公開日：2024-11-28

定期保険と終身保険はどっちが得？｜それぞれのメリット・デメリットを解説

定期保険と終身保険のどちらを選ぶべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。同じ生命保険でも、定期保険と終身保険はまったく異なる商品であり、どちらが得とは一概にはいえないため、加入する目的も踏まえて慎重に選ぶことが大切です。

この記事では、定期保険と終身保険の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。また、それぞれの保険が適している方の特徴もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

定期保険と終身保険ではどっちが得？
1. 定期保険が適している方
2. 終身保険が適している方
そもそも定期保険とは？
定期保険の種類
定期保険のメリット・デメリットをチェック
終身保険とは？
終身保険のメリット・デメリット
定期保険と終身保険、特徴を理解して後悔しない選択を！

定期保険と終身保険ではどっちが得？

定期保険と終身保険のどちらを選ぶかは、保険に加入する目的や個々のニーズによって異なります。

例えば、死亡に手厚く備えたい期間が決まっている場合、保険期間（保障を受けられる期間）が一定である定期保険を選ぶとよいでしょう。一方、老後生活が始まったあとも万が一の備えを確保したい場合は、終身保険の方が適しているかもしれません。

ここでは、定期保険と終身保険のそれぞれが適している方の特徴を解説します。

定期保険が適している方

定期保険は、保険料が掛け捨てであり、解約をしたり満期を迎えたりしても戻ってくるお金がない分、終身保険よりも保険料は割安です。

定期保険が適していると考えられる人の例は、以下の通りです。

・配偶者や未成年の子どもなどを養っている人
・個人事業主や法人経営者
・一定期間のみ保障を手厚くしたい人

配偶者や未成年の子どもなどを養っている人に万が一のことがあると、残された家族は収入が大幅に減ってしまい生活が苦しくなるかもしれません。

定期保険であれば、保険料負担を抑えながら、万が一のことがあったときの遺族の生活費や教育費なども準備できます。

個人事業主や法人経営者は、亡くなったときに借入金の返済や事業の精算・承継、遺族の生活保障などで多額の資金が必要になることがあるため、万が一に手厚く備えられる定期保険が役に立ちます。

また、法人向けの定期保険には貯蓄機能がある商品もあり、勇退時の退職金の準備も可能です。

子どもが独立するまでなど、一定の期間のみ保障を手厚くしたいときも、定期保険が活用できます。定期保険は保険期間（保障を受けられる期間）が一定であるため、必要な期間のみ加入して無駄なく備えることが可能です。

終身保険が適している方

終身保険は、万一の保障と貯蓄機能がある生命保険です。終身保険が適していると考えられる人の特徴は、以下の通りです。

・老後資金や教育資金を積み立てたい人
・大きな保障額は不要であり、生涯にわたり一定の備えを確保したい方
・掛け捨て型に抵抗がある人

終身保険は、保険料の一部が積み立てられており、途中で解約をすると契約から経過した期間に応じた解約返戻金を受け取れます。

商品や保険料を払い込む方法、払込期間などによっては、保険料の総額を上回る解約返戻金を受け取れるため、老後資金や教育資金などの準備が可能です。

大きな保障額は不要であり、生涯にわたり一定の備えを確保したい方にも、終身保険はおすすめです。契約を続ける限り、何歳で亡くなっても死亡保険金を受け取れるため、葬儀費用や遺品の整理費用など死亡時に発生することの多い支出に備えられます。

終身保険の保険料は掛け捨てではなく、保障が不要になったときは解約をすると解約返戻金という形でお金が戻ってきます。支払要件に該当しない場合、払い込んだ保険料が戻ってこない掛け捨て型に抵抗がある人は、貯蓄型保険を検討するとよいでしょう。

そもそも定期保険とは？

定期保険は、被保険者（保障の対象となる人）が亡くなったときや所定の高度障害状態に該当したときに保険金が支払われる死亡保険の一種です。名前が示す通り保険期間（保障を受けられる期間）は一定です。

定期保険の保険期間は、年数を基準に決まる「年満期」と年齢を基準とする「歳満期」の2種類があります。

定期保険には「逓減定期保険」や「収入保障保険」などさまざまな種類があります。ここでは、定期保険の主な特徴をみていきましょう。

保険期間に定めがある

定期保険は、保険期間に「10年間」や「60歳まで」などの定めがあります。定期保険を契約するときに決めた保険期間が満了するまでのあいだに、被保険者が亡くなったときや所定の高度障害状態になったときに保険金が支払われます。

保険期間を終身に設定することはできないため、一生涯の保障は得られません。

年満期と歳満期の期間設定が可能

定期保険の保険期間には「年満期」と「歳満期」の2種類があります。

年満期：保険期間を「10年」や「20年」など年数で設定する
歳満期：保険期間を「55歳まで」「99歳まで」など、被保険者の年齢をもとに設定する

年満期には、満期になっても一定の年齢まで更新が可能な「更新型」と、満期を迎えると契約が消滅する「全期型」があります。一方、歳満期は基本的に全期型のみであり、更新型はありません。

