車の傷が買取査定に与える影響は?減額目安や売却時のポイントを解説

車の傷が買取査定に与える影響は?減額目安や売却時のポイントを解説

車を買取査定に出すにあたって、「傷があると減額されてしまうのでは?」と不安に感じている人もいるかもしれません。傷があっても車買取会社で売却できるケースは多いですが、傷の大きさなどによっては減額されてしまう可能性があります。

今回は、車の傷が買取査定にどの程度影響するのかを詳しく解説。傷のある車を高く買い取ってもらうポイントや、査定に出す際の注意点にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 車買取会社での車の査定方法
  2. 買取査定に影響する傷の大きさや範囲の目安
    1. 小さく浅い傷
    2. 再塗装が必要な傷
    3. 傷の範囲が広く、再塗装と板金が必要な傷
  3. 車の修復歴も買取査定の減額対象となる
  4. 車のパーツ別・傷による減額目安
    1. バンパー
    2. ドア、ボンネット、フェンダー
    3. ルーフ
  5. 傷のある車を高く買い取ってもらうためのポイント
    1. きれいな状態で査定に出す
    2. 車検までの期間を確認する
    3. 複数の車買取会社に査定をお願いする
    4. 純正オプションや付属品をそろえておく
    5. 車の傷は自分で直さずそのままにしておく
  6. 傷のある車の買取査定はポイントを押さえて依頼しよう

車買取会社での車の査定方法

車の買取査定では、車種・年式・走行距離の3つの基準で査定額を算出します。
車に傷がある場合、車の「標準状態」をベースに、傷の大きさや深さによって点数をつけ、減点方式で減額していくのが一般的な方法です。

車の標準状態の基準や減点方法は、一般財団法人日本自動車査定協会が定める基準をもとに判断する車買取会社が多くあります。同協会では、車の標準状態を下記のように定義しています。

車の標準状態

  • 外装・内装は無傷である
  • エンジン・足回りは走行に支障なく良好である
  • 車検の残り月数は3ヵ月以内である
  • 年間の走行距離が標準走行距離の範囲内である
  • タイヤの残り溝の深さは1.6mm以上である
  • 事故による修復歴・損傷減価要因・改造工作がない
※一般財団法人日本自動車査定協会

標準走行距離は、普通自動車の場合10,000km程度です。また、タイヤの残り溝の深さが1.6mm未満になると、タイヤにスリップサインが出ます。スリップサインが出ているタイヤの場合、標準状態の車ではないと判断します。

傷に関する減点は傷の「場所」「深さ」「大きさ」などによって決まり、日本自動車査定協会では1点減点されることに1,000円の減額を目安としています。
しかし、車を無傷のまま使い続けるのは難しい場合が多いでしょう。傷によっては減点されないケースもあり、すべての傷が減点対象となるわけではないため、安心してください。

買取査定に影響する傷の大きさや範囲の目安

続いては、日本自動車査定協会が定める基準をもとに、買取査定に影響する傷の目安を確認していきましょう。ただし、傷の状態に対する判断は車買取会社によって異なるため、あくまで目安として捉えてください。
車の傷が買取査定に与える影響の目安は、下記のとおりです。

小さく浅い傷

日本自動車査定協会の基準では、1cm未満の傷は査定に影響しないとしています。車についた傷の中でも、小石があたった程度の小さな傷や、爪が引っ掛からない程度の浅い傷であれば、塗装の表面のみを修復すればよく、減額の対象にならないことがほとんどです。通常の使用状況において小さく浅い傷がつくことは十分に考えられるため、減額対象にしていないと考えられます。

ただし、小さく浅い傷であってもボディ全体に複数ついていれば、減額の対象となる可能性があります。洗車時に車専用のスポンジを使わず強くこするなど、ボディ全体に傷がついてしまうような行為は避けましょう。

再塗装が必要な傷

傷が爪に引っ掛かる程度に深く、再塗装が必要な傷の場合は、査定に影響することがあります。日本自動車査定協会では、傷の大きさが1cm以上9cm未満であれば減点は10点程度が目安としています。
なお、10点程度の減点の目安は、ボディ自体に支障がなく、再塗装で隠せる程度の傷です。

