動きをしているということ。これらに備えるために資産運用が必要といえるわけだ。資産運用というと「お金を増やすために行うもの」と思われがちだが、第一目的は「資産を守るために行うもの」と理解すべきではないだろうか。

▼具体的な方法は?

 例えば、インフレに備えるために株式や不動産で運用されている投資信託を買う。円安に備えるために外国株式や外国債券で運用されている投資信託を買うといった方法がある。このようなスタンスであれば、目先の値動きによって評価益や評価損が出ても、一喜一憂せずに中長期的なスタンスで保有できるだろう。

 資産運用の基本は、値動きの異なる国内外のさまざまな資産(商品)を保有することでリスク分散を図り、保全効果を期待すること。まずは少額からでも複数の商品を買ってみるところから始めてみては?

<記事/菱田雅生(マイアドバイザー登録FP)>
早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系FPに。資産運用や住宅ローンなどを中心テーマに、相談業務や原稿執筆、セミナー講師などに従事している(http://www.la-consul.com)。

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