更新可能な保険商品がある

定期保険は、契約をするときに決めた保険期間が満了したとき、一定の年齢に達するまで自動更新される商品があります。

通常、生命保険に加入するためには被保険者の健康状態や既往歴（過去にかかったことのある病気）を告知する必要がありますが、契約内容を変更せずに自動更新をする場合は不要です。健康診断書の提出や医師の診査も必要ありません。

ただし、更新する際の年齢で保険料が計算されるため、一般的には更新前よりも保険料負担は重くなります。

解約時の返戻金が少額

定期保険は掛捨て型の保険であるため、途中で解約しても解約返戻金はなく、あってもごくわずかです。また、保険期間が満了しても満期保険金は支払われません。

定期保険には貯蓄機能がない代わりに、保険料は割安に設定されています。

定期保険の種類

定期保険には、以下のような種類があります。

平準定期保険	保険期間中の保険金額が一定である定期保険
収入保障保険	被保険者が亡くなったとき死亡保険金が年金形式で支払われる保険
逓減定期保険	保険期間が経過するにしたがって保険金額が段階的に減少する定期保険
逓増定期保険	保険期間が経過するにしたがって保険金額が段階的に増加する定期保険
長期平準定期保険	保険期間の満了が99歳代後半～100歳といった長期である定期保険

定期保険のメリット・デメリットをチェック

定期保険の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。

定期保険の主なメリット	定期保険の主なデメリット
・保険料が比較的低額・必要に応じた保険期間で保障を手厚くできる・ライフステージに合わせて保障内容を見直しやすい	・更新をすると保険料が上がる・更新可能な年齢に上限がある・貯蓄性に乏しい

メリットとデメリットを1つずつみていきましょう。

【メリット1】保険料が比較的安い

定期保険は掛け捨てタイプの保険です。途中で解約しても解約返戻金はなく、あってもごくわずかであり、満期時に戻ってくるお金もありませんが、その代わり保険料は割安です。

そのため、手ごろな保険料で、死亡や高度障害の保障を充実させることができます。

例えば、小さい子どもがおり手厚い死亡保障が必要ではあるものの、生活費や教育費などで毎月の支出が多くできるだけ保険料をかけたくない場合は、定期保険の加入を検討するとよいでしょう。

【メリット2】必要に応じた保険期間で保障を手厚くできる

定期保険は、保険期間を10年や15年など、比較的短く設定することも可能です。そのため、手厚い保障が必要な期間に合わせて加入しやすいといえます。

例えば、12歳の子どもが大学を卒業して社会人になるまでのあいだ、万が一の事態に手厚く備えたい場合は、保険期間を10年とすることで必要な保障を準備できます。

【メリット3】ライフステージに合わせて保障内容を見直しやすい

定期保険には満期があり商品によっては更新も可能なため、見直しをする機会を設けやすく、ライフステージに保障内容を合わせやすいといえます。

例えば、定期保険の加入当初は幼い子どもがいたために死亡保障を手厚くしていたとしましょう。加入から20年ほど経ち更新の案内が来たとき、子ども達は独立していました。

この場合、死亡保障額を減らして更新することで、ライフステージに合った保障内容になり、保険料負担の上昇も抑えられます。

【デメリット1】年齢に応じて保険料が上がる

更新型の定期保険の場合、更新の時点における被保険者の年齢に応じて、保険料が再計算されます。人は年齢を重ねるにしたがって死亡のリスクが高まっていくため、更新をするたびに保険料は上昇していくでしょう。

例えば、定年退職を迎え主な収入源が国からの年金となったあと、同様の保障額で更新をすると保険料負担が増えて老後の家計を圧迫するかもしれません。

【デメリット2】更新可能な年齢に上限がある

更新型の定期保険には、更新可能な年齢に上限があります。例えば、更新可能な年齢の上限が80歳である場合、80歳以降は契約を続けることはできません。

定期保険は、更新が可能な商品であっても、一生涯の保障を確保できない点はよく理解しておく必要があるでしょう。

【デメリット3】貯蓄性に乏しい

個人向けの定期保険には基本的に解約返戻金や満期保険金がないため、貯蓄性に乏しく資産活用には活用できません。

定期保険は、万が一に備えることに特化した生命保険であるため、老後の生活資金や教育資金など将来に向けた資金は他の方法で準備する必要があります。

終身保険とは？

終身保険は、生涯にわたって死亡と所定の高度障害状態に備えられる保険です。定期保険とは異なり、保険期間に定めはなく、支払う保険料の金額は一定です。

保険料の払込方法には「有期払」と「終身払」の2種類があります。

終身保険には貯蓄機能があり、途中で解約すると解約返戻金を受け取れるのが一般的です。保険料を支払った期間が長いほど、基本的に解約返戻金は増えていきます。

ここでは、終身保険の主な特徴をみていきましょう。

保険料が変わらず一生涯の保障が可能

終身保険には満期がないため、途中で解約をしない限り、死亡と所定の高度障害状態に対する保障が一生涯続きます。

保険料は、契約時に固定されるため、払い込む金額が途中で変わることはありません。

保険料払込期間が選べる

終身保険は、保険料の払込方法を下記の2種類から選択できます。

有期払：「60歳まで」や「30年間」など一定の期間で保険料を払い込む方法
終身払：保険料を一生涯支払う方法

有期払の場合、払込期間が終了したあとは、保険料を支払うことなく万が一に備えられます。終身払は、保険料の支払いが一生涯続きますが、毎回の払込額は有期払よりも安くなります。

