火災保険の必要書類は?契約時、請求申請時に必要なものを解説
今回は、こうした火災保険の契約時や保険金請求時に必要な書類について紹介します。いざというときに提出書類の準備に困らないよう、参考にしてください。
戸建てで火災保険を契約するときに必要な書類
損害保険会社では、建物の構造と耐火性能の情報をもとに建物の評価額を割り出し、保険金額を算出します。また、建物の所在地、延床面積、築年数なども見積もり金額に影響します。
まずは、戸建ての加入契約時を例に、建物の構造と耐火性能の2つの観点からどのような書類が必要となるのかを見ていきましょう。
建物の構造を確認する書類
登記事項証明書
登記事項証明書には、建物の概要(所在・面積)や所有者、そのほかの権利関係などが記載されています。不動産登記制度にもとづく登記情報を記した公的な書類で、建物が契約者本人のものであることを証明します。
取得方法としては、「法務局窓口で申請」「オンライン申請」「郵送で申請」の3つがあります。このうち便利なのはオンライン申請で、法務局のサイト「登記ねっと」から事前にオンライン申請し、書面は法務局窓口や郵送で受け取ることができます。費用もオンライン申請のほうが、法務局窓口や郵送で申請するよりも安く済みます。法務局窓口で申請した場合は、基本的に即日交付を受けることができるのがメリットです。
なお、登記事項証明書と似た文書に「登記簿謄本」があります。登記簿謄本は登記簿(不動産情報の台帳)のコピーのことを指し、以前は証明書として利用されていました。しかし現在は、不動産の詳細を証明する書類には登記事項証明書が利用されているので、専門業者から「謄本を用意してください」と言われても、基本的には登記事項証明書のことだと考えて差し支えありません。
建築確認申請書
建築確認申請書は、新築等の工事着手前に建築基準法や条例等に適合しているかを確認するため、自治体もしくは民間の指定確認検査機関に申請する書類です。
建築主が着工前に申請する必要がありますが、多くの場合、ハウスメーカーや施工業者が申請代行しています。
建築確認済証
建築確認済証は、建築確認申請書にもとづき審査が行われ、法令的に問題のない建築物であることを自治体や指定確認検査機関が確認した場合に発行されます。審査・確認が済めば、ハウスメーカーや施工業者から渡されているでしょう。
建築確認済証は再発行ができないため、原本の保管には気をつけてください。なお、改正建築基準法(1999年5月1日施行)以前に交付されたものは、「確認通知書」または「建築確認通知書」と呼ばれています。
耐火性能を確認する書類
建築確認申請書(第四面)
前述した建築確認申請書の「第四面」には建物の耐火性能に関する欄が設けられており、「耐火建築物」「準耐火建築物」「耐火構造建築物」「特定避難時間倒壊等防止建築物」といった種別に該当するかどうかが記載されています。例えば、この申請書の第四面で耐火建築物や準耐火建築物に該当していることが確認できれば、木造住宅でも保険料が安くなります。耐火建築物と準耐火建物はT構造にあたるため、非耐火構造であるH構造と比べると60%程度の保険料の節約が可能です。
耐火性能等証明書
耐火性能等証明書は、ハウスメーカーや施工業者に耐火性能を証明してもらうための書類です。損害保険会社でフォーマットを用意していることが多く、ハウスメーカーや施工業者に記入を依頼して損害保険会社に提出します。
設計仕様書、図面、パンフレット
建築確認申請書などで耐火性能がはっきりしない場合には、設計仕様書や図面、パンフレットの記載により耐火性能を確認することも可能です。これらは、住宅購入時に受け取っていることが多いでしょう。
設計仕様書には、建物の外部や内部、付帯設備にそれぞれどのような素材を使用しているかなどが示されています。図面に耐火性能を確認できる記載がされていることがあり、パンフレットにも「省令準耐火構造」といった耐火性能を示すキーワードが書かれているかもしれません。
分譲マンションで火災保険を契約するときに必要な書類
専有部分とは、自分が購入したマンションの部屋(所有権のある範囲)のことを指します。しかしマンションによって、専有部分をどの部分までにするかは異なります。多くの場合、部屋の骨組み(構造躯体)は専有部分に含まれませんが、もし躯体まで含まれているとすれば専有面積が大きくなり、結果として保険料が割高となってしまう場合もあります。したがって、分譲マンションの場合、損害保険会社は専有部分を正確に把握するための資料が必要となるわけです。
ここでは、専有部分について証明するための書類をご紹介します。
重要事項説明書
