水道の水がまずい・変な味だと感じる原因と対処法を解説

水道の水がまずい・変な味がすると感じる原因と対処法を解説

日本の水道水は、厳しい水質基準をクリアしており世界の中でも安全においしい水が利用できます。ですが、「引越したら水道水がまずくなった」「突然変な味になった」という感じる方も少なくないようです。

ここでは、水がまずい・変な味がすると感じる場合の原因と、その場合の対処法について解説します。
水道の水に違和感を感じたことがあるという方は、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 水道の水がまずい・変な味だと感じる原因
    1. 残留塩素によるカルキ臭
    2. 水温の上昇によるカビ臭
    3. 水道管の劣化によるサビ・金属のにおい
    4. 集合住宅の貯水槽(受水槽)の汚れ
    5. 水温による味わいの違い
  2. 水道の水がまずい場合の対処法
    1. 水道水を冷蔵庫で冷やす
    2. 水道水を沸騰させる、レモン汁を落とす
    3. 浄水器を設置する
    4. ウォーターサーバーを利用する
    5. 水道管の取り替え工事をする
  3. 地域によって水道水のおいしさに違いはある?
    1. 日本の水道水は品質が高い
    2. 水道水がまずい地域があるって本当?
  4. 自分に合った対処法を知って、おいしい水を飲もう

水道の水がまずい・変な味だと感じる原因

水道の水がまずい・変な味だと感じる原因

水道の水がまずい、味が変と感じる原因には、水道水や水道管あるいは利用者の体調などさまざま考えられます。ここでは主に考えられる要因について解説します。

残留塩素によるカルキ臭

水道水は、安全に飲めるようにするため「次亜塩素酸ナトリウム(塩素)」で消毒されています。
水道水中の塩素の濃度を残留塩素といい、殺菌効果を保つために0.1mg/L以上と法律で義務付けられています。

残留塩素は水道水の安全性を高めるために必要不可欠ですが、一方で、水道原水に含まれるアンモニアと反応し「カルキ臭」といわれる独特のにおいを発生させる物質(クロラミン)を生じさせます。このカルキ臭が、水の味わいに影響してしまいます。
カルキ臭は、水温や体調など様々な要因によって強く感じることもあります。

水温の上昇によるカビ臭

原水地である河川や貯水池で水温が上昇すると、藻類などが異常繁殖してカビ臭を引き起こすことがあります。
なお、この場合のカビ臭は、腐敗などの衛生面が理由で生じたものではなく、自然にいる微生物が産出した物質によるものなので、健康に害があるものではありません。

水道管の劣化によるサビ・金属のにおい

水道管が劣化すると内部にできたサビが水に溶けだして、鉄などの金属のにおい(金気臭)や渋い味が付くことがあります。
特に、朝一番の水に感じられることが多いのが特徴なので、使い始めは十分に水を流してから使用してください。根本的な解決としては、水道管(宅内配管)の取り替えが必要となります。

集合住宅の貯水槽(受水槽)の汚れ

マンションや団地などの集合住宅には、「貯水槽(受水槽)」というタンクが設置されています。これは、水道管から一時的に水を引き込むタンクの事で、階数に関係なく適切な水圧で水道水を使えるようにする役割をもっています。

貯水槽は定期的な点検やメンテナンスが義務付けられていますが、経年劣化などの理由によって汚れが生じると、水の味やにおいに影響する可能性があります。

水温による味わいの違い

水道管や水道水自体の状態に変わりはなくても、水の温度によってもあじわいは異なります。
一般的に水がおいしく感じられる温度は、10〜15℃程度、高くても20℃以下といわれています。水温が低いとカルキ臭を感じにくいこともおいしく感じられる理由です。

一方で、東京都水道局のデータ「都庁付近の水道水の水温(令和2年度)」を見ると、6月、7月、8月、9月は水道水の平均温度が20℃を超えており、おいしいとされる温度(5〜15℃程度)よりも5℃以上ぬるい状態です。

