自動車保険を途中解約したら返戻金はどうなる?解約時の注意点を解説

自動車保険を途中解約したら返戻金はどうなる?解約時の注意点を解説

自動車保険の乗り換えや、自動車を手放すことなどを検討している人は、加入している自動車保険の途中解約が可能なのか、解約返戻金がどうなるのか不安に感じているのではないでしょうか。また、保険料に影響する等級が引き継げるのかなども、気になるところです。

今回は、自動車保険の途中解約はできるのか、解約返戻金はどうなるのかを解説します。自動車保険を乗り換えた場合の等級や、途中解約する際の注意点にもふれていますので、参考にしてください。

自動車保険は保険期間中でも途中解約できる

自動車保険の補償が適用される始期日から満期日までの期間を「保険期間」といいます。保険期間中であっても自動車保険の解約はいつでも可能で、違約金が発生することもありません。また、加入している自動車保険の保険期間中に、別の自動車保険へ乗り換えることも可能です。

別の自動車保険へ乗り換える場合は、現在の自動車保険の満期日と新たな自動車保険の始期日を同日にして、補償がない期間が生じないようにする必要があります。また、詳しくは後述しますが、解約するタイミングによっては等級アップが遅れてしまうこともあります。
手続き上は自動車保険をいつでも解約できるとはいえ、解約するタイミングを見誤らないよう注意が必要です。

自動車保険を途中解約した場合の解約返戻金

保険料の支払い方法には、「年払い」と「月払い」があります。年払いの自動車保険を途中解約した場合、残りの保険期間に応じて解約返戻金が返還されますが、月払いの場合、日割り計算がされないため解約返戻金は発生しません。

年払いと月払い、それぞれ自動車保険を途中解約した際の解約返戻金や保険料について確認していきましょう。

年払いの場合

年払いとは、1年分の保険料を「一括払い」で支払うことです。年払いの解約返戻金は、残りの保険期間をもとに「短期率(短期料率)」で計算する方法が一般的です。短期率とは、解約返戻金を計算するために用いられる係数のことです。
短期率の基準は保険会社によって異なりますが、一般的な例をご紹介します。

■年払いの短期率の例

既経過期間

年払いの短期率

7日まで

10%

15日まで

15%

1ヵ月まで

25%

2ヵ月まで

35%

3ヵ月まで

45%

4ヵ月まで

55%

5ヵ月まで

65%

6ヵ月まで

70%

7ヵ月まで

75%

8ヵ月まで

80%

9ヵ月まで

85%

10ヵ月まで

90%

11ヵ月まで

95%

12ヵ月まで

100%

短期率によって算出されるのは、保険会社が収納する分の保険料です。
上記の短期率では、既経過期間が8ヵ月までの場合、短期率は80%と定められています。保険の始期日から8ヵ月までの間に途中解約した場合、年間の保険料の80%は保険会社に収納され、残りの20%が契約者に返還されるという考え方です。なお、既経過期間が11ヵ月を超えた場合は、解約返戻金は発生しません。

月払いの場合

月払いとは、保険期間中、毎月保険料を納める支払い方法のことを指します。
月払いの自動車保険を解約した場合、解約月までの保険料を1ヵ月単位で支払います。保険料は日割り計算されないため、解約返戻金は発生しません。例えば、保険始期日が1月10日だとすれば、解約月の9日までに手続きを行わないと、当月分の保険料が1ヵ月分かかってしまいます。月払いの自動車保険を途中解約する際には、保険始期日を確認しておきましょう。

自動車保険を途中解約したときの等級は?

自動車保険を途中解約したときの等級は?

自動車保険を途中解約した場合、等級はどうなるのでしょうか。等級は保険料の割増引率を算出する際に用いられるため、翌年度の保険料を決定付ける重要なポイントです。
続いては、自動車保険を途中解約する場合と他社に乗り換える場合の等級についてご紹介します。

途中解約する場合

自動車保険の解約後に別の自動車保険を契約する予定がない場合、解約時に「中断証明書」を発行してもらうことで10年間は等級を維持できます。中断証明書とは、自動車保険による補償が一時的に不要となった際、補償および保険料の支払いを中断するための書類です。
再び自動車保険が必要になったときに、一定の条件を満たせば、中断証明書を提示することで中断時点での等級が適用されます。

中断証明書を発行できる条件は保険会社によって異なるため、必要な場合は保険会社に確認しましょう。一般的には、中断する契約の等級が7以上かつ下記のいずれかに該当している必要があります。

<中断証明書の発行条件>

  • 廃車、譲渡、売却に伴い車を手放す
  • 車検切れ
  • 一時抹消登録をした(一時的に車の使用を中止すること)
  • 観光目的以外の一時的な海外渡航
  • 車の盗難被害
中断証明書を発行しなかった場合、等級が引き継げるのは解約日の翌日から7日以内です。8日以上経過してしまうと等級はリセットされ、新たな自動車保険は、初回契約と同様に6等級からのスタートとなります。

