ドル建て保険とは?メリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説
この記事では、ドル建て保険の特性、メリットとデメリット、さらに円安時と円高時の影響を詳しく解説します。また、どのような人にドル建て保険が適しているのかと、適切な選び方も紹介しますので、参考にしてくださいね。
監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
目次
ドル建て保険とは?
ドル建て保険の基本概念
保険会社はお客様から集めた保険料を運用します。米ドルは金利が高いので、保険会社としても利益を得やすいです。そのため、予定利率と言われる運用による利益を予測して保険料を一定の利率で割り引く「割引率」が高くなります。予定利率が高いことにより、保険料が安くなる点が特徴です。
また、金利が高い米ドルでの運用は利益を還元しやすいので、払い込んだ保険料より大きな保険金を受け取ることができるのも特徴です。そのため、保障だけを目的にするのではなく、貯蓄や投資を目的にドル建て保険を選ぶ人もいます。
円建て保険とドル建て保険の違い
また、平準払い(月払い・年払い)の場合、為替により支払う保険料が毎回異なります。円安が進むと、毎回の支払い負担が大きくなり、家計を圧迫してしまう可能性もあるでしょう。
ドル建て保険のメリット
高い予定利率
一方、日本は低金利政策が続き、日本円の金利は低いため、予定利率も低いです。そのため、ドル建てで運用するほうが、円建て保険に比べて少ない保険料の支払いで済むのは魅力と言えるでしょう。
為替差益が期待できる
為替差益とは、為替レートの変動によって生じる利益のことです。例えば、1米ドル100円で10万ドル(1,000万円)を購入したとしましょう。しばらくして1米ドル150円になれば、10万ドル=1,500万円となり、単純計算すると500万円の利益が出たことになります。
つまり、円高の時期にドル建て保険に加入して、円安になったタイミングで保険金の支払いが行われれば、大きく得する可能性もあります。
税金対策になる
生命保険料控除について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
生命保険料控除の計算方法とそのしくみをわかりやすく解説
ドル建て保険のデメリット
為替リスクの影響
為替は経済の専門家であっても予測が難しいのが実情です。円安に振れれば得することもありますが、元本割れのリスクを排除したいのであれば、ドル建て保険の加入は避けた方が良いでしょう。
各種手数料がかかる
また、一定期間は解約控除費用(早期解約のペナルティのようなもの)がかかるので、契約してすぐに解約すると、大きく元本割れしてしまいます。
それに加えて、ドル建て保険の場合は、保険料の支払い時は日本円から米ドルへ、保険料の受け取り時には米ドルから日本円へ変える為替手数料もかかります。
円安時と円高時のドル建て保険の影響
円安とは、外国通貨に対して日本円の価値が下がることです。例えば、1米ドル100円であれば100円で1米ドルに交換できますが、円の価値が下がり、1米ドル150円になると150円支払わなければ1米ドルに交換できないことになります。
円高とは、外国通貨に対して日本円の価値が上がることです。1米ドル100円から1米ドル80円に円高が進行すると、80円で1米ドルに交換できるようになります。
ここでは、円安・円高がドル建て保険にどう影響するか解説していきます。
円安時の保険料と保険金
それに対して、保険金の実質価値は増加します。保険料を支払った時より円安が進行すると、為替差益の恩恵を受けることができます。
円高時の保険料と保険金
しかし、保険料を支払った時より保険金を受取るタイミングで大きく円高に動いた場合には、元本割れのリスクも生じます。
ドル建て保険が適している人の特徴
資産規模が大きく、リスク分散したい方
ドルを保有するメリットがある方
ドル建て保険の選び方
保険商品の種類と特性
終身保険 | 被保険者が死亡した時や高度障害状態になった時に |
養老保険 | 死亡保障と貯蓄性の両方を兼ね備えた保険。 |
個人年金保険 | 公的年金にプラスして自分で年金を用意するための保険。 |
また、保険の支払い方法として、一時払いと平準払い(月払いや年払い)があります。資金的に余裕がある方は、円高のタイミングで一時払いのドル建て保険に加入して、円安のタイミングで保険料を受取ると、為替差益の恩恵を多く受けることができるでしょう。
なお、終身保険についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
終身保険とは?メリット・デメリットや他の保険との違いを解説
生命保険の仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
生命保険とは? 仕組みや種類をわかりやすく解説
為替リスクを考慮した選択
実は、ドル建て保険のリスクを理解しないまま加入して、困っている人も増えています。
例えば、円安なタイミングに一時払いで保険の契約をすると、保険金の支払い時に円高になったら損してしまう可能性があります。また、月払いのドル建て保険の場合、円安が進行すると保険料の負担が増えて、支払いが厳しくなるでしょう。
為替がどのように動くかは想像しにくいので、このようなリスクがあることはしっかり理解しておきましょう。
基礎知識をおさえて、自分に合った商品選択を
しかし、為替影響を受けやすく、保険料の支払い時より保険金の受け取りのタイミングで大きく円高に動けば、元本割れするリスクもあります。
その点を理解した上で、リスク分散のためにさまざまな資産を保有したい人は、加入の検討をすると良いでしょう。
オリコン顧客満足度ランキングでは、「生命保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
生命保険 顧客満足度ランキング
監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。