60歳以上で生命保険は必要?選び方や見直し方法をわかりやすく解説
![]()
この記事では、60代からの生命保険の必要性と見直すべき保険の種類、見直しのポイントについてわかりやすく解説します。これから保険の見直しを考えている60代の人は、ぜひ参考にしてください。
監修者 ファイナンシャルプランナー 金子賢司
プロフィールを見る
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP® 資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事
目次
60歳以上でも生命保険は必要?
![]()
生命保険の必要性が高いケース
- 配偶者や子どもなど、自分の収入で生活している家族がいる
- 葬儀費用や未払い医療費の精算など、死亡後にかかる費用を準備しておきたい
- 公的保障と貯蓄だけでは、医療費や介護費への備えが足りない
ただし、「60歳を過ぎたから保険が必要」と年齢だけで決めるのは避けたいところです。万一のときに必要な金額は、家族構成や収入、資産の状況によって異なるため、支出の見込み額から収入の見込み額を差し引いた不足分を個別に確認したうえで判断しましょう。
生命保険を減らす・不要と考えられるケース
- 自分の収入で生活している家族がいない
- 葬儀費用や当面の生活費をまかなえる貯蓄がある
- 公的な医療保険・介護保険と貯蓄で、想定する支出に対応できる
なお、すでに加入している生命保険があり、今後は保障が不要だと判断した場合でも、すぐに解約するのは避けてください。まずは、解約返戻金(解約したときに戻るお金)の有無や金額を確認しておきましょう。また、解約するとその時点から保障のない期間が生じ、あとで保障が必要になっても、年齢や健康状態によっては同じ条件で加入し直せないことがあります。解約した契約は元に戻せないため、慎重に進める必要があります。
60代の生命保険加入率と保険料の平均
![]()
項目 | 男性(60歳代) | 女性(60歳代) |
生命保険加入率 | 83.2% | 87.7% |
年間払込保険料の平均 | 20.2万円 | 15.1万円 |
月額換算(年間平均÷12) | 約1.7万円 | 約1.3万円 |
ただし、平均額はあくまで加入者のうち実際に保険料を支払っている人の年間払込保険料の平均であり、自分に必要な保険料や保障額を示すものではありません。60歳代の8割以上が加入しているからといって同じように加入する必要はなく、公的保障や貯蓄で足りない部分だけを保険で補うという考え方で、自分に合った金額を判断しましょう。
60歳以上の生命保険の選び方
![]()
公的保障と貯蓄で備えられる範囲を確認する
介護については、公的介護保険のサービスを利用したときの自己負担が、原則としてかかった費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)です。また、施設に入所する場合は、居住費や食費、日常生活費が別途かかります。なお、60〜64歳の人が介護保険の給付を受けられるのは、特定疾病によって要介護・要支援状態となった場合です。
このように公的保障でカバーされる範囲と、預貯金で対応できる金額を確かめたうえで、それでも足りない部分だけを民間の保険で補うと、保険に入りすぎることを防げます。
必要な保障と保障額を整理する
死亡保障の額は、万一のときに家族が必要とする「支出の見込み額」から、遺族年金や貯蓄などの「収入の見込み額」を差し引いた不足分を目安にする方法があります。この考え方は「必要保障額積み上げ方式」と呼ばれるものです。
たとえば、配偶者の生活費、葬儀費用、お墓代などを支出として書き出し、公的年金の見込み額や預貯金、退職金などを収入として差し引くと、保険で用意すべき金額が見えてきます。
子どもの独立や住宅ローンの完済で、必要な死亡保障額は現役時代より減っているのが一般的です。若いころに加入した保険の金額をそのまま続けるのではなく、現在の家族構成と資産状況を考慮して計算し直してみましょう。
保険期間・払込期間・更新条件を確認する
定期保険や医療保険には、保険期間が終わると同じ保障内容で契約が続く「更新型」があります。更新時にはそのときの年齢などをもとに保険料が計算し直されるため、一般に更新前より保険料は高くなります。また、更新できる年齢には80歳までなどの上限が設けられているのが一般的です。
60歳以降は退職などによって収入が変化することもあるため、更新後の保険料を払い続けられるか、上限年齢を過ぎた後の保障をどうするかまで含めて確認しておく必要があります。
無理なく支払える保険料を設定する
