住宅ローン借り換えの注意点は?タイミングや失敗しないためのポイントを解説

住宅ローン借り換えの注意点は?タイミングや失敗しないためのポイントを解説

より金利の低い住宅ローンに借り換えると、返済総額の負担を減らせます。ただし、借り換え先の金利変動のリスクや返済期間の延長など慎重に判断すべき点もありますので注意が必要です。
ここでは、住宅ローンの借り換えの仕組みやメリットと注意点、借り換えを行うときの注意点を解説します。さらに借り換えを検討すべきタイミングについても説明していますので、住宅ローン借り換えの検討をする際の参考にしてください。

mokuji目次

  1. 住宅ローンの借り換えとは?
  2. 住宅ローン借り換えのメリット
    1. 毎月の返済額、返済総額を減らせる可能性がある
    2. 団信(団体信用生命保険)の見直しができる
    3. 金利タイプの変更ができる
  3. 住宅ローン借り換えの注意点
    1. 手続きの諸費用が掛かる
    2. 金利差、残債、返済期間によっては効果が得にくい場合がある
    3. 金利動向によっては減額効果が得られない場合もある
    4. 再度の審査を受ける必要がある
    5. 住宅ローン控除の対象外となる可能性がある
    6. 同じ銀行での借り換えは基本的にできない
  4. 借り換えで失敗しないためのポイント
    1. 目的を決める
    2. 住宅ローン控除対象かを確認する
    3. シミュレーションするときは、諸費用も含めて効果を比較
    4. 手続きに時間がかかるものと想定して動く
  5. 借り換えを検討すべきタイミングは?
    1. 金利差1%、残債が1,000万円以上、残りの返済期間が10年以上のタイミング
    2. 固定金利特約期間が終了した
    3. 金利タイプを変更したい時
  6. 住宅ローンの借り換えは、注意点を知った上で目的に合った会社を選ぼう

住宅ローンの借り換えとは?

住宅ローンの借り換えとは?

住宅ローンの借り換えとは、現在契約している金融機関とは別の金融機関で新たに住宅ローンを借り、返済中の住宅ローンを一括返済することです。

借り換え以降は、新しい金融機関に対して住宅ローンの返済を行っていきます。詳しくは後述しますが、毎月の返済額や返済総額を減らせるなどの理由から、検討する方も多いのが実情です。

住宅ローン借り換えのメリット

住宅ローン借り換えのメリット

住宅ローンの借り換えをすることによって得られるメリットとして、以下の3点があります。
つづいて、それぞれのメリットについて解説していきます。

毎月の返済額、返済総額を減らせる可能性がある

1つ目のメリットは「毎月の返済額、返済総額を減らせる可能性がある」ことです。お金を借りる場合は、金利が低いほど毎月の返済額や返済総額を減らせます。住宅ローンも同様で、より金利の低いローンに借り換えることで、毎月の支払額や返済総額が抑えられ、家計の負担を軽減できる可能性があります。

例えば、以下の条件で住宅ローンを借りたとしましょう。

・借入元金:3,000万円
・返済期間:30年
・借入金利:年2.0%
・ボーナス月の加算額はないものとする
・手数料、税金は考慮しないものとする

この場合、返済額は次のようになります。
・毎月返済額:11万0,885円
・年間返済額:133万0,620円
・返済総額:3,991万8,600円(うち、利息分991万8,600円)
次に、10年目までは当初の条件通りで返済をし、11年目から借り換えをして借入金利が年1.0%になったとしましょう。
この場合、返済額は以下のようになります。
・11年目からの毎月返済額:10万1,261円
・11年目からの年間返済額:121万5,132円
・返済総額:3,772万4,328 円(うち、利息分772万4,328円)
この場合、返済総額が200万円以上減らせるので、かなりの効果があるといって良いでしょう。
借り換えにより、実際にどれだけの効果が見込めるかは個々のケースにより異なるので、数パターンのシミュレーションをして検討してみましょう。

団信(団体信用生命保険)の見直しができる

団信(団体信用生命保険)の見直しができるのも、住宅ローンの借り換えによるメリットです。団信とは、契約者が死亡・高度障害状態など一定の状況に陥ったとき、それ以降の住宅ローンの返済が免除される生命保険の一種です(正確には、保険金を使って残額を一括返済することになります)。

がんや脳卒中等、特定の疾患に罹患した場合でも対象となる団信に加入すれば、経済的な心配をせずに治療に取り組めるというメリットがあります。なお、団信への加入は住宅ローンの契約と同時に行わないといけません。このため、住宅ローンの借り換えをすれば、そのタイミングで改めて内容を見直すことができます。

金利タイプの変更ができる

住宅ローンの借り換えによって、金利タイプの変更も可能です。住宅ローンの金利タイプは、主に次の3種類に分けられます。

金利タイプ

特徴

変動金利型

返済期間中、情勢の変化により金利が変わることがある

全期間固定金利型

借入時の金利が返済終了時まで適用される

固定金利期間選択型

「当初10年間は年1.0%」といったように、一定の期間のみ固定金利が適用される。期間終了後は改めて固定金利を選ぶか、変動金利を選択する

当初は固定金利の住宅ローンを組んだものの、その時より金利が下がっているなら、変動金利型や固定金利期間の商品に変更することで、毎月の返済額や返済総額を減らせる可能性があります。

