自転車事故での後遺症認定
このように将来にわたって日常生活に影響がでてしまったり、介護が必要になってしまったりするのが後遺症の怖いところです。自転車事故の被害に遭い後遺症が残ってしまった場合は、精神的に受けた苦痛に対する「後遺傷害慰謝料」や将来労働によって得られたはずの利益が得られなくなったことによる損害として「後遺傷害の逸失利益」を加害者に請求することが出来ます。さらに重度の後遺症の場合には、被害者の余命期間にわたる介護費用の請求も認められます。
後遺障害の賠償については、その傷害の程度に応じて等級が認定され、認定された等級に応じて算出されます。このように損害賠償金の算定も大きな影響をあたえる後遺症認定ですが、その立証責任は事故に遭った被害者にあるのです。
しかし、自転車と歩行者の事故や自転車同士の事故の場合、自賠責保険は無関係ですからこの基準は利用できません。自転車事故の場合は原則に戻って、被害者自身が後遺症について医師の診断書などの資料を集め、後遺症の程度を証拠で固めて立証しなければならないのです。ですから、「事故と傷病や症状の相当因果性が在り」その上で「医学的に説明できる」ものでなければ後遺症とは認定されません。実際には、後遺症認定に詳しい弁護士や、外部機関に依頼することになるでしょう。
自転車事故の場合は、それぞれが多様であり、事案に応じて対応・対処の方法が異なるので、後遺症認定には自動車事故以上に労力がかかってしまいます。また、裁判となれば、後遺症認定までにかかる期間も長くなり、被害者にとっては大きな負担となってしまいます。