事故車でも売れる?買取相場や高く売却するコツ、業者選びのポイントを解説

事故車は車買取会社で売却できる?相場や売却の流れ、注意点を解説

事故車の車買取を検討しているものの、「相場より大幅に安くなるのでは」「そもそも売れるのか」と不安を抱えていませんか?修復歴がある車は査定額が下がりやすいのは事実ですが、正しい知識と業者選びで納得のいく売却は十分可能です。

この記事では、事故車の車買取における査定額が下がる理由から高く売るための4つのコツ、トラブルを防ぐ注意点まで解説します。
高見 陽子

監修者高見 陽子

ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター

mokuji目次

  1. 「事故車」とは?修復歴との違いと買取査定への影響
    1. 修復歴車(事故車)とみなされる条件
    2. 修復歴車に含まれない損傷の例
  2. 事故車の買取相場と査定額が下がる理由
    1. 無過失事故でも評価損(格落ち)は発生する
  3. 事故車を買取に出すメリットと所有し続けるリスク
  4. 事故車を高く売るための4つのコツ
    1. 事故車・廃車専門の買取業者を利用する
    2. 複数の業者で相見積もり(一括査定)を取る
    3. 買取相場を事前にリサーチしておく
    4. 修理せずにそのままの状態で査定に出す
  5. 事故車売却の流れと必要書類
  6. トラブルを防ぐ!事故車買取の注意点
    1. 修復歴や不具合は正直に申告する
    2. 還付金(自動車税など)の扱いを確認する
    3. ローンの残債がある場合は返済計画を立てる
  7. 事故車であっても車買取は可能!車買取会社は慎重に選ぼう

「事故車」とは?修復歴との違いと買取査定への影響

「事故車」とは?修復歴との違いと買取査定への影響

「事故車」という言葉を聞くと、多くの方は交通事故に遭った車をイメージするかもしれません。しかし、中古車業界における「事故車」の定義は、一般的な認識とは異なります。買取査定において重要視されるのは、単に事故に遭ったかどうかではなく、「修復歴の有無」です。

一般的には事故を起こした車すべてが「事故車」と呼ばれますが、業界では「修復歴車」として区別されています。事故に遭っても車の骨格部分にダメージがなければ、査定上は修復歴車には該当しません。反対に、事故以外の理由(災害など)で骨格部分が損傷・修復された場合も、修復歴車として扱われます。

この違いを理解しておくことで、自分の車が本当に「事故車(修復歴車)」に該当するのかを正しく判断でき、適切な売却方法を選ぶことができるでしょう。

修復歴車(事故車)とみなされる条件

中古車業界では、車の骨格部位(フレーム)に損傷や修復歴がある車を「修復歴車」として定義しています。具体的には、以下の8か所の骨格部位に損傷または修復を行った痕跡が存在する場合、修復歴車として扱われます。
■車の修復歴の対象パーツ

車の修復歴の対象パーツ

※(参考)日本自動車鑑定協会「修復歴について
これらの骨格部位は、車の強度や走行性能、安全性を支える重要な構造部分です。骨格が損傷すると、修復後も車体の歪みが残る可能性があり、走行中の異音や振動、タイヤの偏摩耗などの不具合につながるリスクが高まります。そのため、修復歴がある車は買取査定で減額される傾向にあります。

なお、修復歴の判断基準は「事故の原因」ではなく、「骨格部位の損傷・修復の有無」です。長年の使用による歪みや災害による損傷でも、その骨格部分を修正・交換するような修復が行われていれば修復歴車に該当します。

修復歴車に含まれない損傷の例

事故を起こしても、すべての車が修復歴車になるわけではありません。骨格部位以外の部品の交換や修理は、修復歴には含まれないため、査定への影響も比較的軽微なことが多いです。

具体的には、フロントバンパー、リアバンパー、フロントフェンダー、リアフェンダー、ボンネット、トランクリッド、ドア、サイドシルパネルなどの交換は修復歴車に該当しません。これらはフレームからボルトで外せる部品であり、車の骨格構造には直接影響しないためです。

たとえば、骨格部分に損傷を与えることなくぶつけられてドアだけを交換した場合や、後ろからぶつかられてリアバンパーのみを交換した場合は、修復歴車には該当しません。飛び石によるフロントガラスの交換や、雪でボディ表面に傷がついた程度も同様です。