都庁付近の水道水の水温(令和2年度、東京都水道局)
平均(℃) 最大(℃) 最小(℃)
年間 16.8 28.3 7.6
4月 13.5 14.9 12.1
5月 17.1 18.8 14.8
6月 20.8 22.6 18.4
7月 22.7 23.8 20.7
8月 26.9 28.3 23.2
9月 24.4 27 20.7
10月 18.4 21.6 15.6
11月 15.1 17.2 12.9
12月 11.4 13.7 8.9
1月 8.4 9.4 7.6
2月 9.5 11.5 8.2
3月 12.5 15.5 9.9
※出典:東京都水道局「都庁付近の水道水の水温」をもとに編集部作成

水道の水がまずい場合の対処法

水がまずいと感じるときの対処法

水道水がまずいからといって、ペットボトルのミネラルウォーターを毎回購入するのは買い物の負担も大きいでしょう。ここでは、それ以外の方法でおいしい水を利用するための対処法をご紹介します。

水道水を冷蔵庫で冷やす

まずは、一番手軽な方法として「水道水を冷蔵庫で冷やす」という方法があります。
水をおいしく感じやすいのは、10〜15℃程度、高くても20℃以下といわれています。
また、水温が低いとカルキ臭を抑える効果も期待できます

ただし、冷やし過ぎると胃腸に負担が掛かるので注意しましょう。

水道水を沸騰させる、レモン汁を落とす

水道水を冷蔵庫に入れる前に、次のひと手間加えることで、水のにおいをより抑える効果が期待できます。

1.水道水を沸騰させる
2.レモン汁を落とす

どちらかだけでも、両方を併せて実施してもいいでしょう。どちらもカルキ臭の原因となる残留塩素を分解・減少させるのに効果的です。

ただしカルキ臭が抑えられる一方で、塩素を分解するため殺菌効果も弱まります。菌が繁殖しやすくなるので「なるべく早く飲み切る」「容器は毎回洗う」の2点に注意しましょう。

浄水器を設置する

浄水器を利用するのもおすすめです。
浄水器には「ポット型」「蛇口直結型」「水栓一体型」「据え置き型」「ビルトイン型」の主に4つに分けられます。
タイプによって費用、手軽さ、浄水性能が大きく異なりますので、検討の際には各商品の特徴を調べるようにしましょう。

浄水器の主なタイプ
ポット型
浄水カートリッジを設置したポットに水道水に入れて使用。
取り付け作業が不要なので手軽に使えるが、カートリッジの交換頻度は多くなる。

蛇口直結型
蛇口の吐水口に浄水カートリッジを取り付けて使用。
大がかりな工事は必要ないが、蛇口の形にあわせて商品を選ぶ必要がある。

水栓一体型
蛇口の水栓内部に浄水カートリッジが設置されているタイプ。
専用の蛇口に取り替える必要がある。

据え置き型
シンクの上に浄水器本体を置き、本体を蛇口の吐水口に取り付けて使用。
浄水性能に優れていて、カートリッジ交換頻度も低い。
工事は不要だが、設置するスペースを確保する必要がある。

ビルトイン型(アンダーシンク型)
シンクの下に大容量の浄水カートリッジを設置するタイプ。
浄水性能に優れていて、カートリッジ交換頻度は他のタイプと比べて低い。専用の水栓を取り付ける必要がある。

ウォーターサーバーを利用する

ウォーターサーバーを活用する方法もあります。
ウォーターサーバーには、定期的に水ボトルが宅配される「宅配水型」と、水道水を浄水する「浄水型」の2タイプがあります。水の味わいをより追求したいという方は、天然水を扱う宅配水型ウォーターサーバーを検討してもよいでしょう。

ウォーターサーバーのタイプ
宅配水型
水ボトルが定期的に宅配されるタイプのウォーターサーバーです。水には「天然水」「RO水」の2つがあり、天然水はよりおいしい水を楽しみたい人、RO水はより安く使いたい人におすすめです。水の注文ノルマの有無や、配送料など掛かるコストは各社で異なります。
浄水型
ウォーターサーバーのタンクに水道水を補充し、水道水を浄水して使うタイプです。お湯も使えるという点で、浄水器と異なります。基本的に掛かる料金は、月額定額制のサーバー料なので水の使用量を気にせず使用できるのが特徴です。
機種ごとに機能やデザインの特長もさまざまで、機械に不慣れでも使いやすいシンプルな性能のものから、インスタント食品の調理に便利な熱湯が出るタイプ、コーヒーも淹れられるなどの多機能型に加えて、停電しても使用できるなどの災害時にも安心な機能を備えた機種まであります。

