賠償額約1億円の事故も! 自転車保険は入るべきか
免許の必要なく乗れる自転車は、その手軽さから老若男女に親しまれている。身近さゆえに「事故の心配など無用」との“安全神話”につながりやすいが、年間10万件以上の事故が起きており、決して安全な乗り物とはいえない。道路交通法の改正もあり、昨今は自転車保険を取り扱う企業も増えているが、認知度は50%以下(昨年8月下旬時点の共同通信社調査より)とまだまだ低い。では、実際に自転車保険は必要なのだろうか――。その判断に役立ちそうなデータや情報を集めてみた。
自転車事故は毎日約300件発生
自転車事故は、(1)対自動車・バイク事故、(2)対歩行者事故、(3)単独事故の3つに大別される。(1)は被害者、(2)は加害者となることがほとんどだが、事故当事者の双方が加害者であり、被害者ともなるような案件も少なくない。そのケースではどちらの度合いが強いかで、いずれかに分類される。
相手別に分類したデータでは、対自動車が全体の85%ほどで圧倒的に多い。次が対バイクで5.6%。以下、対歩行者、自転車同士、自転車単独の順番で、いずれも2%台の比率となっている。ただ、対歩行者は増加傾向にあり、2000年の1.1%が2014年には2.3%となっており、15年間で倍増している。
小学5年男児が加害者に 実際にあった“自転車重大事故”
だが、現実は甘くない。前述で紹介したように対歩行者事故の比率が高まるなか、自転車が引き起こす重大事故も少なくないのだ。そこで、実際に起こった自転車事故の事例を2つ紹介しよう。
【事例1】
小学校5年生の男児が、自転車で坂道を下っている時、散歩中の62歳の女性と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折で意識が戻らなくなった。裁判所は、男児の親に9500万円の賠償を命じた。
【事例2】
男性がペットボトルを片手にスピードを落とさず下り坂を走行し、交差点に進入。横断歩道を横断中の38歳の女性と衝突し、女性は脳挫傷などで3日後に死亡。賠償額は6700万円余に達した。
小学校5年生の男児が、自転車で坂道を下っている時、散歩中の62歳の女性と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折で意識が戻らなくなった。裁判所は、男児の親に9500万円の賠償を命じた。
【事例2】
男性がペットボトルを片手にスピードを落とさず下り坂を走行し、交差点に進入。横断歩道を横断中の38歳の女性と衝突し、女性は脳挫傷などで3日後に死亡。賠償額は6700万円余に達した。
保険加入の義務付け? 兵庫に続き大阪や滋賀でも
すでに、大阪府や滋賀県にも広がっており、年内には施行する予定となっている。大阪府では、損害賠償保険に入っていない府立高校の生徒には自転車通学を原則として認めない方針だという。
加入率はわずか20% 満足度の高い自転車保険は?
加入していれば、契約している限度額までの保険金が支払われるほか、なかには被害者との間で生じる示談を保険会社が加害者に代わって行う「示談代行サービス」といったメニューも用意されている。生活のなかで自転車を利用しているのであれば、当然入るべきだろう。
ちなみに、オリコンが昨年12月に発表した顧客満足度の高い「自転車保険ランキング」では「セブン‐イレブンの自転車保険」が第1位に。次に「ドコモ?サイクル保険」「あいおいニッセイ同和損害保険」「三井住友海上保険」「チューリッヒ保険」と続く。
「セブン‐イレブンの自転車保険」や「ドコモ?サイクル保険」が選ばれた理由として挙げられるのが、加入手続きのしやすさだろう。セブン‐イレブンは店舗数の多いコンビニで加入できるのが大きなメリット。実際の利用者からも「時間と場所を選ばず、いつでもどこでも24時間受け付けてくれる」(50代女性)、「インターネットで簡単に申し込みが出来て、セブンイレブンの店頭で簡単に決済ができた」(30代男性)など、特徴を活かした加入方法が評価を得ている。また、2位の「ドコモ サイクル保険」も、「携帯電話から簡単に加入でき、通話料と一緒に保険料も払えるところが便利」(40代男性)など、こちらも加入手続きのしやすさが支持につながっている。
自転車保険には、加害者となってしまった際の賠償責任に対する補償のほか、自転車での転倒、自転車同士の接触、歩行中に自転車にぶつけられたなどでケガをするといったケースでの補償もある。自動車保険のように高額でもないので、もしもの備えとして加入する必要は十分あるだろう。