火災保険と火災共済の違いは?それぞれのメリット・デメリットを解説

火災保険と火災共済の違いは?それぞれのメリット・デメリットを解説

大切な住まいを災害のリスクから守る手段として「火災保険」がありますが、「火災共済」という似たような言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか。どちらも、マイホームが火災や自然災害によって被害に見舞われた際の備えとなるものですが、細かな内容や加入条件などが異なります。

ここでは、火災保険と火災共済の違いや、メリット・デメリットなどについて解説します。

火災保険と火災共済の違い

火災保険と火災共済には、いくつかの側面から違いが見られます。具体的には、「運営母体」「用語」「加入条件」の3点です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

運営母体の違い

火災保険の運営は、民間企業である損害保険会社が行っています。営利目的の活動であることから、保険料は契約者の加入状況で変動することがあるでしょう

一方の火災共済は、「生活協同組合(生協)」や「労働組合」「農業組合」など、一定の地域や職域に属する人たちがお互いに助け合うことを目的に組織した非営利団体によって運営されています

用語の違い

火災保険と火災共済では、使われる用語にも違いが見られます。主な違いは下記のとおりです。
■火災保険と火災共済の用語の違い

火災保険

火災共済

保険料

掛金

保険金(給付金)

共済金

補償

保障

加入条件の違い

火災保険は民間の損害保険会社が運営しているため、一般に広く販売されており、加入について特に制限はありません

一方の火災共済は、原則として運営団体の組合員にならなければ加入ができません(組合員の家族などの加入は認められています)。ただし、生協などでは簡単な手続きと1,000円程度の出資金で組合員になれるところもあります

火災保険のメリット・デメリット

火災保険のメリット・デメリット

火災保険と火災共済の違いを見てきましたが、どちらを選ぶにしても、それぞれのメリット・デメリットは知っておきたいところです。まずは、火災保険のメリット・デメリットについて見ていきます

メリット:カバーできる補償範囲が広い

火災保険は、火災以外にもさまざまな自然災害による損害を幅広くカバーしてくれるのが最大のメリットです。近年多発する線状降水帯や台風で引き起こされる「水災」や「風災」のほか、温暖化に伴う気象変動がもたらす「雪災」や「雹(ひょう)災」、さらには自然災害以外にも盗難や水漏れ、落下物、突発的な事故による破損・汚損なども補償対象に含まれています。

メリット:補償内容を自由にカスタマイズできる

従来、火災保険は基本的な補償である「火災、落雷、破裂・爆発」に、そのほかの補償・特約をいくつか組み合わせて、プラン化した商品で販売されていました。

しかし、今では契約者のニーズに合わせて、補償内容を自由に選ぶことができる販売スタイルをとっている損害保険会社も少なくありません。つまり、火災保険のカスタマイズが可能であることもメリットです

例えば、大きな川の近くや土地の低い場所に住まいがあれば、「水災」はつけておきたい補償です。マンションの場合、最上階に住んでいれば「水漏れ」の心配は不要ですので、補償を外しても構わないでしょう

どこまでカスタマイズできるかは損害保険会社によって異なりますが、火災保険は不要な補償は省いて、必要な補償だけを盛り込んだ契約にすることも可能です。

メリット:多彩な特約

特約の種類が豊富ということも、火災保険のメリットです。例えば、損害の復旧以外で生じた費用をまかなうために使える「臨時費用保険金補償特約」があります

この特約で受け取った保険金は使い道が限定されておらず、建物を修理しているあいだのホテルでの仮住まい費用や家財の保管費用など、日常生活を維持するために必要な出費にあてることが可能です

このほか、外出先に持ち出した家財が偶然の事故で損害した場合に補償してくれる「携行品損害補償特約」や、社会問題化している自動車事故の賠償にも対応してくれる「個人賠償責任特約」など、多彩な特約から選ぶことができます

