戸建てにおける火災保険の選び方は?補償や保険料のポイントを解説

戸建てにおける火災保険の選び方は?補償や保険料のポイントを解説

人生の中で最も大きな買い物といえる戸建てのマイホーム。ですが、火災のリスクや、大規模な自然災害のリスクも高い昨今では、大切な家が被害に見舞われてしまうかもと心配する人も多いでしょう。

そんなとき、万が一の備えとして頼りになるのが火災保険ですが、「どんなときに保険がきくのか?」「我が家に必要な補償内容とは?」といった疑問も少なくないはず。大切な家と家族の生活を守るためにも、今回は戸建て向けの火災保険を選ぶポイントをご紹介します。

戸建ての場合、火災保険で何が補償される?

戸建ての火災保険では、「建物」が対象となるのはもちろんですが、「家財」も補償の対象にできます。

建物には、門、塀、物置、車庫、カーポートなど、かなり幅広い範囲が含まれます家財は、建物内にある家具、家電、衣類などです。点数が多く、一つひとつはたいした額ではないかもしれませんが、すべてを合わせると数百万円の損害額に達することもあるため、家財を補償対象に加えることをぜひ検討してみてください。

建物・家財ともに、所有者は火災保険の契約者であることが原則で、「建物と家財」「建物のみ」「家財のみ」の3パターンのどれかで契約を結ぶことになります。

火災保険の補償範囲を検討しよう

火災保険で補償される範囲は多岐にわたります。基本的な補償としては「火災、落雷、破裂・爆発」に加え、「風災、雹(ひょう)災、雪災、水災」などの自然災害、建物外部からの物体(車など)の衝突、配管トラブルなどによる水漏れ、盗難による損害など、予測できない災害・事故も対象ですが、地震や噴火、それに伴う津波の損害は対象外です。

大手損害保険会社であれば、これらの補償のうち、複数がセットになったパッケージ型の商品が用意されています。最近では、契約者自身が個々の補償内容を選び、組み合わせるカスタマイズ型の商品が人気です。

地震に対する備えには地震保険が必要

前述したように、火災保険では「地震や噴火、これらによる津波」を原因とする損害は補償の対象外です(片付けなどにかかる費用を補償する費用保険金が一部あるのみ)。これらも補償の対象にしたいときは、地震保険に別途加入する必要があります

しかし、地震保険は単独で契約することができません。必ず火災保険とセットでしか加入できませんので、注意してください

火災保険だけを契約している場合は、地震保険に後から追加加入することも可能です。

地震保険も火災保険と同じように、「建物」と「家財」のそれぞれが補償対象となり、保険料は所得控除の対象です。地震保険の保険金については火災保険の30〜50%の範囲と決まっており、上限は建物が5,000万円、家財が1,000万円となっています。なお、損害保険会社によっては、地震保険の保険金が火災保険の最大100%になるように、上乗せして補償する特約もあります。

地震保険は、損害を受けたからといって直ちに損害額の全額が支払われるわけではなく、調査を経て「一部損」「小半損」「大半損」「全損」の4段階に区分され、これに応じて契約金額から一定の割合が支払われます。

戸建ての火災保険に加入する際のポイント

戸建ての火災保険に加入する際のポイント

購入した戸建てが火災などの被害に遭ってしまえば、場合によってはローン返済とマイホームの再建費用で大きな負担を抱えてしまいます。そうならないための火災保険ですが、火災や自然災害は起こってみないと損害が実感しづらく、補償内容を検討するのは難しいでしょう。

ここでは、購入した戸建てで火災保険に加入する際に、確認すべきポイントについて解説します

保険金額の設定を検討する

火災保険の場合、建物や家財の価値によって保険金額を設定するのが基本となります。建物の評価は、不動産取引での市場価値とは異なる基準で算出され、一般的に再調達価額で決まります。

再調達価額とは、「今、その建物を新たに建てるとしたら、いくらぐらいかかるか」という価格です「建物の構造」「延べ床面積」「築年数」などが評価のベースとなり、個々に算出されます。

火災保険は損害額を実費で補償するため、契約時に設定する保険金額は「受け取れる金額の上限」となります。火災に遭ったからといって、契約時の保険金額が必ず全額支払われるわけではないので注意しましょう

家が建っている場所・環境を検討する

同じ戸建てでも、住んでいる地域によって必要となる補償内容は当然違ってきます。例えば、河川に近い場所だと氾濫による浸水のリスクが高まるため、基本補償(火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災)に加えて、「水災」の補償をつけることが多いようです。

山間部に住んでいる場合でも、最近は巨大台風や豪雨により土砂崩れや洪水に見舞われるケースも増えています。河川から遠くても、水災補償を検討してみてください。

災害リスクを知るには、国や自治体が公表する「ハザードマップ」が参考になります。自分の居住地域を確認しておきましょう。

戸建て特有の事情を考慮する

戸建ての住宅は低層であることがほとんどで、防犯設備を個人で充実させるには費用面で限界があります。そのため、補償範囲に「盗難」を含めておくといいでしょう。特に、盗まれやすいのは家財ですので、家財は補償対象に入れておくのがおすすめです。

