引越しそばは今でも配る?現代の引越しの挨拶とは

 引越しの際に、マナーとして考えなければならないのが、ご近所への「挨拶回り」です。かつての日本では「引越しそば」としてそばを配る風習もありましたが、現代ではあまり見られない風景となっているようです。では具体的にどのようにしたら良いのでしょうか。今回は引越しでの挨拶についてご説明します。

挨拶に行くベストなタイミングって?

 まずは旧居でのご近所への挨拶です。今までお世話になった感謝の気持ちを伝えることが大切です。できれば引越し作業が始まる前に挨拶をしておきましょう。手土産を持って行くか否かは、お付き合いの深さによって個別に判断すればいいでしょう。

 荷物の運び出しが終わり、いよいよ新居に到着です。ここでもご近所への挨拶は大切なマナーですね。その際にはちょっとした手土産の品を持って行くのが一般的です。挨拶のタイミングは、可能であれば引越し当日がベストです。荷物の搬入前か搬入後かは引越しの時間帯にもよりますが、早めに行った方が良いでしょう。

 初めてご近所に挨拶をしに行くときは、誰でも緊張するものですし、「何と言って挨拶すればいいのか」と頭を悩ませる人も多いかと思います。 「お騒がせします(しました)が、本日引っ越してきました。これからよろしくお願いします」と、引越し作業の騒音を詫びつつ丁寧に挨拶すれば、相手も悪い印象は持ちません。ただし、引越し作業が長引いた場合は、夜遅くに挨拶するのは避けて翌日にしましょう。

 時間帯としては、平日の10時から18時が最適です。とはいえ先方が仕事で不在かもしれませんし、自分たちも仕事などで平日は時間がとれないということも考えられます。その際は、朝食や夕食の時間帯、帰宅して慌ただしい時間帯などは避け、タイミングを見計らって伺うようにしましょう。

引越しの挨拶に持っていくギフトは、どんなものが良い?

 手土産といわれても、先方の好みまではわかりませんからどんな物がいいかは悩むところかと思います。ポイントとしては、「無難な物」か「消耗品であること」で考えましょう。

 例えば、クッキーやおせんべいなど、日持ちのするお菓子もおすすめです。おいしいお店の商品だったとしても、ケーキやお饅頭などの生菓子は避けましょう。お中元やお歳暮で贈るギフトを想定すると、イメージがわきやすいのではないでしょうか。相手先に複数名住んでいるようであれば、みんなで分けて食べられるゼリーや缶詰なども喜ばれます。
 
 「引越し先のご近所にはお年寄りもいれば若い夫婦もいて、共通して喜ばれる物が思いつかない」という場合は、普段誰でも使っているような日用品を検討しましょう。洗剤やタオルなどはオーソドックスな定番品ですし、最近では有料で地域指定のごみ袋をギフトにする人も多いようです。「毎日使う物だから、もらってうれしい物」「自分でも買うけど、あって困らない物」という視点で選ぶといいでしょう。

贈り物の相場はどれくらい?

 「何を贈るか」と同じくらい気になるのが、「いくら位の物を贈るか」という相場です。一般的には、ご近所に配るギフトなら500円から1000円程度、大家さんに配るギフトなら2000円程度が常識の範囲内であると考えられます。挨拶は必ず行くべきですが、手土産が高額だと「お返しをしたほうがいいかな?」などと相手に余計な気を使わせてしまいます。「ほんの気持ち」という言葉にふさわしい商品を選びましょう。ただし、手土産の相場や内容は、地域によって異なる面もありますので、できれば事前にリサーチしておくと安心です。

「のし」を忘れずに

 挨拶の際に持っていく手土産には、名前を覚えてもらえるよう「のし」をつけて渡します。自分たちでラッピングをしてかわいらしく仕上げる場合は、メッセージカードなどをつけて名前を記しましょう。のしをかける際は、配送でギフトを贈る際の「内のし」ではなく、包装紙の外側にかける「外のし」を用います。のしには表書きと苗字を記します。表書きの文字は、新居への手土産は「ご挨拶」とし、旧居への手土産は「粗品」もしくは「御礼」としましょう。

 百貨店やスーパーなどで注文する際、「引越しの手土産である」ことを伝えるとのしをかけてくれます。ネット通販でものしの有無を選択できますので、忘れずにかけてもらいましょう。近所で購入した日用品などの場合は、自宅で簡単にラッピングし、のしをかけます。

引越しそばの由来

 冒頭でも触れましたが、かつては「引越しそば」として近隣にそばを配る風習がありました。お祝い事にはお赤飯やお餅のほうがふさわしい印象ですが、挨拶に添える品としては高価すぎるとして、庶民の暮らしに身近な「そば」が選ばれていたようです。「細く長く、切れないお付き合いを」「おそばに末永くいられますように」という意味合いもあったようです。

 ご近所付き合いが減り、昔と違って、近隣を管轄する「大家さん」的な方の存在も薄くなった今、「向こう三軒両隣」にそばを配りに行く習慣は非常に少なくなりました。今では、引越しを手伝ってくれた友人や家族などと、「作業が一段落したときにいっしょにそばを食べること」を引越しそばという人も多いようです。

円滑なコミュニケーションの第一歩は挨拶から

 「引越しの手土産」は、商品を選んで、のしをかけてなどと考えているうちに面倒くさくなってしまいがちです。知らないお宅に挨拶に行くのも勇気がいりますが、迷惑をかけたり、かけられたりしながら生活していくことになるかもしれませんから、気持ち良く新生活を送るためにもしっかり挨拶をしたいものですね。
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