家を建てる際の頭金はいくら?平均費用やマイホーム購入時の注意点
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本記事では、住宅購入時の頭金の相場や支払うメリット・デメリットを詳しく解説します。安心してマイホーム購入の準備を進めるために、これから家を購入する予定の人はぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンにおける頭金とは
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頭金の役割
その場合、一般的には住宅ローンを組むことになりますが、その際に「自己資金の一部」として先に支払うのが「頭金」です。
頭金は、その額が多いほど住宅ローンの借入額は減少します。月々の返済負担を軽減したい場合には、頭金を用意するのがおすすめです。
頭金と手付金の違い
頭金は住宅ローンを組む際に支払う自己資金の一部で、多いほど借入額が減り、返済負担の軽減が見込めます。
一方、手付金は不動産購入の意思を確認するために支払う金額で、通常、物件価格の5〜10%程度です。
この手付金は、買主が取引の取り消しを行った際には返還されず、売主が取り消した場合には買主に倍額が返還されます。手付金額は売主が決め、買主が自由に設定することはできません。
家を建てる際の頭金の費用相場
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住宅金融支援機構の「2023年度 フラット35利用者調査」では、異なるタイプの住宅における平均的な所要資金と融資資金が公開されており、その差額(自己資金)が頭金と考えられます。特に、注文住宅や新築マンションの購入者は、相対的に高い割合の頭金を支払っていることがわかります。
| 住宅タイプ | 所要資金 | 融資資金 | 差額(自己資金) |
|---|---|---|---|
| 土地付注文住宅 | 4,903万円 | 4,171万円 | 732万円 |
| マンション | 5,245万円 | 3,889万円 | 1,356万円 |
| 建売住宅 | 3,603万円 | 3,092万円 | 511万円 |
| 注文住宅 | 3,863万円 | 3,040万円 | 823万円 |
| 中古マンション | 3,037万円 | 2,393万円 | 644万円 |
| 中古戸建 | 2,536万円 | 2,182万円 | 354万円 |
その際、頭金を多く用意することで住宅ローンの借入額を減らし、将来的な返済負担を軽減できることも考慮しましょう。
頭金ゼロでも住宅ローンは組める?
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しかし、最近の金融市場の変化に伴い頭金なしの住宅ローンも登場し、すぐに大きな資金を用意できない人にとって、魅力的な選択肢が増えたといえます。
ただし、頭金がない場合は借入総額が増えるため、金融機関の審査が厳しくなる傾向があります。借入額が大きくなることで返済リスクが高まることから、収入の安定性や信用状況をより厳密に評価されるかもしれません。また、月々の返済額もそれに比例して大きくなります。
さらに、頭金がないことでローンの全期間にわたる金利負担も増加し、最終的な支払い総額が増える傾向にある点には注意が必要です。
そのため、頭金なしで住宅ローンを利用する場合は、長期的な計画をしっかりと立て、月々の返済額やトータルでの返済額に注意を払う必要があります。
頭金なしとありの場合の住宅ローン返済シミュレーション
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ここでは、物件価格別に「頭金なし」「頭金10%」「頭金20%」の3つのパターンで、毎月の返済額や総返済額がどのように変わるのかを具体的にシミュレーションします。
ご自身の予算に近い価格帯を参考に、無理のない資金計画を立てるための判断材料としてご活用ください。
なお、シミュレーションの前提条件は以下の通りです。
■返済期間: 35年
■返済方法: 元利均等返済
■その他: ボーナス払いは考慮していません。
2,000万円の家の場合
頭金がない場合は月々の返済が約5.2万円ですが、200万円(10%)の頭金を用意すると約4.7万円に、400万円(20%)用意すると約4.2万円まで下がります。
頭金を400万円用意することで、支払う利息の総額を約37万円節約することができ、総返済額では約437万円もの差が生まれます。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金200万円(10%)の場合 | 頭金400万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 2,000万円 | 1,800万円 | 1,600万円 |
| 月々の返済額 | 約5.2万円 | 約4.7万円 | 約4.2万円 |
| 35年間の総返済額 | 約2,181万円 | 約1,962万円 | 約1,744万円 |
| 支払う利息の総額 | 約181万円 | 約162万円 | 約144万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約0.5万円減 | 約1.0万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約218万円減 | 約437万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約18万円減 | 約37万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
2,500万円の家の場合
