2014年10月04日 10時00分
【物損事故・高額賠償(1)】修理費だけじゃない! 休業損害も発生した2つの判例
営業車や店舗に損害を与えてしまい、休業損害の賠償義務も発生した物損事故の判例とは?
事故当事者がケガを負ってしまう人身事故はもちろん、物損事故においても、賠償金額がかなり高額になるケースがある。では、具体的にどのような事故が高額賠償となるのだろうか? 今回は、修理費の支払いのほか、営業車や店舗に損害を与えてしまったことで休業損害の賠償義務も発生した2つの判例を紹介する。
■高速道路上で後退し、後続車が追突――賠償金額1531万8193円
<事故内容>
2001年3月28日深夜、宮城県内の東北自動車道上り線を走行していた大型トラックが、降りる予定のインターチェンジを通過してしまい、路肩に停車。バックで戻ろうとしたものの、後続車が来ることから諦め、再び前進したところへ、避けそこねた別のトラックが追突した。
<判決>
大型トラックの運転者には、「駐停車が禁止されている高速道路の本線車道にまたがって停車していた」、「停車そのものにやむを得ない理由がない」、「高速道路で車両を後退させた」などの重大な過失がいくつかあったが、後続のトラックは追い越し車線から追い越すことも可能だった。そのため、追突したトラックにも「前方不注視及び回避措置不適切の過失」があると認められた。過失割合は、停車した大型トラック側が60%、追突したトラック側が40%となった。
大型トラックの最終的な損害賠償金額は、1531万8193円。車両修理費用、相手車のトラックが使えないことによる休車損害、相手車の積荷損害、道路損傷費用などが含まれている(2002年12月25日東京地裁判決)。
■カーブを曲がりきれず美容室に衝突――賠償金額1651万7492円
<事故内容>
1992年5月9日夜、神奈川県横浜市瀬谷区内の県道を走行していた乗用車が、左カーブを曲がりきれず、センターラインを越えて美容室の入っていた建物に突っ込み、美容室部分が全壊した。
<判決>
事故時は夜間で視界が悪く、現場付近は見通しの悪い左カーブの下り坂。また、雨が降った後で路面が滑りやすくなっていた。そのような状況であれば、ドライバーはスピードや左右の状況を注視して運転すべきという“注意義務”を負うが、本件では運転者がその義務を怠った過失があったと認められ、損害賠償金額は1651万7492円。
内訳は、建物修理代約1340万円、美容室の什器備品損害約240万円、営業損害(休業補償)3ヶ月分約42万円、精神的苦痛に対する慰謝料30万円となっている(1994年5月24日横浜地裁判決)。
修理費のみならず、休業損害の賠償義務も発生し得る物損事故。ところが、強制保険の自賠責保険は、物損事故時には適用されない。いざというときのために、手厚い任意保険への加入を検討しておくのが得策だ。
法律監修/新橋IT法律事務所 弁護士・谷川徹三氏
制作協力/株式会社マイト
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