そのため、生活費や今後の貯蓄に加えて、医療費や介護費への備えも確保できるよう、保険料に充てられる上限を先に決めてから商品を比較しましょう。ただし、先ほど紹介した60歳代の平均保険料(月額換算で男性約1.7万円、女性約1.3万円)は、あくまで加入者の実態であって、目標にすべき金額ではありません。
なお、保険料を抑えたい場合は、保障額を必要な分まで下げるほか、不要な特約(主契約と呼ばれる保険の基本部分に追加して付けている保障)を外すといった方法もあります。
加入年齢・健康状態による条件を確認する
健康状態の告知が必要な生命保険に加入するときは、現在の健康状態や過去の病歴など保険会社から質問された事項に事実をありのまま告知する義務があります。その内容によっては、保険料の割増や保険金の削減といった条件付きの契約になる場合や、加入を断られる場合もあります。
持病がある人には、告知項目を少なくした「引受基準緩和型(限定告知型)」や、告知や医師の診査が不要な「無選択型」の保険も選択肢の一つです。ただし、これらは通常の保険より保険料が割高なため、まずは通常の保険に加入できるかを確認し、そのうえで保険料と保障条件を比較して決めましょう。
60歳以上で検討したい生命保険の種類
![]()
死亡保険
60歳以上の人が死亡保険に加入する主な目的は、葬儀費用や残された家族の生活費を確保するため、あるいは相続対策などです。
死亡に備える代表的な保険には「終身保険」と「定期保険」があります。
終身保険は一生涯の保障が続く保険で、保険料は高めですが、契約を続けていれば、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が特徴です。
一般的な終身保険には解約返戻金がありますが、金額は商品や解約時期によって異なります。
定期保険は、一定期間の保障を提供する保険です。
保険料は終身保険よりも割安ですが、保障期間が終了すると更新が必要になる場合があり、更新時の保険料は高くなる傾向があります。
定期保険は基本的に掛け捨てですが、その分、保険料を抑えて必要な保障を確保できる点はメリットです。
どちらの保険を選ぶかは保障期間や保険料、そして自身のニーズに合わせて検討する必要があります。
医療保険
受け取った給付金を、医療費の自己負担や入院に伴う費用への備えとして活用できます。
60歳以上になると病気やケガのリスクが高まるため、医療費の負担も大きくなるおそれがあります。
医療保険に加入しておくと、いざというときに安心して治療に専念できるでしょう。
がん保険
医療保険でもがんによる入院や手術の際に給付金を受け取れますが、がん保険は、がん治療に伴うさまざまな費用に幅広く対応できるのが特徴です。
例えば、抗がん剤治療や放射線治療などの費用、先進医療にかかる費用などを保障するがん保険もあります。
60歳以上ではがんへの備えも検討しておきたいところです。治療費だけでなく、生活費や介護費用なども必要になる場合もあるため、公的保障や貯蓄、現在の保障内容を確認しましょう。
がん保険に加入すると、がんのための経済的な負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えることができます。
また、がん保険の中には、がんの予防や早期発見をサポートするサービスを提供しているものもあります。
定期的な健康診断やがん検診の受診が早期発見・早期治療につながり、健康寿命を延ばすことにも役立ちます。
介護保険
60歳以上の人が加入する主な目的は将来的な介護費用の備えや、本人・家族の経済的な負担を軽減することです。
公的介護保険では賄えない費用を補えるため、老後の安心につながります。
ただし、民間の介護保険は商品によって給付条件や保障内容が異なる点に注意が必要です。
要介護状態の定義や給付条件が商品ごとに異なるため、自身のニーズに合うかを慎重に判断しましょう。
60歳以上が生命保険を見直す場合のポイント
![]()
更新・満期を迎える契約の条件を確認する
更新型の契約は、申し出をしなければ自動的に更新されるのが一般的で、更新後の保険料は更新時の年齢などをもとに計算し直されるため、通常は高くなります。「更新しない」「保障額を減らして更新する」といった希望がある場合は、更新の2カ月前などの期限までに生命保険会社へ申し出る必要があります。
また、更新には80歳までなどの年齢の上限があるため、その後も保障を続けたい場合は、終身型の保険への切り替えなどを前もって検討しておくことも大切です。