逆に、金利が上昇局面にあるなら、あえて固定金利の住宅ローンに借り換えることで、変動リスクを抑えて安定した返済計画を立てることが可能です。

住宅ローン借り換えの注意点

住宅ローン借り換えの注意点

住宅ローン借り換えにはメリットだけでなく、注意点もあります。ここでは、6つの主な注意点を解説します。

手続きの諸費用が掛かる

住宅ローンを借り換える場合、書類の作成・提出などの手続きの手間がかかるうえに、借入額の3%〜8%程度の費用がかかります。金融機関や借入条件によっても異なりますが、数十万円は出ていくと考えましょう。

なお、諸経費には以下の項目が含まれます。

・ローン手数料
・ローン保証料
・印紙税
・火災保険料
・地震保険料
・団体信用生命保険料
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬)

金利差、残債、返済期間によっては効果が得にくい場合がある

住宅ローンの借り換えによる効果が得られるかは、金利差、残債、返済期間に左右されます。以下の条件に当てはまらない場合、効果を実感するのは難しくなるでしょう。

・金利差:年1%以上
・住宅ローン残高:1,000万円以上
・完済までの残年数:10年以上

借り換えには手数料がかかるうえに、審査書類の準備や手続きに手間もかかるため、十分な効果が得られるかは慎重に検討しましょう。

金利動向によっては減額効果が得られない場合もある

金利動向によっては減額効果が得られない場合もあるので注意が必要です。特に、変動金利から固定金利、変動金利から固定金利へと、借り換えによって金利タイプを変更する場合は気を付けなくてはいけません。

例えば、「変動金利が上昇すると見込んで固定金利に変更したが、予測通りにならなかった」ということは往々にしてあり得ます。想定の金利動向にならなかった場合に、シミュレーション通りの減額効果が得られなくなるので注意しましょう。金融機関の担当者とよく相談したうえで、金利タイプの特徴を理解して選択するのが大事です。

再度の審査を受ける必要がある

住宅ローンの借り換えにあたっては、新規での借り入れ時と同様に審査があることに注意しなくてはいけません。健康保険証や住民税課税証明書、給与明細、返済予定表などの書類を用意した上で、申請書を作成する必要があります。

新規でローンを組んだ当初から健康状態や経済面での状況が変わっている可能性も高いため、状況によっては審査に通らないかもしれません。不安な要素があるなら、無理に借り換えを進めないのも1つの選択肢です。

住宅ローン控除の対象外となる可能性がある

借り換えにより、住宅ローン控除の対象外になる可能性がある点に注意しなくてはいけません。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで持ち家を購入した場合、「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」が、入居時から最長13年間、所得税および住民税から控除を受けられる制度です。正式名称は「住宅借入金特別控除」と言いますが、通称の「住宅ローン控除」がよく知られています。

住宅ローン控除を受けるためには、さまざまな条件を満たさなくてはいけません。その中に「住宅ローンの返済期間が10年以上」という条件があるため、借り換えによってこの条件を満たせなくなった場合、住宅ローン控除は受けられなくなります。

同じ銀行での借り換えは基本的にできない

同じ銀行・金融機関での借り換えは基本的にできません。ただしフラット35については、より低金利にするためフラット20に借り換える等は可能です。

また、借り換えはできなくても、繰り上げ返済をしたり、金利タイプの変更をしたりなど、契約内容の変更はできます。ただし、具体的な扱いは金融機関によって異なるので、都度確認しましょう。

借り換えで失敗しないためのポイント

借り換えで失敗しないためのポイント

よく調べずに住宅ローンの借り換えをしてしまうと、効果が思ったように得られないこともありえます。ここでは、借り換えで失敗しないためのポイントとして、以下の4点について解説します。

目的を決める

住宅ローンの借り換えで重要なのは、借り換えの目的をしっかりと決めることです。目的に応じて選ぶべき商品も変わってくるので、選ぶ基準を決めるのが重要です。
目的は人それぞれですが、一般的には以下のようなものが考えられるでしょう。

・返済総額を減らしたい
・毎月の返済額を減らしたい
・団信の内容を見直したい
・金利タイプを変更してリスクを軽減したい

住宅ローン控除対象かを確認する

住宅ローン控除の対象になるかも確認しましょう。前述した通り、完済までの期間が10年未満の場合、住宅ローン控除の対象から外れます。税制の改正によっては、その他の理由で外れることもあるため、最新の情報と照らし合わせて確認するのが重要です。

シミュレーションするときは、諸費用も含めて効果を比較

シミュレーションには諸費用も含めて、総額を比較するのが重要です。前述したように、借り換えには数十万円以上の費用がかかります。一見、借り換えにより返済総額を安くできても、諸費用も考えたらかえって高くなることもあるかもしれません。

手続きに時間がかかるものと想定して動く

手続きに時間がかかるものと想定して動きましょう。借り換えには、書類の用意や審査等で概ね1ヵ月程度かかります。書類不備があるとさらに日数を要するので注意してください。

借り換えを検討すべきタイミングは?