重要事項説明書は、マンション購入の契約に関する重要事項が記載されている書類です。契約の締結前に、不動産会社の担当者から口頭説明とともに渡されます。
物件自体の権利関係などの詳細が書かれているほか、専有部分についての記載もあります。
売買契約書
売買契約書とは、マンションの売主と買主とのあいだに交わされる契約書のことで、一般的に不動産会社が作成し、売主と買主の双方が署名・捺印をします。マンションの所有権を証明する書類として活用することが可能です。
なお売買契約は、民法上では口約束でも成立しますが、宅地や建物等の不動産取引に関する契約の場合は、宅地建物取引業法第37条で書面の作成と交付が義務付けられています。
登記事項証明書(全部事項証明書)
登記事項証明書と一口にいっても、実は1種類ではなく、記載内容の範囲に応じて4種類に分類されています。そのひとつが「全部事項証明書」で、その名のとおり登記にあるすべての情報が記載された証明書です。過去の所有者の記録や、共有している不動産の権利関係なども記されていて、分譲マンションの火災保険契約に適している書類といえます。
賃貸物件で火災保険を契約するときに必要な書類
また、建物についてもある程度の構造が確認できれば十分で、これも賃貸契約書に記されています。
火災保険の保険金の請求申請に必要な書類
保険金請求書
保険金請求書は、「保険金を請求する」という意思を表明する、最も基本となる書類です。各損害保険会社が独自でフォーマットを用意しており、氏名(契約者情報)、事故の内容、保険証券番号、保険金振込先の口座などを記入して提出します。
損害保険会社に被害の連絡をすると届く、書類一式の中に同封されていることがほとんどですが、損害保険会社のWebサイトの専用フォームなどに入力して提出できるところもあります。
事故内容報告書
事故内容報告書は、事故の概略を説明するための書類です。多くの損害保険会社で指定の用紙・フォームが用意されています。事故の原因、被害の程度を詳細に確認するため、事故内容報告書のほかにハウスメーカーや修理業者による原因調査報告書、事故証明書などの提出も併せて求められるかもしれません。
また、自然災害の場合、「損害が本当に自然災害によって生じたのか」を特定しづらい場合もあります。例えば、巨大台風が通過した後、少し日数が経ってから屋根の一部が破損していることに気づいたとして、台風による損害かを証明するのは困難です。そのようなときは、正直に損害保険会社に相談してみましょう。
罹災証明書
罹災証明書は、建物が火災や自然災害に遭った(罹災した)事実と、その被害内容を証明するのに使われます。火災の場合は管轄する消防署や消防出張所で発行され、火災以外の風水害などの場合は市町村の役所で発行されます。
修理業者の見積書
修理業者の見積書は、建物の損壊を修理するのにどれくらいの費用がかかるかを示す書類です。修理業者に見積もってもらい、取得します。受け取れる保険金にも関わるため、修理の総額だけでなく、修理項目や材料、単価なども詳細に記載するよう依頼してください。
被害状況の写真や画像データ
建物に生じた被害状況を証明するため、損壊箇所を撮影した写真を損害保険会社に提出します。スマートフォンなどで撮った画像データでも構いません。損害を見つけたら、状況が変化しないうちになるべく早く撮影しておくことをおすすめします。
また、被害状況を詳細に伝えるために、「近距離から細部を撮影したもの」「全体を撮影したもの」など、複数枚をそろえておくとよいでしょう。
登記事項証明書
登記事項証明書は、保険金の請求額が500万円を超えるといった高額の場合に提出を求められることがあります。火災保険の加入契約のときと同様、法務局で入手可能です。
委任状
委任状については、請求業務を第三者に委任する場合や、保険金受取人が複数いて、代表の者に委任する場合などに提出が必要となります。損害保険会社や代理店の指示に従って提出してください。
印鑑証明書
印鑑証明書は、保険金請求者の本人確認をするための書類です。自治体で印鑑登録の手続きが済んでいれば、役所・証明サービスコーナーなどの窓口で発行できるほか、マイナンバーカードを使ってコンビニでも受け取れます。保険金請求書や委任状などの押印欄には、この印鑑証明書と同じ印影の印を押印しましょう。
火災保険の加入や保険金の請求申請には、正確な情報を伝える書類が必要
公的な書類や建築関連の文書など、日頃聞き慣れない書類も今回取り上げていますが、事前に知っておくだけでも、もしものときに役立ちます。
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