商品によっては、契約時に保険料をまとめて支払う「一時払」も選択が可能です。

途中で解約しても返戻金がある

終身保険は払い込んだ保険料の一部が積み立てられているため、解約したときは積立金の一部が解約返戻金として戻ってきます。

ただし、払い込んだ保険料のすべてが戻ってくるわけではありません。保険料の一部は、死亡保険金を支払うための準備金や保険会社の経費などに充てられているためです。

解約のタイミングによって解約返戻金に差が生じる

解約返戻金の受取額は、契約期間が経過するにしたがって増えていく仕組みです。一般的に、契約して間もないころは解約返戻金が少ないですが、契約期間が長いと多くのお金が戻ってきます。

払い込んだ保険料に対する解約返戻金の割合（解約返戻率）は、商品や加入時の予定利率、年齢、保険料の払込期間、保険会社などで異なります。

終身保険の種類

終身保険には、以下のような種類があります。

定額終身保険	保険金や支払う保険料などが契約時に確定する終身保険
低解約返戻金型終身保険	保険料払込期間中の解約返戻金を低くすることで、保険料を抑えた終身保険
積立利率変動型終身保険	積立金に対する利率が市場の金利や経済情勢などをもとに見直される終身保険
変額終身保険	払い込んだ保険料の一部を株式や債券などを投資対象とする特別勘定で運用し、その運用成果に応じて保険金や解約返戻金が増減する終身保険
外貨建終身保険	ドルやユーロなどの外貨で保険料の払い込みや運用をする終身保険

終身保険のメリット・デメリット

終身保険の主なメリットとデメリットは、下記の通りです。

終身保険の主なメリット	終身保険の主なデメリット
・解約しない限り確実に保険金を受け取れる・保険料が加入時から変わらない・資産形成にも活用が可能	・保険料が割高・保障内容の見直しが疎かになりやすい

メリットとデメリットを1つずつみていきましょう。

【メリット1】解約しない限り確実に保険金を受け取れる

終身保険は、保障が一生涯続くため、被保険者が80歳や90歳などの高齢になっても、契約が有効であれば万が一のときは保険金が支払われます。

亡くなったあとに家族が生活を立て直すための資金だけでなく、葬儀費用や遺品の整理費用などを準備する手段としても活用しやすいといえます。

【メリット2】保険料が加入時から変わらない

終身保険は、定期保険とは異なり更新によって保険料が増えることはありません。例えば、30歳で保険料が1万円の終身保険に加入した場合、70歳や80歳など高齢になっても引き続き1万円の保険料で継続が可能です。

年齢が若いうちに加入すると、老後になり死亡リスクが高まったあとも、低廉な保険料で万が一に備えられます。

【メリット3】資産形成にも活用できる

終身保険は、払込方法を有期払にすると、保険料の払い込みを終えたあとは、払込総額を上回る解約返戻金を受け取ることもでき、資産形成にも活用が可能です。

例えば、老後生活が始まるまでに保険料の払い込みを終えるようにしておくと、万が一に備えながら必要に応じて解約をし、老後の生活資金や趣味・レジャーを楽しむための資金などとして活用することも可能でしょう。

【デメリット1】保険料が高め

終身保険は万が一の備えと貯蓄が一体となった商品であり、一生涯にわたって保障が続くため、定期保険と比較して毎月の保険料は割高です。

保険料の負担が重く、支払っていくことが難しくなったために途中で解約すると解約返戻金の額が元本割れする可能性があります。

また、終身保険で万が一の事態に手厚く備えようとすると、保険料負担が家計を圧迫しやすくなります。

【デメリット2】保障内容の見直しが疎かになりやすい

終身保険には、定期保険のように満期や更新がないため、保障の見直しを検討する機会が設けにくいといえます。

加入した当初から家族構成や年収などが変化したにもかかわらず、見直しをせずに契約を続けていると、保障内容が自身の状況にあわなくなっているかもしれません。

終身保険に加入する場合は、より主体的に見直しを検討する機会を設ける必要があります。

定期保険と終身保険、特徴を理解して後悔しない選択を！

定期保険は割安な保険料で万が一に備えることができ、必要な期間のみ保障を手厚くすることも可能です。ただし、解約時や満期時には何も戻ってきません。契約を続けられる年齢にも上限があります。

一方の終身保険は一生涯にわたって保障が続き、高齢になっても若いころと同じ保険料で継続できます。しかし、保険料負担は重くなりやすく保障内容の見直しも疎かになりやすいです。

生命保険の加入を検討するときは、定期保険と終身保険の違いを理解し、どちらが合っているかを考えることが大切です。

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