車検切れの車も買取可能!査定・売却時の必要書類や高く売るコツを解説
実は、車検切れの車でも問題なく買取してもらえるケースは多く、正しい方法を知っていればスムーズな売却が可能です。ただし、無車検状態での運転は罰則対象となるため、注意が必要です。
本記事では、車検切れの車を売る際の基本知識から、査定額の決まり方、売却時に必要な書類、売却方法別の注意点、さらに高く売るためのテクニックまでを詳しく解説します。
車検切れの車を少しでも有利に手放したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

監修者新井 智美 トータルマネーコンサルタント
■プロフィール
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。
目次
車検切れの車も買取可能
車検の有無は査定額に大きな影響を与えることは少なく、買取業者にとって車検切れは大きな問題にはなりません。むしろ、車検を通してから売却するよりも、車検前に売却した方がお得になるケースが多いのが現実です。
車検切れでも買取できる理由
まず業者オークションです。一般の人が参加できないオークションで、車についている情報は全てリセットされるため、車検の有無は関係ありません。
次に輸出です。海外では日本の車検制度は適用されないため、車検切れでも問題になりません。
最後は店頭販売です。買取時に車検が残っていても、店頭に並べている間に車検が切れることがあります。
このように車検の有無は買取業者の流通・販売には影響せず、買い取る際に査定士が見ているのは修復歴や外装、内装といった車自体の価値に関わる部分なのです。
車検切れの車の査定額はどう決まるのか
一般的に車検の残り期間が長いほど査定額が上がることが多く、日本自動車査定協会が定めた査定基準によると、車検残り期間が4か月以上あると査定の加点対象になるとされています。
ただし、車検満了日が迫っている場合や車検が切れている場合でも、わざわざ車検を通す必要はありません。
車検を通すことで少しだけ買取価格が上がる可能性はありますが、車検を通すための出費の方が大きくなるケースが大半です。
車検には検査手数料や法定費用、自動車重量税などの費用がかかり、相場は8万円前後となっています。
車検切れの車を売る方法
主な売却方法として、出張買取、仮ナンバーを取得しての持ち込み買取、個人間取引の3つの選択肢があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットが存在します。
最も手軽で安全な方法から、手間はかかるものの費用を抑えられる方法まで、状況に応じて最適な売却方法を選択することが重要です。
出張買取
買取業者が自宅や職場などの指定した場所まで来て査定を行うため、車を運転して店舗まで持っていく必要がありません。事前に日時を予約するだけで、査定員が指定場所に来てくれます。
査定をする場所さえ確保しておけば、その場で査定・買取が可能です。即決の場合はその場で売買契約を結び、後日引き渡しとなります。他社の査定額も確認したい場合は、査定だけで終わり後日契約を結ぶことも可能です。
仮ナンバー取得による持ち込み買取
仮ナンバーとは車検切れの車に対して一時的に公道走行を許可するナンバープレートで、通常のプレートに赤い斜線が入っているため見分けがつきます。
市町村役場の窓口で発行でき、申請の際には自動車検査証、自賠責保険証明書、身分証明書、自動車臨時運行許可申請書が必要です。自賠責保険の有効期限が切れている場合は再加入が必須となります。
ただし申請・手続きに手間がかかり、長期間動かしていない車はバッテリーやタイヤなどの劣化が進んでいる可能性があるため、走行リスクも考慮する必要があります。
個人間取引での売買
間に業者を挟まないため、手数料や代行費用などがかからず、よりお得になる可能性があります。
しかし購入や譲渡などの手続きを自分で行う必要があり、必要書類の記入や各所への申告が必要なため手間がかかります。車検切れの状態では名義変更を行うことができないため、いったん旧所有者の名義で車検を受けなければなりません。
車検切れの車を売る際の注意点
最も重要なのは、車検切れの車は公道を走行できないため、絶対に運転してはいけないということです。
また、車検を通してから売却した方が高く売れると考える方もいますが、実際には車検費用の方が高くつくケースが多いです。