なお、前述のとおり、保険料の払込期間と保険期間は別のものです。「60歳払込満了」は保険料の支払いが終わることを示すもので、払込満了=保障終了ではありません。契約によっては、保険料の支払いが終わった後も保障は続きます。手元の保険証券で保障の終了時期を確認し、払込満了を保障の終了と取り違えないようにしましょう。
必要な保障額と保険料負担を見直す
一方で、配偶者のこれからの生活費や葬儀などの費用を準備しておきたい場合や、住宅ローンの返済が続いている場合は、その分の死亡保障を残しておく必要があります。ただし、団体信用生命保険(返済中に加入者が亡くなった場合などに、保険金で残りの住宅ローンが返済される生命保険)に加入していれば、その残高は死亡保障で備える対象から外して考えられます。公的年金や貯蓄でまかなえる分も差し引き、不足する額だけを死亡保障として残すようにしましょう。
医療保障については、高額療養費制度によって1カ月の自己負担額に上限があることから、民間の医療保険は不要とする考え方もあります。しかし、前述のとおり、差額ベッド代や先進医療の技術料などは高額療養費の対象外です。一人当たりの医療費も、年齢が高くなるにつれて増える傾向があります。
75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入し、医療費の窓口負担は原則1割(一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割)になります。とはいえ、収入の多くを公的年金に頼っている人にとっては、1割の負担でも医療費の支払いは軽くありません。そのため、こうした費用に備える手段として、60歳以降も医療保障を残しておく意味はあるでしょう。
また、退職後の収入に合わせて保険料負担を調整するには、不要になった特約や、複数の契約で重なっている保障がないかの確認も重要です。たとえば、複数の医療保険や医療特約で入院給付金が重複している場合は、一方を見直す余地があります。
乗り換えは新しい契約の成立後に旧契約を解約する
60歳以上で新しい保険に入り直すと、加入時の年齢が上がることで保険料が高くなったり、健康状態によっては契約自体を断られたりすることがあります。先に解約してしまうと、新しい保険に入れなかった場合に保障のない状態になり、解約した契約は元に戻せません。保険料が一時的に重なる期間が生じても、この順序を守る方が安全です。
また、がん保険には一般に、契約してから90日間は保障が始まらない「待ち期間」があります。がん保障を乗り換える場合、新しい契約の待ち期間が終わる前に旧契約を解約すると、その間にがんと診断されても、どちらの契約からも給付を受けられない空白が生じます。待ち期間の有無や長さは、新しい契約を申し込む前に必ず確認しておきましょう。
減額・特約解約・払済保険など複数の方法を比較する
保険金の減額
特約の解約
払済保険への変更
延長(定期)保険への変更
60歳以上の生命保険選びでよくある質問
![]()
60歳からでも生命保険に入れる?
60歳以上の生命保険料の平均は?
ただし、この金額は実際に加入している人が支払っている平均額であって、必要な保険料の基準ではありません。保障の目的と公的保障・貯蓄の状況によって適切な保険料は変わるため、平均額に合わせるのではなく、自分に必要な保障額から逆算して決めましょう。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
65歳以上でも生命保険は必要?
このように公的保障が手厚くなる面がある一方で、介護サービスを利用した場合の自己負担分(原則1割、所得により2割または3割)は残ります。差額ベッド代や先進医療の技術料なども高額療養費の対象外となるため、自分で用意しておかなければなりません。扶養する家族がいない人は、死亡保障を減らせる可能性があります。また、公的保障や貯蓄で医療費などに対応できるなら、医療保障を減らせる場合があるでしょう。反対に、貯蓄が十分でない人や配偶者の生活費を残したい人は、必要な保障だけに絞って続ける判断になります。
60歳で生命保険を解約してもよい?
また、古い契約を解約して新しい契約に入り直すと、加入時の年齢が上がることに加えて、新しい契約の予定利率が低い場合もあるため、同じ保障でも支払う保険料が高くなることがあります。保障を減らしたいだけであれば、減額や特約の解約、払済保険への変更など、契約を残したまま保険料を下げる方法も含めて比較したうえで決めましょう。
60歳以上の生命保険は必要な保障を整理して比較しよう
比較の際は、実際に加入している60代以上の利用者による評価も判断材料の一つになります。オリコン顧客満足度ランキングでは、2026年の「60代以上 満足度ランキング」を公開しているので、項目別の評価や利用者の口コミも参考にしてみてください。