2015年02月05日 09時30分

自転車事故で約1億円の賠償責任… 実例で見る保険の必要性

自転車事故のなかには、1億円弱の賠償責任が下ったケースも。万が一に備え、対応する保険について知っておきたいところだ [拡大する]

自転車事故のなかには、1億円弱の賠償責任が下ったケースも。万が一に備え、対応する保険について知っておきたいところだ

 自転車は手軽に乗れる乗り物だが、軽車両でもある。事故を起こした場合は、高額賠償となる可能性もはらんでいる。それでも、自転車向け保険への加入率は、保有台数7000万台のうち、1%に満たないのが現状だ。自転車事故がどれほど危険なものか、実際の賠償事例で紹介したい。

 法律違反による事故で相手を死傷させてしまった場合、刑事上の責任として「重過失致死罪」に問われるうえ、民事上の責任として被害者に対して「損害賠償の責任」を負う。もちろん、被害者を見舞ったり、誠実に謝罪したりするなどの「道義的な責任」もある。

 自転車で歩行者をはねたり、自転車同士が衝突するなど、事故の加害者となった場合に、被害者またはその遺族から損害賠償請求され、数千万円の賠償金の支払いを命じられた裁判例なども出ている。中には、子どもが起こした自転車事故に対して、その親に高額な損害賠償を命じる判決が下った事例もあるのだ。

■子どもが起こした事故で、親に1億円弱の賠償責任

 たとえば、神戸地裁が2013年7月4日に一審で9521万円の賠償額を命じた判決例。11歳の男児が起こした自転車事故で、男児の母親に対して賠償責任が課せられた。この小学校5年生の男児は、判決が下る5年前のある日の夜間、自転車で坂道を下っているときに散歩中の62歳の女性と正面衝突し、女性は頭蓋骨骨折などの重症で、意識が戻らない状態となった。

 女性側の家族は、男児が交通ルールに違反した危険な運転行為をしているとして、男児の母親に損害賠償を求めた。母親が日常的に監督義務を怠っていたという主張からだ。判決では、男児の前方不注意が事故の原因と認定した上で、母親の指導や注意喚起が不足していた点を指摘し、「監督義務を果たしていない」として、将来の介護費や遺失利益、慰謝料、治療費など合計で1億円近い賠償額の支払いを命じた。

 自転車は、自動車と違って免許制度などはなく、子どもでも誰でも運転できる。それだけに万が一、賠償責任を果たせるだけの責任能力がない子どもが自転車事故を起こした場合、親がその責任を負わなくてはならない。自転車には、自賠責保険のように自動車事故の被害者救済のための公的な保険制度はない。そのため高額な賠償請求には、民間の保険会社の保険などで備える必要がある。

 もちろん、最も大切なことは自転車事故を発生させない努力を怠らないことだが、すべての事故を未然に防げるものでもない。万が一の場合に備えて、自転車事故に対応した保険への加入も検討するべきだろう。

まとめ
・自転車事故で問われる責任には「刑事上の責任」と「民事上の責任」がある
・加害事故を起こした場合、数千万円の賠償金となるケースもある
・子どもが起こした事故で、親に1億円弱の賠償責任が下った

(文/高見和也)

【ライタープロフィール】
自転車保険のほか、自動車保険や生命保険など、保険関連について幅広く執筆。専門サイト保険net新聞を運営

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