2015年01月15日 09時30分
【自転車保険】ってどんなもの? 気になる「中身」を解説
時には自動車事故と同程度の被害をもたらす”自転車事故”。万が一に備える「自転車向け保険」とは?
道路交通法上で「軽車両」に位置付けられる自転車。自動車と同様に安全走行のルールが定められているが、自動車とは異なり「自賠責保険」が義務化されておらず、被害者救済のための公的な保険制度はない。一方で、自転車事故による高額賠償なども増えており、自身で事故に備えることが必要となっている。そこで今回は、万が一の事故に備える「自転車向け保険」の「中身」を詳しく解説していく。
■自転車は「軽車両」だが、自賠責保険のような公的な保険がない
ご存知のとおり自転車は、車道と歩道がある道路では、車道の左側を走行することが原則。例外的に歩道や路側帯を走行する場合は、歩行者に十分配慮しなくてはならない。それでも自転車が歩行者に衝突したり、自転車同士がぶつかる事故が後を絶たない。悲惨なのは、歩行者が自転車にはねられて重い後遺障害を負ったり、命を奪われたりする事故が起きていることだ。
ところが、自転車には、自動車で加入が義務化されている「自賠責保険」のように、被害者救済のための公的な保険制度はない。このため、自転車運転に際しては、事故に対する備えを自助努力で行う必要がある。
こうした中、損害保険各社が近年提供を始めているのが、自転車事故に備える損害保険商品。かつては、自転車事故によるけがや賠償責任に加えて、自転車本体の損害や盗難まで補償する純粋な「自転車保険」が発売されていた。だが現在の保険は、自転車事故を含めて交通事故によるけがや、日常生活における被害者からの賠償責任請求など、幅広く補償するタイプがほとんどになっている。
■「交通事故傷害保険」と「個人賠償責任保険」のセット
具体的には、自転車走行中の事故を含めて、交通事故によるけがで入院・手術・通院・死亡した場合(補償範囲は損保各社によって異なる)などをカバーする「交通事故傷害保険」と、自転車事故を含めて日常生活で相手に損害を与えた場合を補償する「個人賠償責任保険」とのセットプランが、現在の「自転車保険」の中身だ。
ただ、自転車向け保険は発売されてから3〜4年程度と日が浅いこともあり、意外に知られていない。最近ではテレビCMなどで紹介されていることもあり、認知度は拡大しているが、普及率はまだわずか。自動車保有台数に占める自動車保険の加入率が7割を超えているのに対し、自転車の保有台数7000万台のうち、自転車向け保険への加入率は1%に満たないと推測されている。
自転車は手軽で便利な乗り物だが、時には自動車事故と同程度の被害をもたらすことを考えると、保険の普及がもっと広がるべきだろう。
まとめ
・自転車には、自賠責保険のような公的な保険がない
・現状として、自転車向け保険などに加入し、自助努力で事故などに備えることが必要
・現在発売されている自転車向け保険は、交通事故傷害保険と個人賠償責任保険とのセットプランがほとんど
(取材協力/エアーリンク総合保険センター)
(文/高見和也)
【ライタープロフィール】
自転車保険のほか、自動車保険や生命保険など、保険関連について幅広く執筆。専門サイト保険net新聞を運営
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