傷の範囲が広く、再塗装と板金が必要な傷

大きなへこみや塗装のはがれが確認できるなど、再塗装板金(塗装含む)が必要と判断される場合、査定額に大きく影響する可能性が高いと考えられます。

傷の大きさが9cm以上30cm未満(A4サイズ未満)の場合は10〜50点、30cm以上(A4サイズ以上)2分の1未満(パネルにおける傷の面積の割合)の場合は15〜80点が減点の目安です。
点数は傷の位置や、塗装のみまたは塗装を含む板金が必要であるかによって決まります。

また、パネル面積の2分の1以上を占める傷になるとパネルの交換が必要となり、大幅な減額になります。

車の修復歴も買取査定の減額対象となる

買取査定では、修復歴も減額対象となる点に注意してください。修復歴がある車とは、交通事故や災害などによって損傷し、修理またはパーツ交換をしたことがある車のことです。
下記、8ヵ所の骨格部位に損傷があったり修復していたりすると、修復歴として残ります。

■車の修復歴の対象パーツ

※一般財団法人日本自動車査定協会「修復歴車ってどんな車?」をもとに作成

※一般財団法人日本自動車査定協会「修復歴車ってどんな車?」をもとに作成

これらのパーツは、車の耐久性に大きな影響を与えることから、修復歴によって減額される可能性が高いとされています。

車のパーツ別・傷による減額目安

買取査定時の減額基準は、車のパーツによっても異なります。傷やへこみの修復費用が高額になるパーツほど、減額幅も大きくなるのが一般的な傾向です。
ここでは、日本自動車査定協会が定める減額の目安を、パーツ別にご紹介します。

バンパー

バンパーは、ボディの前と後ろに装着されている、衝突などの衝撃を緩和するパーツです。地面との距離が近いため、道路の段差にすってしまうなど、傷がつきやすいといえます。バンパーについた傷の減額目安は、下記のとおりです。

■バンパーについた傷の減額目安

傷の大きさ

減額目安

9〜30cm程度までの傷(A4サイズ未満)

1万〜1万5,000円程度

30cmを超える傷(A4サイズ以上)

2万〜3万円程度

パネル面積の2分の1以上

2万5,000〜5万円程度

なお、傷が目立つ場所についているかどうかも査定額に影響します。
例えば、9cm未満の小さな傷であっても、一目でわかる場所についていれば、9〜30cm程度までの傷と同等と判断されるかもしれません。反対にバンパー下の削り傷など、目立たなく修復が容易な傷であれば、ほかのパーツと比べて査定額への影響が少ないケースもあります。

ドア、ボンネット、フェンダー

ドアやボンネット、フェンダーは車の外観の印象を大きく左右する一方で、走行中の飛び石などで傷がつきやすいパーツでもあります。ドア、ボンネット、フェンダーについた傷の減額目安は下記のとおりです。

■ドア、ボンネット、フェンダーについた傷の減額目安

傷の大きさ

減額目安

9〜30cm程度までの傷(A4サイズ未満)

2万〜3万円程度

30cmを超える傷(A4サイズ以上)

3万〜5万円程度

パネル面積の2分の1以上

6万〜15万円程度

これらのパーツは目につきやすい位置にあることに加え、パネル1点1点の面積が大きいため、修復費用も高くなりがちです。そのため、前述したバンパーと比較すると減額幅も大きくなります。

ルーフ

ルーフは運転中に傷つくことの少ないパーツですが、落下物や雹(ひょう)、霰(あられ)などによる被害が多く見られます。また、駐車場のシャッターが落下してしまい、ルーフに傷がつくこともあるようです。ルーフについた傷の減額目安は下記のとおりです。

■ルーフについた傷の減額目安

傷の大きさ

減額目安

9〜30cm程度までの傷(A4サイズ未満)

2万〜5万円程度

30cmを超える傷(A4サイズ以上)

4万〜8万円程度

パネル面積の2分の1以上

14万〜18万円程度

ルーフはパネル面積がほかのパーツと比べて大きい上に、車高によっては目立つパーツのため、減額幅も大きくなる傾向があります。特に、修復が困難なへこみを伴う傷の場合、大幅な減額につながるケースも少なくありません。