デメリット:補償が幅広い分、保険料が高くなる

火災保険は幅広い補償が特徴ですが、補償の範囲を広げるほど保険料は高くなることがデメリットといえるでしょう

また、火災保険は建物の構造や立地に応じて異なる保険料率を採用しているため、住まいが水災の起こりやすい場所や豪雪地域などにある場合は、保険料が高くなる傾向があります
火災保険について詳しく解説した記事はこちら
火災保険とは?基礎知識と補償内容について解説

火災共済のメリット・デメリット

火災共済は、組合員となった者が相互に資金を出し合って、万が一に備えるという仕組みで運用されています。一般の保険商品と違い、営利を目的としていない点も特徴である火災共済のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット:掛金が安い

火災共済は、運営する団体が非営利で、組合員の共助によって成り立っている性質上、掛金は安く設定されています。多くの場合、火災共済は火災中心の基本的な保障をパッケージ化した商品を組合員で共有するといった仕組みをとっているため、「最低限必要な保障は確保したい」という人向きです

なお、基本的な保障というのは、火災のほか、落雷、破裂・爆発、消防破壊・消防冠水、車両の衝突、水漏れ、落下物といった損害が対象です

メリット:割戻金が発生することもある

火災共済では、毎年の決算後に余剰金が生じれば、その一部を加入者に戻す「割戻金」の制度が設けられています。振り込まれることがあれば、掛金の負担を少し軽くすることができます。

デメリット:保障範囲が狭い

火災共済は、火災への備えを中心としたシンプルな保障内容となっていることから、掛金が抑えられる一方で、火災保険に比べると保障範囲が狭いのがデメリットといえます

また、給付金だけで再建費をまかなうことが可能な火災保険と比べ、火災共済の保障額は再建費をまかなうのに十分とはいえないので、この点で不安を感じる人もいるでしょう。

デメリット:カスタマイズできず、特約も種類が少ない

火災共済の保障内容はパッケージ化されて提供されるため、通常、カスタマイズが行えません。火災保険のように風災や水災などへも備えようとすると、火災共済のほかに自然災害共済などに加入する必要があります。

また、特約は類焼損害や借家人賠償責任、盗難といった種類に限られており、火災保険に比べて選択肢が少ないことがデメリットです。

火災保険も火災共済も、地震への備えは別途必要

地震が原因の損害については、一部の費用保険金(建物や家財の損害のほかに生じるさまざまな費用をサポートするために支払われる給付金)を除き、火災保険でも火災共済でもカバーされません。それでは、地震への備えはどうすればよいのでしょうか。

地震による被害は、地震保険に加入して備えることが可能ですただし、地震保険は火災保険に付帯するという扱いのため、地震保険だけ加入することはできません。補償内容は、国が運営に関わっているため全国一律となっています

一方、火災共済の加入者は、地震保険をセットにすることができません火災共済の場合、それぞれの運営団体が用意する地震災害共済や地震特約を付帯することで地震に備えます

火災保険と火災共済は重複加入できる?

同じ建物や家財に対して、複数の火災保険や火災共済をかけることを「重複加入」といいます。「できるだけ手厚い備えをしておきたい」と思っている人の中には、火災保険や火災共済を2つ以上契約したほうが安心できると考えている人もいるかもしれません。

しかし、これはあまりおすすめしません。なぜなら、火災保険と火災共済に重複加入したからといっても、保険金・共済金の合計が損害額を超えることはないからです。これは、実損払い方式」といわれ、それぞれの契約から支払われる合計額が損害額と同額となるよう、調整される仕組みになっています

なお、重複して加入すること自体は契約者本人の自由ですが、新たに契約しようとする際には、ほかにも火災保険もしくは火災共済に加入していることを告知する必要があります

しっかり備えるなら火災保険、最低限の保障なら火災共済

今回は、火災保険と火災共済の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。火災保険は火災や自然災害による損害だけでなく、総合的に住まいの損害をカバーしてくれる商品であるため、「しっかり備えておきたい人」におすすめです

一方の火災共済は、火災による損害に特化したシンプルな商品設計となっているため、火災保険と比較すると圧倒的に支払う掛金が安いのが特徴。最低限の保障を備えておければいい」「火災のみの備えで十分」と考える人は、火災共済を検討してみるといいでしょう

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