このように、事故を起こしても骨格部分までダメージが及んでいなければ、通常の中古車として買取査定の対象となります。自分の車が修復歴車に該当するか不安な場合は、査定時に点検記録簿を提示し、査定員に確認してもらうと安心でしょう。

事故車の買取相場と査定額が下がる理由

事故車の買取相場と査定額が下がる理由

事故車(修復歴車)の買取相場は、一般的な中古車と比べて安くなる傾向にあります。

修復歴のない同条件の車と比較すると、2〜3割程度下がるケースが多く、損傷箇所や程度によっては4〜5割近くまで下がってしまうこともあります。たとえば、通常100万円で買い取られる車でも、修復歴の内容によっては70〜80万円程度にとどまり、条件が悪い場合は50万円前後になるケースもあります。

価格が下がる主な理由は次の3つです。まず、再販時の需要が低いことが挙げられます。中古車を購入する多くの方は安全性を重視するため、修復歴のある車を避ける傾向にあります。

次に、修理コストがかかる点も要因です。買取業者は事故車を再販可能な状態にするため、修理や整備を行う必要があり、その費用を買取価格から差し引きます。

さらに、安全性への懸念も大きな理由です。骨格部分が損傷した車は、目に見えない箇所までダメージが及んでいる可能性があり、修復していても新品時と全く同じ状態とは言い切れません。

販売後の不具合やクレーム対応のリスクもあるため、このリスクがある車は買取価格も抑えられがちです。

無過失事故でも評価損(格落ち)は発生する

自分に過失がない「もらい事故」でも、車に修復歴がつけば市場価値は下がります。これを「評価損」「格落ち損害」と呼びます。

無過失事故の場合、相手方の保険会社に評価損を請求できる可能性があります。一般財団法人日本自動車査定協会が発行する「事故減価額証明書」を取得すると、具体的な減額分を証明でき、交渉を有利に進められるでしょう。

ただし、評価損が認められるハードルは高く、すべてのケースで補償されるわけではありません。保険会社ごとに認定基準が異なり、車種や年式、走行距離、損傷の程度などで判断が分かれます。評価損を請求する場合は、事前に保険会社へ必要な手続きや書類を確認しておくことが重要です。

事故車を買取に出すメリットと所有し続けるリスク

事故車を買取に出すメリットと所有し続けるリスク

事故車を修理して乗り続けるか、早めに買取に出すか、この判断に迷う方も多いでしょう。しかし、事故車を無理に所有し続けるよりも、早めに買取に出すほうが金銭的にも安全面でもメリットが大きい傾向があります。

事故車を所有し続けることには、いくつかのリスクが伴います。まず、故障リスクの高さが挙げられます。骨格部分が損傷した車は、修復後も目に見えない部分にダメージが残っている可能性があり、通常の車より故障しやすい傾向にあります。

次に、維持費の増大も問題です。事故車は故障しやすいため、修理のたびに費用と時間がかかります。特にエンジンやトランスミッションの修理では、数十万円を超える費用が必要になることも珍しくありません。

さらに、時間の経過とともに査定額がさらに低下するリスクもあります。事故車は年式が古くなるほど、また走行距離が増えるほど、買取価格が下がりやすい傾向にあります。

これらのリスクを考慮すると、事故車は早めに買取に出すことで、余計な修理費用をかけずに済み、少しでも高い価格で売却できる可能性が高まります。

事故車を高く売るための4つのコツ

事故車を高く売るための4つのコツ

事故車は通常の中古車と比べて買取価格が下がる傾向にありますが、売り方次第で高価買取が期待できることも事実です。重要なのは、適切な売却先を選び、複数の業者を競合させること、そして事前に相場を把握しておくことです。

事故車・廃車専門の買取業者を利用する

一般的な中古車買取店では値がつかない場合でも、事故車専門店や廃車買取業者なら高値がつく可能性が高いのです。

これらの専門業者は、海外への輸出ルートを確立していることが多く、日本国内では需要が低い事故車でも、日本車の人気が高い海外市場で販売できます。

また、自走できないほど損傷が激しい車でも、廃車買取専門業者なら買取が可能です。これらの業者は車を解体して使えるパーツを取り出し、中古部品として販売したり、鉄やアルミなどの金属資源としてリサイクルしたりすることで利益を得ています。