なお、中断する等級が1〜5の場合、解約日から8日以上経過していても等級はリセットされません。1〜5等級が引き継がれる期間は、解約日から13ヵ月間です。13ヵ月を超えれば等級がリセットされ、6等級で自動車保険への加入が可能です。

他社に乗り換える場合

加入している自動車保険を途中解約して他社に乗り換える場合、タイミングによっては等級が上がる時期が遅くなる可能性があります。

自動車保険の等級は、始期日から満期日までの1年間で保険金の支払いが生じる事故を起こさなければ、満期日を境に1等級上がる仕組みです。
そのため、加入している自動車保険の満期日を向かえ、等級が上がったタイミングで乗り換えれば、等級を引き継ぐことができます。しかし、満期を待たずに乗り換えると、次に等級が上がるのは乗り換え先の自動車保険の始期日から1年後となってしまいます。

■乗り換える時期による等級が上がるタイミング

乗り換える時期による等級が上がるタイミング

等級が上がるタイミングを遅らせたくない場合は、加入している保険の満期を待って新たな保険へと乗り換えたほうがいいでしょう。

自動車保険を途中解約するときの注意点

自動車保険を途中解約する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。途中解約したことで保険料が高くなったり、想定していなかった保険料が発生したりすることのないよう、次の3点を押さえておくことが大切です。

自動車保険の未加入期間を8日以上作らない

加入している自動車保険の満期日から、新たな自動車保険の始期日までの期間が8日以上空くと等級がリセットされます。
例えば、10等級で1年間、保険料が支払われる事故がなかった場合、乗り換え先の自動車保険の始期日が7日以内であれば11等級に上がった状態で契約可能です。一方、未加入の期間が8日以上にわたる場合は、初回契約と同等の6等級に戻ってしまいます。
自動車保険の未加入期間が8日以上発生しないよう、新たな自動車保険の契約手続きはすみやかに進めましょう。

■自動車保険の乗り換え時期による等級の違い

自動車保険の乗り換え時期による等級の違い

保険期間の満期日に切り替える場合も必ず解約手続きを行う

自動車保険の「満期」とは、1年間の補償期間が終了することを表しています。自動車保険は更新しなければ解約されるわけではないため、必ず解約手続きが必要です。
解約手続きを行わずに新たな保険契約を結んだ場合、二重契約になるおそれもあります。自動車保険を二重契約した場合、保険料が二重にかかるだけでなく、新たに契約した自動車保険が無効になってしまう可能性もあります。
自動車保険の満期日に乗り換える場合も、契約している自動車保険の解約手続きを忘れずに行いましょう。

乗り換え先の保険会社を決めておく

加入している自動車保険を途中解約する前に、乗り換え先の保険会社を決めておくことも重要なポイントです。自動車保険の解約日と乗り換え先の始期日を同日にすることで、自動車保険の未加入期間の発生を防げます。

ただし、保険料は保険会社によって異なる点に注意してください。同じ補償内容で保険会社を乗り換えた場合、保険料にどの程度差があるのかを把握しておく必要があります。
多くの保険会社がWebサイト上で保険料のシミュレーションを提供しているほか、保険料の見積もりを依頼することも可能です。複数の保険会社を比較して、補償内容と保険料に納得した上で契約することをおすすめします。

自動車保険の解約方法

自動車保険の解約方法

自動車保険の解約方法は保険会社ごとに異なりますが、一般的な流れとしては次のとおりです。

<自動車保険の解約の流れ>

  1. 保険会社の窓口に連絡するか、Webサイトから解約手続きを申し込む
  2. 保険会社から解約申込書などの書類が郵送される
  3. 所定の書類に記入し、保険証券のほか必要書類とともに保険会社へ返送する
解約手続きの完了後、解約返戻金がある場合にはあらかじめ指定した銀行口座に振り込まれるのが一般的です。解約に際して、違約金などの追加料金が発生することはありません。

インターネット専門のダイレクト型自動車保険の中には、電話連絡や書類への記入が不要で、Web上にて解約手続きが完結するケースもあります。解約方法がわからない場合は、契約している保険会社か保険代理店に問い合わせましょう。

自動車保険を途中解約するタイミングを見誤らないよう注意

自動車保険は、契約者が解約を申し出ればいつでも解約手続きを行うことができます。ただし、解約するタイミングによっては等級に影響が及び、乗り換え後の保険料が上がる可能性がある点に注意しましょう。今回紹介した注意点を把握した上で、適切なタイミングで解約手続きを行うことが大切です。

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