事故のない未来をデザイン、テレマティクス保険がグッドデザイン賞受賞

事故後の補償やサポートだけではなく、毎日の安全運転から安心できる社会づくりまで貢献する、そんな自動車保険が注目を浴び始めています。

イーデザイン損害保険株式会社が提供するテレマティクス保険「&e」が、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。自動車に搭載されたIoTセンサーがドライバーの運転傾向を読み取り、データをフィードバックして安全運転を促す仕組みが評価されたのです。

近年、ますます注目度が高まるテレマティクス保険ですが、そのサービスに対する評価の変遷や将来への可能性を検証してみましょう。

欧米市場が先行、日本でも成長見込まれるテレマティクス保険とは

テレマティクス保険の「テレマティクス」とは、テレコミュニケーション(電気通信)とインフォマティクス(情報処理学)を掛け合わせた造語で、自動車に装備された端末から走行距離や運転特性(アクセルの開け方・ブレーキのかけ方など)といった運転者ごとの情報を取得・分析し、その情報を基に保険料を算出する保険のことです。ただ、保険会社によっては保険料への反映ではなくポイント制度として商品交換に用いられている場合もあります。

国際的には欧州と北米の市場が先行しており、欧州でのテレマティクス保険の有効契約数は2025年までに3,510万件、北米では4,900万件に達すると予測されており、それぞれの年平均成長率は欧米が21.7%、北米が24.0%となっています(「欧州と北米の保険テレマティクス(第6版)」よりベルグインサイト社調べ)。

テレマティクス保険は日本でも徐々に商品化され、世間にも認知され始めています。2014年に国土交通省が実施した検討会では、「日本と欧米のマーケットの違いを踏まえる必要があるのではないか」としながらも、保険料の割引や認知症の検知などの課題解決において、将来的には日本でも自動車の情報が24時間把握される仕組みが整備されることが望ましいとしています。

2022年、国内の自動車保険料全体に占めるテレマティクス保険料の割合は5.8%となる見込みですが、2025年度には8.6%に達すると予測されており、2021年度から2025年度までの年平均成長率は14.6%となり(「2022年版 テレマティクス保険の実態と展望」より矢野経済研究所調べ)、今後も順調に成長していくことが見込まれています。

暮らしを豊かにするデザインを評価、「グッドデザイン賞」の意義

先月、イーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)が提供する「共創する自動車保険 &e(アンディー)」(以下、&e)が、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。

グッドデザイン賞とは、1957年に旧通商産業省によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」が基になっており、1998年に財団法人日本産業デザイン振興会(現・公益財団法人日本デザイン振興会)が主催する形で再スタート(民営化)しています。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、形の有る無しにかかわらず、私たちの身近にあるさまざまなものごとに贈られる国内唯一の総合的デザイン表彰制度で、国外からも多くの企業が参加する世界的なデザイン賞として毎年実施されています。単にデザインの優劣を競うのではなく、デザインによって私たちの暮らしを豊かにし、一人一人が創造的に生きられる社会を目指す活動となります。

毎年4月の応募から一次審査、二次審査を経て、10月にグッドデザイン賞を発表します。その後、11月に「大賞」を決定し、翌年3月に受賞年鑑を発刊するなど、ほぼ1年にわたって展開しています。受賞対象は、受賞の証しとして「Gマーク」を使用することができます。世界4大デザイン賞の一つともいわれるグッドデザイン賞のGマークは、社会的価値も高く、生活者たちにも認知され、国際的なデザイン振興にも寄与しています。

今年度のグッドデザイン賞は「交意と交響」をテーマに5,715件の応募があり、1,560点が受賞しました。

テレマティクス保険として3回目の受賞、評価ポイントの共通点とは

今回のイーデザイン損保の「&e」の他に、テレマティクス保険のグッドデザイン賞の受賞は過去に2回あります。

2018年には、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の「個人総合自動車保険(車両運行情報による保険料精算に関する特約付)」が初めて受賞しています。受賞理由としては、車の運転データを基に保険料率を算定するテレマティクス保険の導入が進んでいる背景に触れ、ドライバーの運転技術のデータを分析・見える化し、保険会社とドライバーが協働しながら事故をなくしていくシステム、そして結果的に保険料も減らすという仕組みのデザインが評価されました。

また、2020年に受賞したソニー損害保険株式会社のAIを活用した運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE(グッドドライブ)」では、ドライバーのスマートフォンに遠隔運転監視システムをインストールすることが注目されました。明確で分かりやすいインターフェイスのデザインによって、ドライバーが運転の安全レベルをより良く理解できるとし、交通事故を大幅に減らす見込みが評価されています。

そして、今年度受賞の「&e」は、ドライバーの運転の癖や危険予知などをセンサーで読み取り、ドライバーにフィードバックして安全運転を促すというIoT(Internet of Thing=モノのインターネット)技術を適切に活用する仕組みが注目されています。加えて、事故時の安心だけではなく、保険会社が他企業や自治体とともに事故を減らす取り組みに乗り出している姿勢が高く評価されています。

こうして見ると、テレマティクス保険は保険会社とドライバーがともに事故をなくし、結果的に保険料も減らし、ひいては安全な社会づくりに取り組んでいくというグッドデザイン賞の理念や目的にかなう商品である点が共通して評価されてきたことがうかがえます。

テレマティクス保険に期待される事故のない社会づくり

近年のグッドデザイン賞受賞歴を見ても分かるように、テレマティクス保険は今後も最新のIoT技術を活用したシステムを開発し、さらなるドライバーの安全運転を促し、事故を起こさない安心できる社会づくりにいっそう貢献していくことが予想されます。高齢化が進む中、ドライバーの運転特性に関わる客観的なデータを提供することで、普段の日常生活から安全運転への高い意識づくりを促す仕組みは、これからも需要が伸びていくことでしょう。

今や社会システムのデジタル化によって多くの手続きが連関し、個人だけではなく地域から地球規模に至るまで、未来に向けた課題解決のための持続可能な開発目標(SDGs)が求められるようになりました。こうした時代背景を考えると、今後は自分の安全運転が単なる保険料の減額や特典獲得にとどまらず、安心できる社会づくりに役立つことにますます共感が集まっていくのではないでしょうか。
そういう意味で、私たちの新たな社会をデザインすることにも一役買ってくれるかもしれません。
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