また、幹線道路などの交通量の多い道路に面している場合は、自動車の衝突で建物が被害を受けることも想定されますので、「建物の外部からの物体の衝突」の補償を考えてみてください。

耐火構造について確認する

すべての住宅は、建物の柱・はり・外壁などにどの素材を用いているかによって、「M構造(マンション構造)」「T構造(耐火構造)」「H構造(非耐火構造)」の3つに分類されます。

この区分は「構造級別」といい、災害時に損害の差として現れるため、保険料に影響します。ちなみに、M構造、T構造、H構造の順に火災のリスクが高くなります。

戸建て住宅は大半が木造ですので「H構造」に分類されることが多く、M構造のマンションに比べると、支払う保険料はやや高めです。ただ、損害保険会社ごとに商品や料金設定が異なるため、同じ構造級別であったとしても、保険料に差が出る可能性があります。複数の損害保険会社から見積もりを取るのがおすすめです。

必要な特約を活用する

自宅からの出火によって、近隣まで延焼してしまったら大変な事態になります。この場合は、「類焼損害特約」という特約を付帯しておけば、被害を受けた隣家の修理費用等を補償してくれるので安心です。

火元である自分(失火者)に重大な過失がなければ、失火責任法により、火事の被害が隣家等へ及んだ場合でも損害賠償責任を負う必要はありません。しかし、相手が十分な保険に加入しているとも限りませんし、見て見ぬふりもできないでしょう。

そんなとき、相手の損害を失火者側の保険で補償することが可能です。周囲への配慮や、今後も続くご近所付き合いを考えると、つけておく優先度は高い特約といえます。

また、修理費以外の周辺費用の補償が十分でない火災保険の場合に付帯したいのが、「臨時費用特約」です。周辺費用とは、被害の原因調査や仮住まい、残存物片付けなどにかかる費用を指します。周辺費用として補償される範囲は保険会社によって異なり、中には修理費以外は全額自己負担という商品もあるため、臨時費用特約でカバーできれば安心です。

一般的には、受け取れる臨時費用は支払われた保険金額の10%で、使い道も限定されていないため、安心と便利を兼ね備えた特約といえます。

戸建ての火災保険の保険料を安くするには?

戸建ての火災保険の保険料を安くするには?

最終的に火災保険を選択する段階で、気になるのは保険料でしょう。保険料は補償内容によって違うのはもちろんですが、申込方法によって変わってくることもあります。火災保険の保険料を安くするためにも、下記のような点を検討しましょう。

代理店型かダイレクト型かを検討する

火災保険に加入する方法には、不動産店や金融機関などの代理店を通じて申し込む「代理店型」と、インターネットで直接損害保険会社のWebサイトから申し込む「ダイレクト型」の2通りがあります。担当者が対応してくれる代理店型は、契約時だけでなく、事故時にもきめ細かくサポートをしてくれるので、心強いのがメリットです。

その反面、代理店型は中間コストがかかってしまう分、ダイレクト型よりも保険料が高くなりがちです。

最近では、ネットショッピングの普及により、ダイレクト型で申し込む心理的ハードルは下がり、損害保険会社各社も保険商品の説明ページを充実させ、申込手続きをスマートフォンでスムーズに済ますことができるように工夫もされています。自分自身でWebサイトから手続きする手間を惜しまないのであれば、保険料の安いダイレクト型がおすすめです

補償内容や免責金額を検討する

火災保険は、補償内容に応じて保険料を安くすることができます。ですが、本当に必要な補償がなければ、いざというときの備えにはならないので、保険料の安さだけにとらわれず、補償内容が適切かどうかを確認しましょう。

また、補償請求時に自己負担する金額を免責金額といいますが、こちらの設定も検討が必要です。免責金額を高く設定すると保険料を抑えられる一方で、損害を受けたときの自己負担額が大きくなるので、適切な金額で設定してください

ほかにも、保険料の支払方法を変更すると割安になるといったケースもありますので、保険会社に確認することが大切です

長期契約や数社からの見積もりで保険料を抑える

火災保険はリスク管理として必須ですが、長期にわたるランニングコストになる点を踏まえると、少しでも保険料を抑えたいものです。

原則、火災保険は1年契約ですが、最長5年までの複数年契約も存在します。一般的に契約期間が長いほど保険料は割安になるため、長期契約によって保険料の総額を抑えるのもひとつの手といえるでしょう。

また、見積もりは必ず数社から取りましょう。保険料はもちろん、外すことのできない補償や重視している補償について、各社の取り扱いの差をしっかりと比べることが大切です。

最適な火災保険を選ぶために、見積もりやランキングを確認しよう

戸建て住宅は、マンションなどの集合住宅とは異なり、持ち主自身が家の維持・管理を行わなければなりません。高額なものだけに、被害を受ければ経済的なダメージも大きくなります。

万が一のときに補償が受けられるよう火災保険に加入し、必要な特約も付帯しましょう。建物の価値や築年数などによって保険料は変わってきますので、見積もりを取って比較することが、納得できる火災保険を選ぶために重要です。

オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年火災保険の顧客満足度ランキングを発表しています。保険料や商品内容、加入手続き、サービス体制などさまざまな視点でのランキングを確認できますので、保険会社選びの参考にしてください。

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