借り換えを検討すべきタイミングは?

住宅ローンの借り換えは、十分な減額効果を得るためにも適切なタイミングを見極めて行うことが大切です。具体的に検討すべきタイミングとして、以下の3つを紹介します。

金利差1%、残債が1,000万円以上、残りの返済期間が10年以上のタイミング

住宅ローンの借り換えで減額効果が得やすい条件として、「金利差 年1%以上」「ローン残高 1,000万円以上」「完済までの残年数 10年以上」の3つが挙げられることが一般的です。金利差とは、現在組んでいるローンの金利と新しいローンの金利の差分のことです。

ただし、借り換えにより負担が軽減できるかは、金利動向などその他の条件によっても左右されるので、総合的に判断しましょう。なお、完済までの残年数が10年を切る場合は、住宅ローン控除の適用対象外になるため、あえて借り換えをしないのも1つの選択肢です。

固定金利特約期間が終了した

固定金利特約期間とは「契約から10年間は年1.0%」など、特約により固定金利が適用される期間のことです。これが終了すると改めて固定金利または変動金利に移行します。

当初の固定期間が終了して再び固定金利を選んだ場合も、新しく選択した時点での金利が適用されますので、金利動向によっては、当初よりも金利が高くなることはあり得ます。そうした場合に負担を減らすために、より条件の良い住宅ローンを探しても良いでしょう。

金利タイプを変更したい時

「子どもが生まれるなどライフプランに変更があり、返済額を安定させるために固定金利に変更したい」または「固定金利だが、金利上昇のリスクを取っても低金利の変動金利に変更したい」と考える方もいるでしょう。

現在返済中のローンが変動金利の場合、固定金利への変更が可能なこともあります。ただし、固定期間選択型ローンの固定期間中は、金利タイプの変更ができないのが一般的です。このように現在のローンで金利タイプを変更できない場合でも、別の金融機関に借り換えることで変更が可能です。

ローンの返済は20年~30年以上の長期間に渡って続きますので、金利が変わるとそれだけ返済額への影響も大きくなります。シミュレーションを活用して、慎重に検討しましょう。

住宅ローンの借り換えは、注意点を知った上で目的に合った会社を選ぼう

住宅ローンの借り換えは、条件が揃うことで毎月の返済額や返済総額を減らすことができます。また団信の見直しも可能です。ただし、借り換えには手数料がかかるうえに、金利の動向によってはかえって損をすることもあるので注意しましょう。

返済計画について数パターンのシミュレーションをするとともに、金融機関の担当者にも質問し、疑問を解消したうえで進めるのをおすすめします。そのためにも、まずは信頼できる住宅ローン提供会社を見つけることが第一歩でしょう。

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住宅ローンオリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    72.3

    ソニー銀行

  • 2位

    72.0

    auじぶん銀行

  • 3位

    71.8

    イオン銀行

  • 4位

    71.3

    住信SBIネット銀行

  • 4位

    71.3

    SBI新生銀行(旧:新生銀行)

  • 6位

    71.0

    楽天銀行

  • 7位

    70.7

    三菱UFJ銀行

  • 7位

    70.7

    三井住友銀行

  • 9位

    70.2

    西日本シティ銀行

  • 10位

    70.1

    関西みらい銀行

  • 11位

    69.9

    愛知銀行

  • 11位

    69.9

    山陰合同銀行

  • 13位

    69.4

    りそな銀行

  • 14位

    69.2

    三井住友信託銀行

  • 14位

    69.2

    十六銀行

  • 16位

    69.1

    埼玉りそな銀行

  • 16位

    69.1

    福岡銀行

  • 16位

    69.1

    みずほ銀行

  • 19位

    69.0

    大垣共立銀行

  • 20位

    68.9

    横浜銀行

  • 20位

    68.9

    池田泉州銀行

  • 22位

    68.8

    静岡銀行

  • 23位

    68.7

    京都銀行

  • 24位

    68.6

    群馬銀行

  • 24位

    68.6

    常陽銀行

  • 26位

    68.5

    百五銀行

  • 26位

    68.5

    中国銀行

  • 28位

    68.4

    千葉銀行

  • 29位

    68.3

    八十二銀行

  • 29位

    68.3

    肥後銀行

  • 31位

    68.2

    広島銀行

  • 31位

    68.2

    北海道銀行

  • 33位

    68.1

    滋賀銀行

  • 34位

    67.9

    七十七銀行

  • 34位

    67.9

    日本住宅ローン

  • 36位

    67.5

    北洋銀行

  • 37位

    67.4

    北陸銀行

  • 38位

    67.0

    第四北越銀行(旧:第四銀行、旧:北越銀行)

  • 39位

    66.9

    ARUHI

  • 40位

    66.8

    足利銀行

  • 41位

    66.4

    京葉銀行

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