このケースでは、500万円の頭金によって総返済額が約545万円も減り、支払う利息の総額も約45万円節約できる計算になります。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金250万円(10%)の場合 | 頭金500万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 2,500万円 | 2,250万円 | 2,000万円 |
| 月々の返済額 | 約6.5万円 | 約5.8万円 | 約5.2万円 |
| 35年間の総返済額 | 約2,726万円 | 約2,453万円 | 約2,181万円 |
| 支払う利息の総額 | 約226万円 | 約203万円 | 約181万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約0.7万円減 | 約1.3万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約273万円減 | 約545万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約23万円減 | 約45万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
3,000万円の家の場合
注目すべきは、600万円の頭金を入れることで総返済額が約654万円も圧縮される点です。これは、頭金として支払った以上に総返済額を減らせることを意味します。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金300万円(10%)の場合 | 頭金600万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 3,000万円 | 2,700万円 | 2,400万円 |
| 月々の返済額 | 約7.8万円 | 約7.0万円 | 約6.2万円 |
| 35年間の総返済額 | 約3,271万円 | 約2,944万円 | 約2,617万円 |
| 支払う利息の総額 | 約271万円 | 約244万円 | 約217万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約0.8万円減 | 約1.6万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約327万円減 | 約654万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約27万円減 | 約54万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
3,500万円の家の場合
この差は35年間で積み重なり、総返済額で約763万円、支払う利息の総額で約63万円もの違いとなって表れます。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金350万円(10%)の場合 | 頭金700万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 3,500万円 | 3,150万円 | 2,800万円 |
| 月々の返済額 | 約9.1万円 | 約8.2万円 | 約7.3万円 |
| 35年間の総返済額 | 約3,816万円 | 約3,434万円 | 約3,053万円 |
| 支払う利息の総額 | 約316万円 | 約284万円 | 約253万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約0.9万円減 | 約1.8万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約382万円減 | 約763万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約32万円減 | 約63万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
4,000万円の家の場合
もし20%(800万円)の頭金を用意できれば、総返済額は約872万円も少なくなり、支払う利息の総額も約72万円節約できます。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金400万円(10%)の場合 | 頭金800万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 4,000万円 | 3,600万円 | 3,200万円 |
| 月々の返済額 | 約10.4万円 | 約9.3万円 | 約8.3万円 |
| 35年間の総返済額 | 約4,361万円 | 約3,925万円 | 約3,489万円 |
| 支払う利息の総額 | 約361万円 | 約325万円 | 約289万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約1.1万円減 | 約2.1万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約436万円減 | 約872万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約36万円減 | 約72万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
5,000万円の家の場合
頭金なしの場合、月々の返済は約13.0万円ですが、1,000万円(20%)の頭金を入れることで約10.4万円となり、月々の負担を2.6万円も減らすことができます。