複数の業者で相見積もり(一括査定)を取る

事故車を高く売るためには、1社だけで即決せず、必ず複数の業者に査定を依頼することが重要です。業者によって得意とする車種や販売ルートが異なるため、同じ車でも査定額に大きな差が出ることがあります。

効率的に複数の業者から見積もりを取る方法として、一括査定サービスの活用がおすすめです。車の情報を一度入力するだけで、複数の買取業者にまとめて査定依頼ができます。事故車は、通常の買取店に加えて、事故車や廃車を専門に扱う業者も含めて査定依頼したほうが、高く売れる可能性があります。

また、一括査定では複数の業者から同時に連絡が来ることが多いため、事前に連絡への対応方法や時間帯を決めておくとスムーズです。

買取相場を事前にリサーチしておく

事故車を売却する前に、必ず買取相場を事前にリサーチしておくことが大切です。相場を知らずに査定を受けると、提示された金額が妥当か判断できず、安く買い叩かれてしまうリスクがあります。

まず、自分の車と同じ年式・車種・グレードで、修復歴がない場合の一般的な買取相場を調べてみましょう。インターネット上には買取相場を確認できるWebサイトが数多くあり、概算の相場感をつかむのに役立ちます。

そのうえで、修復歴のある事故車は、同条件の無事故車と比べて2〜3割程度安くなるケースが多く、損傷箇所や程度、車種によっては4〜5割近くまで下がることもあります。

事前に相場を把握しておけば、複数の業者から提示された査定額を比較する際に、その金額が相場から大きく外れていないかを判断できるようになります。

修理せずにそのままの状態で査定に出す

「少しでも査定額を上げたい」と考えて、売却前に車を修理しようとする方もいるかもしれません。しかし、事故車の場合、修理をせずにそのままの状態で査定に出すほうが、結果的に手元に残る金額が多くなる傾向があります。

修理をすれば見た目は綺麗になり、査定額も多少上がる可能性はあります。しかし、修理費用が査定額の上昇分を上回ることが大半であり、トータルで見ると損をしてしまうのです。特に骨格部分の修復では、修理費用が数十万円に及ぶことも珍しくありません。

また、買取業者は自社工場や提携工場を持っていることが多く、修理費用を一般の修理工場より安く抑えられる体制を整えています。

洗車や車内清掃など、費用をかけずにできる範囲での手入れは行っておくことをおすすめしますが、板金修理が必要なほどの損傷は、そのまま査定に出すのが賢明といえるでしょう。

事故車売却の流れと必要書類

事故車売却の流れと必要書類

事故車を売却する際の基本的な流れは、一般的な中古車の買取とほぼ同じです。ただし、事故車の場合は買取を受け付けている業者が限られることもあるため、事前に対応可能な業者を探すことが重要です。

【基本的な売却の流れ】

  1. 業者選び:事故車の買取に対応している業者を探し、複数の業者に問い合わせます。
  2. 査定依頼:多くの業者は無料の出張査定サービスを提供しています。修復歴や事故の状況を正直に申告しましょう。
  3. 見積もりの比較と契約:提示された査定額に納得できたら契約手続きに進みます。
  4. 車両の引き渡し:契約後、業者が無料で引き取りに来てくれることが多く、必要書類を渡します。
  5. 入金確認:業者によって異なりますが、通常2〜3営業日から1週間程度で買い取り代金が指定口座に振り込まれます。
【必要書類について】事故車の売却時に必要な書類は、一般的な中古車の買取と同じです。
<車の買取契約に必要な書類等>
(1)自動車検査証(車検証)
(2)自賠責保険証明書
(3)自動車リサイクル券
(4)自動車税(種別割)納税証明書(軽自動車の場合は軽自動車税(種別割)納税証明書)
(5)実印・印鑑登録証明書(軽自動車の場合は認め印でも可・印鑑登録証明書は不要)
(6)委任状・譲渡証明書(軽自動車の場合は不要)
(1)〜(4)の書類は、ダッシュボードの中など車内に保管されていることが多い書類です。もし紛失している場合は、運輸支局・保険会社・都道府県税事務所などで再発行手続きが必要になります。