傷のある車を高く買い取ってもらうためのポイント

傷のある車を高く買い取ってもらうためのポイント

傷のある車をできるだけ高く買い取ってもらうには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。買取査定に出す前にチェックしておきたいポイントをご紹介します。

きれいな状態で査定に出す

車を少しでも高く買い取ってもらうためには、車内外をきれいな状態にして査定に出してください。洗車と車内清掃を入念に行い、できるだけきれいな状態にしておきましょう。

査定額を算出する際には、車の外観から受ける印象も重要な要素です。実際にはそれほど状態が悪くない車であっても、ほこりや汚れが付着しているだけで、印象が悪くなってしまうかもしれません。
汚れた状態のまま査定に出すのではなく、可能な限りきれいな状態にしておくことをおすすめします。

車検までの期間を確認する

車検までの期間が長く残っているほうが、買取査定額にいい影響を与えます。日本自動車査定協会では、車検の残り期間が4ヵ月以上の場合、加点対象になるとしています。車を手放すタイミングを迷っている場合などは、車検までの期間も考慮して決断することが大切です。

なお、車検が切れてしまっていても、車の売却は可能です。しかし、車検が切れている車は公道を走れないため、自宅で査定を行ってもらう出張買取を選ぶなど、選択できる買取業者は限られます。
車検が切れている車の場合、買取業者は査定後に運送用の車両を用意する必要があります。こうした手間は、査定額に影響する可能性があるため、少なくとも車検が切れる前の売却がおすすめです。

ただし、車検切れや車検までの期間は減点対象にはならないため、買取査定前に車検を無理に通す必要はありません。査定額によっては、車検にかかった費用を回収できなくなることも想定されるためです。

複数の車買取会社に査定をお願いする

1社の車買取会社だけに依頼するのではなく、複数の車買取会社に査定を依頼することも重要なポイントです。
車買取会社によって査定額に差が生じるケースは多く見られます。前述のとおり、買取査定時の減額基準には目安が設けられているものの、絶対的な基準ではないためです。
実際にいくらで買い取るかは各店の判断に委ねられることから、査定結果を比較して、納得できる価格で売却できる車買取会社に依頼しましょう。

なお、車買取会社を選定する際には、口コミ情報などを事前に確認して検討することが大切です。

純正オプションや付属品をそろえておく

車を購入したときの純正オプションや付属品がそろっているほうが、買取価格が上がる可能性があります。
純正オプションは、新車購入時の納車前にメーカーの工場で取り付けます。新車を購入したときにしか装着できないため、希少価値が高く、査定がプラスに動くのです。

取扱説明書、標準工具、スペアタイヤなどの付属品に加え、点検記録簿もそろえておくのがおすすめです。
中古車販売では、「純正フロアマット」「点検記録簿あり」などの情報を記載して販売されるケースが多く見られます。中古車を探す人は純正オプションや付属品がそろった状態の車を好む傾向があるため、査定額にも影響します。

車の傷は自分で直さずそのままにしておく

傷が原因で買取価格が下がるからといって、自分で直そうとすることはおすすめできません。カー用品店などで購入した傷補修用の塗料などで無理に直そうとすると、修復を試みた部分が修復前よりも目立ってしまうケースも少なくないためです。

また、査定前に整備工場やカー用品店などに持ち込んで傷の修理を依頼するのも、得策とはいえません。傷をきれいに直そうとすると、相応の修理費用がかかることが想定されます。査定時の減額分よりも、修理費用のほうが高くついてしまうことも十分にありえるのです。
車を高く売る方法については、こちらの記事をご覧ください。
車を高く売る方法とは?普段からできることについても解説

傷のある車の買取査定はポイントを押さえて依頼しよう

傷のある車の買取査定はポイントを押さえて依頼しよう

車の買取査定には目安が設けられているため、傷の大きさや深さによって減額幅をある程度まで予測できます。ただし、実際の査定額は車買取会社の判断に委ねられます。傷のある車を少しでも高く買い取ってもらうには、あらかじめ洗車や車内清掃で車をきれいな状態にしたり、複数の車買取会社の査定額を比べたりするなど、ポイントを押さえて売却することが大切です。

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