不利にならないために押さえておきたい過失割合算定の基本

  • 不利にならないために押さえておきたい過失割合算定の基本

 通勤や通学で毎日利用するという人も多く、日常生活での利用頻度が高い自転車。そのため、誰しもが、自転車事故の当事者となってしまう可能性があります。とくに、近年は非常に高額な賠償金を請求される事例も増えてきています。そこで、今回は自転車ユーザーにはせひとも押さえておきたい、賠償額の決定にも重要な過失割合の算定方法について、ご説明いたします。
 一般的に交通事故における過失割合とは、発生した事故に対して、当事者それぞれの責任の割合のことを指します。過失割合は、警察が決めると思っている人もいるようですが、実は事故の当事者同士の話し合いによって決定されます。
 自転車同士の事故や、自転車と歩行者の事故では、まだ参照できる裁判例が少なく、それぞれの事故での個別性が高いため、当事者間の交渉がこじれて厄介な事態に及んでしまうこともあります。事故の当事者が保険に加入していれば、保険会社の担当者が話し合いをすることになりますから、自転車ユーザーであれば、万が一に備えて自転車保険に加入しておくと安心でしょう。
 事故の被害者側にも責任がある場合には、過失相殺といって、被害者の過失割合相当分を損害額より差し引いて賠償額が決定されます。賠償額の決定の際に不利にならないよう、過失割合の算定方法の基本は押さえておきたいところです。
 過失割合は、過去の裁判例を基準として、実際の事故の発生状況に応じて割合を修正しながら決定していきます。
したがって、過失割合の算定には、当事者が加害者なのか被害者なのかといった立場や、事故発生状況の的確な把握・整理・分析を行うことが重要です。
 事故の相手や状況によって、加害者になったり、被害者になったりと、立場が全く異なってくるのが、自転車事故の非常にややこしいところです。
 例えば自動車と自転車の事故の場合、80対20など、自転車の過失割合が低くなりますが、自転車と歩行者の事故の場合は、70対30など自転車の過失割合が高くなります。また、自転車同士の事故の場合、正面衝突であれば、50対50、後ろからの追突であれば、100対0といったように、事故の状況によって大きく変わってきます。
 事故発生当時の状況については当事者間で主張が食い違うことが多く、事実が不確定になってしまう場合があります。自転車事故の当事者となってしまったら、まず必ず警察へ届出を行って、交通事故証明書を取得し、事故発生状況報告書を作成しておきましょう。専門の調査会社に依頼し、センターラインの有無や道幅・見通しなどの道路状況を詳しく調べる必要が生じる場合もあります。また、事故の目撃者がいれば、協力の依頼をして、連絡先を控えておくとよいでしょう。こうして集めた情報をもとに、相手の自転車が夜間無灯火であった、あるいはスピードの出し過ぎであったといった、著しい過失や重過失の指摘・主張をすることにより修正をして、最終的な過失割合を算定します。
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