水道管の取り替え工事をする

水に金属のにおい(金気臭)を感じる場合などには、原因として水道管の劣化も考えられます。使い始めに2〜3分の間放水することで改善されますが、それでも解消されなければ、お住まいの都道府県の水道局へ相談することも検討しましょう。

また、根本的に解決するためには水道管のメンテナンスや取り替えが必要な場合もあります。マンションなどの集合住宅の場合は、大家さんや管理会社へ連絡、戸建ての場合は各家庭で都道府県指定の工事事業者へ施行を依頼する流れとなります。

地域によって水道水のおいしさに違いはある?

日本の水道水は、世界と比べても安全性・味のおいしさの点から高い品質を誇ります。ここでは、水道水の品質が高いとされる理由と、それでも地域によって水道水の味が異なる理由について解説します。

日本の水道水は品質が高い

日本は世界でも数少ない、水道水をそのまま飲んでも問題ない国です。日本の水道水が安全な背景には、水道インフラが全国的に整備されていることや、厳しい水質基準が設置されていることが関係しています。

まず、水道水が蛇口から出てくるまでには「河川などの採水地から原水を取り入れる」→「浄水場で安全に利用できる水をつくる」→「給水場に送水され、量を調整して各家庭に届けられる」という過程を経ています。

この中でも浄水場では、原水を沈殿・ろ過・消毒することで利用可能な水を作る役割を持っています。そして「水質基準項目(51項目)」「水質管理目標設定項目(27項目)」「要検討項目(46項目)」の3階層の基準に則り、検査や情報収集を実施することで品質を維持しています。

水道水の水質基準

※出典:環境省「水道水質基準について」をもとに編集部作成

さらに各都道府県の水道局は、より質の高い水道水を供給するために独自の目標設定を設けています。例えば、東京都水道局では「おいしさに関する水質目標」として、においや味などに関する独自の基準値目標を設定しています。

水道水がまずい地域があるって本当?

日本の水道普及率は98.3%(2022年時点)と極めて高く、厳しい基準をクリアした品質の水道水が全国どこにいても利用できるといえます。一方で、原水に含まれるミネラル成分の量は採水地ごとに異なり、この違いが水の味に差を生じさせます。
水には様々なミネラル成分が含まれており、なかでも代表的なカルシウム、マグネシウムの含有量を示す数値を「硬度」といいます。硬度が高いほどミネラルが多いことを意味し、WHO(世界保健機構)では、この硬度に基づいて水を「軟水」「中硬水」「硬水」「超硬水」の4つに分類しています(下表)。

WHOによる水の硬度区分

水の硬度区分

基準値

軟水

60mg/L未満

中硬水

60〜12mg/L

硬水

120〜180mg/L

超硬水

180mg/L超

※出典:WHO「Hardness in Drinking-water」(2011年)
ミネラル成分が少ない軟水は、まろやかな口当たりでクセの少なさが特徴で、料理への使用や飲み水としても使いやすいです。反対に、ミネラル成分が多く含まれると苦味を感じやすくなります

このため、原水のミネラル含有量が違うと水の味わいにも差を感じることがあります。もちろん味覚の好みは人それぞれなので、硬度が高いからまずい、低いからおいしいというわけではありません。

なお、日本の水道水は石鹸の泡立ちやすさ等の観点から、硬度300mg/L以下と法律で基準値が定められています。
加えて、おいしさの観点からは10〜100mg/Lが目標値として設定されています。

自分に合った対処法を知って、おいしい水を飲もう

水道水がまずいと感じる背景には、水道水の成分に由来する臭気の他、水温が高いなど様々な理由があると考えられます。また「違う地域に引越したら水の味が変わった」という場合には、水の硬度の違いが影響しているかもしれません。

対処法としては、自宅で水道水を冷やす・沸騰させるなど処理を行う方法があります。浄水性能を求める場合には、浄水器やウォーターサーバーを検討してもいいでしょう。特に水のおいしさにこだわる場合は、「天然水」を扱う宅配水型ウォーターサーバーを利用するのもおすすめです。

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