車を買い替えたときの自動車保険 手続きと注意点
納車前に「車両入替」の手続きを
車両入替ができる条件とは
【車の所有者についての条件】
新しい車の所有者が次の(1)〜(4)のいずれかに該当すること。
(1) 車両入替前の車の所有者である
(2) 車両入替前の保険契約の記名被保険者である(保険証券記載の被保険者)
(3) (2)の配偶者である
(4) (2)、(3)の同居の親族である
【自動車の用途・車種についての条件】
車両入替の前の車と新しい車が車両入替可能な用途車種の範囲であることが条件。たとえば、自家用普通乗用車から営業用普通乗用車への車両入替は不可となる。ただし、自家用普通乗用車は自家用普通乗用車など8車種に該当する車であれば、車両入替ができる。
自家用8車種
※出典「損害保険Q&A/一般社団法人日本損害保険協会より」
車両入替の手続き方法
変更に伴う差額保険料については、返金がある場合は契約者名義の銀行口座へ返還され、追加保険料の支払いが必要な場合は追加保険料の支払い手続きをしよう。手続きの際には以下の情報が必要となるので、あらかじめ準備しておこう。
【車両入替の手続きの際に必要な情報】
・納車日
・車検証
・車の積算距離計(オドメーター)の数値
※変更前の車は使用終了時点の数値、変更後の車は使用開始時点の数値
なお、車検証が手元にない場合は、売買契約書等もしくは車を購入した自動車ディーラーにて「型式、車名、初年度登録年月、登録番号(ナンバープレート)、車台番号、所有者、使用者等」を確認しておこう。
ちなみに、車両入替の手続きが完了する前に、新しい車で万が一事故を起こした場合は自動車保険の契約車両ではないため補償の対象とならないことがある。また、車両入替手続き完了後は自動車保険の契約車両が新しい車に変更されているため、車両入替前の車は補償対象外になるので運転する際はその旨を留意しよう。
保険料が上がる? 車両入替時の注意点とは
たとえば、コンパクトカーであれば型式別料率は低めだが、盗難の対象や修理費が高額になりがちな高級車やスポーツカーであれば特に車両保険の料率クラスは大きくなる。つまり、コンパクトカーからスポーツカーなどの高級車に契約車両を変更すれば、型式別料率のクラスが上がることにより保険料も上がるということだ。
型式別料率クラス制度では、「対人賠償」「対物賠償」「傷害(人身傷害・搭乗者傷害)」「車両保険」の項目ごとに、クラスの1〜9のいずれかを適用する。自家用乗用車では、車の型式の事故実績が少ないクラス1から事故の実績が多いクラス9までの9段階の区分が適用される。ほとんどの保険会社で保険料の算出にこの型式別料率を用いており、料率クラスが上がるにつれて保険料は高くなる。
なお、料率クラスは毎年1回見直しがされている。したがって、事故を起こさず、同じ補償内容かつ車種が変わらなくても料率クラスが上がると保険料が上がることもある。
さらに、下記のようなケースにおいても注意が必要だ。
【1】他人へ車を譲渡した場合
保険期間の途中で被保険自動車を他人に譲渡した場合でも手続きを行わなければ、譲渡人には自動的に移ることはない。譲渡後の手続きしていない期間に起きた自動車事故については保険金が支払われないので注意しよう。
【2】新しい車の車両入替の手続きを忘れた場合
車両入替の手続きを忘れてしまった場合、納車までに自動車保険に「入替自動車に対する自動補償特約」が自動セットされていれば、車両入替の手続き完了までの間、新しい車を契約中の車とみなして取扱いされる。ただし、新しい車を取得してから30日以内に契約内容の変更手続きをすることが条件だ。契約している車に車両保険が付帯されている場合は、新しい車の市場販売価格相当額が補償される。
また、入替自動車に対する自動補償特約が付帯されている場合は、入替前の廃車、譲渡、返還された契約している車で生じた事故の損害については保険金が支払われない。「納車前に車両入替の手続きが完了しているようにしておこう。ちなみに、入替自動車に対する自動補償特約は、保険会社によって名称が異なる、または設定がない場合がある。
自動車を運転する上で万が一事故を起こした場合に加入している自動車保険から保険金が支払われないということは避けたいもの。新しい車の購入手続きをする際には、納車前の自動車保険の変更手続きも忘れることがないように注意しよう。車の買い替えは自動車保険を見直す機会でもあるので、車の買い替えと一緒に検討できるといいだろう。