最終的な総返済額の差は1,000万円を超え、約1,090万円にもなります。これは、頭金として支払った1,000万円を大きく上回る削減効果です。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金500万円(10%)の場合 | 頭金1,000万円(20%)の場合 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,000万円 |
| 月々の返済額 | 約13.0万円 | 約11.7万円 | 約10.4万円 |
| 35年間の総返済額 | 約5,451万円 | 約4,906万円 | 約4,361万円 |
| 支払う利息の総額 | 約451万円 | 約406万円 | 約361万円 |
| 月々の返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約1.3万円減 | 約2.6万円減 |
| 総返済額の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約545万円減 | 約1,090万円減 |
| 総利息の差 (頭金なしとの比較) |
− | 約45万円減 | 約90万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
住宅ローンを組む際の頭金のメリット
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主なメリットは、「住宅ローンの審査承認を得やすくなる」こと、「住宅ローンの負担が軽減される」ことです。
住宅ローンの審査承認を得やすくなる
また、まとまった頭金の準備は計画的な資金管理能力と安定した貯蓄力の証明となり、金融機関からの信頼度向上につながるでしょう。
住宅ローンの負担が少なくなる
さらに、頭金を支払うことでローンの総支払額が減少するため、支払う利息も少なくなります。家計への圧迫が軽減され、経済的な余裕が生まれることもメリットと言えるでしょう。
具体的にどれほどの効果があるのか、4,000万円の住宅を購入する例で見てみましょう。物件価格の20%にあたる「800万円の頭金を用意した場合」と、「頭金なしの場合」を比較します。
| 項目 | 頭金なしの場合 | 頭金800万円(20%)の場合 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 借入額 | 4,000万円 | 3,200万円 | 800万円 |
| 月々の返済額 | 約10.4万円 | 約8.3万円 | 約2.1万円減 |
| 35年間の総返済額 | 約4,362万円 | 約3,490万円 | 約872万円減 |
| 支払う利息の総額 | 約362万円 | 約290万円 | 約72万円減 |
※計算条件:金利0.5%(変動)、返済期間35年、元利均等返済
住宅ローンを組む際の頭金のデメリット
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主なデメリットは、「住宅ローン控除の恩恵が減ってしまう可能性」と、「頭金を貯めている間の機会損失やリスク」の2つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅ローン控除で戻ってくる税金が少なくなる
この仕組みのポイントは、控除額が「ローン残高」を基準に計算される点にあります。つまり、頭金を多く入れて借入額を少なくすると、その分ローン残高も少なくなり、結果として税金の控除額も減ってしまうのです。
例えば、年末のローン残高が4,000万円の場合と3,200万円の場合を比べると、初年度の最大控除額には以下のような差が生まれます。
■ローン残高3,200万円の場合: 3,200万円 × 0.7% = 最大22.4万円の控除
あくまでデメリットの1つとして、こうした側面も知っておくことが大切です。
頭金を貯めるのに時間がかかり住宅購入が遅れる
住宅価格の上昇リスク
数年間で貯めた頭金の額以上に、物件価格が値上がりしてしまう可能性も十分に考えられます。
金利の上昇リスク
住宅ローンの金利がわずかでも上昇すれば、総返済額は何十万、何百万円単位で増加します。金利が低いタイミングを逃すことは、大きな機会損失になりかねません。
ライフスタイルの変化と家賃の負担
また、子どもの成長や独立、親との同居など、数年の間に最適な家の広さや間取りが変わってしまう可能性もあります。
年齢上昇によるローン審査への影響
また、加入が必須となる団体信用生命保険(団信)は、年齢制限や健康状態による加入条件があります。そのため、健康リスクが高まる高齢になるほど、団信の加入が難しくなる点に注意が必要です。
住宅ローンの頭金を払う際の注意点
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貯蓄のすべてを頭金にしない
前述したように、住宅購入には頭金以外にも、不動産の仲介手数料や登記費用、引越し費用、家具・家電の購入費といった諸費用が発生します。これらの諸費用は基本的に現金での支払いが必要となるため、ある程度の貯蓄は残しておくことが重要です。
頭金が少ないと金利が高くなる
住宅ローンの頭金の額を決めるには、総合的な資金計画が必要
また住宅購入には、頭金以外にも仲介手数料や登記費用、住宅ローン手数料などの諸費用が発生します。これらは基本的に現金での支払いになるため、家を建てるときは、こうした点も考慮しながら、総合的に返済計画を立てることが重要です。
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監修者松田聡子
明治大学法学部卒。
金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。
企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
●保有資格:日本FP協会認定CFP®・DCアドバイザー・証券外務員2種