これらの注意点を理解して、適切な方法で売却手続きを進めることが、安全かつ経済的な車の処分につながります。
無車検運転は罰則の対象になる
車検が切れていると同時に自賠責保険の保険期間も終了していることが多く、万が一車検切れの車で事故を起こした場合、相手方への賠償金を全額自分で支払わなければなりません。
自賠責保険は強制保険であり、すべての自動車は加入が義務付けられています。自賠責保険が切れた状態で公道を走ると、無車検運転と同様に6点の違反点数が付加されます。
車検に通して売ると損する可能性がある
車検には車検基本料や点検費用、整備費用、代行手数料などに加えて、自動車重量税、自賠責保険料、印紙代といった法定費用がかかり、総額で約8万円から10万円程度必要になります。
しかし車検を通したとしても、それによって査定額が8万円から10万円上がることはほとんどありません。
査定士が重視するのは車検の有無ではなく、修復歴や外装・内装の状態など車自体の価値に関わる部分だからです。
たとえ丸々2年の車検が残っていても、査定額の上乗せは1万円から2万円程度にとどまることが多いのが現実です。
車検切れの車を売る際の必要書類
車の売却には複数の書類が必要で、普通自動車と軽自動車では若干異なる書類が求められます。必要な書類を事前に準備しておくことで、売却手続きをスムーズに進められ、査定時の印象も良くなります。
書類の不備があると売却が遅れる可能性があるため、以下の表を参考に早めに準備を進めておきましょう。
普通自動車 | 軽自動車 |
● 自動車検査証(車検証) | ● 自動車検査証(車検証) |
自動車検査証(車検証)
車検証には所有者や使用者の氏名、住所、車の型式などが記入されています。車検が切れていても車を売るときには車検証が必要です。
もし車検証をなくした場合は、再発行が可能で、車検証の再発行に必要な書類を揃え、ナンバープレートに書かれている地名を所轄している運輸局に行くと、再発行の手続きが行えます。
自賠責保険証明書
自賠責保険は加入が義務付けられている保険で、人ではなく車にかけられます。車の売却の際に自賠責保険が残っている場合は、その保険は継続され、前払いで納めているため売却時に残っている期間分の費用が戻る仕組みになっています。
自賠責保険は車検の際に更新するため、証明書は車検証と一緒に保管されていることが多いでしょう。
車検切れの車でも自賠責保険証明書の提出は必要ですが、出張買取を利用する場合など積載車で買取店に運搬する場合は、自賠責保険が切れていても新たに加入する必要はありません。
自動車リサイクル券
新車購入時にディーラーから発行されます。リサイクル料金は車の購入時に預託する決まりで、車を売却したら返金されます。
車を廃車にする時にはじめてリサイクル料金は使われるため、売却時にはリサイクル料金のやりとりが発生します。この自動車リサイクル券も車検証と一緒に保管していることが多いでしょう。
紛失した場合は再発行ができませんが、自動車リサイクルシステムのWebサイトから内容を確認できます。
参考:自動車リサイクルシステム(外部リンク)
自動車納税証明書
コンビニや銀行などで支払う際、支払用紙の一番右側の小さな紙だけが返却されます。サイズはたばこの箱程度の小ささで、レシートのような感覚になるので捨ててしまいそうになるかもしれませんが、大切な証明書です。
自動車税を納めていなければ車を売却することはできません。きちんと保管している場合は問題ありませんが、紛失した場合は再発行しなければなりません。
納税証明書の再発行は都道府県が設置している自動車税事務所で行えるため、紛失に気づいたら速やかに再発行の手続きをしましょう。
実印・印鑑登録証明書
そして、登録した印鑑そのものを実印といいます。軽自動車の売却時は、印鑑が実印である必要はないとされており、印鑑登録証明書も必要ありません。
実印と印鑑登録証明書は、あくまでも普通自動車の売却のみ必要です。普通自動車を購入する際にも必要となるので、売却する車と購入する車どちらも普通自動車の場合は、はじめから2枚用意しておくと良いでしょう。
しかし軽自動車を売却する際に実印が必要となるケースもあるため、事前に確認するか持参しておくと間違いありません。
委任状・譲渡証明書
譲渡証明書とは、車の名義を業者の名義に変更することを証明します。どちらの書類も業者側で準備するものなので、売主が事前に準備する必要はありません。