普通自動車を売却する際に必要な「委任状・譲渡証明書」は、一般的に車買取会社に用意されている書類であるため、売り手が事前に取り寄せる必要はありません。

普通自動車の売却で新たに必要になるのは、通常「実印」と「印鑑登録証明書」です。軽自動車は印鑑登録証明書が不要のため、実印または認印で対応できます。

車の売却で必要な書類については、下記の記事をご覧ください。

トラブルを防ぐ!事故車買取の注意点

トラブルを防ぐ!事故車買取の注意点

事故車を売却する際には、後々のトラブルを避けるために注意すべきポイントがいくつかあります。特に、修復歴を隠したり、還付金の扱いを確認しなかったりすると、契約後に大きな問題に発展する可能性があります。

修復歴や不具合は正直に申告する

事故車を売却する際、重要なのは修復歴や現在の不具合を正直に申告することです。「修復歴を隠せば高く売れるのでは」と考えるのは避けるべきです。

2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されました。この新しい規定では、契約内容と異なるものを提供した場合、売主は買主に対して責任を負うことになります。

自動車売買では、修復歴の有無も大切な契約内容の一つです。修復歴を伝えずに売却し、あとから判明した場合は、契約解除や代金の返還、場合によっては損害賠償を求められるおそれがあります。

査定のプロである査定員は、工具の使用跡・車体のゆがみ・塗装の色ムラなどを見て修復歴を確認しているため、隠していても後から判明し、トラブルにつながることがあります。

修復歴や不具合は正直に申告しておくことで、契約不適合責任のリスクやトラブルを抑え、スムーズに取引を進めやすくなります。

還付金(自動車税など)の扱いを確認する

事故車を廃車(抹消登録)にして売却する場合、自動車税や自動車重量税、自賠責保険料は条件を満たせば還付・返戻を受けられます。しかし、この還付金の扱いについて曖昧なまま契約してしまうと、後でトラブルになることがあるため注意が必要です。

還付される費用は、以下の通りです。
  • 自動車税:廃車手続き完了の翌月から3月までの期間分が月割りで還付(※軽自動車税は月割制度がないため還付対象外。また4月1日時点で所有している場合、4月2日以降に廃車しても年度分の税金は全額納付が必要)
  • 自動車重量税:車検残存期間が1ヶ月以上ある場合に月割りで還付
  • 自賠責保険料:保険期間の残りが1ヶ月以上ある場合に月割りで返戻
契約前に、「還付金は買取価格に含まれているのか」「別途返金されるのか」「還付金の手続きは誰が行うのか」といった点を明確に確認しておくことが重要です。契約書にも記載されているかをチェックし、不明瞭な点があれば遠慮せずに質問しましょう。

ローンの残債がある場合は返済計画を立てる

ローンが残っている事故車でも売却は可能ですが、所有権の扱いに注意が必要です。

ディーラー系やクレジット会社のオートローンで購入した場合、車検証の所有者欄にディーラーやクレジット会社の名前が記載されていることがあります。これを「所有権留保」といい、ローンを完済するまでは車を自由に処分することができません。

買取金額でローンを完済できる場合は、売却代金でローンを一括返済し、所有権を解除してもらえば問題ありません。しかし、買取金額だけではローンを完済できない場合は、手持ちの現金で不足分を補填するか、新しい車のローンに残債を上乗せするか、残債分を新たにローンを組むなどの方法で対応する必要があります。

いずれの場合も、ローン会社や買取業者と事前に相談し、返済計画を明確にしておくことが大切です。とくに残債を新しいローンに上乗せする場合は、総返済額や月々の負担が増えすぎないか、慎重に検討しましょう。

ローンが残っている車の売却については、下記の記事をご覧ください。

事故車であっても車買取は可能!車買取会社は慎重に選ぼう

事故車であっても車買取は可能!車買取会社は慎重に選ぼう

事故車の買取査定額は、通常の車と比べて下がるものの、車の買取自体は可能です。少しでも高く売却したいからといって事前に車を修理したり、修復歴があるという事実を伏せて査定を依頼したりせず、ありのままを伝えた上で査定額を算出してもらうことが大切です。車買取会社の評判や口コミなどを確認して、後悔のないよう車買取会社を選んでください。

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高見 陽子

監修者高見 陽子

■プロフィール
ファイナンシャルプランナー/金融・法律ライター
元大手銀行で個人営業を担当。現在は、資産形成や相続、ライフプランを中心に、車の売却・買い替えなど家計に関わる判断について、金融と生活実務の両面から情報提供を行う。

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