売買契約を結ぶときにこれらの書類が提示されるため、内容を確認して必要事項を記入し、買取業者に渡しましょう。普通車の場合は実印の押印が必要になります。
車検証の住所と現住所が異なる場合は、住民票などの追加書類が必要となるケースもあるため、事前に買取業者に確認しておくことをおすすめします。
車検切れの車の売却以外の選択肢
廃車とは正式な手続きをもって車の登録情報を消すことで、一時抹消登録と永久抹消登録の2種類に分けられます。永久抹消登録を行う場合は車の解体が必須となり、許可を受けた解体工場でのみ実施できます。
また、車検切れ以外の不動車(エンジントラブルや事故車など)でも、解体業者や輸出業者による買取が可能です。解体業者は車のパーツや素材に価値を見出し、輸出業者は海外での需要を活用して買取を行います。
ただし廃車は面倒な手続きの割にメリットが少なく、税金がかからなくなる程度の利点しかないため、査定に出してみて全く金額がつかないような場合の最終手段と考えておいた方が良いでしょう。
車検切れの車を高く売るためのテクニック
車検の有無よりも、車の状態や売主の対応が査定額に大きく影響を与えるケースが多いためです。時間の経過とともに車の価値は下がり続けるため、迅速な行動が求められます。
また、査定士に好印象を与える準備や、効果的な交渉方法を知っておくことで、期待以上の査定額を引き出せる可能性があります。
できるだけ早めに売りに出す
車の価値は年に30%程度下落するため、300万円で購入した車は1年後に210万円程度の査定額になる計算です。車検切れの車を放置しておくと、エンジンやバッテリーなどの状態がさらに悪くなっていきます。
また、車検切れの車の税金を保留する制度がない都道府県では、自動車税の支払いが発生します。
売却することを決めたらできるだけ早く売りましょう。
時間が経つにつれて車自体の価値は下がっていくので、早めに売却できれば損失を最小限にできます。総合的な費用を抑えるためにも、急いで行動することが重要です。
査定前に整備・清掃をする
車がきれいな状態だと、査定士に「所有者が日々丁寧に扱ってきた車」という印象が伝わり、査定額が高まる可能性があります。
車内に掃除機をかけたり、臭いを取り除いたりして、できることをやっておくと良いでしょう。極端に買取価格が上がるとはいえませんが、少しでも高く売るなら細かな点にも配慮してみてください。
点検整備記録簿やメンテナンスノートがあると、これまで整備されていたという安心感を与えられるため、査定時に持参することが大切です。
希望の買取額を伝えておく
しかし著しく相場を超える金額を切り出すことは好ましくありませんが、常識の範囲内であれば意思を伝えることも必要です。車の価値は毎日少しずつ下がるので、業者としてもなるべく良いタイミングで買取したいと考えています。
売却する意思があることを示すことで、提示された金額より少しサービスしてくれることもあるでしょう。
必要な書類を準備しておけば「本当にすぐに売ってくれるのだな」と信頼度が増し、交渉をスムーズに進められます。本気で車を売りたいという意志を伝えることも査定を有利にする方法のひとつといえるでしょう。
車検切れの車を売るのにおすすめの会社は?
信頼できるかどうかを判断するポイントとして、実績が豊富な大手買取店であること、査定士や店舗スタッフの説明が丁寧であることが挙げられます。
特にJPUC(外部リンク)(一般社団法人 日本自動車購入協会)適正買取店の認定を受けている業者なら安心できるでしょう。この団体は「不適切な買取をしていない」など10個の項目を満たした業者のみを認定しています。契約後の減額もなく、7日以内であればキャンセル可能な業者を選ぶことが大切です。
どの業者を選ぶか迷った場合は、オリコン顧客満足度調査による「車買取会社ランキング」がおすすめです。実際にサービスを利用した方のアンケートを基に比較しているため、業者選びの参考にしてください。

監修者新井 智美 トータルマネーコンサルタント
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。
(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP?
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員
公式サイト:https://marron-financial.com/(外部リンク)